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第十一話 ノーシスター・ノーライフ
しおりを挟む「………え?違う違う!なんで!?」
「いえいえお兄さん……一話経ったんですよ?仲直りしてるに決まってるじないですか。」
「一話ってなんだあああ!俺がどれだけ悩んだと思ってる!!」
結希と美香ちゃんを仲直りさせようとした次の日、何故か二人は元の関係に戻っていた。
俺が気まずくなるだろうと慎重に結希と登校していた時、なんと美香ちゃんはいつも通りに結希を引き受けてくれたのだ。
昨日俺がトイレ行ってる間に何が……!
「じゃあ行ってくるねお兄!
……あっ!美香、私は今凄い発見をしてしまったよ……よくみたら犬ってしっぽある!!」
「ウンウンソーダネ、じゃあ学校行こっか」
「わかったー」
二人はいつも通りに学校へ向かった。
俺はそんな二人の背中を見送り、こう思った……
結希、お前はいつになったら犬と猫の区別ができるようになるんだ、と。
またもや猫を犬と言う結希を俺は非常に情けなく思う。
それより本当に何があったんだろうか?あれほど険悪だった二人が、いつの間にか元通り……
不思議だ。
……まあ、いいか!終わりよければ全てよし!万事オーケーだ!
俺は肩の荷が降りたような気がして、軽快に学校へと向かった。
【昨日】
※ここからは結希視点。
言わなきゃ、言わなきゃ。
早く言わないと美香と本当に仲直りできなくなる……。
台本にはなんて書いてたっけ……。(第十話参照)
ああ、どうしたら許してもらえるんだろ。
こんな時にお兄トイレ行っちゃうし!
お兄の役立たず!
「ねえ、結希……私、一つ言っておきたいことがあるんだ。」
唐突に美香が私をしっかり見据えて話し出す。
そんな重々しい空気出されれば真剣に聞かざるを得ない。
「な、何?」
「私ね、お兄さんと付き合ってないんだ……でも私はお兄さんのこと絶対諦めない。だからこれから結希の嫌なことすると思うんだ。けど、結希とこのまま嫌な関係が続いたらきっとお兄さん困っちゃう……
私もちょっとだけ寂しいし……
……だから、さ。停戦協定って形にして、な、仲直りしない?」
「経線料亭?何言ってるのかわかんないけど、勿論!仲直りしたい!私も美香と仲直りしたい!」
すると美香は少し嬉しそうな顔をするとすぐにムッとした顔に向き直り、それでも上機嫌で言った。
「あんたの気持ちは分かった。……じゃあ私は帰るけど、お兄さんには適当に伝えといてね」
「ちょっ!ちょっと待って!」
私はまだ言えてない!本当の気持ち!
美香はちゃんと私に昨日ずっと思ってたことを言ってくれたのに!
私は呼び止めて、そのままの勢いで美香に叫んだ。
「私は!お兄が好きだしいないと生きていけない!でも美香も大事!……だから私両方を選ぶね!美香とずっと友達だし、お兄も絶対渡さない!」
「……凄い理不尽。でも、分かった、伝わった結希の気持ち。
……また明日ね」
ーーーーーーー
「あっそうだ!結希。
……私も諦めないよ。お兄さんも結希も、さ」
「ねえねえ!美香!この石なんかう〇こみたい!……あれ?なんか怒ってる?」
「話聞けアホーーーーーーっ!」
何だかんだで仲良しな二人だった。
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