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第九話 俺の妹と幼馴染が修羅場すぎる(泣)
しおりを挟む※今回お兄ちゃんはお休みです。
美香ちゃん視点になります。
「お兄は渡さないから!プイッ」
「えぇ!?!?!?」
いつも通りに一緒に登校していた最中、急に結希はこんなことを言い出した。
まあ、「プイッ」って口で言ってるのはいつも通りだと思うけど。
……いやいや!どうしてこんなことになってるの!?
私は何か心当たりを探す。
あっ!そういえば昨日お兄さんからメールで
『件名【ごめんなさい】
多分面倒なことになるから先に謝っとくわ……ごめん!
P.S 結希のことを諦めないで』
って届いていたなあ………ああ!これの事ですか!
しかし、何に怒っているのかも分からず、本当に心当たりがない私は一旦原因を聞いてみることにした。
「え、えーと、どうして結希はそんなに怒ってるの?」
「まさかお兄の上着相手が美香だったとはね………!」
上着相手?
………はっ!浮気相手!
「え!っていうか浮気!?何のこと!?」
「ぼやけないでっ!」
「別にとぼけてないよ!」
「私お兄から美香とお兄が付き合ってること聞いたんだから!」
お兄さんめ……翼くんの時の言い訳に私を利用しましたね。
だからごめんなさいとでも言うつもりですか!?ええ!別に、許してあげますよ!?
お兄さんのことですからまた下手な嘘がでたんでしょうからね……。
でもどうやって切り抜ければ……。
「結希、私別に付き合ってないし、お兄さんのこと好きじゃないよ?」
「……それは嘘だって私にも分かるよ?美香は昔からずっとお兄が好き。
……馬鹿でも、それくらい知ってるもん!」
「……っ!」
あ、やっぱりばれてたんだ……。
私も嘘得意じゃないからな……お兄さんは結希に夢中では気づかないけど。
………だからいつも構ってもらえる結希がずっと羨ましかった。
でも今はそんな事関係ない。頑張って切り抜けて、いつも通り結希を見張らないと……。
「でも、私は本当に……」
「私からお兄を取らないで!」
結希はいつもとは全然違う鬼気迫るといった感じの表情で叫んだ。
……いつも通りなのは、普通はこういう台詞の時は前のめりになるはずが、後ろのめりになっていることくらいだ。
長い付き合いの私でも、こんな結希見たことない。
……でも、私だって昔からお兄さんのことが好きなのに結希だけ贔屓されておいて、ちょっと離れそうになったら怒るというのは、少し虫がよすぎるのではないだろうか。
私は少しムカッとしてしまう。
「嫌だよ!私があなたにお兄さんを譲る義務があるの!?ないよね!」
「……っ!でも、私はお兄がいないと生きて行けないの……!」
まあ、それは多分本当の意味でだろうけど……。
でも、私も好きな人を独占されて「はいそうですか」と引き下がれるほどできた人間ではない。
……相手が例え親友でもそれは同じだ。
「だから何!?私が付き合ってたら結希に何か文句があるの!?」
「あるよ!……だってお兄が美香の方に構っちゃうと私きっと他の人に迷惑かけるよ!?」
……ごもっともです。
でも、私ももう引き下がれない。
「そんなの私関係ないし!」
「もう!美香のヒャクショウモノ!」
「百姓?………あっ!誰が薄情者なのよ!」
―――これが幼稚園からずっと一緒の私と結希が出会ってから最初の喧嘩になった。
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