妹の馬鹿さが既に恐怖の域に達している!?

筒猫

文字の大きさ
上 下
8 / 24

第八話 妹は知識が少ない。後編

しおりを挟む

※七話の続きです。

 「それは流石にまだはやいだろおおおおおおっ!」  

 俺は全速力で二人のところへ駆け込んだ。

 「……はいっ!髪についてたガム取れたよ。」

 「ありがとー!すごいね!全然痛くなかったよ」

 ズザアアアァッ!

 ……やっぱりか!なんかそんな気はしてたよ!

 手前で、俺は思いっきりずっこけた。  

 案の定というかなんと言うか、キスと思いきやただガムを取っていただけ
……っていうか中学生にもなって髪にガムをつけるなよ。

 「あ、あれっ!?お兄!?どうしたの?」

 「えっ!天王寺さんのお兄さん!?」

 あー……やっちゃったっぽいな。

 ちょっと気まずくなって黙り込む俺と、驚く翼くんアンド結希。
 後ろから美香ちゃんも追い付いてきた。    

 「……ちょっとお兄さん!何で急に出ていっちゃうんですか!」

 「……あはは」

 何も返す言葉がない。

 「本当に、妬きもちも大概にしてくださいよ……」

 「妬きもちでなない!」

 「えっ!お兄餅焼いてくれたの!?やったー」

 「食べ物じゃない!」

 「こ、この人が超シスコンという……!いいえ!僕は負けません!」 

 「うお!お前はお前ですげえ勘違いしてんな!」

 「いえ!僕の愛が上回ると信じています!」

 「ああもう!面倒くさい!」


 突っ込みの量が異常で疲れる。
まあ、今回はお兄ちゃんが圧倒的に悪いから何も文句は言わないが……

 ******

 後で聞いたところによると、付き合っているのではなく、翼くんの片想いで止まっているらしい。
何だ………よかっ 

 ……いや!よくない!

 くそ!妹を託し損ねた!


 そう言いつつも何だか俺は、謎の安堵に包まれていた。

 するとあの事件の次の日、結希がリビングでこんなことを聞いてきた。

 「……ねえ、お兄。どうしてこの前あんなところにいたの?」

 「ギクッ!……あ、あれだよ。み、美香ちゃんとデート……」


 あ、何言っちゃってんの……俺。
完全に咄嗟にでた嘘だが、ちょっとだけリアリティーがあるせいで後々誤魔化し辛そうだな……
また今度美香ちゃんに謝ろう。

 「ええええぇぇええっ!お兄って美香が好きなの!?」

 「ま、まあ微妙なところだな!?」


 妹は驚いた様子を見せる。
また処理に追われることになるだろうが、この場を凌げればよしだ。
 俺は何とかこれで解決したと思っていた。


 ……そう、この後何が起こるかなんて想像もしてなかったのに。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

足を踏み出して

示彩 豊
青春
高校生活の終わりが見え始めた頃、円佳は進路を決められずにいた。友人の朱理は「卒業したい」と口にしながらも、自分を「人を傷つけるナイフ」と例え、操られることを望むような危うさを見せる。 一方で、カオルは地元での就職を決め、るんと舞は東京の大学を目指している。それぞれが未来に向かって進む中、円佳だけが立ち止まり、自分の進む道を見出せずにいた。 そんな中、文化祭の準備が始まる。るんは演劇に挑戦しようとしており、カオルも何かしらの役割を考えている。しかし、円佳はまだ決められずにいた。秋の陽射しが差し込む教室で、彼女は焦りと迷いを抱えながら、友人たちの言葉を受け止める。 それぞれの選択が、少しずつ未来を形作っていく。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】君への祈りが届くとき

remo
青春
私は秘密を抱えている。 深夜1時43分。震えるスマートフォンの相手は、ふいに姿を消した学校の有名人。 彼の声は私の心臓を鷲掴みにする。 ただ愛しい。あなたがそこにいてくれるだけで。 あなたの思う電話の相手が、私ではないとしても。 彼を想うと、胸の奥がヒリヒリする。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

新井くんは給食嫌い。

タカクテヒロイ
青春
小学5年生の新井は偏食が激しくいつも給食に悩まされていた。ありとあらゆる手を使って嫌いなものを食べずに乗り切ろうとする。 学校給食を中心としたほのぼのコメディ。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...