精霊の加護

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精霊の加護178 バカンス終了

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精霊の加護
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№178 バカンス終了

 拡大女子会と男3人呑みの晩から後、リチャードとラモの忠告に従って、9の月になるまで、俺はひたすらバカンスに徹した。
 領収公邸から、毎日アクアビット号を先頭に馬車3台を連ねて北の白浜へ行き、プライベートビーチで海水浴を満喫したのだ。

 連日の海水浴になって3日目には、精霊たちが精霊の衣を脱ぎ捨て、すっぽんぽんで海に入り出してしまった。参ったな。でもいい眼の保養になるので、注意はしなかった。
 男の本能で、まっぱ(真っ裸)の精霊たちをついつい眼で追ってしまったリチャードとラモは、当たり前だが、ナディア様とペリーヌ様にこっぴどく叱られていた。大笑
 精霊たちの気ままな行動のせいなのだが、必死に言い訳しているリチャードとラモを見て、ぶっちゃけ俺は、笑いが止まらなかった。

 また、この間、南の浜から外洋漁業再開の知らせと、再開初日の漁で獲れたマグロが届いた。非常に旨かった。
 なお、修理を終えた漁船は、以前より船足が速くなったと、自らマグロを届けてくれた南の網元が嬉しそうに語っていた。

 この間の夜はと言うと、もちろん俺は、わが妻たちをきっちり輪番で3人ずつ毎晩かわいがったし、8の月の末日の新月とその前後1日の3晩は、発情したトーラと生でむふふだった。

 9の月になり、バカンスを終えた俺たちは、ラスプ・デルスゥデ島を発って、隣のリシッチャ島のラクシーサへ立ち寄った。
 バカンスの後はきっちり働くはずだったのだが、本格的にバカンスを始める前に島を1周したとき、南の港の外洋漁業集落と西のマングローブ林の養殖集落で、俺は精霊たちを使って、島の開発の足枷を取り除いていた。このお陰で、島の開発は順調に進んでおり、取り敢えずやることは今のところないと言うので、ラスプ・デルスゥデ島を発つことにしたのだ。

 次は、西部大草原に、競馬の村を建設するのである。でもその前に、リシッチャ島に寄るけどな。
 ラモも、新妻のペリーヌ様に、南部公爵領の群島の中心であるリシッチャ島を見せておきたいだろうし、リチャードやナディア様は、観光で見ておきたいだろう。

 宿泊はリシッチャ島の最大の港町であるラクシーサの、町役場になるはずだったのだが…、
「ナディア様、ペリーヌ様。リシッチャ島ラクシーサは僕の故郷なんだよね。うちに来てくれると嬉しいな。」
 拡大女子会以来、すっかりわが妻たちと打ち解けたナディア様とペリーヌ様を、ビーチェが実家に誘っていた。

「ええ?ビーチェのご実家は私たち全員が泊めて頂いても大丈夫ですの?」
「そうですわ。護衛たちもいますのよ?」
「うん、僕んちはリシッチャ流刀術道場をやってるからね。合宿とかでは、門弟たちを大勢泊めるし、護衛の人たちは道場に泊まれば全然平気だよー。」

「リチャード様?」「ラモたちが泊めてもらうなら、私たちも一緒がいいのではないかな?」
「ラモ様?」「いいんじゃない?町役場は窮屈そうだからねー。」
「じゃあ決まりだよ。僕はナイトで先に実家に行って、友達が大勢泊まりに来るって言っとくよ。」
 ビーチェは、漆黒のペガサスのナイトに跨って、大空に舞い上がった。

~~リシッチャ流刀術道場・ビーチェ目線~~

 大空からビーチェが、実家のリシッチャ流刀術道場に、ナイトに跨って舞い降りた。
「パパー、ママー、ロレン、ただいまー。」
「おう、ビーチェ、お帰り。」
「おっとビーチェか?」
「あれー?叔父さんじゃん。来てたの?」
「おうよ。ジューリアもいるぜ。」
 南府でリシッチャ亭を営んでいる叔父夫婦、マルコとジューリアが、実家に里帰りしていたのだった。

「義叔母さん、どこ?」
「奥で義姉さんとくっちゃべってるよ。まあ女はくっちゃべるのが好きだからな。」
「そう言う叔父さんだってパパと昼前から呑んでるじゃないかー。
 パパもさー、昼前から呑んでていいの?稽古は見ないの?」
「ロレンに任せてるからいいんだよ。折角マルコが里帰りしてるんだから、固いこと言うなって。」
「まったく男どもは呑むのが好きなんだから。」

「そう言やビーチェ、お前ひとりか?ゲオルクたちはどうした?」
「もうすぐ来るよ。今、ラモっちの船でこっちに向かってるんだ。」
「ラモっちって誰だ?」
「友達だよー。南府では叔父さんの店にも来てくれてたんだよ。
 ね?叔父さん。」ビーチェは、叔父のマルコにアイコンタクトを取った。
 ラモのことをわざと友達と言ったからだ。パパのピエトロは、ラモが南部公爵家のご嫡男様とは知らない。笑
「ああ、そうだな。」
 マルコはニヤリと笑って応じた。

「そうそう、パパ。友達が一緒に来るんだけどさ、今晩、皆をうちに泊めていい?30人ちょっといるんだけどさ。」
「構わねぇよ。その代わり道場に寝てもらうぜ。」
「なんか合宿みたいだね。」
「その人数だと、後で厨房を手伝わなきゃいかんな。」
「叔父さん、ありがと。よろしくねっ。」

 その後、ビーチェは、奥にいるママのエンマと義叔母のジューリアのところに行った。

~~ラクシーサ港・ゲオルク目線~~

「さあ、着いたよ。ここがラクシーサ港さ。」
「随分大きな港だな。」リチャードが感心している。
「そりゃそうさ。ラクシーサは、南部群島最大で中心のリシッチャ島の表玄関だからね。」

 クロチュデルスゥデ号を下り、アクアビット号以下、馬車は乗せたままで、徒歩でビーチェの実家に向かう俺たち。
 ビーチェの実家は、港からはそう遠くないので、馬車を降ろしたり、明日また積み直す方が手間なのだ。

 馬たちはクロチュデルスゥデ号でのんびり休んでいるが、スノウだけはベスと一緒に来たがったので、ベスがスノウの手綱を曳いて来ている。
 俺たちを、と言うか、リチャード夫妻とラモ夫妻を囲むように護衛が付いている。正確に言うと、ナディア様とペリーヌ様を守っているのだ。

 途中、ラクシーサの特産品である珊瑚の専門店で、リチャードはナディア様に、ラモはペリーヌ様に、それぞれ珊瑚の特大ブローチを購入していた。
 俺も買おうかと思ったが、わが妻たちに止められた。
「わが君、珊瑚はすでに付与を施したブレスレットを頂いておる。」
「そうですわ。冒険に付与のない装飾品は不要ですし、ドレスアップするときも、スピリタス調ドレスに余分な装飾品は要りませんもの。」

 そうなのだ。俺はわが妻たちのためにデザインしたスピリタス調ドレスは、わが妻たちのボンキュッボンを強調するために、大胆でシンプルなデザインにしている。
 わが妻たちの完璧なボディラインを強調するには、最低限の装飾以外は、不要なのである。

 珊瑚のブローチを大層気に入ったナディア様とペリーヌ様は、非常に機嫌がよくなって、リチャードとラモに甘えている。
 いいなー、と思って、イチャイチャバカップルを見ていると、ドーラとトーラが、耳元で囁いた。
「主様、今宵はビーチェの実家でたんと楽しもうぞ。」
「お頭様、トーラは、今日まで、発情期♪」
「お、おう!」

 今日の輪番は、ビーチェとドーラとトーラだな。ちょうどよかった。ビーチェの実家だから、ビーチェを外す訳には行かないもんな。ビーチェと一緒にドーラとトーラをかわいがるのはOKだろう。むふふのふ。

 そんなことを考えながら歩いていると、ビーチェの実家のリシッチャ島刀術道場が見えて来た。
 あ、門前で出迎えのビーチェが手を振っている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 毎週土曜22時に投稿します。

 以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073

 カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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