精霊の加護

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精霊の加護169 リシッチャ亭に寄り道

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精霊の加護
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№169 リシッチャ亭に寄り道

「いってらっしゃいまし。ゲオルク様。」マリーに見送られ、王都を出発した。俺たちは、ラスプ・デルスゥデ島へバカンスに行くのだ。
 マリー、エカチェリーナ、アイチャは、9月の新学期に向けて、帝国遠征に続く教国遠征でぽっかり穴を空けた学校生活の穴埋めに、8月中はみっちり補習だ。なむー。

 俺たちスピリタスはアクアビット号、ナディア様とリチャード、ペリーヌ様とラモはそれぞれハネムーン馬車で、南府経由のラスプ・デルスゥデ島行き。
 そして、ぞろぞろと護衛たち。俺たちがいるから護衛はいいと思うんだけどな。まあ、南部と北部の公爵家の世継の嫡男たちと、王家の姫殿下たちだから仕方ないか。

 ヘルムートとディエゴも、護衛を連れてそれぞれ東府と西府に帰って行った。こいつらも、東府と西府に着いたら、それぞれの騎士団養成所で、みっちりと穴埋めの補習だ。なむー。

 王都から南府までの馬車の旅は、護衛がいることもあり非常に順調で、途中、宿場町で宿泊しつつ、予定通りの数日で南府に着いた。
 南府では、ラモとペリーヌ様はもちろんのこと、リチャードとナディア様も南部公爵邸に入ったが、俺たちはリシッチャ亭に泊まることにした。

「叔父さん、義叔母さん、ただいまー。」
「マルコさん、ジューリアさん、お久しぶりです。またお世話になります。」
「おう、ビーチェ、お帰り。ゲオルクよく来たな。皆さんもな。って、…増えてねぇか?」
「そうですね、教国で仲間になったドーラと、帝国で仲間になったトーラです。」
 最初にドーラとトーラをラスプ・デルスゥデ島に連れて行ったときは、弾丸日程だったから、リシッチャ亭には寄れなかった。泊まったのも南部公爵邸だったしな。

「あらまあ、私、龍人の方も獣人の方も初めてお目に掛かるわ。私はジューリア、ここの女将よ。よろしくね。」
「俺もよう、龍人さんと獣人さんはどっちも初めてでぃ。俺は亭主のマルコだ。よろしくな。」
「うむ。わらわはドーラじゃ。よろしくなのじゃ。」
「私、トーラ。よろしく。」
「おう、ゲオルク、ちょっと来い。」マルコさんに手招きされて、店の隅に呼ばれた。なんだろ。

 マルコさんはおもむろに俺の肩に腕を回し、コソコソ話を始めた。
「ゲオルク、手の早いお前のことだ。あの別嬪の龍人と獣人の姉ちゃんたちは、お前のこれだな?」と言って、小指を立てた。
「はい。そうです。」
「やっぱりか。でよ、あっちの塩梅はどんなだ?」
「どっちも人間の女と一緒っす。」
「そうなのか?激しく求められたりはしねぇのか?」
「ビーチェと同じですよ。」
「じゃあ激しいじゃねぇか。ビーチェの奴ぁ好き者だからなぁ。」
「ちょっと叔父さん、全部聞こえてるぞっ!」
「あ、いや、すまん。」
 一同、爆笑となった。

「ところでよ、精霊様は皆大きくなっちまったんだな。水の精霊様は…、こちら様かい?」
 マルコさんがワラを覗き込むとワラが俺の陰に隠れた。
「そうですよ。」
「あの幼子おさなごがなぁ。立派になったもんだぜ。」マルコさんはワラの救出のために、大荒れの海に船を出してくれたのだ。マルコさんの協力がなければ、ワラとの契約はできていなかっただろう。

 それから2階のいつもの部屋に案内された。ひと息ついてから、温泉だ。
 リシッチャ亭は、今はレストランしかやってないが、元は宿屋で大浴場があり、その湯は海水の成分の温泉である。

『『『『『『『『『温泉ー!』』』』』』』』』水浴びの好きな精霊たちは、温泉も大好きであるから、テンション爆上がりである。
 俺もマルコさんから許可をもらって、大浴場の女風呂で皆と混浴だ。この許可をもらうには、ちょいと揉めた。笑

「マルコさん、大浴場なんですが、妻たちと一緒に入りたいので、俺も女湯を使わせてもらってもいいですか?」他に客はいないし、当然OKであろうと思っていたが…、
「はん?ふざけんじゃねぇよ。ジューリアと出くわすかもしれねぇだろ。」
「いやいや、いくらなんでもそれはないでしょう。」
「ふん、お前はそう言うところ、妙にツイてやがるからなぁ。認められねぇな。」

「あ、そうだ。それならですね、俺たちが泊まってる間は、俺たちが女湯を使わせてもらうってことで、ジューリアさんには、男湯を使ってもらうってのでどうです?」
「てめぇ、このやろ。ジューリアに男湯に入れだと?もし他の男と出くわしたらどうすんでぃ。」
「え?宿泊って俺たちだけですよね?もし出くわすとしたらマルコさんだけじゃないですか。」
「あ、なるほどな。」
「ついでに俺たちをダシにして、ジューリアさんとマルコさんで混浴ってのはどうです?」
「な、なに?…そ、そいつはいい考えだ。よし、分かった。ゲオルク、女湯使っていいぜ。」
 コロッと落ちやがった。笑

 と、まあこんな経緯で、俺たちは女湯で混浴している。リーゼ、ジュヌ、カルメン、ベス、ビーチェ、ドーラ、トーラのそれは見事なメロンボール14個を愛で、第五形態の育った、ツリ、クレ、フィア、チル、ワラの10個のメロンボールも愛でた。
 第四形態のウィン、メタ、ソル、ダクは、まだ並乳だから、さほどでもないが、露骨にそう思うと、心を見透かされて機嫌が悪くなるので、早く大きくなれよと願いを込めて揉んでいる。揉んでいる分には機嫌がいいからな。苦笑

 楽しい楽しいお風呂タイムを終え、俺は精霊たちと部屋で休んでるのだが、その間に、妻たちはリシッチャ亭の手伝いに行った。ドーラとトーラはお手伝いデビュー。
 龍人&獣人の物珍しさと、その美貌と抜群のプロポーションにより、店員デビュー初日にして、ふたりは看板娘の仲間入りをしてしまった。当然と言えば当然だな。

 客が引けた後、マルコさんとジューリアさんと、俺とわが妻たちとで遅い夕餉を摂った。精霊たちは、食事は摂らない。俺ら口移しで酒を少々呑むだけだ。実は酒には魔力増強効果があるのだ。

 夕餉を摂りつつ、俺は近況をマルコさんとジューリアさんに報告した。
「じゃあ何か?ゲオルク、お前はラスプ島のご領主様だったのかよ?」
 この辺ではラスプ・デルスゥデ島をラスプ島と略して呼んでいるらしい。
「ご領主様なんて大袈裟なもんじゃないですけどね。一応そんな感じです。」

「向こう3年間、無税ってんで、移住者を募集してるってぇじゃねぇか。結構人気なんだぜ。俺もよ、故郷のリシッチャ島の隣の島だからよ、正直興味があるんだが、この店も繁盛してるからな。客を置いて行けねぇやな。」
「でも、あなた。ここは元々宿屋でしょう?私たちだとレストランで手一杯じゃない?勿体ないわよね。もし、宿屋をやってくれる人がいたら、ここを譲ってラスプ島に行くのもありなんじゃないかしら。」
「うーん、確かになぁ。」
 マルコさんたちも移住して来るのかも知れないのか。

「えー、僕は、リシッチャ亭がなくなっちゃうの、やだなぁ。叔父さんたちさ、人を雇って宿屋もやれば?」
「人を雇うなんざ面倒臭ぇじゃねぇか。
 なぁ、ジューリア。」
「そうね。」

「で、明日島に向けて発つのか?だったらよ、俺の船を貸してやろうか?」
「ああ、それは大丈夫です。ラモの船で一緒に行きますから。」
「ラモ?」
「叔父さん、覚えてない?ダーリンと出会う前にさ、僕目当ててお店に来てたラモっちだよ。叔父さん、ラモっちのことを、ちょい悪親父って言ってたじゃん。」
「あー、あの軽薄な奴か。あいつに比べたら、ゲオルクの方が全然マシだ。」マシって…。苦笑
「もー、叔父さん、言葉に気を付けてよね。ラモっちさ、ああ見えても南部湾警備隊の主力の高速帆船の船長で、南部公爵様のご嫡男様だよ。」
「なんだと?」「なんですって?」マルコさんだけでなく、ジューリアさんも驚いていた。

「ラモはラスプ・デルスゥデ島の開発責任者も引き受けてくれてるんですよ。それでラモの船で、ラモたちの新婚旅行と俺たちのバカンスを兼ねて、ラスプ・デルスゥデ島に行くんです。」
「新婚旅行?ってことは、ご嫡男様はご結婚したのかよ。」軽薄な奴からご嫡男様に呼び方が変わった。笑
「はい。つい先日、王都で二の姫様のペリーヌ様とご結婚されました。」
「なんだと?じゃあ、王様の娘婿ってことか?」
「そうですね。それと、北部公爵様のご嫡男のリチャードも、一の姫殿下のナディア様とご結婚されて、ラモたちと一緒にラスプ・デルスゥデ島に新婚旅行に行くとこなんですよ。」

「はぁ?ってか、ゲオルクよう、お前さ、ご嫡男様をラモとか、北部公爵様のご嫡男様もリチャードとかって、呼び捨てにして大丈夫なのかよ?」
「ふたりは友人ですので。」
「なんだと?」
「てかさ、叔父さん、ダーリンはこう見えても侯爵様だからね。それと三の姫殿下のマリー様の婚約者でもあるんだよ。」
「ええー?いつの間に…。じゃあよ、ゲオルクのこたぁ、ゲオルク様って呼ばなきゃいけねぇのか?」
「やめて下さいよ。今まで通りにして下さい。」
「お、おうよ。」

 その晩、輪番のビーチェとドーラとトーラを徹底的に攻め立てた。
「あーん、ダーリン、いい、あ、そこ、もっと。僕、壊れちゃうよ。」
「主様、あ、そこはらめー、なのじゃ。あ、やめないでたも。」
「お頭様、あん、そこ、あ、そんな、こと、まで。」
 マルコさんはビーチェが激しいと言ってたけど、特にそんなことはないよな。だからドーラとトーラもごく普通だよな。

 今宵はドーラもトーラも発情期ではないので、ビーチェと一緒に、お口でしてもらったのだった。
 3人で交互にマイドラゴンを捕食しているが、これも普通だよな。

 マルコさん、別にビーチェは普通だよ。笑

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 毎週土曜22時に投稿します。

 以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073

 カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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