精霊の加護

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精霊の加護147 2度目の帝国入り

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精霊の加護
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№147 2度目の帝国入り

 国境の町バレンシーでは、俺たち一行は、領主のバレンシー辺境伯の館に招待された。
 サルバドール・バレンシー辺境伯とは、王国が帝国と対立していた頃、帝国側の国境砦殲滅任務の際に、助力されて以来の付き合いである。
 前回、帝国に同盟交渉をしに赴いたときも、帝国側の国境警備隊との入国交渉の際に、サルバドールどのの後方支援を受けた。あのときは、最終的には無理に押し通ったのだけれども…。苦笑

 晩餐会でもてなされ、辺境伯夫人と嫡男も出て来て、マリーを筆頭に、皆に挨拶して回っていた。辺境伯の嫡男の顔を売っとこうってか?ガキンチョ5人組とは年も近いしな。サルバドールどのもいたくご機嫌だった。

 辺境伯の館の夜は、馬車旅による禁欲生活明けなので、本番は抜きではあるが、遠慮なく、リーゼとドーラとトーラを味わった。

 翌朝、出発前にバレンシーギルドに行って、ゲオルク学校の動向を訪ねると、なんと残念なことに3日前に西府に向けて帰った後だった。
 ほんとだったら途中で行き合ったはずだが、俺たちが西部大草原の俺の所領予定地に寄ったために、南に迂回した。これですれ違ったものと思われる。まぁ、今回は、奴らとは縁がなかったのだろう。そう言うこともある。

 そのまま、帝国に向けて出発し、国境を越えて帝国に入った。ここから帝都までは、およそ1週間である。今回は、外交馬車に加え、護衛の王都騎士団もそのまま帝都へついて来た。帝国が王国の騎士団を受け入れるなんて、王帝同盟が成ったからこそだな。

 野営もしくは途中の村にも宿泊しつつ、帝都に向かっていた行程の中日に、ドーラがもじもじしながらやって来た。
「主様、今宵は満月なのじゃ。」
「そうだな。」
「それだけかや?分かっておるくせに焦らすものではないぞえ。」ちょっと拗ねるドーラ。かわいい。満月の宵を中日に前後1日ずつの計3日間、龍族は発情するのだ。
「すまんすまん。ほんの戯れだ。」
「昨日は野営ゆえ我慢したのじゃ。明日も野営じゃが、今宵は村よの…。」ドーラの言いたいことは分かる。俺だって生で抱ける発情期は秘かに楽しみにしている。もちろん発情期じゃなくても行けるのだが、ドーラやトーラたち亜人の感性では、発情期以外に最後まで行くのは淫乱になるらしい。
 ドーラもトーラも発情期じゃないときは、最後の一線を越えるのを頑なに拒むので、攻めに攻めて攻め落としてやったことがあるのだが、その行為の最中は散々に乱れたくせに、終わった後に後悔してさめざめと泣くのだ。なんか妙に罪悪感に駆られてしまい、最近では、発情期以外は他の妻たちと同様に、お口で済ませるようにしている。

 わが妻たちとは、妊娠のリスクを避けるために基本はお口だ。もちろん明らかな安全日は生で頂くけどな。龍族のドーラは満月、ホワイトタイガー族のトーラは新月が発情期である。
 ドーラとトーラは、俺の子を身籠るためにスピリタスと行動を共にしているので、発情期には子種を所望して来る。身籠ったらドーラは教国東部の龍山へ、トーラは帝国西部の虎林の里へ帰って行くことになっているのだ。
 エンシェントドラゴンのドーラは龍人に、ホワイトタイガーのトーラは虎獣人になって俺たちと同行している。龍人や虎獣人なら、俺との本番は可能だ。ただし、種族が違うので子はなかなかできない。

 で、その晩は、ドーラを生でたっぷりと頂いた。
 最近では、ドーラにもトーラにも情が移っているので、身籠っても俺の元にいて欲しいと思うようになっている。まぁそのときになったら話してみるけどな。

 バレンシーから帝都への中日にドーラを頂いた後、帝都への後半の馬車旅も順調に進み、とうとう明日は帝都と言う晩、俺たちは野営した。

 そう言えば、エカチェリーナとトーラに襲われたのはこの辺りだったっけ。前回、帝国に同盟交渉に来た際、エカチェリーナとトーラは、第二帝子のニコライに唆され、刺客として俺の所にやって来た。もちろん精霊たちが怒気を発して撃退したけどな。
 ニコライの計画では、俺の暗殺が成功してもよし、失敗してもエカチェリーナが返り討ちで討たれればよし。と言うことだった。もしエカチェリーナが討たれれば、王国と帝国の同盟話は根本から瓦解するからな。ニコライは実の妹を捨て駒にしたのだ。
 そのニコライも、現在は王国北部鉱山エリアのどこかの鉱山で、犯罪奴隷として終身刑に服している。謀反の旗頭に祭り上げられたニコライは、イゴールどのが反乱を鎮圧した際に捕らえられ、反乱を首謀した貴族家の当主3名とともに帝国から永久追放。王国へ引き渡された。王国では、南部湾への破壊工作を主導した罪で犯罪奴隷の終身刑となったのだ。

 俺は、エカチェリーナとトーラの襲撃を逆手に取って、ふたりを王国と帝国の懸け橋とすることにした。エカチェリーナに王国への留学を要求するとともに、トーラを俺の従者に貰い受けることで、襲撃の一件を水に流したのだ。
 もっともトーラが俺の従者だったのはたったの半日で、その日の夜にはわが妻のひとりに格上げすることになったがな。

 そんな思いにふけりながら、野営所の部屋で精霊たちとともに寛いでいると、ガキンチョ5人組が俺の部屋を訪ねて来た。

「ゲオルクどの、よろしいですか。」
「ちょっと待て。
 おい、お前ら、服を着ろ。」
『『『えー?』』』『『『ぶー。』』』『『『めんどー。』』』精霊たちは、ぶー垂れながらも、素直に衣類を羽織った。着なかったけどな。

 俺はガキンチョ5人組を招き入れた。5人の目が微妙に冷たい。
 べ、べ、別にエッチなこととかは、してないんだからねっ。ぱふぱふと、それからおっぱい揉んでただけなんだからねっ。と、心の中でツンデレモードな言い訳をしてみる。汗
 それは置いといて。

「おう、5人揃ってどうした?」
「私とアイチャ、そしてヘルムートは付き添いです。ゲオルク様にお話があるのは、リーナとディエゴです。」そう言って、マリーがディエゴとエカチェリーナを促した。
「実はゲオルクどのに折り入ってお願いがあって参りました。」
「使者どのは、イゴール兄上と仲が良かったですよね?」
「ああ、いいな。イゴールどのとは立場を越えて気が合うぞ。」
「イゴール帝に、僕とリーナの婚約の口添えをしてください。」
「は?婚約?」おいおい、数日前にようやくキスしたのにもう婚約かよ。
「はい。帝国と国境を接するわが西部公爵家と帝国の婚姻は、国王陛下と王太子殿下が進めていらっしゃる三国同盟に貢献できると思います。」確かにそれはその通りだな。

「まぁ確かにそうだが、西部公爵様は承知してるのか?」
「賛成してくれると思います。」
「そうかもしれん。でもな、西部公爵様がすでにディエゴの伴侶となるべきお方を決めていて、水面下で話が進んでいたらどうする?」
「いませんよ。」
「なぜ?」
「僕は西部公嫡家の嫡男です。次男、三男ではありません。王国で僕の妻にするなら王家か他の公爵家の姫でしょう?ゲオルクどのがマリーを掻っ攫ったので、年が近いめぼしい候補がいなくなりました。多少離れればいますけどね。」ぐっ…確かに。
「俺のせいかよ。」
「いいえ。ゲオルクどののせいではありません。当時の僕が未熟だっただけです。」言うねぇ。今は未熟じゃないってか?ま、そこは突っ込まずにいよう。

「エカチェリーナの方は?」
「そうですね。兄上が私と有力貴族との婚姻を考えている可能性はありますが、私はこの通り、剣士のじゃじゃ馬ですから、有力貴族は私を妻に迎えたら、私に御家を乗っ取られるのではないかと、警戒するんじゃないでしょうか。」
「ディエゴにはその心配がないのか?」
「ないですわ。愛していますもの。」シレっと言うのね。そう言うこと。苦笑
「それにもう僕たちは誓いのキスも済ませました。リーナは僕のものです。」言い切ったぞ、おい。
「ディエゴ…。」「リーナ。」って盛り上がってんじゃないよ。あ、キスしやがった。俺の眼の前で。他の3人の眼の前で。
「あ、すみません。つい…。」つい…、じゃねぇだろ。わざと見せ付けやがったな。よし、もうひと試練与えてやろう。

「王太子殿下とエカチェリーナの婚約の可能性は?」
「陛下も殿下も三国同盟を重要視してますから、それはないかと。」
「どういうことだ?」
「殿下の婚姻となると、国と国との結びつきとなります。三国同盟を結んだばかりで、帝国とだけ婚姻同盟を結ぶとは思えません。教国とも結ぶとなれば別ですが…。そうすると、エカチェリーナとともにアイチャも娶ることになります。そしたらどちらを正妻にするかで揉めます。ふたりにお子ができたら、それこそ王国の後継争いに、帝国と教国が水面下で火花を散らすでしょう?三国同盟の崩壊に繋がりかねない婚姻を結ぶほど、殿下は先の見えないお方ではありませんよ。」ディエゴの奴…とても鋭い洞察だ。ちょっと、いや、かなり見直したかも。
「それに、三国同盟と言いつつ、王国が帝国と教国を傘下に収めて盟主になったと言うのが実情です。私とディエゴ、つまり、帝国と西部公爵家の婚姻は、王国にしてみれば、盟主であることを誇示することに繋がります。」エカチェリーナの指摘もまったくその通りだ。

「確かにそうなるな。でも、西部公爵家と帝国が婚姻を結んだら、三国同盟のバランスは偏るだろう?」
「あ、その点は大丈夫です。ヘルムートがアイチャを口説き落としてますので。」
「おい、ディエゴ。それはこの後、僕が言うはずだったことだろう?」
「あ、ごめん、ヘルムート。話の流れでつい。」

「使者どの、帝国の後、教国にも行くんですよね。そこで教皇様も説得して下さいね。」
「使徒様、ぜひともお願いします。もっとも、教国は簡単ですよ。使徒様が『神のお告げだ。』と仰れば、教皇様は何も言えなくなりますから。」
「アイチャ、お前なぁ、仮にも巫女見習なのに何てこと言うんだ?神のお告げをそんな軽々しく使える訳ないだろう?それに俺には神のお告げなんて降りて来ないぞ。」
「私には『ヘルムートを伴侶とせよ。』との、神のお告げが降りて来ました。」嘘付けこら!
「僕にも天啓がありました。アイチャを見た瞬間、ビビッと来たのです。」それはな、天啓ではなくてひと目惚れと言うんだよ。
「ヘルムート…。」「アイチャ。」って盛り上がってんじゃないよ。あ、キスしやがった。俺の眼の前で。他の3人の眼の前で。
「あ、すみません。つい…。」つい…、じゃねぇだろ。わざと見せ付けやがったな。こいつらも。

 西部公爵家と帝国、東部公爵家と教国の婚姻は、同時に発表すれば、こいつらが言う通り、パワーバランス的に王国が主導する三国同盟に貢献できるな。でもな、仮にそうだとしても、殿下の承認なしに進めていい話ではない。もちろん東部公爵様と西部公爵様の同意も必要だ。

「話は分かった。しかし殿下や、公爵様方の承認なしに進められる話ではない。帝都に着いてすぐに鳩便を飛ばしても、返事は間に合わないな。せめて、バレンシーで相談してくれたらよかったのに。」
「バレンシーのときは、ようやくリーナとキスを済ませただけでして。」
「私たちの中で、婚約の話まで進んだのは、バレンシーを出てからなんです。」
「僕たちもそうですよ。」
「しかしなぁ、お前らふた組ともキスしただけで婚約って、話が飛び過ぎてねぇか?」
「え?その先にも進みましたよ。」な、な、な、なんですと?

「ちょっと待て、その先って?」
「はい。ゲオルクどののお好きなぱふぱふとかですね。」ぱふぱふだと?
「後はゲオルクどのが苦手なぱくりんこですかね。」ぱくりんこだと?
「いや、精霊たちからのぱくりんこは苦手だが、わが妻たちからのぱくりんこは大歓迎…って、おい!何を言わせるんだ。」
「ゲオルクどの、今のは自爆です。」ヘルムートが間髪入れずに突っ込んで来た。
「…。」
 嘘だろ?いくらなんでもふたりのあの胸でぱふぱふは無理だ。しかし、生乳に顔を埋めることはできる。だとすると、揉んだり吸ったりぐらいはやるわな。
 それに加えて、12歳のエカチェリーナと11歳のアイチャがぱくりんこだと?ぱくられたディエゴもヘルムートも11歳だよな?それならドラゴンじゃなくて半剥けゾウさんだよな?それをぱくりんこだと?そんな訳…あるのだろうか?ってゆーか、あって欲しくない。

 ちなみにこのふた組は、実際のところ、キス止まりであるが、ゲオルクの「ぱふぱふ大好き」と「ぱくりんこ苦手」と言う情報は、アイチャが精霊たちから仕入れていたのだった。
 実際、ガキンチョ5人組は、ぱふぱふも、ぱくりんこも、どう言うものかはよく知らなかったが、大人のエッチに関係することだとは薄々察していた程度に過ぎない。
 ゲオルクからイゴール帝に取り成してもらうために、「キスより親密になっているぞ。」と言うアピールをしたかっただけであった。要するに、ハッタリである。

 ゲオルクは、ガキンチョ5人組、いや、マリーを除く4人に、まんまと騙されてしまったのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

設定を更新しました。R4/11/27

更新は火木土の週3日ペースを予定しています。

2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664

カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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