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射手の統領137 無人島上陸
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精霊の加護
Zu-Y
№137 無人島上陸
朝餉を終えていたわが妻たちに、ツリの精霊の衣を披露し、好評を博した後、アクアビット号で王都を発って南府へと向かった。
今回の王宮1泊では、三の姫殿下のマリー様への御機嫌伺はなしだ。と言うのも、マリー様は、魔法学院、教会神職養成所、近衛隊員養成所、騎士団員養成所の合同合宿に行っていて不在だったからだ。
きっと、アイチャやエカチェリーナと、切磋琢磨していることだろう。
もしかすると、騎士団に叩き込まれたマルディノン侯爵家の次男、シルヴェストルとも一緒かもしれん。まぁ、あいつは養成所ではなく、騎士団でしごき抜かれてるはずだがな。
シルヴェストルは、ベスに一方的に横恋慕し、俺とベスの結婚を聞いて、俺を不貞行為で、ベスを婚約不履行と不貞行為で、近衛隊に告発しやがった。
あのときは、俺とベスが事実無根の告発で事情聴取を受ける羽目になり、奴の妄想で大迷惑を被ったのだ。そのケジメとして、騎士団に叩き込み、一から性根を鍛え直してもらうことになったのだ。
途中、獲物を狩りつつ、数日掛けて南府へ到着した。
南府に着いて、まず訪ねたのは、南部公爵様のお屋敷である。俺たちはすぐに謁見の間に通され、南部公爵様に拝謁した。
「南部公爵様、ご無沙汰しております。」
「ゲオルク、よく来た。殿下から、鳩便が来ておってな、今か今かと待っておったのだ。」
「え?殿下がですか?」
「うむ。ゲオルクが、わが領内の無人島の開拓に向けて視察に行くゆえ、『船の用意など便宜を図れ。』とのお指図よ。」マジか、殿下に感謝だな。
「それはありがたいことで。」
「うむ。高速帆船とクルーを用意しておる。無人島をじっくり見て参れ。しかし今宵は泊まって行くであろう?」
「船が用意できているのでしたら、すぐ出航しとうございます。お泊め頂くのであれば、帰りにお願い致します。視察結果なども踏まえて、ご相談したいこともできると思いますゆえ。」
「ふふ。やはりな。そなたなら、そう言うと思っておったわ。」
「お見通しで。」危ねー、うっかり泊めてもらうのに同意してたらヤバかったんじゃね?冷汗
「それとな、帝国との海路による交易が盛んになっておる。これもそなたのお陰よな。礼を申すぞ。」
「いえいえ、交易は新帝陛下からのお申し出ですよ。」
「何を言う。それすらも、そなたが同盟をまとめて来たからではないか。」
「はぁ。」
「なんだ、気のない返事だな。そなた、自分の手柄をきちんと理解しておらんのか。まったく無欲な奴よの。まぁよいわ。出航の準備は整っておるゆえ、いつでも行くがいい。」
「ところで南部公爵様、ひとつお願いがござります。」
「ん?何だな。申して見よ。」
「視察の間、俺の馬車と曳馬を預かって頂きたいので。」
「なんだ、そんなことか。お安い御用だ。しかし、馬車と馬は無人島へ載せて行かぬのか?」
「え?馬車も積めますので?」
「港で余が用意させた高速帆船を直接見るがいい。それから載せて行くか置いて行くか決めよ。」
「はい。」
ビーチェの叔父夫婦、マルコさんとジューリアさんが経営するリシッチャ亭にも寄って行きたかったが、こちらも帰りでいいだろう。
そう言う訳で、俺たちは南部公爵様のお屋敷から直接南府港に向かった。で、南部公爵様が用意してくれていた高速帆船を見て度肝を抜かれたね。
「…。」でかい。でか過ぎる。マルコさんの漁船の何十倍もある。
ってか、この帆船のクルーは何人いるんだっての!
「やあ、ゲオルク卿かな?」お?イケメンじゃん。誰だろ?
「え?ああ、そうだけど。」
「僕は南部湾警備隊高速帆船クロチュデルスゥデ号船長のジェローラモだ。ちちっ…、南部公から君たちの輸送を仰せつかってね。」
「あ、そうなんだ。よろしく頼むよ。それにしても随分立派な船だな。」
「だろー?自慢の船さ。ところでご婦人方も紹介してくれないか?」
「ああ、そうか。」
俺は順にわが妻たちと精霊たちを紹介した。精霊たちは俺の後ろに隠れたけれども。苦笑
「あれ?君はもしやビーチェかい?リシッチャ亭の?」
「え?そうだけど…。お客さんだったっけ?」
「なんと、覚えられていなかったとは。」明らかにがっくりしているが…、ちょっとオーバーリアクション過ぎないか?苦笑
「ごめんねー。」一方ビーチェは軽く躱す。上手い。
「僕はね、リシッチャ亭の看板娘が飛び切りの美人で気立てもいいと言う噂を聞いて、ビーチェに会いにリシッチャ亭に行ったのさ。噂通りの美しさに心を奪われ、足繁く通おうと思った矢先に南部湾が荒れる騒動が起きてしまったんだよ。そのせいで、僕たち南部湾警備隊に警戒態勢が発動されてしまって、そのまま本部に缶詰めさ。
海が静まって、警戒態勢が解かれ、リシッチャ亭に行ったら、ビーチェはもう、他の男と駆け落ちしたって言うじゃないか。」
「いやいや、駆け落ちじゃないけどな。」俺は慌てて訂正した。
ジェローラモ船長は、ちょっと…いや、大分軽そうな奴なんで、念のため、全員俺の妻だと強調したのだが…。
「ご婦人方は皆、君の奥さんなのかい?」
「そうだけど?」
「なんと言うことだ。僕はご婦人方と出会うのが遅過ぎた。」と大袈裟に嘆いて見せ…、
「それにして君は羨ましい奴だな。ビーチェと言い、他の奥方と言い…。そして僕と同じ匂いを感じるよ。」と続ける軽薄おちゃらけ船長。
「いや、俺は船長ほど軽くはないと思うが。」
「軽い?それではまるで軽薄みたいじゃないか。陽気と言ってくれよ。それと僕のことは船長ではなくて、ラモでいいよ。」
「あー、ラモっち。思い出したー。」ビーチェが割り込んで来た。
「おお、ビーチェ、思い出してくれたかい?」
「ってか、こんな制服着てるから分からなかったんだよー。店に来たときは、チンピラみたいな格好でさ、ちょい悪親父って感じだったじゃん。」
「ビーチェ、ちょい悪はいいけど、親父は酷いよ。僕はまだ親父って年じゃないからね。」
「あー、メンゴメンゴ。僕じゃないよ。叔父さんがさ、ラモっちのことを、『あいつはちょい悪親父だから気を許すな。』って言ってたんだよねー。」
「えー、それは酷いなー。」
「まぁ、叔父さんは、見てくれのいい男性客を見るといつも僕にそう言ってたけどね。」
「そうなのかい。」ちょっと嬉しそうなラモ。ちょろい。笑
「ラモどの、…。」俺が話し掛けると、
「ちっちっ、ラモでいい。堅苦しい敬称を付けられるのは嫌いなんだ。特に海の上ではね。おっと、ここはまだ陸の上だった。あっははは。」軽っ。
「じゃあ、俺のこともゲオルクで。
船には馬も馬車も乗せられると聞いたが?」
「当然だよ。警備隊の任務には輸送任務もあるからね。それでいて、クロチュデルスゥデ号は、いい船足も出るのさ。
それにこの優雅な船体。まるで貴婦人だろう?きっと人間に変身したら、ご婦人方のように飛び切りの美人だよ。」なんかお調子もんだなー。
「さり気なくわが妻たちを口説くなよな。」と釘を刺しとく。
「何を言ってるのさ。女性を褒めるのは、南部の男が南部の男たる所以なんだよ。
だよね?ビーチェ。」
「まぁ、そうか言う人は多いかな。
そう言えば、ダーリンも面と向かって褒めるよね。」
「そうねー。」「ですわね。」「違いないね。」「うむ。そうだな。」「わらわもそう思うぞえ。」「トーラも、褒められる。」
「やっぱりね。さっき、ゲオルクに同じ匂いを感じると言ったのは、ご婦人が好きと言うところなんだよ。僕もゲオルクの様に、多くの美女を侍らせたいのでね。」コラ待て。侍らせてるだと?
「俺は侍らせてるつもりはないがな。皆、頼りになる仲間だ。」
「そうかい?僕にはそう見えたが、君が違うと言うなら違うのだろう。
他のご婦人方も僕のことはラモと呼んでくれたまえ。」さらっと流しやがった。やっぱ軽いわ、こいつ。でもなんだか憎めねぇ奴だな。
ラモ船長がクルーに声を掛けて、手際よくアクアビット号と馬たちをクロチュデルスゥデ号に収容した。そのまま俺たちも乗船し、クロチュデルスゥデ号は、15時に南府港を出航した。
ウィンが精霊魔法で放つ、斜め後ろからのいい塩梅の風を、満帆に孕んだクロチュデルスゥデ号は、南部湾を快調に進んで行く。
ウィンは定期的に上空から降りて来て、魔力補給をしてまた上空へ戻って行くのを繰り返していた。
「昼間は海風だから逆風なんだけどね、いやはや、いい風を送ってくれるね。精霊魔法とは大したものだな。」ラモは上機嫌だ。
「この船も凄いぞ。まさかこんなにスピードが出るなんてな。」
「順風満帆だからね。風の精霊もよく分かっているじゃないか。真後ろからじゃなくて、斜め後ろから風を送ってくれてるよ。」
「ああ。真後ろからだと、ミズンマストしか風を捕らえられないからな。斜め後ろからだと、メインマストもフォアマストも風を掴める。」
「よく知ってるじゃないか。」
「小型の漁船は、操船したことがあるんだ。もっともそのときも、ウィンからいい風を吹かしてもらってたから、帆は張りっ放しで操作しないでよかったけどな。」
「ゲオルク、君は何でもできるんだな。」
「精霊たちのお陰だけどな。」
「ところでラモ、十分岸から離れたら、精霊魔法の試し撃ちをしたいんだが構わないか?」
「いいともさ。僕も見てみたいよ。」
余裕で笑っていたラモも、数分後には引きつることになる。第四形態の、クレ、フィア、チル、ワラ、メタ、ソル、ダクが、精霊魔法をぶっ放し始めたのだ。
相手はいないので空砲だが、それでも上空へ放つのだから、石礫が飛び、上空で爆発が起き、吹雪が舞い、放水され、雷鳴が轟いた。回復、バフ、浄化に、デバフ、状態異常も放たれた。
「なんと!まるで大砲を釣瓶撃ちしているみたいじゃないか!」
「これでも全力は出してないけどな。」
精霊たちが順繰りにべろちゅー=魔力補給に来ると、ラモは目を丸くして呟いた。
「ゲオルクは精霊たちも侍らせてるのかい?」だから侍らせてねぇっての!
「これは魔力の補給なんだよ。唾液に魔力が含まれててな。それから酒をひと口含むのは、アルコールに魔力増幅効果があるからなんだよ。」
それからクロチュデルスゥデ号は夜通し南部湾を進んで、明け方にはリシッチャ島の西にある無人島に着いた。無人島の南部湾側は、浜と遠浅の海になっていたため、クロチュデルスゥデ号は沖に錨を下ろして停泊したのだが…。
「うーん、困った。この島には港がなかったんだ。船着場がないから、ここからボートで上陸するしかないか。馬と馬車を降せないなぁ。」
「問題ない。まず俺たちはボートであの浜に上陸するから、ラモは島をぐるっとまわって、港を造るのにいい入り江を探して来てくれ。なるべくリシッチャ島側にいい入り江があるといいけどな。」
「いや、探すのはいいが…。」
「いい入り江を見付けたらそこに港を造ろう。」
「すぐにはできないだろう?」
「できるよ。いい場所を見付けたら、クレの精霊魔法で、海底をせり上げてもらうだけだよ。」
「そうなのかい?」ラモはそう言いつつも、半信半疑な顔をしている。
「じゃぁ、俺たちは先に上陸するからラモたちは入り江を探しにな。見付けたらまたこの沖に戻って来てくれ。」
「了解。島をひと回りして来るよ。」
俺たちはボートで浜に上陸した。ユニコーンのスノウはベスを乗せて海面を浮遊し、ペガサスのナイトはビーチェを乗せてひとっ飛び。ボートより先に浜に上陸した。
ボートで浜に上陸してから、浜をひと通り見回し、閃いた。
「この浜は、南部湾に向いていて波も静かだから、海水浴場にいいと思う。」
「海水浴場?」リーゼが聞いて来たので、
「この浜を見て閃いたんだけどさ、海で泳いで遊ぶんだよ。浜の奥には宿屋を建ててさ、そこの宿泊客に浜を解放するのさ。」
「わたくしはてっきり、何かの養殖場でもお造りになるのかとのかと思ってましたわ。」
「いや、俺もここに来るまではなんとなく養殖所でも造るかなーって思ってたんだけどさ、これだけ海がきれいだと、なるべくこの海に人を呼びたくなるよね。
だとすると、海水浴とかのレジャーがいいかと。この島ブランドの際どい水着なんかを売ってさ、それを着た若い女性目当てに、カモの男どもが押し寄せるとかっていいんじゃないかな。」
「うわー、ダーリン。際どい水着って、そっちが目的?」
「もちろん皆にも着てもらうよ。いろいろと水着のデザインを考えてるからね。」当然、ハイレグかビキニの二択だ。ちなみに色気の欠片もねぇスク水はパスな。
「で、夏以外はどうするんだい?」
「南部でも南のこの辺りは冬も暖かいだろ。ウエットスーツを着たらシュノーケリングぐらいはできるんじゃないかな。それから、海がきれいだから、グラスボートでサンゴ礁観察ツアーとか?のんびり海釣りとかもいいんじゃない?それから浜でBBQとか?」いろいろアイディアが湧いて来る。
取り敢えず水の確保が最優先か。
「ワラ。この島の水脈がどうなってるか、見て来てくれる?それと水源はどんな感じになってるかも。」
『はーい。』ワラが飛び立って行った。
「チル、ウィン、メタ、ソル、ダクは、山に魔獣がいないか索敵して来て。いたら退治しないとね。」
『『『『『はーい。』』』』』チル、ウィン、メタ、ソル、ダクの5人が飛び立って行った。
「ツリとクレとフィアは、ここに、ベースキャンプを建ててくれる?いつもの野営所の要領ね。」
『『『はーい。』』』
しばらくすると、いつものことだが、野営所にしては結構立派な小屋が建って、干し草の簡易ベッドも人数分完成した。
浜の山側はすぐ森林になっている。樹々は南の樹木だ。この辺りは少し切り開くか。
頭の中で開発構想がどんどん膨らみ、形を成して行く。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
すみません、公開設定をミスってました。
設定を更新しました。R4/11/6
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№137 無人島上陸
朝餉を終えていたわが妻たちに、ツリの精霊の衣を披露し、好評を博した後、アクアビット号で王都を発って南府へと向かった。
今回の王宮1泊では、三の姫殿下のマリー様への御機嫌伺はなしだ。と言うのも、マリー様は、魔法学院、教会神職養成所、近衛隊員養成所、騎士団員養成所の合同合宿に行っていて不在だったからだ。
きっと、アイチャやエカチェリーナと、切磋琢磨していることだろう。
もしかすると、騎士団に叩き込まれたマルディノン侯爵家の次男、シルヴェストルとも一緒かもしれん。まぁ、あいつは養成所ではなく、騎士団でしごき抜かれてるはずだがな。
シルヴェストルは、ベスに一方的に横恋慕し、俺とベスの結婚を聞いて、俺を不貞行為で、ベスを婚約不履行と不貞行為で、近衛隊に告発しやがった。
あのときは、俺とベスが事実無根の告発で事情聴取を受ける羽目になり、奴の妄想で大迷惑を被ったのだ。そのケジメとして、騎士団に叩き込み、一から性根を鍛え直してもらうことになったのだ。
途中、獲物を狩りつつ、数日掛けて南府へ到着した。
南府に着いて、まず訪ねたのは、南部公爵様のお屋敷である。俺たちはすぐに謁見の間に通され、南部公爵様に拝謁した。
「南部公爵様、ご無沙汰しております。」
「ゲオルク、よく来た。殿下から、鳩便が来ておってな、今か今かと待っておったのだ。」
「え?殿下がですか?」
「うむ。ゲオルクが、わが領内の無人島の開拓に向けて視察に行くゆえ、『船の用意など便宜を図れ。』とのお指図よ。」マジか、殿下に感謝だな。
「それはありがたいことで。」
「うむ。高速帆船とクルーを用意しておる。無人島をじっくり見て参れ。しかし今宵は泊まって行くであろう?」
「船が用意できているのでしたら、すぐ出航しとうございます。お泊め頂くのであれば、帰りにお願い致します。視察結果なども踏まえて、ご相談したいこともできると思いますゆえ。」
「ふふ。やはりな。そなたなら、そう言うと思っておったわ。」
「お見通しで。」危ねー、うっかり泊めてもらうのに同意してたらヤバかったんじゃね?冷汗
「それとな、帝国との海路による交易が盛んになっておる。これもそなたのお陰よな。礼を申すぞ。」
「いえいえ、交易は新帝陛下からのお申し出ですよ。」
「何を言う。それすらも、そなたが同盟をまとめて来たからではないか。」
「はぁ。」
「なんだ、気のない返事だな。そなた、自分の手柄をきちんと理解しておらんのか。まったく無欲な奴よの。まぁよいわ。出航の準備は整っておるゆえ、いつでも行くがいい。」
「ところで南部公爵様、ひとつお願いがござります。」
「ん?何だな。申して見よ。」
「視察の間、俺の馬車と曳馬を預かって頂きたいので。」
「なんだ、そんなことか。お安い御用だ。しかし、馬車と馬は無人島へ載せて行かぬのか?」
「え?馬車も積めますので?」
「港で余が用意させた高速帆船を直接見るがいい。それから載せて行くか置いて行くか決めよ。」
「はい。」
ビーチェの叔父夫婦、マルコさんとジューリアさんが経営するリシッチャ亭にも寄って行きたかったが、こちらも帰りでいいだろう。
そう言う訳で、俺たちは南部公爵様のお屋敷から直接南府港に向かった。で、南部公爵様が用意してくれていた高速帆船を見て度肝を抜かれたね。
「…。」でかい。でか過ぎる。マルコさんの漁船の何十倍もある。
ってか、この帆船のクルーは何人いるんだっての!
「やあ、ゲオルク卿かな?」お?イケメンじゃん。誰だろ?
「え?ああ、そうだけど。」
「僕は南部湾警備隊高速帆船クロチュデルスゥデ号船長のジェローラモだ。ちちっ…、南部公から君たちの輸送を仰せつかってね。」
「あ、そうなんだ。よろしく頼むよ。それにしても随分立派な船だな。」
「だろー?自慢の船さ。ところでご婦人方も紹介してくれないか?」
「ああ、そうか。」
俺は順にわが妻たちと精霊たちを紹介した。精霊たちは俺の後ろに隠れたけれども。苦笑
「あれ?君はもしやビーチェかい?リシッチャ亭の?」
「え?そうだけど…。お客さんだったっけ?」
「なんと、覚えられていなかったとは。」明らかにがっくりしているが…、ちょっとオーバーリアクション過ぎないか?苦笑
「ごめんねー。」一方ビーチェは軽く躱す。上手い。
「僕はね、リシッチャ亭の看板娘が飛び切りの美人で気立てもいいと言う噂を聞いて、ビーチェに会いにリシッチャ亭に行ったのさ。噂通りの美しさに心を奪われ、足繁く通おうと思った矢先に南部湾が荒れる騒動が起きてしまったんだよ。そのせいで、僕たち南部湾警備隊に警戒態勢が発動されてしまって、そのまま本部に缶詰めさ。
海が静まって、警戒態勢が解かれ、リシッチャ亭に行ったら、ビーチェはもう、他の男と駆け落ちしたって言うじゃないか。」
「いやいや、駆け落ちじゃないけどな。」俺は慌てて訂正した。
ジェローラモ船長は、ちょっと…いや、大分軽そうな奴なんで、念のため、全員俺の妻だと強調したのだが…。
「ご婦人方は皆、君の奥さんなのかい?」
「そうだけど?」
「なんと言うことだ。僕はご婦人方と出会うのが遅過ぎた。」と大袈裟に嘆いて見せ…、
「それにして君は羨ましい奴だな。ビーチェと言い、他の奥方と言い…。そして僕と同じ匂いを感じるよ。」と続ける軽薄おちゃらけ船長。
「いや、俺は船長ほど軽くはないと思うが。」
「軽い?それではまるで軽薄みたいじゃないか。陽気と言ってくれよ。それと僕のことは船長ではなくて、ラモでいいよ。」
「あー、ラモっち。思い出したー。」ビーチェが割り込んで来た。
「おお、ビーチェ、思い出してくれたかい?」
「ってか、こんな制服着てるから分からなかったんだよー。店に来たときは、チンピラみたいな格好でさ、ちょい悪親父って感じだったじゃん。」
「ビーチェ、ちょい悪はいいけど、親父は酷いよ。僕はまだ親父って年じゃないからね。」
「あー、メンゴメンゴ。僕じゃないよ。叔父さんがさ、ラモっちのことを、『あいつはちょい悪親父だから気を許すな。』って言ってたんだよねー。」
「えー、それは酷いなー。」
「まぁ、叔父さんは、見てくれのいい男性客を見るといつも僕にそう言ってたけどね。」
「そうなのかい。」ちょっと嬉しそうなラモ。ちょろい。笑
「ラモどの、…。」俺が話し掛けると、
「ちっちっ、ラモでいい。堅苦しい敬称を付けられるのは嫌いなんだ。特に海の上ではね。おっと、ここはまだ陸の上だった。あっははは。」軽っ。
「じゃあ、俺のこともゲオルクで。
船には馬も馬車も乗せられると聞いたが?」
「当然だよ。警備隊の任務には輸送任務もあるからね。それでいて、クロチュデルスゥデ号は、いい船足も出るのさ。
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だよね?ビーチェ。」
「まぁ、そうか言う人は多いかな。
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「昼間は海風だから逆風なんだけどね、いやはや、いい風を送ってくれるね。精霊魔法とは大したものだな。」ラモは上機嫌だ。
「この船も凄いぞ。まさかこんなにスピードが出るなんてな。」
「順風満帆だからね。風の精霊もよく分かっているじゃないか。真後ろからじゃなくて、斜め後ろから風を送ってくれてるよ。」
「ああ。真後ろからだと、ミズンマストしか風を捕らえられないからな。斜め後ろからだと、メインマストもフォアマストも風を掴める。」
「よく知ってるじゃないか。」
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「ゲオルク、君は何でもできるんだな。」
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「ところでラモ、十分岸から離れたら、精霊魔法の試し撃ちをしたいんだが構わないか?」
「いいともさ。僕も見てみたいよ。」
余裕で笑っていたラモも、数分後には引きつることになる。第四形態の、クレ、フィア、チル、ワラ、メタ、ソル、ダクが、精霊魔法をぶっ放し始めたのだ。
相手はいないので空砲だが、それでも上空へ放つのだから、石礫が飛び、上空で爆発が起き、吹雪が舞い、放水され、雷鳴が轟いた。回復、バフ、浄化に、デバフ、状態異常も放たれた。
「なんと!まるで大砲を釣瓶撃ちしているみたいじゃないか!」
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精霊たちが順繰りにべろちゅー=魔力補給に来ると、ラモは目を丸くして呟いた。
「ゲオルクは精霊たちも侍らせてるのかい?」だから侍らせてねぇっての!
「これは魔力の補給なんだよ。唾液に魔力が含まれててな。それから酒をひと口含むのは、アルコールに魔力増幅効果があるからなんだよ。」
それからクロチュデルスゥデ号は夜通し南部湾を進んで、明け方にはリシッチャ島の西にある無人島に着いた。無人島の南部湾側は、浜と遠浅の海になっていたため、クロチュデルスゥデ号は沖に錨を下ろして停泊したのだが…。
「うーん、困った。この島には港がなかったんだ。船着場がないから、ここからボートで上陸するしかないか。馬と馬車を降せないなぁ。」
「問題ない。まず俺たちはボートであの浜に上陸するから、ラモは島をぐるっとまわって、港を造るのにいい入り江を探して来てくれ。なるべくリシッチャ島側にいい入り江があるといいけどな。」
「いや、探すのはいいが…。」
「いい入り江を見付けたらそこに港を造ろう。」
「すぐにはできないだろう?」
「できるよ。いい場所を見付けたら、クレの精霊魔法で、海底をせり上げてもらうだけだよ。」
「そうなのかい?」ラモはそう言いつつも、半信半疑な顔をしている。
「じゃぁ、俺たちは先に上陸するからラモたちは入り江を探しにな。見付けたらまたこの沖に戻って来てくれ。」
「了解。島をひと回りして来るよ。」
俺たちはボートで浜に上陸した。ユニコーンのスノウはベスを乗せて海面を浮遊し、ペガサスのナイトはビーチェを乗せてひとっ飛び。ボートより先に浜に上陸した。
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「海水浴場?」リーゼが聞いて来たので、
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「わたくしはてっきり、何かの養殖場でもお造りになるのかとのかと思ってましたわ。」
「いや、俺もここに来るまではなんとなく養殖所でも造るかなーって思ってたんだけどさ、これだけ海がきれいだと、なるべくこの海に人を呼びたくなるよね。
だとすると、海水浴とかのレジャーがいいかと。この島ブランドの際どい水着なんかを売ってさ、それを着た若い女性目当てに、カモの男どもが押し寄せるとかっていいんじゃないかな。」
「うわー、ダーリン。際どい水着って、そっちが目的?」
「もちろん皆にも着てもらうよ。いろいろと水着のデザインを考えてるからね。」当然、ハイレグかビキニの二択だ。ちなみに色気の欠片もねぇスク水はパスな。
「で、夏以外はどうするんだい?」
「南部でも南のこの辺りは冬も暖かいだろ。ウエットスーツを着たらシュノーケリングぐらいはできるんじゃないかな。それから、海がきれいだから、グラスボートでサンゴ礁観察ツアーとか?のんびり海釣りとかもいいんじゃない?それから浜でBBQとか?」いろいろアイディアが湧いて来る。
取り敢えず水の確保が最優先か。
「ワラ。この島の水脈がどうなってるか、見て来てくれる?それと水源はどんな感じになってるかも。」
『はーい。』ワラが飛び立って行った。
「チル、ウィン、メタ、ソル、ダクは、山に魔獣がいないか索敵して来て。いたら退治しないとね。」
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『『『はーい。』』』
しばらくすると、いつものことだが、野営所にしては結構立派な小屋が建って、干し草の簡易ベッドも人数分完成した。
浜の山側はすぐ森林になっている。樹々は南の樹木だ。この辺りは少し切り開くか。
頭の中で開発構想がどんどん膨らみ、形を成して行く。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
すみません、公開設定をミスってました。
設定を更新しました。R4/11/6
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
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