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精霊の加護131 お説教と研究
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精霊の加護
Zu-Y
№131 お説教と研究
湯治村リバプを発って、半日で湯の町バース。そのままバースを素通りして北府へ。
バースを出たのが昼下がりだったから、バースと北府を結ぶ宿場町へはたどり着けず、そのまま野営。
野営でも精霊たちが大いに活躍してくれる。
クレが50m四方の土壁をせり上げ、野営地内には大きめの小屋も作成。
野営地の半分にツリが牧草を生やしてスノウとナイトと曳馬4頭~カスタード、モンブラン、サクラモチ、ゴマアンコ~を放牧。
一部の牧草をクレが作った窯に入れ、フィアの火の熱で乾燥させて干し草にし、それで小屋の中に干し草ベッドを設置。
クレが作った窪みにワラが水を溜め、フィアが温めてお湯にして露天風呂の出来上がり。
野営地の中心には、フィアが火を熾して鍋を掛け、ツリが促成栽培した野菜類と途中で狩った獣肉のブツ切りをぶち込んで煮込めば、豪勢な野営食である。
野営地を囲った土壁の外周にはクレが堀も穿って、ワラが水を張り、チルが水をシャーベット状にして、脚を取ると同時に体温を奪う。土壁の上にはメタが有刺鉄線を張り巡らせて電気を通しているし、堀のすぐ外にはウィンが定期的に旋風を起こしている。
ソルが野営地全体を覆うように障壁を張って、外敵兼寒さ対策。この野営地の防御は完璧だ。
なお、ダクだけ出番がなくて、ご機嫌斜めだ。笑
夜間は交代で見張りをしながら、小屋の干し草ベッドでぐっすり。
北部の冬の最中なので、外は特に寒いのだが、ソルの障壁で野営地一帯が外からは隔離され、さらに小屋の中では、クレが作った暖炉にツリが作った薪をくべ、フィアの火で暖房完備。実に快適である。
2日後には北府に着き、そのまま北府を素通りして王都へ向かった。4日後に王都、王都を素通りし、さらに4日後に東府。
自前の馬車で宿場町を素通りし、野営をすると、宿場町ごとに泊まる定期馬車より、それぞれ日程を1日短縮できた。
王都から東府へ向かう途中、マイドラゴンが臨界点に達した。
新年の初日にリバプで姫初めをして以来、ずっと禁欲である。と言うのも、姫初めの翌日、リバプを発って、バース、北府、王都を素通り、野営を繰り返しつつ東府へ向かっているからである。
道中の油断は死に直結する恐れがあるから、むふふな展開は道中ではない。バース、北府、王都を素通りしたことで、禁欲生活が続いていた訳だが、東府へ到着するのは明後日。
わが妻たちの巨乳が、何かの拍子にプルンとするたびに、下帯の中でマイドラゴンがいきり立つ有様だ。もちろんわが妻たちは脱いでいる訳ではない。しっかり服を着ている。それでも反応するのだ。
もう、いかん。マイドラゴンに脳を乗っ取られてしまったら…。と思うと、気が気ではないのだ。
野営の準備をして、精霊たちと風呂に入ると、第四形態の精霊たちを、マイドラゴンがガン見してぐるぐる唸っている始末だ。見境がなくなってやがる。
てか、食物連鎖では、精霊たちが上位なのにな。マイドラゴンよ、精霊たちには、お前が食われる立場なのだぞ。
王都に入る前あたりから、こっそり抜こうと試みたのだが、マイドラゴンに噛みつかれてしまって、試みはすべて失敗している。
『ゲオルク、辛そー。』『辛そー。』図星だ。
背に腹は代えられないから、精霊たちに吸い出してもらおうかな。なんて考えが、ふと頭をよぎったら、
『いいよー。』とメタが寄って来て、ぱくりとマイドラゴンを捕食した。いや、今は野営中だし、いくらなんでもまずいだろ。
れろれろちゅ…。あ…、メタの舌遣いが堪らない。と思うや否や、マイドラゴン火山が大噴火を起こした。
溜まってたものなー。それにメタったら上手なんだものなー。泣
マイドラゴンは、瞬殺で大量のホワイトブレスを搾り取られたのだった。
ホワイトブレスを口いっぱいに頬張ったメタは、頬をパンパンにしてふわふわと浮遊して行った。残りの精霊たちはメタのもとへ集まって行った。
メタが全員に口移しでホワイトブレスを分け与え、全員揃ってゴクリとやって、緑、橙、赤、藍、青、紫、黄、白、黒の9色に輝いた。
この発光でわが妻たちにバレた。
その後、野営中の心得を、7人掛りでこんこんとお説教される羽目になったのだった。泣
でもまあその分、もんもんが消えて冷静な俺に戻ったけどな。
今回の反省点は王都を素通りしたことだ。王都で1泊して、わが妻たちとイチャコラすべきであった。
マイドラ暴走直前回避の後、2日で東府に着いた。
東府ではすぐに宿を取り、東部公爵様へ挨拶に行った。
「公爵様、ただいま戻りました。」
「ゲオルク、よく参った。遠慮せず泊まって行け。」
「公爵様、ありがとうございます。ただ、今回はルードビッヒ教授の研究に付き合って長期滞在になると思われますゆえ、宿を取りました。」
「そなたならば、別に長期滞在でも構わないのだがな。」
「ありがとうございます。」
「それとな、そなたの侯爵昇進を聞き付けたミュンヒェー辺境伯がな、寄子から寄孫にしてくれと言って来おった。」
「寄孫?なんですか、それ?」
「うむ。何でもそなたの一番寄子になるゆえ、余の寄子のゲオルクの寄子で寄孫と言うことらしい。」
「はあ。」
「しかしそなたは、すでに殿下の直参になっておる。」
「まあ、心情的には一番お世話になっている東部公爵様の寄子のようなものですけどね。それにラスプ村の上納を収めてますゆえ、寄子と言っても差し支えないのでは?」
「そのことよ。そなたの発案したキノコ栽培だがな、王都にも出荷して随分と収益を上げておるぞ。ラスプ村の税収はそなたと折半だが、その半分の取り分が、余の領地であった頃の税収に迫る勢いだ。越えるのはもはや時間の問題だな。」
「へえ、随分調子がいいですねぇ。」
「高級食材のトリュフダケやパインダケが、美食の王都で、高値で取引されているのだ。それ以外のキノコも納品の即日に完売だ。ゲオルク、よいところに目を付けたぞ。褒めて取らす。」
「ははっ。」
「で、話を戻すがな、ミュンヒェー伯には、そなたが余や王国に敵対することはなかろうゆえ、余の寄子とゲオルクの寄子を兼ねるがよいと言うておいたわ。ミュンヒェーからの上納も折半でよいな。」
寄子は寄親へ税収の数パーセントを上納し、寄親からの出兵催促にも応じる。一方、寄親は寄子が攻められたときに援軍を出して守る義務を負う。寄子同士で諍いが起きたときは、寄親は身銭を切ってでもその仲裁をしなければならない。
「いえ、ミュンヒェーからの上納は、今まで通りすべて東部公爵様に。」
ミュンヒェー辺境伯は、教国との防波堤の要なので、上納額も低く、出兵要請は免除されていた。
「よいのか?」
「俺は、騎士団も衛兵隊も持たぬゆえ、構いません。」
「確かにな。ラスプ村には騎士団も衛兵も要らぬな。もし、そなたの留守中に何かあったら、余が守備兵を派遣してやろう。」
「優秀な役人に加えて、有事の守備兵までありがとうございます。」
「そなたは、その分の仕事はしておるのでな。」
それから俺は、バースで湯治して来たことを東部公爵様に伝え、公爵様のお屋敷を辞した。
次に向かったのは東府教会。
教会の身分証を提示して大司教様に取り次いでもらった。
「大司教様、ご無沙汰しております。」
「おお、ゲオルク。一別以来、帝国では随分活躍したようだね。」
「はい。お陰様で殿下のご命令をつつがなく果たすことができました。」
「それと昇進おめでとう。」
「ありがとうございます。勿体なくも、侯爵に任じられましてございます。」
「ふむふむ。大層な働きだね。」
「それと紹介します。帝国で仲間にしたダクと、獣人のトーラです。」
それから帝国紀行をお話して、教会を辞した。
最後はルードビッヒ教授に会いに、東府魔法学院へと行った。ここを最後にしたのはここが一番長くなりそうだからだ。笑
ルードビッヒ教授は、新たに仲間に加えたダクと獣人トーラに関心を示した。わが妻たちには見向きもしなかった教授だが、龍人ドーラや獣人トーラには興味をそそられるようだ。
「ゲオルク、今回はじっくり研究に付き合ってもらうぞ。」
「はい、教授。」
「精霊たちよ、よろしく頼む。」
『『『『『『『『『ルー、任せて。』』』』』』』』』
教授は精霊を見る力がないので、本来は精霊たちからは敬遠されるはずだった。実際、最初はそうであったが、教授の精霊魔法の研究に対する情熱と、研究全般に亘っていつも的確な考察をする教授に、精霊たちがついに気を許したのだ。
今では『ルー。』と呼んで、俺抜きで会話をしている。他の精霊たちと記憶を共有しているダクも、のっけから教授に馴染んでいる。笑
「精霊たちは第四形態に進化したのだな。」
「はい教授。こちらにその様子をまとめてございます。」俺は形態進化に関するレポートを提出した。内容はこっ恥ずかしい。
「ふむ。あとでじっくり読ませてもらおう。では早速…。」
「教授、今回はしばらく東府に滞在しますので、研究は明日からでいいですか?俺たちも長旅でしたので。」
「おお、それはすまなかったな。では明日の朝イチから通って来てくれ。」朝イチからって…。苦笑
宿屋に戻って夕餉を摂り終え、久々にわが妻たちをとことん堪能した。わが妻たちもグイグイ来る。ああ、わが妻たちも道中、我慢してたんだな。
ジュヌの回復魔法とカルメンのバフで、へばったマイドラゴンを何度も叩き起こしつつ、朝まで繰り返しわが妻たちを堪能し、わが妻たちに堪能された。
当然の結果として、翌日は1日中、眠りこけてしまった。
その翌日、ルードビッヒ教授の雷が落ちたのは言うまでもない。汗
それから東府へ約1ヶ月滞在し、俺と精霊たちは、朝から晩まで教授の研究に付き合い、精霊たちは思う存分精霊魔法をぶっ放して終始ご機嫌。
『ルー、次は?』『次は?』
「うむ、魔力量と精霊魔法の効果について関連を調べたい。」
『ルー、これでいい?』『いい?』
「いいぞ。その調子だ。」
俺はひたすら魔力供給マシンとなった。
精霊たちは、教授との意見交換も面白いようだ。
「精霊たちよ、ここにはこのような法則が成り立たんか?」
『そう!そうなる。』『ルー、頭いい。』
「なんの、精霊たちのお陰だ。実に興味深い!」
一方、わが妻たちは、俺抜きでスピリタス・ワルキューレとして活動し、東府ギルド内での名声を高めて行った。なお、トーラがBランクに上がっていた。
東府の宿では、毎夜、わが妻たちを堪能した。そして、最後に残っていたリーゼが、魔力上限をカンストしたのだった。
俺と精霊たちが、1ヶ月に亘って魔法学院に通い詰めだったお陰で、教授は相当な実験データを入手した。これからそれを整理してまとめ、論文を執筆することになり、俺たちは教授から解放された。
『ルー、また一緒にやろうね。』『またねー。』と精霊たちは名残惜しそうだが、俺はぶっちゃけ、解放されて安堵していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/10/23
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№131 お説教と研究
湯治村リバプを発って、半日で湯の町バース。そのままバースを素通りして北府へ。
バースを出たのが昼下がりだったから、バースと北府を結ぶ宿場町へはたどり着けず、そのまま野営。
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クレが50m四方の土壁をせり上げ、野営地内には大きめの小屋も作成。
野営地の半分にツリが牧草を生やしてスノウとナイトと曳馬4頭~カスタード、モンブラン、サクラモチ、ゴマアンコ~を放牧。
一部の牧草をクレが作った窯に入れ、フィアの火の熱で乾燥させて干し草にし、それで小屋の中に干し草ベッドを設置。
クレが作った窪みにワラが水を溜め、フィアが温めてお湯にして露天風呂の出来上がり。
野営地の中心には、フィアが火を熾して鍋を掛け、ツリが促成栽培した野菜類と途中で狩った獣肉のブツ切りをぶち込んで煮込めば、豪勢な野営食である。
野営地を囲った土壁の外周にはクレが堀も穿って、ワラが水を張り、チルが水をシャーベット状にして、脚を取ると同時に体温を奪う。土壁の上にはメタが有刺鉄線を張り巡らせて電気を通しているし、堀のすぐ外にはウィンが定期的に旋風を起こしている。
ソルが野営地全体を覆うように障壁を張って、外敵兼寒さ対策。この野営地の防御は完璧だ。
なお、ダクだけ出番がなくて、ご機嫌斜めだ。笑
夜間は交代で見張りをしながら、小屋の干し草ベッドでぐっすり。
北部の冬の最中なので、外は特に寒いのだが、ソルの障壁で野営地一帯が外からは隔離され、さらに小屋の中では、クレが作った暖炉にツリが作った薪をくべ、フィアの火で暖房完備。実に快適である。
2日後には北府に着き、そのまま北府を素通りして王都へ向かった。4日後に王都、王都を素通りし、さらに4日後に東府。
自前の馬車で宿場町を素通りし、野営をすると、宿場町ごとに泊まる定期馬車より、それぞれ日程を1日短縮できた。
王都から東府へ向かう途中、マイドラゴンが臨界点に達した。
新年の初日にリバプで姫初めをして以来、ずっと禁欲である。と言うのも、姫初めの翌日、リバプを発って、バース、北府、王都を素通り、野営を繰り返しつつ東府へ向かっているからである。
道中の油断は死に直結する恐れがあるから、むふふな展開は道中ではない。バース、北府、王都を素通りしたことで、禁欲生活が続いていた訳だが、東府へ到着するのは明後日。
わが妻たちの巨乳が、何かの拍子にプルンとするたびに、下帯の中でマイドラゴンがいきり立つ有様だ。もちろんわが妻たちは脱いでいる訳ではない。しっかり服を着ている。それでも反応するのだ。
もう、いかん。マイドラゴンに脳を乗っ取られてしまったら…。と思うと、気が気ではないのだ。
野営の準備をして、精霊たちと風呂に入ると、第四形態の精霊たちを、マイドラゴンがガン見してぐるぐる唸っている始末だ。見境がなくなってやがる。
てか、食物連鎖では、精霊たちが上位なのにな。マイドラゴンよ、精霊たちには、お前が食われる立場なのだぞ。
王都に入る前あたりから、こっそり抜こうと試みたのだが、マイドラゴンに噛みつかれてしまって、試みはすべて失敗している。
『ゲオルク、辛そー。』『辛そー。』図星だ。
背に腹は代えられないから、精霊たちに吸い出してもらおうかな。なんて考えが、ふと頭をよぎったら、
『いいよー。』とメタが寄って来て、ぱくりとマイドラゴンを捕食した。いや、今は野営中だし、いくらなんでもまずいだろ。
れろれろちゅ…。あ…、メタの舌遣いが堪らない。と思うや否や、マイドラゴン火山が大噴火を起こした。
溜まってたものなー。それにメタったら上手なんだものなー。泣
マイドラゴンは、瞬殺で大量のホワイトブレスを搾り取られたのだった。
ホワイトブレスを口いっぱいに頬張ったメタは、頬をパンパンにしてふわふわと浮遊して行った。残りの精霊たちはメタのもとへ集まって行った。
メタが全員に口移しでホワイトブレスを分け与え、全員揃ってゴクリとやって、緑、橙、赤、藍、青、紫、黄、白、黒の9色に輝いた。
この発光でわが妻たちにバレた。
その後、野営中の心得を、7人掛りでこんこんとお説教される羽目になったのだった。泣
でもまあその分、もんもんが消えて冷静な俺に戻ったけどな。
今回の反省点は王都を素通りしたことだ。王都で1泊して、わが妻たちとイチャコラすべきであった。
マイドラ暴走直前回避の後、2日で東府に着いた。
東府ではすぐに宿を取り、東部公爵様へ挨拶に行った。
「公爵様、ただいま戻りました。」
「ゲオルク、よく参った。遠慮せず泊まって行け。」
「公爵様、ありがとうございます。ただ、今回はルードビッヒ教授の研究に付き合って長期滞在になると思われますゆえ、宿を取りました。」
「そなたならば、別に長期滞在でも構わないのだがな。」
「ありがとうございます。」
「それとな、そなたの侯爵昇進を聞き付けたミュンヒェー辺境伯がな、寄子から寄孫にしてくれと言って来おった。」
「寄孫?なんですか、それ?」
「うむ。何でもそなたの一番寄子になるゆえ、余の寄子のゲオルクの寄子で寄孫と言うことらしい。」
「はあ。」
「しかしそなたは、すでに殿下の直参になっておる。」
「まあ、心情的には一番お世話になっている東部公爵様の寄子のようなものですけどね。それにラスプ村の上納を収めてますゆえ、寄子と言っても差し支えないのでは?」
「そのことよ。そなたの発案したキノコ栽培だがな、王都にも出荷して随分と収益を上げておるぞ。ラスプ村の税収はそなたと折半だが、その半分の取り分が、余の領地であった頃の税収に迫る勢いだ。越えるのはもはや時間の問題だな。」
「へえ、随分調子がいいですねぇ。」
「高級食材のトリュフダケやパインダケが、美食の王都で、高値で取引されているのだ。それ以外のキノコも納品の即日に完売だ。ゲオルク、よいところに目を付けたぞ。褒めて取らす。」
「ははっ。」
「で、話を戻すがな、ミュンヒェー伯には、そなたが余や王国に敵対することはなかろうゆえ、余の寄子とゲオルクの寄子を兼ねるがよいと言うておいたわ。ミュンヒェーからの上納も折半でよいな。」
寄子は寄親へ税収の数パーセントを上納し、寄親からの出兵催促にも応じる。一方、寄親は寄子が攻められたときに援軍を出して守る義務を負う。寄子同士で諍いが起きたときは、寄親は身銭を切ってでもその仲裁をしなければならない。
「いえ、ミュンヒェーからの上納は、今まで通りすべて東部公爵様に。」
ミュンヒェー辺境伯は、教国との防波堤の要なので、上納額も低く、出兵要請は免除されていた。
「よいのか?」
「俺は、騎士団も衛兵隊も持たぬゆえ、構いません。」
「確かにな。ラスプ村には騎士団も衛兵も要らぬな。もし、そなたの留守中に何かあったら、余が守備兵を派遣してやろう。」
「優秀な役人に加えて、有事の守備兵までありがとうございます。」
「そなたは、その分の仕事はしておるのでな。」
それから俺は、バースで湯治して来たことを東部公爵様に伝え、公爵様のお屋敷を辞した。
次に向かったのは東府教会。
教会の身分証を提示して大司教様に取り次いでもらった。
「大司教様、ご無沙汰しております。」
「おお、ゲオルク。一別以来、帝国では随分活躍したようだね。」
「はい。お陰様で殿下のご命令をつつがなく果たすことができました。」
「それと昇進おめでとう。」
「ありがとうございます。勿体なくも、侯爵に任じられましてございます。」
「ふむふむ。大層な働きだね。」
「それと紹介します。帝国で仲間にしたダクと、獣人のトーラです。」
それから帝国紀行をお話して、教会を辞した。
最後はルードビッヒ教授に会いに、東府魔法学院へと行った。ここを最後にしたのはここが一番長くなりそうだからだ。笑
ルードビッヒ教授は、新たに仲間に加えたダクと獣人トーラに関心を示した。わが妻たちには見向きもしなかった教授だが、龍人ドーラや獣人トーラには興味をそそられるようだ。
「ゲオルク、今回はじっくり研究に付き合ってもらうぞ。」
「はい、教授。」
「精霊たちよ、よろしく頼む。」
『『『『『『『『『ルー、任せて。』』』』』』』』』
教授は精霊を見る力がないので、本来は精霊たちからは敬遠されるはずだった。実際、最初はそうであったが、教授の精霊魔法の研究に対する情熱と、研究全般に亘っていつも的確な考察をする教授に、精霊たちがついに気を許したのだ。
今では『ルー。』と呼んで、俺抜きで会話をしている。他の精霊たちと記憶を共有しているダクも、のっけから教授に馴染んでいる。笑
「精霊たちは第四形態に進化したのだな。」
「はい教授。こちらにその様子をまとめてございます。」俺は形態進化に関するレポートを提出した。内容はこっ恥ずかしい。
「ふむ。あとでじっくり読ませてもらおう。では早速…。」
「教授、今回はしばらく東府に滞在しますので、研究は明日からでいいですか?俺たちも長旅でしたので。」
「おお、それはすまなかったな。では明日の朝イチから通って来てくれ。」朝イチからって…。苦笑
宿屋に戻って夕餉を摂り終え、久々にわが妻たちをとことん堪能した。わが妻たちもグイグイ来る。ああ、わが妻たちも道中、我慢してたんだな。
ジュヌの回復魔法とカルメンのバフで、へばったマイドラゴンを何度も叩き起こしつつ、朝まで繰り返しわが妻たちを堪能し、わが妻たちに堪能された。
当然の結果として、翌日は1日中、眠りこけてしまった。
その翌日、ルードビッヒ教授の雷が落ちたのは言うまでもない。汗
それから東府へ約1ヶ月滞在し、俺と精霊たちは、朝から晩まで教授の研究に付き合い、精霊たちは思う存分精霊魔法をぶっ放して終始ご機嫌。
『ルー、次は?』『次は?』
「うむ、魔力量と精霊魔法の効果について関連を調べたい。」
『ルー、これでいい?』『いい?』
「いいぞ。その調子だ。」
俺はひたすら魔力供給マシンとなった。
精霊たちは、教授との意見交換も面白いようだ。
「精霊たちよ、ここにはこのような法則が成り立たんか?」
『そう!そうなる。』『ルー、頭いい。』
「なんの、精霊たちのお陰だ。実に興味深い!」
一方、わが妻たちは、俺抜きでスピリタス・ワルキューレとして活動し、東府ギルド内での名声を高めて行った。なお、トーラがBランクに上がっていた。
東府の宿では、毎夜、わが妻たちを堪能した。そして、最後に残っていたリーゼが、魔力上限をカンストしたのだった。
俺と精霊たちが、1ヶ月に亘って魔法学院に通い詰めだったお陰で、教授は相当な実験データを入手した。これからそれを整理してまとめ、論文を執筆することになり、俺たちは教授から解放された。
『ルー、また一緒にやろうね。』『またねー。』と精霊たちは名残惜しそうだが、俺はぶっちゃけ、解放されて安堵していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/10/23
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
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(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
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