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精霊の加護127 アクアビット号
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精霊の加護
Zu-Y
№127 アクアビット号
翌日から、俺は王宮内での待機を命じられた。
王太子殿下が、4人の公爵様方と宰相様とともに、帝国大使と教国大使と、帝国の謀反貴族たちの子息子女の受け入れについて、仲介交渉をしているのだ。
交渉が停滞したら俺を呼ぶので、いつでも来られるように王宮内で待機しろとのご命令だ。
なお、王宮内にいれば、どこにいてもいいらしい。
働き者のわが妻たちは、当然の如く俺を置いてクエストに行ってしまった。俺を除くスピリタスメンバーは、ワルキューレとのサブパーティ名を持っている。
王宮で待機しなければならない俺に付き合っているより、ワルキューレとして、活躍する方がいいに決まってる。泣
わが妻たちを送り出して、王宮内をぶらついた。
宮廷魔術師の訓練場で、王国7精霊たちの属性攻撃魔法を、加減しながらぶっ放し、騎士団と近衛隊の状態異常対策訓練では、ダクの状態異常魔法を掛けてやった。もちろん訓練でのケガ人には、ソルの回復魔法で瞬時に治してやった。
これが騎士団と近衛隊に重宝され、翌日から正式に協力要請が舞い込んだ。まあ、暇だからいいけど。
王宮で待機すること3日目。殿下からお召しが掛かったので、殿下の執務室に行くと、いつものメンバーの殿下、4人の公爵様方、宰相様に加え、教国大使、帝国大使もいた。
「殿下、お召しにより、ゲオルク・スピリタス、参上致しました。」
「大儀。話はまとまったぞ。
宰相、説明せよ。」殿下の説明が、超短い。笑
「はっ。承知しました。
ではスピリタス卿、御説明申し上げる。」
おや?いつものゲオルク呼びじゃないぞ。あ、そうか、大使たちがいるから外向けなんだ。宰相様はきっちりした性格だもんな。笑
宰相様が続けた。
「帝国で準備が整い次第、新皇帝どのの戴冠式が帝都モスコペテブルで行われる。戴冠式には、帝国から王国に招待状が届くが、スピリタス候を、王太子殿下の名代として帝都へ遣わす。
戴冠式の後、特赦が発表され、謀反貴族の子息子女9名を、教国での出家を条件に、助命することを発表する。スピリタス候はパーティを率いて、子息子女9名を帝都から教都イスタナンカラまで護衛してもらう。
帝都から国境の町バレンシーまでは帝都騎士団、バレンシーから西部の間は西府騎士団、中部では王都騎士団、東部から国境の町ミュンヒェーまでは東府騎士団、ミュンヒェーから教都までは教都騎士団が、それぞれスピリタス候のパーティに同行する。
スピリタス卿は、教都イスタナンカラでの、謀反貴族子息子女の出家の儀を見届けた後、王都へ帰還。
スピリタス候の報告を受けて、王都では、殿下、教皇名代教国大使どの、皇帝名代帝国大使どのの3名で、王国を盟主とした三国同盟に調印する。
以上だ。質問は?」
「てことは、俺は帝国からの招待状が来るまで、王都にいるんですか?新帝のイゴールどのは、戴冠式は地固めをしてからだから、半年くらい先になると言ってましたよ。」
この質問には殿下が答えてくれた。
「いや、領地に戻って内政に勤しむがいい。その代わり、すぐに連絡が付くようにしておけよ。ふらふらとあちこちを出歩くんじゃないぞ。居場所を移動するときには、新たな居場所を必ず報告せよ。」
「承知しました。ちょっと北府に用事があるので、それからでも構いませんか?」
「それは構わんぞ。」
「では早速、明日、発ちます。」
「待て、ゲオルク。余も3日後に北府に向けて王都を発つ。折角だから北府まで護衛せよ。」北部公爵様からお声が掛かった。
「承知しました。」
この日で王宮での待機は終わったので、北部公爵様のお供をして王都を発つ3日後までは、わが妻たちと一緒に、俺もクエストに参加しようかと思っていたのだが…。
その夜、俺とわが妻たちが、互いに今日のことを報告し合うと、話は意外な方向に進んだ。
「ねぇ、あなた。北部公爵様にお供するのよねぇ。一応、侯爵様になったんだし、騎馬とかじゃなくていいのかしら?」リーゼがそんなことを言って来た。確かにそうかもしれないな。
「うむ。北部公爵様は私の主筋ゆえ、私はスノウに騎乗して本来の騎士としてお供するつもりだ。残るはナイトのみゆえ、皆が乗るには馬が足りぬな。」
「え、あたしたちも馬に乗るのかい?」
「うむ。側室とは申せ、一応侯爵夫人ゆえなぁ。北部公爵様の護衛に就くなら、流石に徒歩と言う訳には参るまい。」
「わらわは馬はいらぬじゃ。いざとなったらドラゴンに変身すればよいのじゃからのう。」
「トーラも、馬は、いい。ホワイトタイガーに、変身する。」
「でしたら馬車ではいかがですの?」
「うむ。馬車なら問題はあるまい。」
「僕も馬車の方がいいなぁ。ねえ、ダーリン。馬車買おうよ。」
「そうだな、買うか。」
そう言う訳で、翌日、馬車を買いに行くことになった。そして、王宮御用達の馬車屋にやって来た。
「いらっしゃいまし。」
「王宮からの紹介で来た。10人乗り程度の馬車が欲しい。」精霊たちは浮いているから数に入れなくてもいいだろう。
「送迎用ですか?行商用ですか?冒険用ですか?」
「え?馬車にそんな用途があるのか?」
「そりゃそうですよ。送迎用なら座席だけでいいですし、行商用なら荷台が多く必要です。冒険用なら野営に備えて簡易ベッドが必須ですね。」
「だったら冒険用だな。ベッド付きのにしてくれよ。」
「そうですねぇ。これなんかどうです?
御者台は除いて、2人掛け座席が左右に2つずつ。室内の前2/3は仮眠スペースでセミダブルの二段ベッドが2台です。詰めれば8人寝られます。後ろ1/3は簡易トイレと倉庫エリアで、飲料水や食料、曳馬の秣が積めます。4頭立てです。
室内と車外から、屋上も登れまして、屋上は見張台として使えます。」
「いいね、これ。」俺は一発で気に入った。
「お客さん、まだ説明は終わってませんよ。車両の横の壁がですね、こうしてやると…。」
「おお、開くのか!」
「はい。野営に折には重宝かと。
それから車内への入口の脇のここの台に魔石を置くと、室内に冷暖房が入るんですよ。魔力を流してもいいですよ。」
「こりゃいいね。」フィアとチルに冷暖房をしてもらおうっと。
『『任せて!』』俺の心を読んだフィアとチルが、サムズアップをしながらそう言って来た。笑
わが妻たちもこの馬車を大いに気に入ったので、この馬車を買うことにした。大金貨6枚なので、なかなかのお値段である。
「旦那様、馬車にお名前を付けて下さいな。」
「え?俺が?うーん…、
アクアビットでどう?スピリタスは精霊から取ったけど、スピリタスにはお酒の意味もあるだろ?お酒は生命の水って言うからさ、古語で生命の水を意味するアクアビット。」
「あら、素敵。」「とてもいいお名前ですわ。」「ほんとだねぇ。」「わが君は古語にも通じておるのだな。」ちょっと得意になってしまった俺。苦笑
「ところで馬車屋さん、馬も売ってるのか?」
「馬は隣の馬屋でお買い求め下さい。」
で、隣の店舗に行くと、
「いらっしゃいまし。」
「あれ?馬車屋さん?」
「いえ、兄弟なんですよ。」
「似てるねぇ。って言うより、そっくりじゃないか。」
「三つ子ですから。」
「え?じゃあもうひとりは?」
「隣で馬具屋をやってます。」マジか!笑
で、馬車屋で購入を決めた4頭立ての馬車を曳く馬を買い求めたのだが、馬の見立てはベスに任せた。
ベスは念入りに馬たちを見て回って4頭を選び出して来た。
どれも珍しい毛色で、クリーム色の月毛、黄色掛かった明るい茶色の栗毛、うっすらとピンク掛かった佐目毛、グレーの薄墨毛である。4頭とも牝馬だが、曳馬なので、馬体ががっしりしていて大型だ。すっかり成長したスノウやナイトも、騎馬としては大型の方だが、4頭ともスノウのナイトよりもさらにひと回り大きい。
「お客さん、随分と目利きですねぇ。4頭とも、うちではトップクラスにいい馬ですよ。どれも牝馬ですから、気性もおとなしくて従順です。それに3歳馬ですから若いですしね。長く使えますよ。」馬屋さんがベスに脱帽した。
「うむ。これでも一応、騎士をしていたのでな。」
「はて?王都騎士団の女性騎士は少数ですから、全員存じ上げてるつもりでしたが…。」
「いや、私が所属していたのは北府騎士団だ。」
「え?ではあなた様は、まさか北府騎士団のワルキューレ様で?確か、伯爵家の御令嬢様であらせられますよね?」
「…。」無言で、恥ずかしそうに、鼻の頭をポリポリと掻くベス。かわいい。笑
「え?何それ?ベスったら、僕が名乗る前に、ワルキューレを名乗ってたの?」
「ち、違うぞ。私は名乗ってなどおらぬ。しかし、北府の民が私のことを、そのように呼んでいたのだ。」
「なーんだ。ベス、言ってよー。もう。
ダーリン、ワルキューレって名乗ったの、僕が最初じゃなかったよ。」
「なっ!ビーチェ、違うと言っておろうが。私が名乗った訳では、断じてないのだぞ。」
「まあまあ、いいじゃない。俺、ワルキューレって呼び方、結構、気に入ってるんだよね。だって、皆にぴったりだもんな。」
「でしょ、でしょー。僕もさー、そう思ってたんだよねー。」
「うふふ、ビーチェったら、調子いいわね。」
結局この4頭を購入することにした。4頭で大金貨4枚。こちらもかなりいいお値段だ。
なお、4頭とも牝馬なので、ナイトが喜んでいた。気持ちは分かる。笑
「馬たちの名前は、主様が付けてはどうじゃな?主様は命名のセンスがおありじゃからな。」
「えー?またー?うーん…、
月毛はカスタード、栗毛はモンブラン、佐目毛はサクラモチ、薄墨毛はゴマアンコでどう?」
「お頭様、それって、全部、スイーツ?」
「そう。皆、スイーツが大好きだろ?」
「「「「「「「…。」」」」」」」
「許してたも。わらわが余計なことを言ったばかりに…。」ドーラが4頭の鼻面を撫でていた。なんでやねんっ!
「馬屋さん、この馬たちは騎乗もできるのか?」
「もちろんですよ。ちゃんと騎乗も曳馬もこなせるように調教してますので。」
「じゃあ、次は馬具屋だな。」
「お前さん、馬具も買うのかい?」
「もちろん。場合によったらだけど、馬車を置いて、騎乗で出ることもあるだろ?ドーラとトーラは変身するからいいって言ってたけど、俺たちは騎乗も練習しとかないとな。」
で、馬屋で購入した馬4頭の馬具を購入した。鞍、鐙、手綱、頭絡などの通常の騎乗用の馬具に加えて、戦闘時用の馬鎧も購入した。4頭分で大金貨4枚だ。馬の値段並みだが、馬鎧が高かった。
ちなみに、馬具屋さんも、馬車屋さん、馬屋さんとそっくりだった。流石、三つ子。笑
結局、この日のお買い上げは大金貨14枚、つまり、白金貨1枚と大金貨4枚である。スピリタスのパーティ資金を大量に使ってしまった訳だが、まあ必要経費だろう。
4頭にアクアビット号を曳かせて王宮に戻り、その日の午後と翌日は、馬車と騎乗の練習に当てたのだった。
ところで晩餐会後の俺の失言により、その夜はお預けとなったむふふタイムであるが、翌日からは無事復活した。この間ドーラの発情期もあり、非常に充実した王宮での夜だったのである。
結局、この5日間で、リーゼとジュヌの魔力量を500上げ、ジュヌはとうとう潜在魔力量の上限に達した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/10/9
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№127 アクアビット号
翌日から、俺は王宮内での待機を命じられた。
王太子殿下が、4人の公爵様方と宰相様とともに、帝国大使と教国大使と、帝国の謀反貴族たちの子息子女の受け入れについて、仲介交渉をしているのだ。
交渉が停滞したら俺を呼ぶので、いつでも来られるように王宮内で待機しろとのご命令だ。
なお、王宮内にいれば、どこにいてもいいらしい。
働き者のわが妻たちは、当然の如く俺を置いてクエストに行ってしまった。俺を除くスピリタスメンバーは、ワルキューレとのサブパーティ名を持っている。
王宮で待機しなければならない俺に付き合っているより、ワルキューレとして、活躍する方がいいに決まってる。泣
わが妻たちを送り出して、王宮内をぶらついた。
宮廷魔術師の訓練場で、王国7精霊たちの属性攻撃魔法を、加減しながらぶっ放し、騎士団と近衛隊の状態異常対策訓練では、ダクの状態異常魔法を掛けてやった。もちろん訓練でのケガ人には、ソルの回復魔法で瞬時に治してやった。
これが騎士団と近衛隊に重宝され、翌日から正式に協力要請が舞い込んだ。まあ、暇だからいいけど。
王宮で待機すること3日目。殿下からお召しが掛かったので、殿下の執務室に行くと、いつものメンバーの殿下、4人の公爵様方、宰相様に加え、教国大使、帝国大使もいた。
「殿下、お召しにより、ゲオルク・スピリタス、参上致しました。」
「大儀。話はまとまったぞ。
宰相、説明せよ。」殿下の説明が、超短い。笑
「はっ。承知しました。
ではスピリタス卿、御説明申し上げる。」
おや?いつものゲオルク呼びじゃないぞ。あ、そうか、大使たちがいるから外向けなんだ。宰相様はきっちりした性格だもんな。笑
宰相様が続けた。
「帝国で準備が整い次第、新皇帝どのの戴冠式が帝都モスコペテブルで行われる。戴冠式には、帝国から王国に招待状が届くが、スピリタス候を、王太子殿下の名代として帝都へ遣わす。
戴冠式の後、特赦が発表され、謀反貴族の子息子女9名を、教国での出家を条件に、助命することを発表する。スピリタス候はパーティを率いて、子息子女9名を帝都から教都イスタナンカラまで護衛してもらう。
帝都から国境の町バレンシーまでは帝都騎士団、バレンシーから西部の間は西府騎士団、中部では王都騎士団、東部から国境の町ミュンヒェーまでは東府騎士団、ミュンヒェーから教都までは教都騎士団が、それぞれスピリタス候のパーティに同行する。
スピリタス卿は、教都イスタナンカラでの、謀反貴族子息子女の出家の儀を見届けた後、王都へ帰還。
スピリタス候の報告を受けて、王都では、殿下、教皇名代教国大使どの、皇帝名代帝国大使どのの3名で、王国を盟主とした三国同盟に調印する。
以上だ。質問は?」
「てことは、俺は帝国からの招待状が来るまで、王都にいるんですか?新帝のイゴールどのは、戴冠式は地固めをしてからだから、半年くらい先になると言ってましたよ。」
この質問には殿下が答えてくれた。
「いや、領地に戻って内政に勤しむがいい。その代わり、すぐに連絡が付くようにしておけよ。ふらふらとあちこちを出歩くんじゃないぞ。居場所を移動するときには、新たな居場所を必ず報告せよ。」
「承知しました。ちょっと北府に用事があるので、それからでも構いませんか?」
「それは構わんぞ。」
「では早速、明日、発ちます。」
「待て、ゲオルク。余も3日後に北府に向けて王都を発つ。折角だから北府まで護衛せよ。」北部公爵様からお声が掛かった。
「承知しました。」
この日で王宮での待機は終わったので、北部公爵様のお供をして王都を発つ3日後までは、わが妻たちと一緒に、俺もクエストに参加しようかと思っていたのだが…。
その夜、俺とわが妻たちが、互いに今日のことを報告し合うと、話は意外な方向に進んだ。
「ねぇ、あなた。北部公爵様にお供するのよねぇ。一応、侯爵様になったんだし、騎馬とかじゃなくていいのかしら?」リーゼがそんなことを言って来た。確かにそうかもしれないな。
「うむ。北部公爵様は私の主筋ゆえ、私はスノウに騎乗して本来の騎士としてお供するつもりだ。残るはナイトのみゆえ、皆が乗るには馬が足りぬな。」
「え、あたしたちも馬に乗るのかい?」
「うむ。側室とは申せ、一応侯爵夫人ゆえなぁ。北部公爵様の護衛に就くなら、流石に徒歩と言う訳には参るまい。」
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「でしたら馬車ではいかがですの?」
「うむ。馬車なら問題はあるまい。」
「僕も馬車の方がいいなぁ。ねえ、ダーリン。馬車買おうよ。」
「そうだな、買うか。」
そう言う訳で、翌日、馬車を買いに行くことになった。そして、王宮御用達の馬車屋にやって来た。
「いらっしゃいまし。」
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「え?馬車にそんな用途があるのか?」
「そりゃそうですよ。送迎用なら座席だけでいいですし、行商用なら荷台が多く必要です。冒険用なら野営に備えて簡易ベッドが必須ですね。」
「だったら冒険用だな。ベッド付きのにしてくれよ。」
「そうですねぇ。これなんかどうです?
御者台は除いて、2人掛け座席が左右に2つずつ。室内の前2/3は仮眠スペースでセミダブルの二段ベッドが2台です。詰めれば8人寝られます。後ろ1/3は簡易トイレと倉庫エリアで、飲料水や食料、曳馬の秣が積めます。4頭立てです。
室内と車外から、屋上も登れまして、屋上は見張台として使えます。」
「いいね、これ。」俺は一発で気に入った。
「お客さん、まだ説明は終わってませんよ。車両の横の壁がですね、こうしてやると…。」
「おお、開くのか!」
「はい。野営に折には重宝かと。
それから車内への入口の脇のここの台に魔石を置くと、室内に冷暖房が入るんですよ。魔力を流してもいいですよ。」
「こりゃいいね。」フィアとチルに冷暖房をしてもらおうっと。
『『任せて!』』俺の心を読んだフィアとチルが、サムズアップをしながらそう言って来た。笑
わが妻たちもこの馬車を大いに気に入ったので、この馬車を買うことにした。大金貨6枚なので、なかなかのお値段である。
「旦那様、馬車にお名前を付けて下さいな。」
「え?俺が?うーん…、
アクアビットでどう?スピリタスは精霊から取ったけど、スピリタスにはお酒の意味もあるだろ?お酒は生命の水って言うからさ、古語で生命の水を意味するアクアビット。」
「あら、素敵。」「とてもいいお名前ですわ。」「ほんとだねぇ。」「わが君は古語にも通じておるのだな。」ちょっと得意になってしまった俺。苦笑
「ところで馬車屋さん、馬も売ってるのか?」
「馬は隣の馬屋でお買い求め下さい。」
で、隣の店舗に行くと、
「いらっしゃいまし。」
「あれ?馬車屋さん?」
「いえ、兄弟なんですよ。」
「似てるねぇ。って言うより、そっくりじゃないか。」
「三つ子ですから。」
「え?じゃあもうひとりは?」
「隣で馬具屋をやってます。」マジか!笑
で、馬車屋で購入を決めた4頭立ての馬車を曳く馬を買い求めたのだが、馬の見立てはベスに任せた。
ベスは念入りに馬たちを見て回って4頭を選び出して来た。
どれも珍しい毛色で、クリーム色の月毛、黄色掛かった明るい茶色の栗毛、うっすらとピンク掛かった佐目毛、グレーの薄墨毛である。4頭とも牝馬だが、曳馬なので、馬体ががっしりしていて大型だ。すっかり成長したスノウやナイトも、騎馬としては大型の方だが、4頭ともスノウのナイトよりもさらにひと回り大きい。
「お客さん、随分と目利きですねぇ。4頭とも、うちではトップクラスにいい馬ですよ。どれも牝馬ですから、気性もおとなしくて従順です。それに3歳馬ですから若いですしね。長く使えますよ。」馬屋さんがベスに脱帽した。
「うむ。これでも一応、騎士をしていたのでな。」
「はて?王都騎士団の女性騎士は少数ですから、全員存じ上げてるつもりでしたが…。」
「いや、私が所属していたのは北府騎士団だ。」
「え?ではあなた様は、まさか北府騎士団のワルキューレ様で?確か、伯爵家の御令嬢様であらせられますよね?」
「…。」無言で、恥ずかしそうに、鼻の頭をポリポリと掻くベス。かわいい。笑
「え?何それ?ベスったら、僕が名乗る前に、ワルキューレを名乗ってたの?」
「ち、違うぞ。私は名乗ってなどおらぬ。しかし、北府の民が私のことを、そのように呼んでいたのだ。」
「なーんだ。ベス、言ってよー。もう。
ダーリン、ワルキューレって名乗ったの、僕が最初じゃなかったよ。」
「なっ!ビーチェ、違うと言っておろうが。私が名乗った訳では、断じてないのだぞ。」
「まあまあ、いいじゃない。俺、ワルキューレって呼び方、結構、気に入ってるんだよね。だって、皆にぴったりだもんな。」
「でしょ、でしょー。僕もさー、そう思ってたんだよねー。」
「うふふ、ビーチェったら、調子いいわね。」
結局この4頭を購入することにした。4頭で大金貨4枚。こちらもかなりいいお値段だ。
なお、4頭とも牝馬なので、ナイトが喜んでいた。気持ちは分かる。笑
「馬たちの名前は、主様が付けてはどうじゃな?主様は命名のセンスがおありじゃからな。」
「えー?またー?うーん…、
月毛はカスタード、栗毛はモンブラン、佐目毛はサクラモチ、薄墨毛はゴマアンコでどう?」
「お頭様、それって、全部、スイーツ?」
「そう。皆、スイーツが大好きだろ?」
「「「「「「「…。」」」」」」」
「許してたも。わらわが余計なことを言ったばかりに…。」ドーラが4頭の鼻面を撫でていた。なんでやねんっ!
「馬屋さん、この馬たちは騎乗もできるのか?」
「もちろんですよ。ちゃんと騎乗も曳馬もこなせるように調教してますので。」
「じゃあ、次は馬具屋だな。」
「お前さん、馬具も買うのかい?」
「もちろん。場合によったらだけど、馬車を置いて、騎乗で出ることもあるだろ?ドーラとトーラは変身するからいいって言ってたけど、俺たちは騎乗も練習しとかないとな。」
で、馬屋で購入した馬4頭の馬具を購入した。鞍、鐙、手綱、頭絡などの通常の騎乗用の馬具に加えて、戦闘時用の馬鎧も購入した。4頭分で大金貨4枚だ。馬の値段並みだが、馬鎧が高かった。
ちなみに、馬具屋さんも、馬車屋さん、馬屋さんとそっくりだった。流石、三つ子。笑
結局、この日のお買い上げは大金貨14枚、つまり、白金貨1枚と大金貨4枚である。スピリタスのパーティ資金を大量に使ってしまった訳だが、まあ必要経費だろう。
4頭にアクアビット号を曳かせて王宮に戻り、その日の午後と翌日は、馬車と騎乗の練習に当てたのだった。
ところで晩餐会後の俺の失言により、その夜はお預けとなったむふふタイムであるが、翌日からは無事復活した。この間ドーラの発情期もあり、非常に充実した王宮での夜だったのである。
結局、この5日間で、リーゼとジュヌの魔力量を500上げ、ジュヌはとうとう潜在魔力量の上限に達した。
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設定を更新しました。R4/10/9
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
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カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
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(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
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魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
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