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精霊の加護086 ソルとの契約
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精霊の加護
Zu-Y
№86 ソルとの契約
「では留学生の人選をよろしくお願い致します。」俺は教皇に念を押した。
「実は巫女見習の中に非常に有望な人材がいます。その者は、10歳にしてすでに上級の回復魔法が使える上に、天使様が見えるようなのです。もし天使様の加護が得られれば、聖女になるのは間違いありません。」
天使様とは精霊のことで、特に教国では光の特大精霊を指す。聖女とは、光の特大精霊と契約した精霊魔術師のことだ。光の特大精霊は回復と能力上昇を司るので、精霊魔術師が女なら聖女、男なら聖人と言うことになる。
なお、光以外の特大精霊と契約した精霊魔術師は使徒様と呼ばれる。だから俺は、教国では使徒様と呼ばれるのだ。
「ほう、光の特大精霊がいるのですか。ぜひお目に掛かってご挨拶したいが。」
「大聖堂の奥の聖山におわします。これからその巫女見習にご案内させましょう。
おい、アイチャを呼んで参れ。」
「その巫女見習には、光の特大精霊と契約しても、王国への留学はしてもらいますよ。」
「もちろんです。しかし契約はまだできないようでして、それで天使様と別れるのが嫌だから王国には行きたくないとゴネておるのです。」
「我が強いのですか?」
「少しばかりですが。まあ、あの歳で天才だの、将来は聖女だのと持てはやされれば、無理もありません。根は素直な娘ですがね、ときどき我儘を言います。」
しばらくして、女の子が連れて来られた。10歳と言ってたから三の姫殿下のマリー様より少し上だな。なかなかの美少女だ。
「アイチャ、このお方は使徒様だ。天使様にお目に掛かりたいそうだ。そなた、ご案内せよ。」
「このお方が使徒様?え?天使様が大勢!」
俺の精霊たちがアイチャのまわりを取り囲んだ。第三形態の俺の精霊たちは、見た目が第二形態ぐらいのアイチャよりは大人びている。
精霊たちがアイチャに話し掛け、アイチャが微笑んで対応している。うん、精霊たちのこの反応、アイチャは精霊を見ることができるだけでなく、話しもできると言うことで間違いない。
「アイチャ、初めまして。俺はゲオルク。精霊魔術師だ。教国では使徒と言うらしいがな。」
「使徒様、お会いできて光栄です。アイチャと申します。」なんだよ、我儘どころか至って素直じゃねぇか。
「俺の精霊たちとすっかり打ち解けたようだね。」
「はい、お姉様の天使様とお会いするのは初めてなので、びっくりしました。」
「では光の精霊は男の子なのかな?」
「はい。」
男の精霊は初めてだな。しかし、もうそれだけで俺の中では、光の特大精霊と契約する気が失せてしまった。男とちゅーはできん。
それでも光の特大精霊には興味があるので案内してもらうことにした。
アイチャに先導されて、俺、精霊たち、わが妻たちは、大聖堂の奥を抜け、教都の奥にある聖山に登り始めた。
聖山の8合目辺りで、アイチャが呼び掛け出した。
「天使様ー。ソル様ー。」
『アイチャ?ソルと、契約する気に、なった?』
現れた光の特大精霊は、4~5歳くらいに見える第一形態で、話し方もたどたどしい。俺の精霊たちの第一形態の頃を思い出す。ちょっと懐かしい。
そして、ベリベリリトルなゾウさんをぶら下げていた。おー、正真正銘、男の子だ。笑
「ソル様、裸で出て来ないでって言ったでしょ!」え?アイチャはずいぶん強気だな。
『服は、嫌い。』
「隠してよ。女の子に見せないで!」
『むぅ、アイチャ、我儘。』
「女の子は、皆そうなのよ。男の子とは違うのっ!」
なるほど、10歳程度じゃ、リトルゾウさんは恥ずかしいか。
大人になりゃ、リトルゾウさんが変身したドラゴンを喜んでしゃぶるようになるのになー。笑
そう思ってわが妻たちを見ると、5人とも「「「「「ん?」」」」」って感じで首を傾げた。かわいい♪
『アイチャ、ソルと、契約、しよ。』
「いやよ。ちゅーなんてできないわ。それより、こちらは使徒様よ。ソル様に会いたいんですって。」
あ、こりゃツンデレって奴だな。今のところ、一切デレてないからツンのみか。笑
「ソルって言うんだ。俺はゲオルク、よろしくね。」
『ソルだよ。え?ゲオルク、凄い、魔力。』ソルはふわふわと飛んで来て俺のまわりをぐるぐる回った。そこに俺の精霊たちも加わった。何やら思念の交感をしてるっぽい。
『ゲオルク、ソルと、契約する?』
「え?ソルはアイチャと契約するんじゃないの?」あっさり俺に乗り換えるのか?ちょっと驚いた。
『アイチャは、契約の、ちゅーが、嫌い。』
「ソル、俺も男の子とのちゅーはちょっとなー。ごめんよ。」
『あ、そっか。』
空中に浮遊したまま大の字になったソルが光り出したと思ったら、なんとリトルゾウさんがみるみる縮んで股間に吸い込まれて行き、リトルゾウさんがいた場所は、縦筋1本ができていた。
『これなら、いい?』
「女の子になったのか?」いや、ぶっちゃけ魂消た。精霊が性別を変えられることは聞いていたけれども、性別を変えるところを見たのは初めてだ。
『うん。』
まじか?本当に性別を変えたのか?実際に眼の前で見たのに、それでも信じがたい。こりゃ目の前でやって見せたら、ルードビッヒ教授が狂喜しそうだな。
精霊たちは契約者から体液を経由して魔力を得る。契約者から効率よく魔力を含んだ体液を得やすい様に、契約者が望む性別になる。
つまり、ソルは女の子のアイチャに合わせて男の子だった訳だが、契約の対象を男の俺に変えたので、俺が好む女の子になったのだ。まぁ、実際のところ、俺が好むのは女の子ではなく、大人の女性だがなっ!
「嘘…。ソル様が女の子に…。」アイチャが両手を口に当てて絶句している。
「なぁ、アイチャ、このまま俺がソルと契約してもいいのか?」
「べ、別に。」プイッと横を向いた。何だよ、急に素直じゃねぇなぁ。
「本当にアイチャがソルと契約しなくてもいいのか?契約はソルとちゅーするだけだぞ。」
「私はソル様とちゅーなんてしたくないのっ!」おいおい、ツンを俺にも向けて来るのか?
「くどいようだが、本当にいいんだな?」
「いいって言ってるでしょ!」
じゃぁ、頂いちまうか。
きっとソルが俺と契約するとは、ハナから思ってないんだろうな。甘い甘い。現実の厳しさを教えてやろう。そしてその事実を突き付けられたとき、間違いなく後悔するんだろうなぁ。で、後悔したときにはもう手遅れってか。ま、そこから学ぶんだな。
「よし、ソル。アイチャは契約したくないようだから、俺と契約しよう。」
『おっけー。』
「えっ?ソル様?」アイチャが驚いたようにソルを見た。やはりソルが俺と本気で契約するとは思ってなかったようだ。
ソルが俺の頭を抱え込んで濃厚なべろちゅーをして来た。契約の儀式だ。
「ソル様、待って!」アイチャが叫んだが、もう遅い。
俺もソルを受け止めソルに応える。アイチャは見る見ると真っ赤になって俯いた。流石にべろちゅーは、10歳の女の子には正視できないか。笑
ソルの身体が白く輝き出す。契約完了だ。第一形態のソルとの契約が完了したので、俺の魔力量の上限は1万増えて、42万5000になった。
契約成立と同時にソルはわが妻たちにも見えるようになる。
「あたしゃ何度でも言うが、やっぱり幼児とのこのキスはアウトだと思うよ。」
「わたくしも同感ですわね。」
「僕は羨ましいかな。」
「ちょっと、ビーチェ、何てこと言うのよ。」
「しかし、アイチャを差し置いて、わが君が契約してしまってよかったのか?」
「ああ、アイチャには散々確認したからな。俺が契約してもいいそうだ。
な、アイチャ。」
「…。」あれ?返事がない。
目にいっぱい涙を溜めている。おいおい、そんな反応をされたら、まるで俺が横取りしたみたいじゃないか!ま、実際そうだけど。
その後、精霊たちとの情報共有の儀式が始まる。白く輝くソルの所へ、7人の精霊たちがやって来て、緑色、橙色、赤色、藍色、青色、紫色、黄色にそれぞれ輝き出した。
ソルを含めた8人で手を取り合って、くるくる回り出し、8人はソルを中心に交互にキスをして、それぞれが特大な光の珠になり、いつも通り、俺のまわりをくるくると回った。そして人型に戻ると、精霊たちの情報共有は完了している。
『ソルは、ゲオルクとの、思い出を、皆から、教わった。』
『ツリが教えたー。』『クレもー。』『フィアもー。』『チルもー。』『ワラもー。』『ウィンもー。』『メタもー。』
『ツリたちは、ソルの思い出を教わったー。』ソルの記憶を共有した精霊たちが、ソルの気持ちを代弁する。
『ソルは、アイチャと契約したかったー。』
『ソルは、アイチャが契約してくれなくて寂しかったー。』
『そこへゲオルクが来たー。』
『アイチャが、ちゅーがいやだと言うから、ソルは、ゲオルクと契約したー。』
『ソルは、これからはゲオルクと冒険するー。』
『ソルは、アイチャとさよならするー。』うわ、えげつねぇほど抉るわぁ。苦笑
『アイチャ、バイバイ。元気でね。』ソルがトドメを刺した。
うわーん。と、アイチャが泣き出した。仕方ないなと思う反面、今更ここで泣かれてもなぁ。とも思う。
「アイチャ、泣かれても困るよ。俺は散々確認したからな。君がツンデレのツンだけを通して招いた結果がこれなんだぜ。」
「うえーんっ、ひっく。げいやぐ、ずるから…、ゾルざまを、がえじでぇー。」泣きながらだから、何言ってんだかよく分からない。
何度か聞き直して、「契約するからソル様を返して。」と言ってることが分かった。でも精霊はひとりとしか契約できない。アイチャと契約するには、俺との契約を解消しなければならない。
『アイチャ。ソルは、ゲオルクと、契約した。もう、アイチャと、契約は、できない。』ソルは俺との契約を解消する気はないようだ。
うわーん。泣きやまねぇ。てか、ソルの拒絶で、泣き方だより一層激しくなった。もうアイチャはわが妻たちに任すか…。そうだ!
「ソル。」
俺はアイチャの感情の高ぶりを抑え、悲しみから回復させる、鎮静化のイメージをソルに送った。
『了解!』
明るく白い光がアイチャを包む。なんとも暖かい光が。とたんにアイチャは泣きやんで、落ち着きを取り戻した。おおー。
ついでに、ここまで山登りして来た皆の疲労を回復させる。おおー。凄いな。あれ?ジュヌが、微妙な表情をしている。
「ジュヌ?」
「わたくしの存在価値が…。」ジュヌの顔が蒼褪めている。
「大丈夫よ。ジュヌ、あなたの存在価値は十分あるわ。精霊魔法と比べちゃだめよ。」すでに悟りを開いたリーゼがフォローしている。
各種バフも皆に掛けてみた。おー、これも凄いな。
「あたしの存在価値も、半分持ってかれるんだった。」カルメンが苦虫を嚙み潰したような顔をした。
「気にしちゃだめよ。カルメン。精霊魔法は別物なの。いい?」またもやリーゼがフォローしてくれた。
リーゼは魔術師だから、その領域は最初から俺の精霊魔法と被っていた。最初はとても気にしていたが、すでに「魔法と精霊魔法は別物。」と割り切る境地に達していたのだ。
『ゲオルクー、お腹すいたー。』ソルが大半の魔力を使ったので、べろちゅーで魔力を供給した。ソルの身体が白く光って満タンになった。
「ねぇ、バフが凄いんだけどさ、これってカルメンのバフにソルのバフが上乗せされてない?」
「「「「「え?」」」」」ビーチェの的確な指摘に、俺も他のわが妻たちも驚いた。
支援魔法の重ね掛けは、普通はできないが、精霊魔法と魔法は別物だから二重掛けができるようなのだ。これは間違いなく新発見だ!
後日譚になるが、これも後に大発見として、魔法学会を揺るがすことになるのだった。
さて、これから恒例のひと悶着となる。俺とソルの攻防の始まりだ。苦笑
裸のソルに貫頭衣を着せるのだが、例によって衣類の嫌いな精霊のソルはごねる。まあ恒例の儀式のようなものだ。
『やー、服、嫌ーい。』
「でもさ、ソルは俺と契約して皆から見えるようになったからさ、裸じゃまずいんだよ。」
『ソル、平気だもーん。』
「いやいや、それだと俺が困るんだよ。」
いやいやをするソルを何とか宥めて、貫頭衣を頭からすっぽり被せ、腰のところで紐を結んだ。
「これでよしと。皆と一緒だろ?似合ってるぞー。」
『この紐、やー。窮屈ー。』
「他の人がいるときは頼むよ。すぐ慣れるからさ。」
『ぶー。』むくれ顔もかわいい。笑
「え?ソル様が服を着るなんて…。
なんで?私がいくら頼んでもソル様は服を着てくれなかったのに、なんで使徒様の言うことは聞くの?」
アイチャが、また眼に涙を溜めだした。
「言い方の違いだよ。アイチャの言い方はまるで命令だっただろ?俺はずっと頼み込んだじゃないか。」
「え?」
「裸が普通の精霊たちは、服を嫌うんだ。ソルに嫌なことをしてもらうんだから、命令しちゃぁダメだよ。お願いしなきゃ。」
『そう、アイチャ、ソルの、契約の、お願い、聞いて、くれなかった。なのに、服を、着ろとか、命令、ばかり。ゲオルクの、方がいい。命令だけの、アイチャは、いや。』うわっ、直球ど真ん中だねぇ。
また泣くな、と思ったが、アイチャが泣き出す前に、ソルが再びアイチャに鎮静魔法を掛けた。うん、もう以心伝心ってやつ?ソルが俺の方を見てニコッと微笑み、俺はソルの頭を撫でてやった。
「ソル、グッジョブ。」
『えへへー。』
「なぁ、アイチャ、天才だとか、将来の聖女様とか、ちやほやされて天狗になってたろ?ソルへのツンだけのデレなし塩対応は、傍から見てても感じ悪かったぜ。ソルに対するあの態度が、巡り巡って今回の挫折を招いた訳だが、この挫折でしっかり学ぶんだぞ。」
ソルが俺と契約したから、アイチャが聖女になることはもうなくなったけれどどもな。
「…はい。」うわっ、消え入りそうな声。まぁでも素直に返事ができただけ、見込みはあるかな。
ソルとの契約に際しては、ひと騒動あったが、棚ぼた的にソルと契約することになった。2度の鎮静魔法が効いて落ち着きを取り戻したアイチャだが、聖山からの下山中、ずっとソルを見ていた。そのせいでアイチャは何度か躓いたが…。
しかしソルはと言うと、俺の右肩にちょこんと座って、アイチャなど眼中にないように俺にべったりである。他の精霊たちもそうだったが、なぜか髪をいじくるのが好きなのだ。ずーと楽しそうに俺の髪をいじくっていた。
聖山から下山し、大聖堂に帰って来て、出迎えた教皇に、俺がソルと契約した一部始終を報告した。
「そうですか。あの態度と物言いでは、いつか天使様に愛想を尽かされるではないかと心配してたのですが、やはりそうなってしまいましたか。」
アイチャがギョッとして教皇を見た。そして目を伏せて項垂れる。
「教皇様、ごめんなさい。」
「アイチャ、いいのですよ。これで心置きなく王国に行けますね。見聞を広めて、いろいろ学んで来なさい。将来のためにね。」
ちょっと、この新教皇ったら、意外と大物じゃないか!
宿坊に戻ると、精霊たちは一気に脱ぎ散らかした。それから精霊たちを風呂へと入れる。体を洗ってやると、いつも通りキャッキャと大喜びだった。
さて、ソルは初めて洗ってやった訳だが、どうしても気になることがある。リトルゾウさんの行方だ。ソルを洗ってやるとき、リトルゾウさんが引っ込んでできた縦筋1本をそーっと開いてみた。もしここでリトルゾウさんが、パオーンとか言って出てきたら…。
でも、ちゃんとした女の子だったのでほっとした。苦笑
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/10
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№86 ソルとの契約
「では留学生の人選をよろしくお願い致します。」俺は教皇に念を押した。
「実は巫女見習の中に非常に有望な人材がいます。その者は、10歳にしてすでに上級の回復魔法が使える上に、天使様が見えるようなのです。もし天使様の加護が得られれば、聖女になるのは間違いありません。」
天使様とは精霊のことで、特に教国では光の特大精霊を指す。聖女とは、光の特大精霊と契約した精霊魔術師のことだ。光の特大精霊は回復と能力上昇を司るので、精霊魔術師が女なら聖女、男なら聖人と言うことになる。
なお、光以外の特大精霊と契約した精霊魔術師は使徒様と呼ばれる。だから俺は、教国では使徒様と呼ばれるのだ。
「ほう、光の特大精霊がいるのですか。ぜひお目に掛かってご挨拶したいが。」
「大聖堂の奥の聖山におわします。これからその巫女見習にご案内させましょう。
おい、アイチャを呼んで参れ。」
「その巫女見習には、光の特大精霊と契約しても、王国への留学はしてもらいますよ。」
「もちろんです。しかし契約はまだできないようでして、それで天使様と別れるのが嫌だから王国には行きたくないとゴネておるのです。」
「我が強いのですか?」
「少しばかりですが。まあ、あの歳で天才だの、将来は聖女だのと持てはやされれば、無理もありません。根は素直な娘ですがね、ときどき我儘を言います。」
しばらくして、女の子が連れて来られた。10歳と言ってたから三の姫殿下のマリー様より少し上だな。なかなかの美少女だ。
「アイチャ、このお方は使徒様だ。天使様にお目に掛かりたいそうだ。そなた、ご案内せよ。」
「このお方が使徒様?え?天使様が大勢!」
俺の精霊たちがアイチャのまわりを取り囲んだ。第三形態の俺の精霊たちは、見た目が第二形態ぐらいのアイチャよりは大人びている。
精霊たちがアイチャに話し掛け、アイチャが微笑んで対応している。うん、精霊たちのこの反応、アイチャは精霊を見ることができるだけでなく、話しもできると言うことで間違いない。
「アイチャ、初めまして。俺はゲオルク。精霊魔術師だ。教国では使徒と言うらしいがな。」
「使徒様、お会いできて光栄です。アイチャと申します。」なんだよ、我儘どころか至って素直じゃねぇか。
「俺の精霊たちとすっかり打ち解けたようだね。」
「はい、お姉様の天使様とお会いするのは初めてなので、びっくりしました。」
「では光の精霊は男の子なのかな?」
「はい。」
男の精霊は初めてだな。しかし、もうそれだけで俺の中では、光の特大精霊と契約する気が失せてしまった。男とちゅーはできん。
それでも光の特大精霊には興味があるので案内してもらうことにした。
アイチャに先導されて、俺、精霊たち、わが妻たちは、大聖堂の奥を抜け、教都の奥にある聖山に登り始めた。
聖山の8合目辺りで、アイチャが呼び掛け出した。
「天使様ー。ソル様ー。」
『アイチャ?ソルと、契約する気に、なった?』
現れた光の特大精霊は、4~5歳くらいに見える第一形態で、話し方もたどたどしい。俺の精霊たちの第一形態の頃を思い出す。ちょっと懐かしい。
そして、ベリベリリトルなゾウさんをぶら下げていた。おー、正真正銘、男の子だ。笑
「ソル様、裸で出て来ないでって言ったでしょ!」え?アイチャはずいぶん強気だな。
『服は、嫌い。』
「隠してよ。女の子に見せないで!」
『むぅ、アイチャ、我儘。』
「女の子は、皆そうなのよ。男の子とは違うのっ!」
なるほど、10歳程度じゃ、リトルゾウさんは恥ずかしいか。
大人になりゃ、リトルゾウさんが変身したドラゴンを喜んでしゃぶるようになるのになー。笑
そう思ってわが妻たちを見ると、5人とも「「「「「ん?」」」」」って感じで首を傾げた。かわいい♪
『アイチャ、ソルと、契約、しよ。』
「いやよ。ちゅーなんてできないわ。それより、こちらは使徒様よ。ソル様に会いたいんですって。」
あ、こりゃツンデレって奴だな。今のところ、一切デレてないからツンのみか。笑
「ソルって言うんだ。俺はゲオルク、よろしくね。」
『ソルだよ。え?ゲオルク、凄い、魔力。』ソルはふわふわと飛んで来て俺のまわりをぐるぐる回った。そこに俺の精霊たちも加わった。何やら思念の交感をしてるっぽい。
『ゲオルク、ソルと、契約する?』
「え?ソルはアイチャと契約するんじゃないの?」あっさり俺に乗り換えるのか?ちょっと驚いた。
『アイチャは、契約の、ちゅーが、嫌い。』
「ソル、俺も男の子とのちゅーはちょっとなー。ごめんよ。」
『あ、そっか。』
空中に浮遊したまま大の字になったソルが光り出したと思ったら、なんとリトルゾウさんがみるみる縮んで股間に吸い込まれて行き、リトルゾウさんがいた場所は、縦筋1本ができていた。
『これなら、いい?』
「女の子になったのか?」いや、ぶっちゃけ魂消た。精霊が性別を変えられることは聞いていたけれども、性別を変えるところを見たのは初めてだ。
『うん。』
まじか?本当に性別を変えたのか?実際に眼の前で見たのに、それでも信じがたい。こりゃ目の前でやって見せたら、ルードビッヒ教授が狂喜しそうだな。
精霊たちは契約者から体液を経由して魔力を得る。契約者から効率よく魔力を含んだ体液を得やすい様に、契約者が望む性別になる。
つまり、ソルは女の子のアイチャに合わせて男の子だった訳だが、契約の対象を男の俺に変えたので、俺が好む女の子になったのだ。まぁ、実際のところ、俺が好むのは女の子ではなく、大人の女性だがなっ!
「嘘…。ソル様が女の子に…。」アイチャが両手を口に当てて絶句している。
「なぁ、アイチャ、このまま俺がソルと契約してもいいのか?」
「べ、別に。」プイッと横を向いた。何だよ、急に素直じゃねぇなぁ。
「本当にアイチャがソルと契約しなくてもいいのか?契約はソルとちゅーするだけだぞ。」
「私はソル様とちゅーなんてしたくないのっ!」おいおい、ツンを俺にも向けて来るのか?
「くどいようだが、本当にいいんだな?」
「いいって言ってるでしょ!」
じゃぁ、頂いちまうか。
きっとソルが俺と契約するとは、ハナから思ってないんだろうな。甘い甘い。現実の厳しさを教えてやろう。そしてその事実を突き付けられたとき、間違いなく後悔するんだろうなぁ。で、後悔したときにはもう手遅れってか。ま、そこから学ぶんだな。
「よし、ソル。アイチャは契約したくないようだから、俺と契約しよう。」
『おっけー。』
「えっ?ソル様?」アイチャが驚いたようにソルを見た。やはりソルが俺と本気で契約するとは思ってなかったようだ。
ソルが俺の頭を抱え込んで濃厚なべろちゅーをして来た。契約の儀式だ。
「ソル様、待って!」アイチャが叫んだが、もう遅い。
俺もソルを受け止めソルに応える。アイチャは見る見ると真っ赤になって俯いた。流石にべろちゅーは、10歳の女の子には正視できないか。笑
ソルの身体が白く輝き出す。契約完了だ。第一形態のソルとの契約が完了したので、俺の魔力量の上限は1万増えて、42万5000になった。
契約成立と同時にソルはわが妻たちにも見えるようになる。
「あたしゃ何度でも言うが、やっぱり幼児とのこのキスはアウトだと思うよ。」
「わたくしも同感ですわね。」
「僕は羨ましいかな。」
「ちょっと、ビーチェ、何てこと言うのよ。」
「しかし、アイチャを差し置いて、わが君が契約してしまってよかったのか?」
「ああ、アイチャには散々確認したからな。俺が契約してもいいそうだ。
な、アイチャ。」
「…。」あれ?返事がない。
目にいっぱい涙を溜めている。おいおい、そんな反応をされたら、まるで俺が横取りしたみたいじゃないか!ま、実際そうだけど。
その後、精霊たちとの情報共有の儀式が始まる。白く輝くソルの所へ、7人の精霊たちがやって来て、緑色、橙色、赤色、藍色、青色、紫色、黄色にそれぞれ輝き出した。
ソルを含めた8人で手を取り合って、くるくる回り出し、8人はソルを中心に交互にキスをして、それぞれが特大な光の珠になり、いつも通り、俺のまわりをくるくると回った。そして人型に戻ると、精霊たちの情報共有は完了している。
『ソルは、ゲオルクとの、思い出を、皆から、教わった。』
『ツリが教えたー。』『クレもー。』『フィアもー。』『チルもー。』『ワラもー。』『ウィンもー。』『メタもー。』
『ツリたちは、ソルの思い出を教わったー。』ソルの記憶を共有した精霊たちが、ソルの気持ちを代弁する。
『ソルは、アイチャと契約したかったー。』
『ソルは、アイチャが契約してくれなくて寂しかったー。』
『そこへゲオルクが来たー。』
『アイチャが、ちゅーがいやだと言うから、ソルは、ゲオルクと契約したー。』
『ソルは、これからはゲオルクと冒険するー。』
『ソルは、アイチャとさよならするー。』うわ、えげつねぇほど抉るわぁ。苦笑
『アイチャ、バイバイ。元気でね。』ソルがトドメを刺した。
うわーん。と、アイチャが泣き出した。仕方ないなと思う反面、今更ここで泣かれてもなぁ。とも思う。
「アイチャ、泣かれても困るよ。俺は散々確認したからな。君がツンデレのツンだけを通して招いた結果がこれなんだぜ。」
「うえーんっ、ひっく。げいやぐ、ずるから…、ゾルざまを、がえじでぇー。」泣きながらだから、何言ってんだかよく分からない。
何度か聞き直して、「契約するからソル様を返して。」と言ってることが分かった。でも精霊はひとりとしか契約できない。アイチャと契約するには、俺との契約を解消しなければならない。
『アイチャ。ソルは、ゲオルクと、契約した。もう、アイチャと、契約は、できない。』ソルは俺との契約を解消する気はないようだ。
うわーん。泣きやまねぇ。てか、ソルの拒絶で、泣き方だより一層激しくなった。もうアイチャはわが妻たちに任すか…。そうだ!
「ソル。」
俺はアイチャの感情の高ぶりを抑え、悲しみから回復させる、鎮静化のイメージをソルに送った。
『了解!』
明るく白い光がアイチャを包む。なんとも暖かい光が。とたんにアイチャは泣きやんで、落ち着きを取り戻した。おおー。
ついでに、ここまで山登りして来た皆の疲労を回復させる。おおー。凄いな。あれ?ジュヌが、微妙な表情をしている。
「ジュヌ?」
「わたくしの存在価値が…。」ジュヌの顔が蒼褪めている。
「大丈夫よ。ジュヌ、あなたの存在価値は十分あるわ。精霊魔法と比べちゃだめよ。」すでに悟りを開いたリーゼがフォローしている。
各種バフも皆に掛けてみた。おー、これも凄いな。
「あたしの存在価値も、半分持ってかれるんだった。」カルメンが苦虫を嚙み潰したような顔をした。
「気にしちゃだめよ。カルメン。精霊魔法は別物なの。いい?」またもやリーゼがフォローしてくれた。
リーゼは魔術師だから、その領域は最初から俺の精霊魔法と被っていた。最初はとても気にしていたが、すでに「魔法と精霊魔法は別物。」と割り切る境地に達していたのだ。
『ゲオルクー、お腹すいたー。』ソルが大半の魔力を使ったので、べろちゅーで魔力を供給した。ソルの身体が白く光って満タンになった。
「ねぇ、バフが凄いんだけどさ、これってカルメンのバフにソルのバフが上乗せされてない?」
「「「「「え?」」」」」ビーチェの的確な指摘に、俺も他のわが妻たちも驚いた。
支援魔法の重ね掛けは、普通はできないが、精霊魔法と魔法は別物だから二重掛けができるようなのだ。これは間違いなく新発見だ!
後日譚になるが、これも後に大発見として、魔法学会を揺るがすことになるのだった。
さて、これから恒例のひと悶着となる。俺とソルの攻防の始まりだ。苦笑
裸のソルに貫頭衣を着せるのだが、例によって衣類の嫌いな精霊のソルはごねる。まあ恒例の儀式のようなものだ。
『やー、服、嫌ーい。』
「でもさ、ソルは俺と契約して皆から見えるようになったからさ、裸じゃまずいんだよ。」
『ソル、平気だもーん。』
「いやいや、それだと俺が困るんだよ。」
いやいやをするソルを何とか宥めて、貫頭衣を頭からすっぽり被せ、腰のところで紐を結んだ。
「これでよしと。皆と一緒だろ?似合ってるぞー。」
『この紐、やー。窮屈ー。』
「他の人がいるときは頼むよ。すぐ慣れるからさ。」
『ぶー。』むくれ顔もかわいい。笑
「え?ソル様が服を着るなんて…。
なんで?私がいくら頼んでもソル様は服を着てくれなかったのに、なんで使徒様の言うことは聞くの?」
アイチャが、また眼に涙を溜めだした。
「言い方の違いだよ。アイチャの言い方はまるで命令だっただろ?俺はずっと頼み込んだじゃないか。」
「え?」
「裸が普通の精霊たちは、服を嫌うんだ。ソルに嫌なことをしてもらうんだから、命令しちゃぁダメだよ。お願いしなきゃ。」
『そう、アイチャ、ソルの、契約の、お願い、聞いて、くれなかった。なのに、服を、着ろとか、命令、ばかり。ゲオルクの、方がいい。命令だけの、アイチャは、いや。』うわっ、直球ど真ん中だねぇ。
また泣くな、と思ったが、アイチャが泣き出す前に、ソルが再びアイチャに鎮静魔法を掛けた。うん、もう以心伝心ってやつ?ソルが俺の方を見てニコッと微笑み、俺はソルの頭を撫でてやった。
「ソル、グッジョブ。」
『えへへー。』
「なぁ、アイチャ、天才だとか、将来の聖女様とか、ちやほやされて天狗になってたろ?ソルへのツンだけのデレなし塩対応は、傍から見てても感じ悪かったぜ。ソルに対するあの態度が、巡り巡って今回の挫折を招いた訳だが、この挫折でしっかり学ぶんだぞ。」
ソルが俺と契約したから、アイチャが聖女になることはもうなくなったけれどどもな。
「…はい。」うわっ、消え入りそうな声。まぁでも素直に返事ができただけ、見込みはあるかな。
ソルとの契約に際しては、ひと騒動あったが、棚ぼた的にソルと契約することになった。2度の鎮静魔法が効いて落ち着きを取り戻したアイチャだが、聖山からの下山中、ずっとソルを見ていた。そのせいでアイチャは何度か躓いたが…。
しかしソルはと言うと、俺の右肩にちょこんと座って、アイチャなど眼中にないように俺にべったりである。他の精霊たちもそうだったが、なぜか髪をいじくるのが好きなのだ。ずーと楽しそうに俺の髪をいじくっていた。
聖山から下山し、大聖堂に帰って来て、出迎えた教皇に、俺がソルと契約した一部始終を報告した。
「そうですか。あの態度と物言いでは、いつか天使様に愛想を尽かされるではないかと心配してたのですが、やはりそうなってしまいましたか。」
アイチャがギョッとして教皇を見た。そして目を伏せて項垂れる。
「教皇様、ごめんなさい。」
「アイチャ、いいのですよ。これで心置きなく王国に行けますね。見聞を広めて、いろいろ学んで来なさい。将来のためにね。」
ちょっと、この新教皇ったら、意外と大物じゃないか!
宿坊に戻ると、精霊たちは一気に脱ぎ散らかした。それから精霊たちを風呂へと入れる。体を洗ってやると、いつも通りキャッキャと大喜びだった。
さて、ソルは初めて洗ってやった訳だが、どうしても気になることがある。リトルゾウさんの行方だ。ソルを洗ってやるとき、リトルゾウさんが引っ込んでできた縦筋1本をそーっと開いてみた。もしここでリトルゾウさんが、パオーンとか言って出てきたら…。
でも、ちゃんとした女の子だったのでほっとした。苦笑
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/10
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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