88 / 183
精霊の加護085 教国と同盟締結
しおりを挟む
精霊の加護
Zu-Y
№85 教国と同盟締結
東部公爵様とミュンヒェー辺境伯に見送られて、俺たち使節団は、国境を越えて教国に入った。
そのまま、俺がぶっ潰した砦跡の片方に差し掛かると、教国側から出迎えの部隊が来ていて、出迎え部隊の代表がこちらに誰何して来た。
「使徒様御一行とお見受けしますが?」使徒様御一行って…。
「我らはトレホス王国からの同盟締結使節団である。」王国の高官の代表が応対するが、
「使徒様御一行ですな。」
「いや、同盟締結使節団である。」
と、押し問答が続いている。
この押し問答を続ける意味がさっぱり分からない。俺が同盟締結使節団の正使で、精霊魔術師を使徒様と呼ぶのが教国流だから、この押し問答は、
「精霊魔術師ゲオルク様御一行ですな?」
「いや、ゲオルク・スピリタス卿が正使の同盟締結使節団である。」
と言うことであり、突き詰めれば「ゲオルクだよね?」「いや、ゲオルクだ。」と言うことなのだ。この押し問答はまったくもって無意味である。
いい加減しびれを切らした俺は、高官を差し置いて、
「トレホス王国同盟締結使節団正使、精霊魔術師ゲオルク・スピリタス子爵だ。」
と、割って入った。
「スピリタス卿、お控え下さい。」と高官は言うが、
「おお、使徒様ー。お久しゅうございます。」と出迎え部隊の代表が跪いた。部隊の連中が皆それに倣う。
「あ、そなたは先だっての教国の使節団にいた者だな。」俺は高官をスルーして出迎え部隊の代表に声を掛けた。
「はい。お迎えに上がりました。」
「出迎え大儀。」
「ゲオルクどの。お控え下さい。」高官はまだ文句を言っている。
「お前さー、さっきのやり取りが不毛だって分からないのかよ。高官の癖に頭悪ぃな。」
「ぶ、無礼な!」
「勘違いするなよ。正使は俺だ。お前らは俺の外交を補佐する事務方だぞ。」
「しかし…。」
「しかしじゃねぇよ。向こうの誰何に、最初に絡んだのはお前だろうが!それとも何か?お前は、王太子殿下肝入りのこの同盟を潰す気なのか?」
「め、滅相もございません。」
「小役人風情が小賢しいことをするんじゃねぇよ。もっと大局を見ろや。お前は使えねぇから要らねぇ。帰れ。」
「へ?」
「使節団から除名する。王都に帰れ。」
「そ、それはご勘弁を。」
「ならん。王都に帰れ!」
他の高官たちがこぞってこの使えねぇ高官の除名撤回を取り成して来たので、俺も折れて、騒ぎを起こした高官が頭を丸めることで許してやった。なんて心が広い俺。笑
高官たちが引きつる中、件の高官の頭をその場で丸坊主にして、教国からの出迎え部隊と一緒に、教都へと向かった。これから1週間の行程だ。
最初の宿場町に入ると町を挙げての大歓迎だった。民たちの、俺たちに対する呼び方が変だ!使徒様=精霊魔術師の俺、女神様=わが妻たち、天使様=精霊たちと言うことらしい。
一方、高官たちは一切見向きもされない。何と現金なことか。
「あの使徒様には、7人もの天使様がついていらっしゃるぞ!どういうことだ?普通はおひとりのはずなのだが。」
「普通の使徒様ではないのではないか?しかも、あの使徒様には、5柱もの女神様の加護を得ているようだぞ。」
わが妻たちは教国に入ってからは、教国からの使節団に受けが良かったスピリタス調のドレスを着ている。これを着ると女神に見えるらしい。まあ、皆、超美人だしな。それと俺にとっては正真正銘の女神様だ。
「本当に使徒様なのか?使徒様のお姿をした精霊神様ではないのか?」だんだん噂がヒートアップして行く。
「偽物はこのお方に楯突いたのだな。」
「まったくあの偽物め、八つ裂きにしてしまえばいいのだ。」前教皇への風当たりはかなり厳しい。もはや元教皇ではなく、『偽物』で通用してしまっている。
「使徒様、ぜひお言葉を。」と言うことになったので、
「皆の者、よく聞けぃ。俺は王国の精霊魔術師、ゲオルク・スピリタスだ。出迎え大儀。王国と教国の同盟、俺は非常に嬉しく思う。これで大陸東半分の和平は約束された様なものだ。神もお喜びであろう。」
おー、と地鳴りのような歓声が辺りを包む。俺は抑える仕草をして、熱狂する民を黙らせた。
「さて、ここでひとつ皆に頼みたい。20年以上前、王国と教国が疎遠になるきっかけとなった、王国の先代ミュンヒェー辺境伯夫妻の暗殺事件に関与した者が、いまだに教国に潜伏している。奴らは王国の敵であるとともに、教国の敵でもある。実行犯はもとより、黒幕も含めて陰謀に携わった者全員を捕らえ、責任を取らせたい。王国と教国の和平を揺ぎなきものとするため、ぜひ過去の遺恨を解消し、禍根を断ち切りたいのだ。皆の協力に期待する。」
再び地鳴りのような歓声と拍手。
このような光景が、教都に着くまで、町々で延々と続いたのだった。
町々の演説で、先代ミュンヒェー辺境伯夫妻の暗殺犯の炙り出しを説いたのは、もちろんハイジのためでもあるが、間違いなく反王国派が裏で糸を引いて暗殺犯を操ってたはずだから、反王国派を一掃するための口実作りと言うのが本音のところだ。
新教皇は親王国派だから、使徒である俺からの依頼と言うことを利用して、徹底的に反王国派を粛正するだろう。もう20年以上も前のことだから真犯人が出るかは分からないが、反王国派を片っ端から犯人グループに連座した者として、それこそでっち上げてでも粛正するんじゃないだろうか?
教国に入ってから1週間目、いよいよ、今日中には教都に着く。昨日あたりから、道端に白い珠が増えて来た。これらは皆、光の精霊である。
小さい珠の精霊は感情のみが分かり、大きい珠の精霊になるとたどたどしいが、思念の交換で会話もできるようになる。特大の珠の精霊で人型を取れるようになり、さらに人型で実体化できるようになると、契約が可能になる。
休憩に馬車を止めて降りようものなら、俺や俺の精霊たちに魅かれて、白く発光する光の精霊たちが集まって来るのだが、この美しい光景をわが妻たちは見ることができない。精霊を見る能力がない一般人には、契約精霊以外の普通の精霊は、見えないからだ。
集まって来る精霊たちは皆、友好的な感情を持っていて、教都の奥には光の特大精霊がいることを教えてくれた。光の特大精霊が契約したがっている巫女見習がひとりいるそうだが、どうもその巫女見習の子が幼過ぎるために、いまだ契約には至っていないらしい。
あらら、光の特大精霊は売約済みか。残念。まぁでも会って行くだけは行こう。ひょっとすると、契約できる能力を持っているのがその見習巫女だけなのかもしれない。
であるならば、契約相手はその巫女見習でなくてもいいのではないか?それこそ、俺が行ったらすんなり俺と契約してくれるかもしれないもんな。
そしてとうとう教都に着いた。教国の首都だけあって、人も多く活気がある。
王国からの同盟締結使節団の馬車と言うよりは、精霊魔術師=神の使徒である俺の乗る馬車として、沿道に居並ぶ大勢の群衆から大歓迎された。そのまま馬車は教都の北側一帯に建立された大聖堂へと進んで行く。大聖堂のさらに奥には聖山がある。つまり教都は、聖山の南麓に位置する都市なのだ。
教都の北側一帯に建立された大聖堂は、とんでもない規模を誇り、流石教国と言わざるを得ない。
この大聖堂は、非常に多くの機能を備えた複合施設だ。もちろん信仰と礼拝の場でもあるが、聖職者の道場でもあり、政庁でもあり、神学生や巫女見習の教育の場であり、病院でもあり、外交使節の受け入れの場でもある。
俺たち使節団にも、宿泊所として大聖堂内のVIP用宿房があてがわれた。俺、わが妻たち、精霊たちにひと部屋ずつと、高官たちにふた部屋の計5部屋があてがわれたのだが、精霊たちは最初から俺の部屋に入り浸ったので、結局は俺と精霊たちが同部屋となった。笑
精霊たちは部屋に入るといつもの如く衣類を脱ぎ散らかして、真っ裸で浮遊している。それを見た部屋付きの侍女たちが面食らっていた。こうなると悪戯好きの精霊たちが間違いなく仕掛けて来る。侍女たちを揶揄うのだ。
『ゲオルク、お腹すいたー。』からの濃厚なキス=魔力補給7連発で侍女たちの度肝を抜き、
『ゲオルクー、おっきくなーれ。してー。』からの胸の蕾のマッサージ7連発で、侍女たちの蔑みのジト目を誘引し、
『ゲオルクー、ぺろぺろしてー。』からの…、流石にそれは逃げた。汗
侍女たちが出て行くと、精霊たちは『うふふ。』と笑って離れて行き、再びふわふわと漂うのだ。苦笑
適当に部屋付き侍女たちを揶揄って遊んでいた精霊たちは、次は風呂と言い出した。VIP用宿坊なだけあって、結構広い浴室もある。
順に洗ってやると、精霊たちはご機嫌になった。本当に風呂や水浴びが好きである。
そう言えば1回だけ酔っ払って、精霊たちを風呂に入れずに爆睡したことがあったのだが、翌朝の精霊たちは、物凄く機嫌が悪くなってて、しばらくの間、口を利いてくれなくなったっけ。
夕餉は、部屋食と言うので、俺ひとりで食うのは寂しいから、わが妻たちも俺の部屋に呼んで、一緒に食事を摂ることにした。
「えー、ダーリンの部屋が一番大きいねー。」
「精霊たちが来てくれてよかったよ。」
「うむ、この広さがあるなら私たちもこの部屋に移って来ようではないか?」
「そうですわね。旦那様、よろしいかしら?」
「もちろんですともっ!」
「おいおい、お前さん、変な期待はしないでおくれよ。」
「いやー、ははは。」眼を逸らす俺。
「あなた、ぱふぱふまでよ。いいわね。」おーっと、ぱふぱふはありなんかい!やった、ラッキー♪
夕餉と一緒に供された酒は、ラクと言うブドウの蒸留酒で、アニスと言うセリの仲間のハーブの種で匂い付けされている。無色透明だが、水で割ると白く濁ると言うちょっと変わった酒だ。教国では「獅子の乳」とも言うらしい。
第三形態になって、酒を呑むようになった精霊たちも、喜んでラクを呑んでいる。ただ、酒を呑むときは、俺から口移しでしか呑まない。酒には魔力を増幅する能力があるようで、口移しの飲酒で唾液に含まれる魔力を増幅するのだ。
俺はこの魔力と酒に関する研究で博士号を取得した。と言っても東府魔法学院のルードビッヒ主任教授の研究に散々付き合わされて、それを教授が論文にまとめたのだが、「発表と質疑応答はお前がやれ。」と教授に言われ、徹底的に発表の練習をさせられて、あれよあれよという間に学会で発表する羽目になったのだ。
発表後の質疑応答では、王都、西府、南府、北府の魔法学院の主任教授から様々な質問を受けたが、すべて澱みなく回答し、さらには、的外れな質問の原因となった誤解を指摘したりして、結果的に俺の研究発表は非常に高い評価を得た。
話は逸れたが、精霊たちの飲酒は、供給魔力の増幅手段である。ゆえに、形態進化が進んで契約維持の魔力量が増えると、補給する魔力を増幅するために、飲酒をするようになるのだ。
当たり前だが酒を呑むと酔う。俺は呑み過ぎで酔い潰れて散々な失敗もして来た。まあそれは置いといて、精霊たちも呑めば酔うのである。
第三形態は比較的すぐに魔力が満タンになるため、呑み過ぎると言うことはないが、精霊たちは酔って陽気になる。
「キャハハ。」と笑い転げ、ちゅーして、揉んで、舐めて、と要求がエスカレートして来るのだ。
俺はわが妻たちのバインバインが好みなので、第三形態の小振りな胸は、はっきり言ってパスなのだが、第五形態になったとき、バインバインになるように揉んでやっている。「大きくなぁれ。」と念じて。
お開きとなるにあたり、わが妻たちから5連ぱふぱふをしてもらって、この夜は床に就いたのだった。
翌日は午前中から、同盟締結のセレモニーが行われた。大聖堂の一番大きい広間で、トレホス王国王太子殿下の名代である俺と、神聖ニュシト教国教皇の間で同盟内容の確認の後、調印が行われた。同盟の内容は以下の通り。
両国は互いの危機に際しては最優先で救援に向かう。
両国間の貿易の関税をなくす。
国民の往来は出国側のパスポートと入国側にビザの発給により認める。
教国はゲオルク・スピリタス卿に対し、教国内の自由行動権を保証する。
王国はゲオルク・スピリタス卿が、定期的に教国を訪れることを認める。
教国の優秀な神学生または巫女見習を、常に王国に留学させる。
教国は教国内の反王国勢力を一掃する。
王国からの要求があった場合、教国は捕らえた反王国勢力を王国に引き渡す。
かなり一方的な同盟である。相互救援、関税廃止、人材交流まではよい。ゲオルクの自由行動権、教国から王国への人質、反王国勢力の一掃と引き渡しは、教国が王国の属国になったことを認めさせる内容だ。
しかし、親王国派の新教皇は同盟の条約書類に署名した。それ程、新教皇は王国との同盟、いや、神の使徒=精霊魔術師のゲオルクと誼を通じることに必死なのだ。これを見誤って、前教皇は失脚した。
当然ゲオルクも署名し、王国・教国同盟は成ったのだ。
「使徒様、遠路はるばる同盟の締結にお出で頂きまして有難うございました。」
「なんの、教皇様におかれましては、過分なおもてなしの数々、痛み入ります。」
「滅相もございません。」
「ときに、同盟の条文にある反王国派の一掃ですが、くれぐれもよろしくお願い致します。」
「もちろん肝に銘じておりますよ。」
「王国と教国の関係がぎくしゃくし出した、20年以上前の、先代ミュンヒェー辺境伯御夫妻の暗殺についても、真犯人と黒幕の炙り出しを、くれぐれもお願い致します。」
「もちろんです。お任せ下さい。」
「そうは仰っても20年以上の前の事件です。並大抵のことではありますまい。」
「左様、並大抵のことではありません。が、しかし、本気で探す気になれば必ず見付かるものです。きっと見付け出して王国に引き渡しますからお任せ下さい。」ははぁ、でっち上げてでも犯人と黒幕を用意する気だな。
「なるほど、その意気込み、感じ入りました。教国の捜査に期待しております。朗報をお待ちしていますよ。」今更だからな、それで構わんよ。との意を込めた。
俺と教皇のアイコンタクト。うん、この教皇とはツーカーの仲で上手くやって行けそうだ。笑
「ふふ。」「ははは。」
「「わはははは。」」
『越後屋、お主も悪よのぅ。』『何を仰います。お代官様こそ。』と言う信頼?関係が、俺と教皇の間に出来上がった瞬間だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/3
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№85 教国と同盟締結
東部公爵様とミュンヒェー辺境伯に見送られて、俺たち使節団は、国境を越えて教国に入った。
そのまま、俺がぶっ潰した砦跡の片方に差し掛かると、教国側から出迎えの部隊が来ていて、出迎え部隊の代表がこちらに誰何して来た。
「使徒様御一行とお見受けしますが?」使徒様御一行って…。
「我らはトレホス王国からの同盟締結使節団である。」王国の高官の代表が応対するが、
「使徒様御一行ですな。」
「いや、同盟締結使節団である。」
と、押し問答が続いている。
この押し問答を続ける意味がさっぱり分からない。俺が同盟締結使節団の正使で、精霊魔術師を使徒様と呼ぶのが教国流だから、この押し問答は、
「精霊魔術師ゲオルク様御一行ですな?」
「いや、ゲオルク・スピリタス卿が正使の同盟締結使節団である。」
と言うことであり、突き詰めれば「ゲオルクだよね?」「いや、ゲオルクだ。」と言うことなのだ。この押し問答はまったくもって無意味である。
いい加減しびれを切らした俺は、高官を差し置いて、
「トレホス王国同盟締結使節団正使、精霊魔術師ゲオルク・スピリタス子爵だ。」
と、割って入った。
「スピリタス卿、お控え下さい。」と高官は言うが、
「おお、使徒様ー。お久しゅうございます。」と出迎え部隊の代表が跪いた。部隊の連中が皆それに倣う。
「あ、そなたは先だっての教国の使節団にいた者だな。」俺は高官をスルーして出迎え部隊の代表に声を掛けた。
「はい。お迎えに上がりました。」
「出迎え大儀。」
「ゲオルクどの。お控え下さい。」高官はまだ文句を言っている。
「お前さー、さっきのやり取りが不毛だって分からないのかよ。高官の癖に頭悪ぃな。」
「ぶ、無礼な!」
「勘違いするなよ。正使は俺だ。お前らは俺の外交を補佐する事務方だぞ。」
「しかし…。」
「しかしじゃねぇよ。向こうの誰何に、最初に絡んだのはお前だろうが!それとも何か?お前は、王太子殿下肝入りのこの同盟を潰す気なのか?」
「め、滅相もございません。」
「小役人風情が小賢しいことをするんじゃねぇよ。もっと大局を見ろや。お前は使えねぇから要らねぇ。帰れ。」
「へ?」
「使節団から除名する。王都に帰れ。」
「そ、それはご勘弁を。」
「ならん。王都に帰れ!」
他の高官たちがこぞってこの使えねぇ高官の除名撤回を取り成して来たので、俺も折れて、騒ぎを起こした高官が頭を丸めることで許してやった。なんて心が広い俺。笑
高官たちが引きつる中、件の高官の頭をその場で丸坊主にして、教国からの出迎え部隊と一緒に、教都へと向かった。これから1週間の行程だ。
最初の宿場町に入ると町を挙げての大歓迎だった。民たちの、俺たちに対する呼び方が変だ!使徒様=精霊魔術師の俺、女神様=わが妻たち、天使様=精霊たちと言うことらしい。
一方、高官たちは一切見向きもされない。何と現金なことか。
「あの使徒様には、7人もの天使様がついていらっしゃるぞ!どういうことだ?普通はおひとりのはずなのだが。」
「普通の使徒様ではないのではないか?しかも、あの使徒様には、5柱もの女神様の加護を得ているようだぞ。」
わが妻たちは教国に入ってからは、教国からの使節団に受けが良かったスピリタス調のドレスを着ている。これを着ると女神に見えるらしい。まあ、皆、超美人だしな。それと俺にとっては正真正銘の女神様だ。
「本当に使徒様なのか?使徒様のお姿をした精霊神様ではないのか?」だんだん噂がヒートアップして行く。
「偽物はこのお方に楯突いたのだな。」
「まったくあの偽物め、八つ裂きにしてしまえばいいのだ。」前教皇への風当たりはかなり厳しい。もはや元教皇ではなく、『偽物』で通用してしまっている。
「使徒様、ぜひお言葉を。」と言うことになったので、
「皆の者、よく聞けぃ。俺は王国の精霊魔術師、ゲオルク・スピリタスだ。出迎え大儀。王国と教国の同盟、俺は非常に嬉しく思う。これで大陸東半分の和平は約束された様なものだ。神もお喜びであろう。」
おー、と地鳴りのような歓声が辺りを包む。俺は抑える仕草をして、熱狂する民を黙らせた。
「さて、ここでひとつ皆に頼みたい。20年以上前、王国と教国が疎遠になるきっかけとなった、王国の先代ミュンヒェー辺境伯夫妻の暗殺事件に関与した者が、いまだに教国に潜伏している。奴らは王国の敵であるとともに、教国の敵でもある。実行犯はもとより、黒幕も含めて陰謀に携わった者全員を捕らえ、責任を取らせたい。王国と教国の和平を揺ぎなきものとするため、ぜひ過去の遺恨を解消し、禍根を断ち切りたいのだ。皆の協力に期待する。」
再び地鳴りのような歓声と拍手。
このような光景が、教都に着くまで、町々で延々と続いたのだった。
町々の演説で、先代ミュンヒェー辺境伯夫妻の暗殺犯の炙り出しを説いたのは、もちろんハイジのためでもあるが、間違いなく反王国派が裏で糸を引いて暗殺犯を操ってたはずだから、反王国派を一掃するための口実作りと言うのが本音のところだ。
新教皇は親王国派だから、使徒である俺からの依頼と言うことを利用して、徹底的に反王国派を粛正するだろう。もう20年以上も前のことだから真犯人が出るかは分からないが、反王国派を片っ端から犯人グループに連座した者として、それこそでっち上げてでも粛正するんじゃないだろうか?
教国に入ってから1週間目、いよいよ、今日中には教都に着く。昨日あたりから、道端に白い珠が増えて来た。これらは皆、光の精霊である。
小さい珠の精霊は感情のみが分かり、大きい珠の精霊になるとたどたどしいが、思念の交換で会話もできるようになる。特大の珠の精霊で人型を取れるようになり、さらに人型で実体化できるようになると、契約が可能になる。
休憩に馬車を止めて降りようものなら、俺や俺の精霊たちに魅かれて、白く発光する光の精霊たちが集まって来るのだが、この美しい光景をわが妻たちは見ることができない。精霊を見る能力がない一般人には、契約精霊以外の普通の精霊は、見えないからだ。
集まって来る精霊たちは皆、友好的な感情を持っていて、教都の奥には光の特大精霊がいることを教えてくれた。光の特大精霊が契約したがっている巫女見習がひとりいるそうだが、どうもその巫女見習の子が幼過ぎるために、いまだ契約には至っていないらしい。
あらら、光の特大精霊は売約済みか。残念。まぁでも会って行くだけは行こう。ひょっとすると、契約できる能力を持っているのがその見習巫女だけなのかもしれない。
であるならば、契約相手はその巫女見習でなくてもいいのではないか?それこそ、俺が行ったらすんなり俺と契約してくれるかもしれないもんな。
そしてとうとう教都に着いた。教国の首都だけあって、人も多く活気がある。
王国からの同盟締結使節団の馬車と言うよりは、精霊魔術師=神の使徒である俺の乗る馬車として、沿道に居並ぶ大勢の群衆から大歓迎された。そのまま馬車は教都の北側一帯に建立された大聖堂へと進んで行く。大聖堂のさらに奥には聖山がある。つまり教都は、聖山の南麓に位置する都市なのだ。
教都の北側一帯に建立された大聖堂は、とんでもない規模を誇り、流石教国と言わざるを得ない。
この大聖堂は、非常に多くの機能を備えた複合施設だ。もちろん信仰と礼拝の場でもあるが、聖職者の道場でもあり、政庁でもあり、神学生や巫女見習の教育の場であり、病院でもあり、外交使節の受け入れの場でもある。
俺たち使節団にも、宿泊所として大聖堂内のVIP用宿房があてがわれた。俺、わが妻たち、精霊たちにひと部屋ずつと、高官たちにふた部屋の計5部屋があてがわれたのだが、精霊たちは最初から俺の部屋に入り浸ったので、結局は俺と精霊たちが同部屋となった。笑
精霊たちは部屋に入るといつもの如く衣類を脱ぎ散らかして、真っ裸で浮遊している。それを見た部屋付きの侍女たちが面食らっていた。こうなると悪戯好きの精霊たちが間違いなく仕掛けて来る。侍女たちを揶揄うのだ。
『ゲオルク、お腹すいたー。』からの濃厚なキス=魔力補給7連発で侍女たちの度肝を抜き、
『ゲオルクー、おっきくなーれ。してー。』からの胸の蕾のマッサージ7連発で、侍女たちの蔑みのジト目を誘引し、
『ゲオルクー、ぺろぺろしてー。』からの…、流石にそれは逃げた。汗
侍女たちが出て行くと、精霊たちは『うふふ。』と笑って離れて行き、再びふわふわと漂うのだ。苦笑
適当に部屋付き侍女たちを揶揄って遊んでいた精霊たちは、次は風呂と言い出した。VIP用宿坊なだけあって、結構広い浴室もある。
順に洗ってやると、精霊たちはご機嫌になった。本当に風呂や水浴びが好きである。
そう言えば1回だけ酔っ払って、精霊たちを風呂に入れずに爆睡したことがあったのだが、翌朝の精霊たちは、物凄く機嫌が悪くなってて、しばらくの間、口を利いてくれなくなったっけ。
夕餉は、部屋食と言うので、俺ひとりで食うのは寂しいから、わが妻たちも俺の部屋に呼んで、一緒に食事を摂ることにした。
「えー、ダーリンの部屋が一番大きいねー。」
「精霊たちが来てくれてよかったよ。」
「うむ、この広さがあるなら私たちもこの部屋に移って来ようではないか?」
「そうですわね。旦那様、よろしいかしら?」
「もちろんですともっ!」
「おいおい、お前さん、変な期待はしないでおくれよ。」
「いやー、ははは。」眼を逸らす俺。
「あなた、ぱふぱふまでよ。いいわね。」おーっと、ぱふぱふはありなんかい!やった、ラッキー♪
夕餉と一緒に供された酒は、ラクと言うブドウの蒸留酒で、アニスと言うセリの仲間のハーブの種で匂い付けされている。無色透明だが、水で割ると白く濁ると言うちょっと変わった酒だ。教国では「獅子の乳」とも言うらしい。
第三形態になって、酒を呑むようになった精霊たちも、喜んでラクを呑んでいる。ただ、酒を呑むときは、俺から口移しでしか呑まない。酒には魔力を増幅する能力があるようで、口移しの飲酒で唾液に含まれる魔力を増幅するのだ。
俺はこの魔力と酒に関する研究で博士号を取得した。と言っても東府魔法学院のルードビッヒ主任教授の研究に散々付き合わされて、それを教授が論文にまとめたのだが、「発表と質疑応答はお前がやれ。」と教授に言われ、徹底的に発表の練習をさせられて、あれよあれよという間に学会で発表する羽目になったのだ。
発表後の質疑応答では、王都、西府、南府、北府の魔法学院の主任教授から様々な質問を受けたが、すべて澱みなく回答し、さらには、的外れな質問の原因となった誤解を指摘したりして、結果的に俺の研究発表は非常に高い評価を得た。
話は逸れたが、精霊たちの飲酒は、供給魔力の増幅手段である。ゆえに、形態進化が進んで契約維持の魔力量が増えると、補給する魔力を増幅するために、飲酒をするようになるのだ。
当たり前だが酒を呑むと酔う。俺は呑み過ぎで酔い潰れて散々な失敗もして来た。まあそれは置いといて、精霊たちも呑めば酔うのである。
第三形態は比較的すぐに魔力が満タンになるため、呑み過ぎると言うことはないが、精霊たちは酔って陽気になる。
「キャハハ。」と笑い転げ、ちゅーして、揉んで、舐めて、と要求がエスカレートして来るのだ。
俺はわが妻たちのバインバインが好みなので、第三形態の小振りな胸は、はっきり言ってパスなのだが、第五形態になったとき、バインバインになるように揉んでやっている。「大きくなぁれ。」と念じて。
お開きとなるにあたり、わが妻たちから5連ぱふぱふをしてもらって、この夜は床に就いたのだった。
翌日は午前中から、同盟締結のセレモニーが行われた。大聖堂の一番大きい広間で、トレホス王国王太子殿下の名代である俺と、神聖ニュシト教国教皇の間で同盟内容の確認の後、調印が行われた。同盟の内容は以下の通り。
両国は互いの危機に際しては最優先で救援に向かう。
両国間の貿易の関税をなくす。
国民の往来は出国側のパスポートと入国側にビザの発給により認める。
教国はゲオルク・スピリタス卿に対し、教国内の自由行動権を保証する。
王国はゲオルク・スピリタス卿が、定期的に教国を訪れることを認める。
教国の優秀な神学生または巫女見習を、常に王国に留学させる。
教国は教国内の反王国勢力を一掃する。
王国からの要求があった場合、教国は捕らえた反王国勢力を王国に引き渡す。
かなり一方的な同盟である。相互救援、関税廃止、人材交流まではよい。ゲオルクの自由行動権、教国から王国への人質、反王国勢力の一掃と引き渡しは、教国が王国の属国になったことを認めさせる内容だ。
しかし、親王国派の新教皇は同盟の条約書類に署名した。それ程、新教皇は王国との同盟、いや、神の使徒=精霊魔術師のゲオルクと誼を通じることに必死なのだ。これを見誤って、前教皇は失脚した。
当然ゲオルクも署名し、王国・教国同盟は成ったのだ。
「使徒様、遠路はるばる同盟の締結にお出で頂きまして有難うございました。」
「なんの、教皇様におかれましては、過分なおもてなしの数々、痛み入ります。」
「滅相もございません。」
「ときに、同盟の条文にある反王国派の一掃ですが、くれぐれもよろしくお願い致します。」
「もちろん肝に銘じておりますよ。」
「王国と教国の関係がぎくしゃくし出した、20年以上前の、先代ミュンヒェー辺境伯御夫妻の暗殺についても、真犯人と黒幕の炙り出しを、くれぐれもお願い致します。」
「もちろんです。お任せ下さい。」
「そうは仰っても20年以上の前の事件です。並大抵のことではありますまい。」
「左様、並大抵のことではありません。が、しかし、本気で探す気になれば必ず見付かるものです。きっと見付け出して王国に引き渡しますからお任せ下さい。」ははぁ、でっち上げてでも犯人と黒幕を用意する気だな。
「なるほど、その意気込み、感じ入りました。教国の捜査に期待しております。朗報をお待ちしていますよ。」今更だからな、それで構わんよ。との意を込めた。
俺と教皇のアイコンタクト。うん、この教皇とはツーカーの仲で上手くやって行けそうだ。笑
「ふふ。」「ははは。」
「「わはははは。」」
『越後屋、お主も悪よのぅ。』『何を仰います。お代官様こそ。』と言う信頼?関係が、俺と教皇の間に出来上がった瞬間だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/3
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる