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精霊の加護017 カルメンさんのスピリタス加入
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精霊の加護
Zu-Y
№17 カルメンさんのスピリタス加入
~~現在・ゲオルク19歳~~
西府ギルドに入ると、アルマチとホレルが談笑していた。
「あー、師匠!」
「もう、どこ行ってたんすか?」
「いきなり子連れって、行動読めませんねー。」
アルマチのふたりとホレルの3人が寄って来た。
「「「かわいいー。」」」女子3人~マチルダとレベッカとルイーザ~が、ツリとクレに寄ろうとするが、ふたりは俺の陰に隠れる。
「ごめん、人見知りなんだ。ほっといてくれる?」
「「「え~。」」」残念そうな3人。
「ところで師匠、カルメンさんがお冠ですよ。『ゲオルクの野郎、どこだー?』って物凄い剣幕で。」両手の人差指を頭の上で立てて鬼の角の仕草をしている。
「王都での受付の会合から戻って来てからですね。師匠が西府にいないのが分かると、『ゲオルクめ、ずらかりやがったか!』って言ってましたよ。」
男ふたりが忠告してくれた。が、顔はどうみても修羅場を期待している、わくわくした顔である。
「さぁ、何か誤解されたかな?ちょっと行って来るわ。」
受付に行くとカルメンさんがギロリと睨んで来た。
「カルメンさん、お久しぶり。」
「よくもあたしの前に顔を出せたね。」
「何を怒ってるのかは知らないけどさ、カルメンさん、仲裁で一番大事なことって何だったっけ?」
「そりゃ双方の言い分を聞くことだよ。」
「つまり俺の言い分もちゃんと聞いてよね。怒るならそれからってことで。」
「こいつ!」
「ああ、それと揉めてる原因の大半って何だったっけ?」
「そりゃ誤解だよ。」
「俺、誤解されてると思うんだよなー。」
「よく覚えてるじゃないか。」
「そりゃ、もちろん。何たって惚れてる女性から教わったことだからね。」
「よくも抜け抜けとほざくねぇ。で、その子たちは?」
「ここではちょっと。今夜あたり時間貰える?」
「ああ、いいよ。その子たちのことも、ゲオルクの言い分もしっかり聞こうじゃないか。」
俺はアルマチとホレルの所に戻った。
「最近、君らは仲いいな。」
「そうなんですよ。ここんとこずっと一緒にクエストしてまして。」
「バランスもいいんですよね。Sアタッカーふたりに、タンク、ヒーラー、Lアタッカーですから。」
「まぁそうだな。」
「いっそのこと合流しようかって話になりまして。」
「まさか新パーティ名はアマホレルとかじゃないよな?」こいつら、パーティ名の付け方、適当だからなー。アルマチはアルフォンソとマチルダだし、ホレルはホルヘとレベッカとルイーザだもんな。
「違いますよ。そんないい加減な付け方しませんって。」なんだと?どの口が言うんだ?
「聞いて驚かないでくださいよ。ゲオルク学校です。」
「は?何それ?」
「だから新しいパーティ名ですよ。」
「おいおい、いくらなんでもやめてくれよ。」
「ダメですか?でももう手遅れですよ。今日、申請書出して受理されちゃったんですよね。」
「師匠、昨日帰って来てたら間に合ったのになー。」
俺は絶句した。
夜、カルメンさんと呑みに来ている。ツリとクレも一緒だ。
乾杯して和やかに呑み始めたのだが…、
「じゃあ、そろそろゲオルクの言い分を聞こうか?」
やっぱり尋問されるのか。
「その前にカルメンさんが怒ってる理由を聞かせてくれない?」
「あんた、あたしと会う前にリーゼやジュヌともよろしくやってたそうじゃないか。」
「そうだよ。カルメンさん同様、ふたりにはとてもよくしてもらったからね。」
「あたしゃ、3人目かい?」
「そうだよ。でも俺は最初に女を知ってるって言ったからね。」
「ちっ。確かにそう言ってたな。」
「まぁカルメンさんは初物が好きみたいだったから、初回はそのように振舞ったけどね。」
「ちくちょう、騙された。」
「騙したつもりはないんだけどなー。」
「まぁ、いい。騙されたあたしが未熟だったってこった。で、その子たちは?」
「このことはまだ内緒だよ。絶対口外しないでね。この子たちは俺と契約した精霊なんだ。」
「また担ごうってのかい?」
「ほんとのことだってば。」
「あたしゃ、精霊を見ることができないんだよ。」
「契約した精霊は誰でも見えるようになるんだよ。」
「そうなのかい?でも、複数の精霊とは契約できないはずだ。」
「その常識が覆ったからまだ内緒なんだよ。でも近いうちに東府魔法学院のルードビッヒ教授が研究成果として発表するからね。実はその研究対象は俺たちなんだ。」
「なんだって?」
俺は、2か月前に、急に西府を出た経緯とその後の目まぐるしい出来事を語った。
西部でクレと出会って契約したこと。
そのまま東部の郷里に戻ってツリと契約したこと。
東府教会の仲介で東府魔法学院に通い、研究対象として協力していたこと。
精霊との契約維持には多くの魔力が必要なこと。
俺の魔力量は現在12万で、桁外れに多いために複数の精霊と契約できること。
そして契約精霊を増やすべく、他の精霊を探す旅に出たこと。
「取り敢えず北部に向かうつもりなんだ。」
「それならなんで西府に来たのさ?東部から北部に行くなら西府は回り道だろう。」
「パーティメンバーを誘いに来たんだよ。」
「だめだよ。アルマチもホレルもまだまだ未熟だ。あの子たちが経験不足なのはゲオルクが一番よく分かってるだろう?」
「俺が誘いに来たのはあいつらじゃないよ。俺は、優秀な支援術士をスカウトに来たんだ。」
「なんだって?」
「ツリ、クレ、カルメンさんの魔力量と潜在能力を教えてくれ。」
ツリとクレはふわふわ飛んでカルメンさんの所に行き、まわりをくるくる飛び回って戻って来た。当然カルメンさんは目が点になってる。
『魔力量は、1800~。』
『潜在能力は、7000~。』
『ゲオルクの、魔力が、供給されてるー。』
『うん、されてるー。』
「やっぱりね。」
「なんだって?あたしの魔力量は600だったはずだよ。ゲオルク、どう言うことか説明しておくれ。」
俺は、ツリとクレから教わった魔力量の限界を増やす方法について語った。ひとつは魔力切れを繰り返し起こすこと。そしてもうひとつは満タンのときに魔力を注入すること。そして契約精霊への魔力の補給方法は、体液を与えることであるから…。
「つまり、あたしはゲオルクの体液を貰ったから魔力量が増えたってことなのかい?」
「うん、例の初物食いのおかげだね。」
「あんたは初物じゃなかっただろうに。ん?と言うことはゲオルク、あんたまさかこんないたいけな子たちを…。」
「違うよ!ちょっと見てて。補給するから。」
俺はツリに向かって舌を出してレロレロと動かすと、ツリが吸い付いて来て間もなく光り出した。続いてクレにも同じことをやると、クレも吸い付いてき来て間もなく光った。
「唾液も体液だからね、この子たちにはキスで魔力を供給してるんだ。」
「うーん、あたしゃ、そのキスも十分アウトな気がするんだが。」
「セーフだよ。小さい子とキスする親なんていくらでもいるじゃないか?」
「今のキスは子供とのキスじゃないよ。」やばい、話題を逸らそう。
「それよりカルメンさん、ほんとに魔力量が1800あるか試そうよ。攻撃魔法はここでは無理だけど、回復魔法や支援魔法ならいくらでも掛けられるよね?」
「うん、そうだね。やってみよう。」
それからカルメンさんは、回復魔法や支援魔法を掛けまくっていたが、魔力切れを起こさない。
「確かに、本当だ。今まで全然気付かなかったが、ゲオルクに抱かれたときから、魔力量は上がってたと言う訳か。」
「まぁ、その間に思いっ切り魔法を使う機会がなかったんだろうね?」
さらに魔法を掛けまくっていたが、
「さすがに魔力切れが近付いて来たようだよ。」
「大丈夫、補給するね。」俺はカルメンさんの横に行って濃厚なキスをした。
「ああ、本当だ。魔力が補給されてる。」
「さぁ、カルメンさん。遅れ馳せながら、夢を叶えようよ。ギルドの受付を辞めて、俺のパーティ、スピリタスの支援術士になってくれないか?」
目を見開くカルメンさん。
「でもあたしが辞めたらギルドは…。」
「そうだね、てんやわんやになるだろうね。頼れる姐御を失ったドジな後輩の受付嬢たちは、今までのようにのほほんとしてられなくなるだろうね。カルメンさんの穴を埋めるべく、成長せざるを得ないだろうな。」
「うん。そうだね。あの子たちはあたしに頼り過ぎだ。あたしが抜ければ一人前にならざるを得ない。よし、あたしはあたしの目指す道を行く。
ゲオルク、よろしくお願いします。」カルメンさんが珍しく丁寧語で深々と頭を下げた。
「ありがとう。カルメンさん、こちらこそよろしく。」
「なんかゲオルク坊やに口説き落とされた気分だ。」
「Aランクになったら男としても口説くからね。」
「どうせリーゼやジュヌにもそう言ってるんだろう?」
「当然。Aランクになったらそれくらいの甲斐性を持たなきゃね。」
「よく言うよ。まったく。ところでスピリタスにはリーゼもジュヌもいるんだろう?」
「よく分かったね。」
「そりゃそうさ。3人とも冒険者を目指していて、魔力不足で諦めたからね。あたしたちがマブダチになったのも境遇が似てたからなのさ。」
「そうだったんだ。俺は明日先発するから、ギルドで引継ぎをした後、王都でジュヌさんとリーゼさんと合流してから3人で北府に来てね。」
「ああ、分かったよ。」
翌日ギルドは蜂の巣を突いたような大騒ぎになった。
カルメンさんが冒険者登録をして、聞いたこともないパーティに加わったのだ。当然受付も辞めるし、西府からも出て行く。一番パニクったのは後輩の受付嬢たちだ。
カルメンさんは、
「引継ぎに2週間だけ残るよ。それ以降は、引継ぎが終わってなくても西府を去るからね。」と宣言した。
冒険者たちも、カルメンさんを引き留めに掛かったが、カルメンさんは、
「もともとあたしは冒険者をやりたかったんだ。」とにこやかに言って、それ以上何も言えなくさせてしまった。
カルメンさんの冒険者ランクはEランク。ギルドの受付としての知識と実績が評価されたのだ。
西府ギルドがカルメンさんのことで大騒ぎの中、俺はアルマチとホレルの5人を呼んで別れを告げた。
「いろいろ考えたけど、本拠を定めずに修行の旅に出ることに決めた。そのうちまた西府には来ることもあると思うけど、今日でお別れだ。皆には世話になった。楽しかったよ。」
もちろん5人は引き止めるわ、じゃなければ一緒に連れてけと言うわ、女の子3人はギャン泣きするわで大変だったが、ようやく納得した。西府で修行して一人前になったら西府を旅立って、俺の武者修行の旅に合流するんだそうだ。
俺は5人に見送られて西府を発った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/1/30
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№17 カルメンさんのスピリタス加入
~~現在・ゲオルク19歳~~
西府ギルドに入ると、アルマチとホレルが談笑していた。
「あー、師匠!」
「もう、どこ行ってたんすか?」
「いきなり子連れって、行動読めませんねー。」
アルマチのふたりとホレルの3人が寄って来た。
「「「かわいいー。」」」女子3人~マチルダとレベッカとルイーザ~が、ツリとクレに寄ろうとするが、ふたりは俺の陰に隠れる。
「ごめん、人見知りなんだ。ほっといてくれる?」
「「「え~。」」」残念そうな3人。
「ところで師匠、カルメンさんがお冠ですよ。『ゲオルクの野郎、どこだー?』って物凄い剣幕で。」両手の人差指を頭の上で立てて鬼の角の仕草をしている。
「王都での受付の会合から戻って来てからですね。師匠が西府にいないのが分かると、『ゲオルクめ、ずらかりやがったか!』って言ってましたよ。」
男ふたりが忠告してくれた。が、顔はどうみても修羅場を期待している、わくわくした顔である。
「さぁ、何か誤解されたかな?ちょっと行って来るわ。」
受付に行くとカルメンさんがギロリと睨んで来た。
「カルメンさん、お久しぶり。」
「よくもあたしの前に顔を出せたね。」
「何を怒ってるのかは知らないけどさ、カルメンさん、仲裁で一番大事なことって何だったっけ?」
「そりゃ双方の言い分を聞くことだよ。」
「つまり俺の言い分もちゃんと聞いてよね。怒るならそれからってことで。」
「こいつ!」
「ああ、それと揉めてる原因の大半って何だったっけ?」
「そりゃ誤解だよ。」
「俺、誤解されてると思うんだよなー。」
「よく覚えてるじゃないか。」
「そりゃ、もちろん。何たって惚れてる女性から教わったことだからね。」
「よくも抜け抜けとほざくねぇ。で、その子たちは?」
「ここではちょっと。今夜あたり時間貰える?」
「ああ、いいよ。その子たちのことも、ゲオルクの言い分もしっかり聞こうじゃないか。」
俺はアルマチとホレルの所に戻った。
「最近、君らは仲いいな。」
「そうなんですよ。ここんとこずっと一緒にクエストしてまして。」
「バランスもいいんですよね。Sアタッカーふたりに、タンク、ヒーラー、Lアタッカーですから。」
「まぁそうだな。」
「いっそのこと合流しようかって話になりまして。」
「まさか新パーティ名はアマホレルとかじゃないよな?」こいつら、パーティ名の付け方、適当だからなー。アルマチはアルフォンソとマチルダだし、ホレルはホルヘとレベッカとルイーザだもんな。
「違いますよ。そんないい加減な付け方しませんって。」なんだと?どの口が言うんだ?
「聞いて驚かないでくださいよ。ゲオルク学校です。」
「は?何それ?」
「だから新しいパーティ名ですよ。」
「おいおい、いくらなんでもやめてくれよ。」
「ダメですか?でももう手遅れですよ。今日、申請書出して受理されちゃったんですよね。」
「師匠、昨日帰って来てたら間に合ったのになー。」
俺は絶句した。
夜、カルメンさんと呑みに来ている。ツリとクレも一緒だ。
乾杯して和やかに呑み始めたのだが…、
「じゃあ、そろそろゲオルクの言い分を聞こうか?」
やっぱり尋問されるのか。
「その前にカルメンさんが怒ってる理由を聞かせてくれない?」
「あんた、あたしと会う前にリーゼやジュヌともよろしくやってたそうじゃないか。」
「そうだよ。カルメンさん同様、ふたりにはとてもよくしてもらったからね。」
「あたしゃ、3人目かい?」
「そうだよ。でも俺は最初に女を知ってるって言ったからね。」
「ちっ。確かにそう言ってたな。」
「まぁカルメンさんは初物が好きみたいだったから、初回はそのように振舞ったけどね。」
「ちくちょう、騙された。」
「騙したつもりはないんだけどなー。」
「まぁ、いい。騙されたあたしが未熟だったってこった。で、その子たちは?」
「このことはまだ内緒だよ。絶対口外しないでね。この子たちは俺と契約した精霊なんだ。」
「また担ごうってのかい?」
「ほんとのことだってば。」
「あたしゃ、精霊を見ることができないんだよ。」
「契約した精霊は誰でも見えるようになるんだよ。」
「そうなのかい?でも、複数の精霊とは契約できないはずだ。」
「その常識が覆ったからまだ内緒なんだよ。でも近いうちに東府魔法学院のルードビッヒ教授が研究成果として発表するからね。実はその研究対象は俺たちなんだ。」
「なんだって?」
俺は、2か月前に、急に西府を出た経緯とその後の目まぐるしい出来事を語った。
西部でクレと出会って契約したこと。
そのまま東部の郷里に戻ってツリと契約したこと。
東府教会の仲介で東府魔法学院に通い、研究対象として協力していたこと。
精霊との契約維持には多くの魔力が必要なこと。
俺の魔力量は現在12万で、桁外れに多いために複数の精霊と契約できること。
そして契約精霊を増やすべく、他の精霊を探す旅に出たこと。
「取り敢えず北部に向かうつもりなんだ。」
「それならなんで西府に来たのさ?東部から北部に行くなら西府は回り道だろう。」
「パーティメンバーを誘いに来たんだよ。」
「だめだよ。アルマチもホレルもまだまだ未熟だ。あの子たちが経験不足なのはゲオルクが一番よく分かってるだろう?」
「俺が誘いに来たのはあいつらじゃないよ。俺は、優秀な支援術士をスカウトに来たんだ。」
「なんだって?」
「ツリ、クレ、カルメンさんの魔力量と潜在能力を教えてくれ。」
ツリとクレはふわふわ飛んでカルメンさんの所に行き、まわりをくるくる飛び回って戻って来た。当然カルメンさんは目が点になってる。
『魔力量は、1800~。』
『潜在能力は、7000~。』
『ゲオルクの、魔力が、供給されてるー。』
『うん、されてるー。』
「やっぱりね。」
「なんだって?あたしの魔力量は600だったはずだよ。ゲオルク、どう言うことか説明しておくれ。」
俺は、ツリとクレから教わった魔力量の限界を増やす方法について語った。ひとつは魔力切れを繰り返し起こすこと。そしてもうひとつは満タンのときに魔力を注入すること。そして契約精霊への魔力の補給方法は、体液を与えることであるから…。
「つまり、あたしはゲオルクの体液を貰ったから魔力量が増えたってことなのかい?」
「うん、例の初物食いのおかげだね。」
「あんたは初物じゃなかっただろうに。ん?と言うことはゲオルク、あんたまさかこんないたいけな子たちを…。」
「違うよ!ちょっと見てて。補給するから。」
俺はツリに向かって舌を出してレロレロと動かすと、ツリが吸い付いて来て間もなく光り出した。続いてクレにも同じことをやると、クレも吸い付いてき来て間もなく光った。
「唾液も体液だからね、この子たちにはキスで魔力を供給してるんだ。」
「うーん、あたしゃ、そのキスも十分アウトな気がするんだが。」
「セーフだよ。小さい子とキスする親なんていくらでもいるじゃないか?」
「今のキスは子供とのキスじゃないよ。」やばい、話題を逸らそう。
「それよりカルメンさん、ほんとに魔力量が1800あるか試そうよ。攻撃魔法はここでは無理だけど、回復魔法や支援魔法ならいくらでも掛けられるよね?」
「うん、そうだね。やってみよう。」
それからカルメンさんは、回復魔法や支援魔法を掛けまくっていたが、魔力切れを起こさない。
「確かに、本当だ。今まで全然気付かなかったが、ゲオルクに抱かれたときから、魔力量は上がってたと言う訳か。」
「まぁ、その間に思いっ切り魔法を使う機会がなかったんだろうね?」
さらに魔法を掛けまくっていたが、
「さすがに魔力切れが近付いて来たようだよ。」
「大丈夫、補給するね。」俺はカルメンさんの横に行って濃厚なキスをした。
「ああ、本当だ。魔力が補給されてる。」
「さぁ、カルメンさん。遅れ馳せながら、夢を叶えようよ。ギルドの受付を辞めて、俺のパーティ、スピリタスの支援術士になってくれないか?」
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「でもあたしが辞めたらギルドは…。」
「そうだね、てんやわんやになるだろうね。頼れる姐御を失ったドジな後輩の受付嬢たちは、今までのようにのほほんとしてられなくなるだろうね。カルメンさんの穴を埋めるべく、成長せざるを得ないだろうな。」
「うん。そうだね。あの子たちはあたしに頼り過ぎだ。あたしが抜ければ一人前にならざるを得ない。よし、あたしはあたしの目指す道を行く。
ゲオルク、よろしくお願いします。」カルメンさんが珍しく丁寧語で深々と頭を下げた。
「ありがとう。カルメンさん、こちらこそよろしく。」
「なんかゲオルク坊やに口説き落とされた気分だ。」
「Aランクになったら男としても口説くからね。」
「どうせリーゼやジュヌにもそう言ってるんだろう?」
「当然。Aランクになったらそれくらいの甲斐性を持たなきゃね。」
「よく言うよ。まったく。ところでスピリタスにはリーゼもジュヌもいるんだろう?」
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「そりゃそうさ。3人とも冒険者を目指していて、魔力不足で諦めたからね。あたしたちがマブダチになったのも境遇が似てたからなのさ。」
「そうだったんだ。俺は明日先発するから、ギルドで引継ぎをした後、王都でジュヌさんとリーゼさんと合流してから3人で北府に来てね。」
「ああ、分かったよ。」
翌日ギルドは蜂の巣を突いたような大騒ぎになった。
カルメンさんが冒険者登録をして、聞いたこともないパーティに加わったのだ。当然受付も辞めるし、西府からも出て行く。一番パニクったのは後輩の受付嬢たちだ。
カルメンさんは、
「引継ぎに2週間だけ残るよ。それ以降は、引継ぎが終わってなくても西府を去るからね。」と宣言した。
冒険者たちも、カルメンさんを引き留めに掛かったが、カルメンさんは、
「もともとあたしは冒険者をやりたかったんだ。」とにこやかに言って、それ以上何も言えなくさせてしまった。
カルメンさんの冒険者ランクはEランク。ギルドの受付としての知識と実績が評価されたのだ。
西府ギルドがカルメンさんのことで大騒ぎの中、俺はアルマチとホレルの5人を呼んで別れを告げた。
「いろいろ考えたけど、本拠を定めずに修行の旅に出ることに決めた。そのうちまた西府には来ることもあると思うけど、今日でお別れだ。皆には世話になった。楽しかったよ。」
もちろん5人は引き止めるわ、じゃなければ一緒に連れてけと言うわ、女の子3人はギャン泣きするわで大変だったが、ようやく納得した。西府で修行して一人前になったら西府を旅立って、俺の武者修行の旅に合流するんだそうだ。
俺は5人に見送られて西府を発った。
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更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
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カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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