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精霊の加護012 回想:王都のジュヌさん
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精霊の加護
Zu-Y
№12 回想:王都のジュヌさん
東府で乗った王都行定期馬車が、数日の後、王都に着いた。王都、正式名称はパリセイユ。トレホス王国の首都であり、中部国王領の首府でもある。
西府から故郷のラスプ村へツリを迎えに行くときも王都を経由したが、あのときは一刻も早くツリに会いたかったから素通りしてしまった。
王都には1年半いたが、いい思い出がひとつしかない。あとは嫌な思い出ばかりだ。上手く丸め込まれていいように利用されたと言う印象が拭えない。
西府でお世話になったカルメンさんは、相手には相手なりの言い分があって、相手もそれなりに筋が通ってると思うと言ってたが、正直に言うと俺はまだ割り切れていない。まぁでも、当時よりは多少は整理できているし、奴らがグルになって俺をはめたと言う思いは大分薄れた。
結局のところ、ゲオルギウスが見付かるまでの繋ぎとして、王都で加入したエトワールは最悪だった。
報酬の分配は上手く言いくるめられてどんどん下げられるし、挙句の果てにパーティからの追放だ。確かに追放と言うには語弊があるかもしれないが、俺から見たら追放されたようなもんだ。
たったひとつのいい思い出は、受付のジュヌさんとの出会いだった。
~~回想・ゲオルク16歳~~
東府発王都行の定期馬車が、数日掛けてようやく王都に着いた。腰が痛い。
10歳で初めて東府に行ったときは、あまりの町の大きさに驚いたが、王都は流石に東府ですら敵わない規模だ。中部国王領の首府であり、トレホス王国の首都でもある王都だけのことはある。
取り敢えずゲオルギウスの皆を探しに冒険者ギルドへ行ってみよう。
窓口の受付嬢はひとりだけ。この時間帯だと、クエストを受ける冒険者はもういないし、クエストを達成して帰って来るには早いからな。
受付嬢が下を向いて熱心に書類を書いているので、声を掛けて中断させるのも悪いと思って黙って待っていた。
下を向いてるので胸の谷間が見える。この人もでかい。リーゼさん並みの巨乳だな。
「なんですの?御用ですかしら?」
顔を上げた受付嬢は、リーゼさんクラスの飛び切りの美人で驚いた。目が釘付けになる。
「あ、あの、邪魔しちゃ悪いと思って…。」
「その様ですわね。待って頂いて助かりましたわ。こちらは一段落つきましたので、ご用件をどうぞ仰って下さいませ。」
ニコッと笑ったその笑顔に、俺のハートはズキュンと撃ち抜かれてしまった。俺は受付嬢に見惚れてしまったのだ。
「どうなさいました?」
「あ、すみません。何でもないです。」
何もしないのに顔が赤くなっていくのが分かる。多分耳も真っ赤だ。
「あら、ご用件もなく並ばれるんですの?」相変わらず微笑んでいる。
「あ、いや、そうじゃなくて、用件はあるんですが、あまりに美人なのでつい見惚れて…。あ。俺、何言ってんだ?すみません。」
「あら、嬉しいですわ。わたくしはジュヌヴィエーヴ、ジュヌと呼んで下さいませ。」クスクスと笑った。
ふう、と深呼吸して落ち着いた。
「ゲオルクです。東府から来ました。仲間のパーティを探してます。ゲオルギウスと言うパーティですが、1週間くらい前から王都に来てるはずなんです。」
「あら、ゲオルギウスですか?懐かしいですわね。以前はこちらに所属してましたが…、確か東府に行った切りですわね。王都ギルドには戻っていませんわ。」
「え?」どう言うことだ?
結局、ゲオルギウスは王都に来ておらず、俺は途方に暮れた。そりゃそうだ。仲間を頼って王都に来てみれば、その仲間の消息が分からない。まったくのボッチ状態だ。
まぁあれだな。取り敢えず宿を押さえて、ゲオルギウスが来るまで待つしかないか。それにしても困った。手持ちはあることにはあるが、そんなに余裕はない。東府で薬草やらなんやら、いろいろ買ったせいもあるが、残りは金貨3枚しかない。
そんな俺を見て、ジュヌさんが、
「ゲオルクさん、お困りのようでほっとけないですわね。勤務が終わってからでよろしければ、ご相談に乗りますわよ。」と言ってくれた。
そんな訳でギルドの片隅で待っていたのだが、なんかリーゼさんのときと展開が似ている気がする。だとすると、今夜はムフフな展開を期待していいのだろうか?いくらなんでも、そう上手く行く訳ねーよな。苦笑
ジュヌさんに連れられて来た店は、いかにも王都と言う感じの洗練された店だった。
一緒に夕餉を摂りながら、俺はこれまでの経緯を語った。
自分は射手で、冒険者を目指して東府に行き、ギルドに登録する日にゲオルギウスの仲間と出会ったこと。
とてもよくしてもらって、冒険者のイロハを教えてもらい、つい最近、Fランクに上がったこと。
拠点を東府から王都に遷すことになり、皆は王都に直行し、俺だけ一旦別れて郷里に戻ってから、王都で合流する予定だったこと。
「ふうん、なんでゲオルクさんは、おひとりで郷里に戻ったんですの?」
「幼馴染の精霊を迎えに行ったんです。」
「え?精霊?」
「あまり信じてもらえないんですが、俺は精霊が見えまして、郷里に仲のいい木の精霊がいるんです。一緒に冒険しようって約束してるんですが、そのためには契約しなければなりません。俺が冒険者になるときはまだ相棒が俺と契約できる状態じゃなかったんです。
1年経ったんで、ゲオルギウスの皆と一旦別れて迎えに行ったんですが、でも今回もまたダメでした。もうしばらく待たなきゃいけないみたいです。」
「ゲオルクさんは精霊が見えますの?羨ましいですわね。
わたくしは教会で育ったこともあって精霊を信じていますが、精霊を信じない方もいますわよね?ゲオルギウスの方々は信じてくれたんですの?」
ジュヌさんは教会で育ったのか。孤児かな?あるいは口減らし?いやいや、才のある子で教会に預けられたと言う線もあるな。
「ゲオルギウスのルナも精霊が見えます。マイクは見ることはできませんが、出身の村に見える人がいるそうで、精霊のことは信じてます。
リーダーのジョルジュは精霊を見られませんが、あまりこだわらない人なので、拠点を王都に戻そうかってなったときに、真っ先に精霊を迎えに行けと言ってくれました。」
「そうですか。まあでもゲオルギウスは実力のあるパーティですから、途中でクエストでも受けているかもしれませんわ。もうしばらく待ってみては?」
「はい、そうします。その間、繋ぎで入れてくれるパーティがあるといいんですけど。」
「ひとつ心当たりがありますの。明日、ご紹介しますわ。」
それから俺たちは互いの話をした。俺は、
魔力量が桁外れなことが分かり、東府の魔法学院に通って魔術師を志したこと。
早々に魔力を放出できないことが判明して魔法学院を除籍になり、魔術師を諦めたこと。
期待されて村を出た分、失意のまま帰った村では詐欺師扱いされたこと。
いじけていた俺を見かねた狩人の父さんが弓矢を教えてくれたこと。
幸い俺には弓矢の才があって上達できたこと。
狩りの途中に森の中でツリと会って親友になったこと。
などなど。
ジュヌさんは、
王都からそう遠くない村の出身で、幼いうちから回復魔法の才が開花しため、王都教会に預けられて神官の訓練を受けたこと。
最初はみるみる初級回復魔法を覚えたこと。
将来を嘱望され、教会の神官か冒険者として活躍するのが夢だったこと。
でも魔力量がそれほどは多くなくて、頻繁に魔力切れを起こしたため、教会の神官も冒険者も諦めたこと。
縁あって冒険者ギルドで働くようになったこと。
などである。
目標とする職業に就けなくて挫折したところが共通するので、互いになんとなく共感を覚えて意気投合した。
意気投合して痛飲しているうちに、ついつい杯を重ね、俺もジュヌさんもすっかり出来上がってしまった。
「ゲオルクさん、結構遅くなってしまいましたけど、宿は決めてますの?」
「まだです。この時間で探すのも億劫だし、適当に野宿しますよ。」
「野宿するくらいならうちにいらっしゃいな。」
「え?王都教会ですか?」
「まさか。ひとり立ちしてますわよ。」
「でも、今日会ったのにいきなりお邪魔するのも…。」いろいろ想像して真っ赤になってしまった。いや、これは酒のせいだ!
「うふふ。初心ですのね。ひょっとして童貞かしら?」
「え?ちっ、違いますよ!」酔ってるとは言え何と言うことを聞くんだろ。
「無理しなくてもいいですわよ。まぁ、でも無理にお誘いするのも悪いですわね。」コケティッシュな笑みを浮かべて余裕の表情のジュヌさん。
ははぁ、リーゼさんと同じで初物食いが趣味と見た。ならば童貞モードで食われてみるか。ゴチになりまーす。笑
「あの、お願いします。その、いろいろ教えて下さい。」
で、そのままジュヌさんの部屋に行き、まぁ、その後はそう言う流れね。一緒にお風呂に入って洗いっこ、ベッドであんなことやこんなこと。最初は緊張を装って我慢したが、2回目からは全開フルスロットル。ついつい5回戦をこなしたのであった。
マイドラゴンがジュヌさんに完全に懐いてしまったのは言うまでもなかろう。
翌朝、気持ちよ過ぎて目を覚ますと、なんとジュヌさんがマイドラゴンを嫐っていた。
「お目覚めですの?昨夜あんなに頑張ったのにもう朝はこれですもの。お世話して差し上げますわ。」
「すみません。お願いします。」
ああ、ジュヌさん!そんな。お口でなんて…反則だぁ!
やがてマイドラゴンは咆哮を上げ、ホワイトブレスを撒き散らしたのだった。
朝餉までごちそうになって、一緒にギルドに行くとすぐに、ジュヌさんが昨日言ってたパーティの情報を持って来てくれた。
「エトワールとおっしゃる、狂戦士、重歩兵、神官のパーティで、Lアタッカーを募集してますの。Lアタッカーのご希望は魔術師ですが、射手でもいいそうですわ。」
「ありがとうございます。もう何日か待ってみて、ゲオルギウスが来なければお願いします。」
それから1週間たってもゲオルギウスは来なかったので、俺は繋ぎのつもりでエトワールの面接を受けた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R04/1/16
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
Zu-Y
№12 回想:王都のジュヌさん
東府で乗った王都行定期馬車が、数日の後、王都に着いた。王都、正式名称はパリセイユ。トレホス王国の首都であり、中部国王領の首府でもある。
西府から故郷のラスプ村へツリを迎えに行くときも王都を経由したが、あのときは一刻も早くツリに会いたかったから素通りしてしまった。
王都には1年半いたが、いい思い出がひとつしかない。あとは嫌な思い出ばかりだ。上手く丸め込まれていいように利用されたと言う印象が拭えない。
西府でお世話になったカルメンさんは、相手には相手なりの言い分があって、相手もそれなりに筋が通ってると思うと言ってたが、正直に言うと俺はまだ割り切れていない。まぁでも、当時よりは多少は整理できているし、奴らがグルになって俺をはめたと言う思いは大分薄れた。
結局のところ、ゲオルギウスが見付かるまでの繋ぎとして、王都で加入したエトワールは最悪だった。
報酬の分配は上手く言いくるめられてどんどん下げられるし、挙句の果てにパーティからの追放だ。確かに追放と言うには語弊があるかもしれないが、俺から見たら追放されたようなもんだ。
たったひとつのいい思い出は、受付のジュヌさんとの出会いだった。
~~回想・ゲオルク16歳~~
東府発王都行の定期馬車が、数日掛けてようやく王都に着いた。腰が痛い。
10歳で初めて東府に行ったときは、あまりの町の大きさに驚いたが、王都は流石に東府ですら敵わない規模だ。中部国王領の首府であり、トレホス王国の首都でもある王都だけのことはある。
取り敢えずゲオルギウスの皆を探しに冒険者ギルドへ行ってみよう。
窓口の受付嬢はひとりだけ。この時間帯だと、クエストを受ける冒険者はもういないし、クエストを達成して帰って来るには早いからな。
受付嬢が下を向いて熱心に書類を書いているので、声を掛けて中断させるのも悪いと思って黙って待っていた。
下を向いてるので胸の谷間が見える。この人もでかい。リーゼさん並みの巨乳だな。
「なんですの?御用ですかしら?」
顔を上げた受付嬢は、リーゼさんクラスの飛び切りの美人で驚いた。目が釘付けになる。
「あ、あの、邪魔しちゃ悪いと思って…。」
「その様ですわね。待って頂いて助かりましたわ。こちらは一段落つきましたので、ご用件をどうぞ仰って下さいませ。」
ニコッと笑ったその笑顔に、俺のハートはズキュンと撃ち抜かれてしまった。俺は受付嬢に見惚れてしまったのだ。
「どうなさいました?」
「あ、すみません。何でもないです。」
何もしないのに顔が赤くなっていくのが分かる。多分耳も真っ赤だ。
「あら、ご用件もなく並ばれるんですの?」相変わらず微笑んでいる。
「あ、いや、そうじゃなくて、用件はあるんですが、あまりに美人なのでつい見惚れて…。あ。俺、何言ってんだ?すみません。」
「あら、嬉しいですわ。わたくしはジュヌヴィエーヴ、ジュヌと呼んで下さいませ。」クスクスと笑った。
ふう、と深呼吸して落ち着いた。
「ゲオルクです。東府から来ました。仲間のパーティを探してます。ゲオルギウスと言うパーティですが、1週間くらい前から王都に来てるはずなんです。」
「あら、ゲオルギウスですか?懐かしいですわね。以前はこちらに所属してましたが…、確か東府に行った切りですわね。王都ギルドには戻っていませんわ。」
「え?」どう言うことだ?
結局、ゲオルギウスは王都に来ておらず、俺は途方に暮れた。そりゃそうだ。仲間を頼って王都に来てみれば、その仲間の消息が分からない。まったくのボッチ状態だ。
まぁあれだな。取り敢えず宿を押さえて、ゲオルギウスが来るまで待つしかないか。それにしても困った。手持ちはあることにはあるが、そんなに余裕はない。東府で薬草やらなんやら、いろいろ買ったせいもあるが、残りは金貨3枚しかない。
そんな俺を見て、ジュヌさんが、
「ゲオルクさん、お困りのようでほっとけないですわね。勤務が終わってからでよろしければ、ご相談に乗りますわよ。」と言ってくれた。
そんな訳でギルドの片隅で待っていたのだが、なんかリーゼさんのときと展開が似ている気がする。だとすると、今夜はムフフな展開を期待していいのだろうか?いくらなんでも、そう上手く行く訳ねーよな。苦笑
ジュヌさんに連れられて来た店は、いかにも王都と言う感じの洗練された店だった。
一緒に夕餉を摂りながら、俺はこれまでの経緯を語った。
自分は射手で、冒険者を目指して東府に行き、ギルドに登録する日にゲオルギウスの仲間と出会ったこと。
とてもよくしてもらって、冒険者のイロハを教えてもらい、つい最近、Fランクに上がったこと。
拠点を東府から王都に遷すことになり、皆は王都に直行し、俺だけ一旦別れて郷里に戻ってから、王都で合流する予定だったこと。
「ふうん、なんでゲオルクさんは、おひとりで郷里に戻ったんですの?」
「幼馴染の精霊を迎えに行ったんです。」
「え?精霊?」
「あまり信じてもらえないんですが、俺は精霊が見えまして、郷里に仲のいい木の精霊がいるんです。一緒に冒険しようって約束してるんですが、そのためには契約しなければなりません。俺が冒険者になるときはまだ相棒が俺と契約できる状態じゃなかったんです。
1年経ったんで、ゲオルギウスの皆と一旦別れて迎えに行ったんですが、でも今回もまたダメでした。もうしばらく待たなきゃいけないみたいです。」
「ゲオルクさんは精霊が見えますの?羨ましいですわね。
わたくしは教会で育ったこともあって精霊を信じていますが、精霊を信じない方もいますわよね?ゲオルギウスの方々は信じてくれたんですの?」
ジュヌさんは教会で育ったのか。孤児かな?あるいは口減らし?いやいや、才のある子で教会に預けられたと言う線もあるな。
「ゲオルギウスのルナも精霊が見えます。マイクは見ることはできませんが、出身の村に見える人がいるそうで、精霊のことは信じてます。
リーダーのジョルジュは精霊を見られませんが、あまりこだわらない人なので、拠点を王都に戻そうかってなったときに、真っ先に精霊を迎えに行けと言ってくれました。」
「そうですか。まあでもゲオルギウスは実力のあるパーティですから、途中でクエストでも受けているかもしれませんわ。もうしばらく待ってみては?」
「はい、そうします。その間、繋ぎで入れてくれるパーティがあるといいんですけど。」
「ひとつ心当たりがありますの。明日、ご紹介しますわ。」
それから俺たちは互いの話をした。俺は、
魔力量が桁外れなことが分かり、東府の魔法学院に通って魔術師を志したこと。
早々に魔力を放出できないことが判明して魔法学院を除籍になり、魔術師を諦めたこと。
期待されて村を出た分、失意のまま帰った村では詐欺師扱いされたこと。
いじけていた俺を見かねた狩人の父さんが弓矢を教えてくれたこと。
幸い俺には弓矢の才があって上達できたこと。
狩りの途中に森の中でツリと会って親友になったこと。
などなど。
ジュヌさんは、
王都からそう遠くない村の出身で、幼いうちから回復魔法の才が開花しため、王都教会に預けられて神官の訓練を受けたこと。
最初はみるみる初級回復魔法を覚えたこと。
将来を嘱望され、教会の神官か冒険者として活躍するのが夢だったこと。
でも魔力量がそれほどは多くなくて、頻繁に魔力切れを起こしたため、教会の神官も冒険者も諦めたこと。
縁あって冒険者ギルドで働くようになったこと。
などである。
目標とする職業に就けなくて挫折したところが共通するので、互いになんとなく共感を覚えて意気投合した。
意気投合して痛飲しているうちに、ついつい杯を重ね、俺もジュヌさんもすっかり出来上がってしまった。
「ゲオルクさん、結構遅くなってしまいましたけど、宿は決めてますの?」
「まだです。この時間で探すのも億劫だし、適当に野宿しますよ。」
「野宿するくらいならうちにいらっしゃいな。」
「え?王都教会ですか?」
「まさか。ひとり立ちしてますわよ。」
「でも、今日会ったのにいきなりお邪魔するのも…。」いろいろ想像して真っ赤になってしまった。いや、これは酒のせいだ!
「うふふ。初心ですのね。ひょっとして童貞かしら?」
「え?ちっ、違いますよ!」酔ってるとは言え何と言うことを聞くんだろ。
「無理しなくてもいいですわよ。まぁ、でも無理にお誘いするのも悪いですわね。」コケティッシュな笑みを浮かべて余裕の表情のジュヌさん。
ははぁ、リーゼさんと同じで初物食いが趣味と見た。ならば童貞モードで食われてみるか。ゴチになりまーす。笑
「あの、お願いします。その、いろいろ教えて下さい。」
で、そのままジュヌさんの部屋に行き、まぁ、その後はそう言う流れね。一緒にお風呂に入って洗いっこ、ベッドであんなことやこんなこと。最初は緊張を装って我慢したが、2回目からは全開フルスロットル。ついつい5回戦をこなしたのであった。
マイドラゴンがジュヌさんに完全に懐いてしまったのは言うまでもなかろう。
翌朝、気持ちよ過ぎて目を覚ますと、なんとジュヌさんがマイドラゴンを嫐っていた。
「お目覚めですの?昨夜あんなに頑張ったのにもう朝はこれですもの。お世話して差し上げますわ。」
「すみません。お願いします。」
ああ、ジュヌさん!そんな。お口でなんて…反則だぁ!
やがてマイドラゴンは咆哮を上げ、ホワイトブレスを撒き散らしたのだった。
朝餉までごちそうになって、一緒にギルドに行くとすぐに、ジュヌさんが昨日言ってたパーティの情報を持って来てくれた。
「エトワールとおっしゃる、狂戦士、重歩兵、神官のパーティで、Lアタッカーを募集してますの。Lアタッカーのご希望は魔術師ですが、射手でもいいそうですわ。」
「ありがとうございます。もう何日か待ってみて、ゲオルギウスが来なければお願いします。」
それから1週間たってもゲオルギウスは来なかったので、俺は繋ぎのつもりでエトワールの面接を受けた。
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設定を更新しました。R04/1/16
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
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