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射手の統領161 次ノ宮殿下に御礼と御挨拶
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射手の統領
Zu-Y
№161 次ノ宮殿下に御礼と御挨拶
明日からの翠樹龍攻略の遠征に向けて、諸々の準備を終えた俺たちは、最後に次ノ宮殿下を訪ねることにした。翠樹龍攻略の指名依頼の御礼と、翠樹龍攻略の遠征に出発する御挨拶をするためだ。
帝居に行って次ノ宮殿下に面会を申し込んだ。
最初、嫁たちは遠慮すると言っていたが、シノブを紹介したいし、シノブだけ連れて行くのは、シノブが心細いだろうからと、全員を巻き込んだのだ。
それにシノブ以外の嫁たちは、殿下にお会いしたことがあるし、商都での披露目の二次会に、お微行で参加された殿下とご一緒している。
衛士のサエモンが、すぐに取り次いでくれて、たくさんある控室のひとつに通されると、しばらくして侍従を従えた殿下が、控室に来て下さった。嫁たちはさっと片膝を付いて首を垂れた。俺だけ取り残されて立っている。苦笑
「おうアタルか、まぁ遠慮せず座れ。今日は珍しく嫁たちを連れて来たのだな。」
「殿下、急に罷り越しましたが、お時間を頂きまして忝うございます。」
「今更何を言うやら。そなたはいつも前触れなしで、いきなり来るではないか。」
「畏れ入ります。」
ここで殿下は、侍従にアイコンタクトを取った。すると侍従は、
「殿下の思し召しである。ユノベ朝臣の奥方たちは面を上げるよう。」
殿下は侍従にこそっと囁いた。すると侍従は、
「奥方たちは着席するようにと、殿下は仰せである。さらに直答をお許しになるとのことだ。ありがたくお答えせよ。」
「そう固くなるな。わが腹心、アタルの奥方たちであるそなたたちも、余の腹心の様なものよ。」
「「「「「「「「ははっ。」」」」」」」」と返事をした嫁たちはガチガチだ。
殿下はそれを察して優しい言葉をお掛けになった。
「ひとり増えているな。そなたは、シノベの一の姫か?名は何と申す?」
「はい。シノブと申しまする。」
「シノベの一の姫と言うことはくノ一よな。」
「はい。左様でござりまする。」
「なるほどの。他の奥方たちと共に、わが寵臣、アタルを支えてくれよ。」
「はい。」
「そなたらふたりは、オミョシ西家のサキョウとウキョウではないか。また背が伸びたな。」
「「はい。」」
「西での陽の術の披露は見事であった。ところで、そなたらの兄のシエンもわが側近となったぞ。聞いておるか?」
「「はい。」」あれ?ふたりとも、いつものボケとツッコミがないじゃんよ。笑
「そなたらは、アタルの奥方たちのまとめ役、トノベのサヤとヤクシのサジだったな。」
「「はい。」」
「シスコンの弟たちも元気かな?」
「畏れ入ります。性根を入れ替えて修行しております。」
「ようやく、姉離れ、致しました。」おお!サジ姉が、面倒臭がらずにすらすらしゃべった!
「なんと、あのふたりがシスコンを卒業したのか?」
「はい、卒業、しました。」サジ姉、やればできるのね。笑
「そなたはキノベのタヅナよな。そなたの兄のトウラクもわが側近となっておる。存知おるか?」
「はい。承知しております。」あれ?タヅナは、ゆるふわじゃないしゃべり方もできるのな。笑
「そなたはタテベのホサキよな。そなたの兄のシルドもわが側近ぞ。そなたも存知おろうな。」
「はい。承知しております。」
「そしてそなたは山髙屋のアキナだったな。そなたの父も、従叔母も随分とやり手よな。」
「はい。ありがとうございます。」
「しかしな、山髙屋には『帝家の利用は程々にせよ。』と申し伝えておけよ。」
「はい。父はすっかり懲りて、大いに反省しております。」
「懲りたとな?山髙屋は何に懲りたのかな?」
「はい。披露目直前の殿下の御忠告にでございます。」
「忠告?あれは単なる戯れよ。アタルと示し合わせて、得意顔の山髙屋にひと泡吹かせてやっただけだ。
なぁ、アタル。」
「え?あ、はい。そうなるん…ですかね?」いや、俺は一応止めたけど、殿下がやっちゃったんじゃん。俺を共犯みたいに言うのはやめて欲しい。
5武家同盟と山髙屋提携の披露目を仕切った山髙屋社長は、その披露目に箔を付けるために、畏れ多くも次ノ宮殿下をもご招待したのだ。そのような形で帝家を利用する社長を少々懲らしめるために、殿下は直前で帰ると言い出し、社長を大いに慌てさせた。
社長は俺に泣き付いて来て、俺が殿下に取り成して、殿下は帰るのを思い止まって下さったと言う体にしているが、実はこれは最初から殿下の筋書き通り。これで社長は大いに懲りたのだった。
なお、このからくりの真相は、当たり前だが社長には内緒にしている。
「さて、今日来たのは、指名依頼の件よな。翠樹龍を攻略しに行くのだな。」
「はい。最後の緑の金剛鏑を手に入れ、虹色全色を揃えた金剛鏑をご覧に入れます。」
「なるほど、確かに虹色だな。アタル…。」
「はい。」殿下のご所望は手に取るように分かる。
俺は、今まで集めた6つの金剛鏑を殿下の御前に並べた。
黄色の黄金龍ライ鏑、青色の蒼碧龍ウズ鏑、橙色の橙土龍シン鏑、藍色の藍凍龍レイ鏑、赤色の紅蓮龍エン鏑、紫色の紫嵐龍ノワ鏑の6つだ。
「ふふ。そなたは本当に余の希望を察するの。正に以心伝心よな。それにしても美しい。」殿下はしばらく6色の金剛鏑に見入っておられた。
そして最後に一言、
「楽しみにしておるぞ。」
「はい。」
俺が6つの金剛鏑を回収して、鏑シャツのポケットにしまった。この鏑シャツは殿下から下賜されたものだ。
「殿下、この鏑シャツですが、使い勝手が非常によく、重宝しております。」
「左様か。役立って何よりじゃ。」
「ありがたいお言葉です。」
それから、殿下と俺の談笑となった。嫁たちは、殿下と俺の談笑を、横で黙って聞いていた。
「殿下、そろそろお時間です。」侍従が言うと、
「もうそんな時間か。楽しい時間は、時が経つのが速いものよ。
ではアタル、翠樹龍攻略の報告を楽しみにしておるぞ。」と仰って、殿下はご退出して行かれた。
「「「「「「「「はぁ~。」」」」」」」」と嫁たち全員が溜息をついた。
「緊張した?」と聞くと、ぶんぶんと顔を縦に振る嫁たち。横でサエモンが微笑んでいる。
「てか、アタル兄、なんで緊張せんと、すらすらしゃべれるん?」
「ホンマやで。殿下と普通に会話しとったがな。」
「慣れたから、かな。」
「アタル、お前は初回から緊張してなかったではないか。」と、衛士のサエモンが横槍を入れて来た。苦笑
「まぁそうだったかもな。」
「初対面で殿下にきつい諫言をしたのは、俺が知る限り、アタルくらいなもんだ。」
「ああ、そんなこともあったな。」照れ笑いをしつつ頭を掻くと、嫁たちが尊敬の眼差しを向けて来る。
古都の帝家宝物殿にあった金剛鏑を譲ってもらうよう、勅許を頂きに帝居に参上したときのことだ。ご対応頂いた次ノ宮殿下に、ライ鏑とウズ鏑をお見せすることになった。
ライ鏑とウズ鏑がお気に召した殿下は、こともあろうにふたつの金剛鏑を所望されたのだ。俺は、殿下の所望をきっぱりと断り、殿下に対して、「武を持たずに祭祀を司ることのみで、和の国中の尊敬の念を集めている帝家の次ノ宮殿下が、武に関わる金剛鏑を所望するのは、帝家を亡ぼすことに繋がり兼ねない危険な考えだ。」と、ストレートに強く諫言したのだ。
度量の大きい次ノ宮殿下は、俺がこの諫言をしたことで、俺のことを大いに気に入って下さり、それ以来、殿下は俺のことを御贔屓にして下さっている。
朝議でも、「七神龍の攻略はセプトに任せよ。」と仰って、公家たちに大いに宣伝して下さっているのだ。
サエモンは、殿下と俺の最初の出会いの場から、衛士として立ち会っているので、詳しい事情を知っている。サエモンとも、そのときからの付き合いだ。
帝居の大手門で、衛士のサエモンと別れ、流邏石でテンバのユノベ館に帰った。
「なぁ、アタル兄、明日から遠征やろ。皆で湯巡りしようや。」
「賛成ー!行こ行こ。」とキョウちゃんズが燥いでいる。
テンバのユノベ本拠には、フジの霊峰の麓の別々の場所から引いている濃白濁硫化水素泉=白湯、赤濁含鉄高張食塩泉=赤湯に加え、敷地内で掘り当てた低温泉の無色透明炭酸水素泉=冷泉がある。
温泉好きのキョウちゃんズは、ふたり揃ってしょっちゅう湯巡りをしているのだ。
「そうだな。それもいいか。」俺はキョウちゃんズの提案に乗ったふりをしつつ、心の中でガッツポーズをしていた。ふたりともGJ!
もちろん「湯巡り」よりも「皆で」がGJなのである。
俺は、湯巡りで、それぞれの双丘の頂に1輪ずつ咲く可憐な花を愛でた。桜色花2輪、桃色花2輪、ベージュ色花2輪、薄赤茶色花4輪、紅色花2輪、栗色花2輪、茶色花2輪の合計16輪である。眼福、眼福。
そしてその夜はアキナとタヅナの輪番だ。
今宵のアキナはインテリ女史眼鏡だ。と言うことはSっ気たっぷりに攻めて来る気だな。
一方タヅナは、じっくりねっとり攻めると大いに乱れる。
最初のうちは、俺を果敢に攻めて来たアキナだったが、俺がじっくりねっとりタヅナを攻略すると、アキナが俺サイドに付いてタヅナを攻め出した。おお、百合じゃん。尊い。
俺とアキナでタヅナを攻めると、タヅナは大いに乱れていけないスイッチが入ってしまった。
暴走したタヅナが俺に逆襲を開始すると、最初から示し合わせていたかの様に、アキナがタヅナサイドに寝返ったため、俺はふたり掛りでいい様に弄ばれたのだった。
馬乗りになったタヅナの蜜壺に捕食されたマイドラゴンは、あっという間にホワイトブレスを搾り取られ、続け様にアキナの蜜壺にも捕食されてしまったのだった。
もちろんマイドラゴンは頗るご機嫌で、歓喜の咆哮を上げたけどな。それと、俺もな。笑
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R5/1/1
更新は月水金の週3日ペースでしたが、11月中旬にストックが尽きてしまい、1か月ちょっとの間、自転車操業で更新していました。
このため、後からの付け足しなど、修正改稿が増えてしまいました。
発表開始から丸1年の本日の投稿をもって、しばらく更新をお休みし、ストックを増やしてから再開いたします。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№161 次ノ宮殿下に御礼と御挨拶
明日からの翠樹龍攻略の遠征に向けて、諸々の準備を終えた俺たちは、最後に次ノ宮殿下を訪ねることにした。翠樹龍攻略の指名依頼の御礼と、翠樹龍攻略の遠征に出発する御挨拶をするためだ。
帝居に行って次ノ宮殿下に面会を申し込んだ。
最初、嫁たちは遠慮すると言っていたが、シノブを紹介したいし、シノブだけ連れて行くのは、シノブが心細いだろうからと、全員を巻き込んだのだ。
それにシノブ以外の嫁たちは、殿下にお会いしたことがあるし、商都での披露目の二次会に、お微行で参加された殿下とご一緒している。
衛士のサエモンが、すぐに取り次いでくれて、たくさんある控室のひとつに通されると、しばらくして侍従を従えた殿下が、控室に来て下さった。嫁たちはさっと片膝を付いて首を垂れた。俺だけ取り残されて立っている。苦笑
「おうアタルか、まぁ遠慮せず座れ。今日は珍しく嫁たちを連れて来たのだな。」
「殿下、急に罷り越しましたが、お時間を頂きまして忝うございます。」
「今更何を言うやら。そなたはいつも前触れなしで、いきなり来るではないか。」
「畏れ入ります。」
ここで殿下は、侍従にアイコンタクトを取った。すると侍従は、
「殿下の思し召しである。ユノベ朝臣の奥方たちは面を上げるよう。」
殿下は侍従にこそっと囁いた。すると侍従は、
「奥方たちは着席するようにと、殿下は仰せである。さらに直答をお許しになるとのことだ。ありがたくお答えせよ。」
「そう固くなるな。わが腹心、アタルの奥方たちであるそなたたちも、余の腹心の様なものよ。」
「「「「「「「「ははっ。」」」」」」」」と返事をした嫁たちはガチガチだ。
殿下はそれを察して優しい言葉をお掛けになった。
「ひとり増えているな。そなたは、シノベの一の姫か?名は何と申す?」
「はい。シノブと申しまする。」
「シノベの一の姫と言うことはくノ一よな。」
「はい。左様でござりまする。」
「なるほどの。他の奥方たちと共に、わが寵臣、アタルを支えてくれよ。」
「はい。」
「そなたらふたりは、オミョシ西家のサキョウとウキョウではないか。また背が伸びたな。」
「「はい。」」
「西での陽の術の披露は見事であった。ところで、そなたらの兄のシエンもわが側近となったぞ。聞いておるか?」
「「はい。」」あれ?ふたりとも、いつものボケとツッコミがないじゃんよ。笑
「そなたらは、アタルの奥方たちのまとめ役、トノベのサヤとヤクシのサジだったな。」
「「はい。」」
「シスコンの弟たちも元気かな?」
「畏れ入ります。性根を入れ替えて修行しております。」
「ようやく、姉離れ、致しました。」おお!サジ姉が、面倒臭がらずにすらすらしゃべった!
「なんと、あのふたりがシスコンを卒業したのか?」
「はい、卒業、しました。」サジ姉、やればできるのね。笑
「そなたはキノベのタヅナよな。そなたの兄のトウラクもわが側近となっておる。存知おるか?」
「はい。承知しております。」あれ?タヅナは、ゆるふわじゃないしゃべり方もできるのな。笑
「そなたはタテベのホサキよな。そなたの兄のシルドもわが側近ぞ。そなたも存知おろうな。」
「はい。承知しております。」
「そしてそなたは山髙屋のアキナだったな。そなたの父も、従叔母も随分とやり手よな。」
「はい。ありがとうございます。」
「しかしな、山髙屋には『帝家の利用は程々にせよ。』と申し伝えておけよ。」
「はい。父はすっかり懲りて、大いに反省しております。」
「懲りたとな?山髙屋は何に懲りたのかな?」
「はい。披露目直前の殿下の御忠告にでございます。」
「忠告?あれは単なる戯れよ。アタルと示し合わせて、得意顔の山髙屋にひと泡吹かせてやっただけだ。
なぁ、アタル。」
「え?あ、はい。そうなるん…ですかね?」いや、俺は一応止めたけど、殿下がやっちゃったんじゃん。俺を共犯みたいに言うのはやめて欲しい。
5武家同盟と山髙屋提携の披露目を仕切った山髙屋社長は、その披露目に箔を付けるために、畏れ多くも次ノ宮殿下をもご招待したのだ。そのような形で帝家を利用する社長を少々懲らしめるために、殿下は直前で帰ると言い出し、社長を大いに慌てさせた。
社長は俺に泣き付いて来て、俺が殿下に取り成して、殿下は帰るのを思い止まって下さったと言う体にしているが、実はこれは最初から殿下の筋書き通り。これで社長は大いに懲りたのだった。
なお、このからくりの真相は、当たり前だが社長には内緒にしている。
「さて、今日来たのは、指名依頼の件よな。翠樹龍を攻略しに行くのだな。」
「はい。最後の緑の金剛鏑を手に入れ、虹色全色を揃えた金剛鏑をご覧に入れます。」
「なるほど、確かに虹色だな。アタル…。」
「はい。」殿下のご所望は手に取るように分かる。
俺は、今まで集めた6つの金剛鏑を殿下の御前に並べた。
黄色の黄金龍ライ鏑、青色の蒼碧龍ウズ鏑、橙色の橙土龍シン鏑、藍色の藍凍龍レイ鏑、赤色の紅蓮龍エン鏑、紫色の紫嵐龍ノワ鏑の6つだ。
「ふふ。そなたは本当に余の希望を察するの。正に以心伝心よな。それにしても美しい。」殿下はしばらく6色の金剛鏑に見入っておられた。
そして最後に一言、
「楽しみにしておるぞ。」
「はい。」
俺が6つの金剛鏑を回収して、鏑シャツのポケットにしまった。この鏑シャツは殿下から下賜されたものだ。
「殿下、この鏑シャツですが、使い勝手が非常によく、重宝しております。」
「左様か。役立って何よりじゃ。」
「ありがたいお言葉です。」
それから、殿下と俺の談笑となった。嫁たちは、殿下と俺の談笑を、横で黙って聞いていた。
「殿下、そろそろお時間です。」侍従が言うと、
「もうそんな時間か。楽しい時間は、時が経つのが速いものよ。
ではアタル、翠樹龍攻略の報告を楽しみにしておるぞ。」と仰って、殿下はご退出して行かれた。
「「「「「「「「はぁ~。」」」」」」」」と嫁たち全員が溜息をついた。
「緊張した?」と聞くと、ぶんぶんと顔を縦に振る嫁たち。横でサエモンが微笑んでいる。
「てか、アタル兄、なんで緊張せんと、すらすらしゃべれるん?」
「ホンマやで。殿下と普通に会話しとったがな。」
「慣れたから、かな。」
「アタル、お前は初回から緊張してなかったではないか。」と、衛士のサエモンが横槍を入れて来た。苦笑
「まぁそうだったかもな。」
「初対面で殿下にきつい諫言をしたのは、俺が知る限り、アタルくらいなもんだ。」
「ああ、そんなこともあったな。」照れ笑いをしつつ頭を掻くと、嫁たちが尊敬の眼差しを向けて来る。
古都の帝家宝物殿にあった金剛鏑を譲ってもらうよう、勅許を頂きに帝居に参上したときのことだ。ご対応頂いた次ノ宮殿下に、ライ鏑とウズ鏑をお見せすることになった。
ライ鏑とウズ鏑がお気に召した殿下は、こともあろうにふたつの金剛鏑を所望されたのだ。俺は、殿下の所望をきっぱりと断り、殿下に対して、「武を持たずに祭祀を司ることのみで、和の国中の尊敬の念を集めている帝家の次ノ宮殿下が、武に関わる金剛鏑を所望するのは、帝家を亡ぼすことに繋がり兼ねない危険な考えだ。」と、ストレートに強く諫言したのだ。
度量の大きい次ノ宮殿下は、俺がこの諫言をしたことで、俺のことを大いに気に入って下さり、それ以来、殿下は俺のことを御贔屓にして下さっている。
朝議でも、「七神龍の攻略はセプトに任せよ。」と仰って、公家たちに大いに宣伝して下さっているのだ。
サエモンは、殿下と俺の最初の出会いの場から、衛士として立ち会っているので、詳しい事情を知っている。サエモンとも、そのときからの付き合いだ。
帝居の大手門で、衛士のサエモンと別れ、流邏石でテンバのユノベ館に帰った。
「なぁ、アタル兄、明日から遠征やろ。皆で湯巡りしようや。」
「賛成ー!行こ行こ。」とキョウちゃんズが燥いでいる。
テンバのユノベ本拠には、フジの霊峰の麓の別々の場所から引いている濃白濁硫化水素泉=白湯、赤濁含鉄高張食塩泉=赤湯に加え、敷地内で掘り当てた低温泉の無色透明炭酸水素泉=冷泉がある。
温泉好きのキョウちゃんズは、ふたり揃ってしょっちゅう湯巡りをしているのだ。
「そうだな。それもいいか。」俺はキョウちゃんズの提案に乗ったふりをしつつ、心の中でガッツポーズをしていた。ふたりともGJ!
もちろん「湯巡り」よりも「皆で」がGJなのである。
俺は、湯巡りで、それぞれの双丘の頂に1輪ずつ咲く可憐な花を愛でた。桜色花2輪、桃色花2輪、ベージュ色花2輪、薄赤茶色花4輪、紅色花2輪、栗色花2輪、茶色花2輪の合計16輪である。眼福、眼福。
そしてその夜はアキナとタヅナの輪番だ。
今宵のアキナはインテリ女史眼鏡だ。と言うことはSっ気たっぷりに攻めて来る気だな。
一方タヅナは、じっくりねっとり攻めると大いに乱れる。
最初のうちは、俺を果敢に攻めて来たアキナだったが、俺がじっくりねっとりタヅナを攻略すると、アキナが俺サイドに付いてタヅナを攻め出した。おお、百合じゃん。尊い。
俺とアキナでタヅナを攻めると、タヅナは大いに乱れていけないスイッチが入ってしまった。
暴走したタヅナが俺に逆襲を開始すると、最初から示し合わせていたかの様に、アキナがタヅナサイドに寝返ったため、俺はふたり掛りでいい様に弄ばれたのだった。
馬乗りになったタヅナの蜜壺に捕食されたマイドラゴンは、あっという間にホワイトブレスを搾り取られ、続け様にアキナの蜜壺にも捕食されてしまったのだった。
もちろんマイドラゴンは頗るご機嫌で、歓喜の咆哮を上げたけどな。それと、俺もな。笑
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設定を更新しました。R5/1/1
更新は月水金の週3日ペースでしたが、11月中旬にストックが尽きてしまい、1か月ちょっとの間、自転車操業で更新していました。
このため、後からの付け足しなど、修正改稿が増えてしまいました。
発表開始から丸1年の本日の投稿をもって、しばらく更新をお休みし、ストックを増やしてから再開いたします。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
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