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射手の統領126 チーコの色街
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射手の統領
Zu-Y
№126 チーコの色街
チーコ港に入港するとすぐ、和南西航路の廻船の船長が、クジラ撃退を緊急クエストとしてチーコギルドに申請してくれたため、俺はすんなり単独クエスト認定され、チーコギルドの受付で、賞金の金貨3枚をゲットした。
そしてチーコギルドのギルマスルームに案内された。
「わしがチーコギルドのギルマス、ツチスケやき。」
「俺がアタル、順に、サヤ、サジ、ホサキ、サキョウ、ウキョウ、アキナ、タヅナだ。」
「紫嵐龍攻略で海ば静めて、そんで、廻船ばクジラから守ったち、大した活躍ぜよ。」
「まぁ運が良かったのもあるがな。」
「運が良かったち言うがか?わっはっは。おまん、そりゃ謙遜が過ぎるぜよ。」
「いやいや、謙遜じゃねぇよ。協力者のお陰でもあるんだ。カドガーの漁師が嵐の中をズシミまで渡してくれたんでな。」
「そうなが?あん嵐ん中に漕ぎ出すんは、こじゃんと豪気な奴ぜよ。」
で、ツチスケにノワ鏑を見せた。紫色に輝くノワ鏑内で、ノワが神龍形態を取って念話を飛ばし、例によってツチスケの度肝を抜いた。さて、お膳立ては整った。いよいよ本題だ。
「この金剛鏑だがな、イーヤにあると言う話を屋府で聞いたんだが。」
「確かにあるぜよ。イーヤんかずら橋を渡った先の神社ん祠ん中ぜよ。」
「譲り受けについて紹介状を書いてくれるか?」
「書くのは構んがよ、イーヤはミョーシの管轄じゃき、わしの譲り状よりはミョーシのギルマスの譲り状の方がええろう。」
「そうなのか。」
「まぁ一応書くには書いちゃるけん、待っちょき。」
しばらく待たされてツチスケは譲り状を持って来た。
「まぁ取り敢えずこれで試しとーせ。いかんち言われたらこれ持ってミョーシのギルマスば訪ねたらええぜよ。もし、わしの譲り状で譲ってもろたら、ミョーシに寄って譲り受けたことをミョーシギルドに報告しとーせ。話ば通すんが筋じゃき。わしからも、譲り状を書いたことを連絡しとくき。」
「すまんな。」
ギルマスルームを出て流邏石を登録した。嫁たちはズシミで登録していた流邏石7個を登録し直し、俺はズシミの流邏石を残して、新品の流邏石ひとつに登録した。
チーコギルドに許可を貰って、例によってギルド横で北斗号出張店舗を開いた。積み荷は、三の島の産物しかない。焼酎が良く売れていた。チーコの衆も、三の島の衆に負けず、酒好きのようだ。笑
夕方に出張店舗を閉めて、北斗号をキノベ陸運チーコ営業所へ預け、それからギルド近くの宿屋を取った。今日は嫁会議とかで、俺だけシングルではぶられた。ちくしょう。
「ところで、亭主。チーコの色街にはどう行ったらいいんだ?」
ゴゴゴゴゴと言う凄まじい怒気が、なぜか俺の後ろから発せられ、宿屋の亭主は完全にビビって後退りした。
振り向くと嫁全員が凄まじい怒りの表情をしている。いったい何があった?
「どうした?何があった?」
「何があったじゃないわよ。嫁会議でアタルを別室にしたからって、当て付けに色街に行くってどう言うことよ!」
「へ?」
「浮気…許さない…。女…遊びも…許さない…。」
「浮気?女遊び?なぜそうなる?」
「たった今、宿屋の亭主に色街への行き方を聞いたではないか!」
「確かに聞いたが、何でそれが浮気や女遊びになるんだ?」
「じゃぁ、何しに色街に行くんですか?」
「そおよぉ。そんな言い訳ぇ、通用しないんだからぁ。」
「いや待て。皆がいるのに女遊びする訳ないだろう。挨拶と礼だよ。そして報告。」
「あ、そやったんか。」「なんや、紛らしなぁ。」すぐさま、俺の真意を理解したキョウちゃんズの怒気が収まった。
しかしまだピンと来ていない大人嫁の怒気は、相変わらず続いている。ただし、怒気の一部は疑念に変わって、怒気はやや和らいだ。
「大体な、もし、やましいことをしに色街に行くなら、皆の前では聞かないだろう?」
「…、それもそうね。」サヤ姉の怒気がさらに弱まった。
「なら…誰に…挨拶…?」サジ姉の怒気も大分収まった。
「クマとシゲだよ。」
「「「「「え?」」」」」キョトンとする大人嫁。すでに気付いているキョウちゃんズはもちろん驚かない。
「あいつらが四の島に渡してくれたお陰でノワの攻略ができたからな。チーコの色街で金が尽きるまで居続けで遊んでるあいつらに挨拶して、攻略成功の報告に行くんだ。」
大人嫁全員が俯いた。耳が真っ赤だ。早とちりしてかなり恥ずかしいのだろう。かわいい♪
「なぁ、皆がいるのに、俺が女遊びする訳ないだろう。」
「なっ…。」サヤ姉を抱き寄せてキスをした。
「まあでも嫉妬されるってことは愛されてる証拠かな。」
「ごめん…、なさい…。」次はサジ姉を抱き寄せてキス。
順にホサキ、アキナ、タヅナとキス。これで大人嫁たちのフォローは終わり。
「「うちらは?」」もちろん頂きますとも。チュー×2。
「えー、ごほん。」しまった、宿屋の亭主がいるのを忘れてた。
「で、色街にはどう行くんだよ?」
「まずは大通りに出とーせ。そんでな…。」
宿屋の亭主に色街への行き方を聞いて、出掛けることにした。皆もついて来ると言う。
「お客人、チーコじゃ、色街には人力車で行くんが通ぜよ。」
「そうなのか?じゃぁ頼むかな。」まぁ、郷に入れば郷に従えと言うし、人力車を8台呼んでもらった。
色街には妓楼がいくつもあるが、クマの性格なら、高くても一番大きな妓楼で派手に遊ぶだろう。どうせ、妓楼に入りしなに全財産をどんと置いて、これがなくなるまで居続けだ。と告げてるに違いない。
一番でかい妓楼に着けてもらい、皆でぞろぞろと妓楼に入って行った。お揃いの濃紺のマントを羽織り、飛び切りの美女を7人連れて妓楼に入れば、そりゃ眼を引くわな。迎えに出て来た下足番に、俺は用件を告げた。
「俺はアタルと言う。カドガーから居続けで来ているクマとシゲに取り次いでもらいたい。」
「へぃ。」
玄関先で待つこと数分。俺たちは、妓楼の中に数ある座敷のひとつに案内された。やっぱりな。一番の妓楼で居続けか。
座敷の中から嬌声が聞こえる。まだ宵の口だと言うのにお盛んだなぁ。苦笑
「やぁ、クマさん、シゲさん、じゃまするぜ。」襖を開けて座敷に入ると、下帯1枚のシゲが裸踊りをしており、上座では浴衣の前を全開にして下帯がもろ見えのクマが、両横に美妓を侍らせ、手を叩いて大喜びしていた。俺に気付いたクマが、
「おお、アタルじゃなかね。よう来た。よう来た。ほれ、こっち来て座らんね。」
と声を掛けて来た。俺に続いて嫁たちも入ると、
「おお、嬢ちゃんたちも来ちょったとね。ほら、遠慮せんと、一緒に入らんね。
おい、客人たちに酒と肴を持って来んね。」
シゲも座に戻って両横の美妓の肩を抱いた。その美妓に盃の酒を呑ませてもらっている。なんともまぁ…。苦笑
「いやいやクマさん、お構いなく。ちょっとチーコに来たんで挨拶に寄っただけだからさ。」
「挨拶?何の挨拶かいの?」
「お楽しみのところをすまんな。ふたりが嵐の中を四の島に渡してくれたお陰で無事に紫嵐龍を攻略できたよ。その報告に来た。」
「そやっんかい。なるほど、道理で嵐がやんだ訳じゃな。」
「んじゃ、これで。」早々に席を立とうとすると、
「もう去ぬって、なに言うが?今、来たばかりじゃが。まずは祝い酒じゃ。
ほれ、嬢ちゃんたちも、遠慮せんと。」
結局、しばらく、クマとシゲのどんちゃん騒ぎに付き合うことになった。苦笑
クマもシゲも俺の嫁たちに遠慮しない。美妓の胸に手を入れたり、裾から手を這わせたりやりたい放題だ。嫁たちも半ば呆れていたのだが、あの嵐の中を命懸けで渡してくれたご褒美なのだから、これくらいは大目に見てやらねばな。
美妓たちも、嫁たちを半ば挑発するようにクマとシゲに媚態のしなを作っている。明らかに、超美形の俺の嫁たちに対して、対抗心剝き出しで挑発して来ているのだろう。美妓たちも確かに美しい。しかし、俺の嫁たちの前では霞んでいるからな。
当然、挑発と分かっているから大人嫁たちは相手にしなかったのだが、負けず嫌いのキョウちゃんズは、真っ向勝負を受けて立ってしまった。
まだ成人前のキョウちゃんズが、妖しい色気を放出し、俺にしな垂れ掛かって来る。大胆にも左右から俺の首に両手を回して、交互に糸を引くべろちゅーをして来た。
向こうの美妓たちも、クマとシゲに同じことをして対抗している。キョウちゃんズと美妓4人の火花がバチバチと散った。クマとシゲは役得である。苦笑
「おい、ここはあいつらの縄張りなんだから、あんまり荒らすなよ。」
「せやかて喧嘩を売って来たのはあっちやん。」
「せやで、最初なんかふふんって眼で見よったんやで。」
「そりゃ、対抗意識も出るだろ。お前らの方が美人なんだからな。しかもここはあいつらの本拠地じゃねぇか。負けられないって焦ってるんだよ。」
「「え?うちらの方が美人?」」
「そうだよ。お前ら、自分らが飛び切りの美少女って自覚ないの?」
「「え?ええー?」」もじもじ×2。
「なんだよ。ほんとに気付いてなかったのかよ。お前らが美人過ぎるから、美妓どもは焦ってるんだぜ。」
「「そ、そうなん?」」真っ赤っか×2。チョロイン×2。笑
「ここは一歩引いて、あいつらに花を持たせてやれよ。」
「「うん。」」
聞き分けたキョウちゃんズは俺から離れたが、ふたりともドヤ顔を美妓たちに向けている。なんだよ、結局、こっちからも挑発してるじゃんかよ。苦笑
美妓たちの、クマとシゲへのサービスがさらに激しくなって来たので、俺たちはお暇することにした。俺たちが退散したと思っただろうか?美妓たちはドヤ顔だ。せいぜい美妓たちには勝ち誇らせてやろう。勝ち誇った美妓たちはクマとシゲへのサービスが増すだろう。これで今夜はクマもシゲも間違いなく朝まで3Pだな。やつらにはいい礼になった。笑
宿屋に帰り、嫁部屋で一緒に夕餉を摂った。今夜は嫁会議だから早々にシングルへ退散しようとすると、嫁たちから大部屋呑みに誘われた。あれ?今夜は嫁会議じゃねぇの?
何でも妓楼での紳士的な態度と、キョウちゃんズを抑えて美妓たちの顔を立てたことが、大人嫁たちの琴線に触れたらしい。やっぱり男はああ言う風に余裕がなくてはいけないと言う。そうなんかい?
ま、嫁たちが褒めてくれるなら、それはそれでいいんだけどね。
俺たちの部屋呑みは、夜遅くまで続いたのだった。
呑み会が終わって俺はシングルに帰ったが、嫁たちはこれから嫁会議をやるのだろうか?ま、いっか。俺はもう寝る!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/10/9
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№126 チーコの色街
チーコ港に入港するとすぐ、和南西航路の廻船の船長が、クジラ撃退を緊急クエストとしてチーコギルドに申請してくれたため、俺はすんなり単独クエスト認定され、チーコギルドの受付で、賞金の金貨3枚をゲットした。
そしてチーコギルドのギルマスルームに案内された。
「わしがチーコギルドのギルマス、ツチスケやき。」
「俺がアタル、順に、サヤ、サジ、ホサキ、サキョウ、ウキョウ、アキナ、タヅナだ。」
「紫嵐龍攻略で海ば静めて、そんで、廻船ばクジラから守ったち、大した活躍ぜよ。」
「まぁ運が良かったのもあるがな。」
「運が良かったち言うがか?わっはっは。おまん、そりゃ謙遜が過ぎるぜよ。」
「いやいや、謙遜じゃねぇよ。協力者のお陰でもあるんだ。カドガーの漁師が嵐の中をズシミまで渡してくれたんでな。」
「そうなが?あん嵐ん中に漕ぎ出すんは、こじゃんと豪気な奴ぜよ。」
で、ツチスケにノワ鏑を見せた。紫色に輝くノワ鏑内で、ノワが神龍形態を取って念話を飛ばし、例によってツチスケの度肝を抜いた。さて、お膳立ては整った。いよいよ本題だ。
「この金剛鏑だがな、イーヤにあると言う話を屋府で聞いたんだが。」
「確かにあるぜよ。イーヤんかずら橋を渡った先の神社ん祠ん中ぜよ。」
「譲り受けについて紹介状を書いてくれるか?」
「書くのは構んがよ、イーヤはミョーシの管轄じゃき、わしの譲り状よりはミョーシのギルマスの譲り状の方がええろう。」
「そうなのか。」
「まぁ一応書くには書いちゃるけん、待っちょき。」
しばらく待たされてツチスケは譲り状を持って来た。
「まぁ取り敢えずこれで試しとーせ。いかんち言われたらこれ持ってミョーシのギルマスば訪ねたらええぜよ。もし、わしの譲り状で譲ってもろたら、ミョーシに寄って譲り受けたことをミョーシギルドに報告しとーせ。話ば通すんが筋じゃき。わしからも、譲り状を書いたことを連絡しとくき。」
「すまんな。」
ギルマスルームを出て流邏石を登録した。嫁たちはズシミで登録していた流邏石7個を登録し直し、俺はズシミの流邏石を残して、新品の流邏石ひとつに登録した。
チーコギルドに許可を貰って、例によってギルド横で北斗号出張店舗を開いた。積み荷は、三の島の産物しかない。焼酎が良く売れていた。チーコの衆も、三の島の衆に負けず、酒好きのようだ。笑
夕方に出張店舗を閉めて、北斗号をキノベ陸運チーコ営業所へ預け、それからギルド近くの宿屋を取った。今日は嫁会議とかで、俺だけシングルではぶられた。ちくしょう。
「ところで、亭主。チーコの色街にはどう行ったらいいんだ?」
ゴゴゴゴゴと言う凄まじい怒気が、なぜか俺の後ろから発せられ、宿屋の亭主は完全にビビって後退りした。
振り向くと嫁全員が凄まじい怒りの表情をしている。いったい何があった?
「どうした?何があった?」
「何があったじゃないわよ。嫁会議でアタルを別室にしたからって、当て付けに色街に行くってどう言うことよ!」
「へ?」
「浮気…許さない…。女…遊びも…許さない…。」
「浮気?女遊び?なぜそうなる?」
「たった今、宿屋の亭主に色街への行き方を聞いたではないか!」
「確かに聞いたが、何でそれが浮気や女遊びになるんだ?」
「じゃぁ、何しに色街に行くんですか?」
「そおよぉ。そんな言い訳ぇ、通用しないんだからぁ。」
「いや待て。皆がいるのに女遊びする訳ないだろう。挨拶と礼だよ。そして報告。」
「あ、そやったんか。」「なんや、紛らしなぁ。」すぐさま、俺の真意を理解したキョウちゃんズの怒気が収まった。
しかしまだピンと来ていない大人嫁の怒気は、相変わらず続いている。ただし、怒気の一部は疑念に変わって、怒気はやや和らいだ。
「大体な、もし、やましいことをしに色街に行くなら、皆の前では聞かないだろう?」
「…、それもそうね。」サヤ姉の怒気がさらに弱まった。
「なら…誰に…挨拶…?」サジ姉の怒気も大分収まった。
「クマとシゲだよ。」
「「「「「え?」」」」」キョトンとする大人嫁。すでに気付いているキョウちゃんズはもちろん驚かない。
「あいつらが四の島に渡してくれたお陰でノワの攻略ができたからな。チーコの色街で金が尽きるまで居続けで遊んでるあいつらに挨拶して、攻略成功の報告に行くんだ。」
大人嫁全員が俯いた。耳が真っ赤だ。早とちりしてかなり恥ずかしいのだろう。かわいい♪
「なぁ、皆がいるのに、俺が女遊びする訳ないだろう。」
「なっ…。」サヤ姉を抱き寄せてキスをした。
「まあでも嫉妬されるってことは愛されてる証拠かな。」
「ごめん…、なさい…。」次はサジ姉を抱き寄せてキス。
順にホサキ、アキナ、タヅナとキス。これで大人嫁たちのフォローは終わり。
「「うちらは?」」もちろん頂きますとも。チュー×2。
「えー、ごほん。」しまった、宿屋の亭主がいるのを忘れてた。
「で、色街にはどう行くんだよ?」
「まずは大通りに出とーせ。そんでな…。」
宿屋の亭主に色街への行き方を聞いて、出掛けることにした。皆もついて来ると言う。
「お客人、チーコじゃ、色街には人力車で行くんが通ぜよ。」
「そうなのか?じゃぁ頼むかな。」まぁ、郷に入れば郷に従えと言うし、人力車を8台呼んでもらった。
色街には妓楼がいくつもあるが、クマの性格なら、高くても一番大きな妓楼で派手に遊ぶだろう。どうせ、妓楼に入りしなに全財産をどんと置いて、これがなくなるまで居続けだ。と告げてるに違いない。
一番でかい妓楼に着けてもらい、皆でぞろぞろと妓楼に入って行った。お揃いの濃紺のマントを羽織り、飛び切りの美女を7人連れて妓楼に入れば、そりゃ眼を引くわな。迎えに出て来た下足番に、俺は用件を告げた。
「俺はアタルと言う。カドガーから居続けで来ているクマとシゲに取り次いでもらいたい。」
「へぃ。」
玄関先で待つこと数分。俺たちは、妓楼の中に数ある座敷のひとつに案内された。やっぱりな。一番の妓楼で居続けか。
座敷の中から嬌声が聞こえる。まだ宵の口だと言うのにお盛んだなぁ。苦笑
「やぁ、クマさん、シゲさん、じゃまするぜ。」襖を開けて座敷に入ると、下帯1枚のシゲが裸踊りをしており、上座では浴衣の前を全開にして下帯がもろ見えのクマが、両横に美妓を侍らせ、手を叩いて大喜びしていた。俺に気付いたクマが、
「おお、アタルじゃなかね。よう来た。よう来た。ほれ、こっち来て座らんね。」
と声を掛けて来た。俺に続いて嫁たちも入ると、
「おお、嬢ちゃんたちも来ちょったとね。ほら、遠慮せんと、一緒に入らんね。
おい、客人たちに酒と肴を持って来んね。」
シゲも座に戻って両横の美妓の肩を抱いた。その美妓に盃の酒を呑ませてもらっている。なんともまぁ…。苦笑
「いやいやクマさん、お構いなく。ちょっとチーコに来たんで挨拶に寄っただけだからさ。」
「挨拶?何の挨拶かいの?」
「お楽しみのところをすまんな。ふたりが嵐の中を四の島に渡してくれたお陰で無事に紫嵐龍を攻略できたよ。その報告に来た。」
「そやっんかい。なるほど、道理で嵐がやんだ訳じゃな。」
「んじゃ、これで。」早々に席を立とうとすると、
「もう去ぬって、なに言うが?今、来たばかりじゃが。まずは祝い酒じゃ。
ほれ、嬢ちゃんたちも、遠慮せんと。」
結局、しばらく、クマとシゲのどんちゃん騒ぎに付き合うことになった。苦笑
クマもシゲも俺の嫁たちに遠慮しない。美妓の胸に手を入れたり、裾から手を這わせたりやりたい放題だ。嫁たちも半ば呆れていたのだが、あの嵐の中を命懸けで渡してくれたご褒美なのだから、これくらいは大目に見てやらねばな。
美妓たちも、嫁たちを半ば挑発するようにクマとシゲに媚態のしなを作っている。明らかに、超美形の俺の嫁たちに対して、対抗心剝き出しで挑発して来ているのだろう。美妓たちも確かに美しい。しかし、俺の嫁たちの前では霞んでいるからな。
当然、挑発と分かっているから大人嫁たちは相手にしなかったのだが、負けず嫌いのキョウちゃんズは、真っ向勝負を受けて立ってしまった。
まだ成人前のキョウちゃんズが、妖しい色気を放出し、俺にしな垂れ掛かって来る。大胆にも左右から俺の首に両手を回して、交互に糸を引くべろちゅーをして来た。
向こうの美妓たちも、クマとシゲに同じことをして対抗している。キョウちゃんズと美妓4人の火花がバチバチと散った。クマとシゲは役得である。苦笑
「おい、ここはあいつらの縄張りなんだから、あんまり荒らすなよ。」
「せやかて喧嘩を売って来たのはあっちやん。」
「せやで、最初なんかふふんって眼で見よったんやで。」
「そりゃ、対抗意識も出るだろ。お前らの方が美人なんだからな。しかもここはあいつらの本拠地じゃねぇか。負けられないって焦ってるんだよ。」
「「え?うちらの方が美人?」」
「そうだよ。お前ら、自分らが飛び切りの美少女って自覚ないの?」
「「え?ええー?」」もじもじ×2。
「なんだよ。ほんとに気付いてなかったのかよ。お前らが美人過ぎるから、美妓どもは焦ってるんだぜ。」
「「そ、そうなん?」」真っ赤っか×2。チョロイン×2。笑
「ここは一歩引いて、あいつらに花を持たせてやれよ。」
「「うん。」」
聞き分けたキョウちゃんズは俺から離れたが、ふたりともドヤ顔を美妓たちに向けている。なんだよ、結局、こっちからも挑発してるじゃんかよ。苦笑
美妓たちの、クマとシゲへのサービスがさらに激しくなって来たので、俺たちはお暇することにした。俺たちが退散したと思っただろうか?美妓たちはドヤ顔だ。せいぜい美妓たちには勝ち誇らせてやろう。勝ち誇った美妓たちはクマとシゲへのサービスが増すだろう。これで今夜はクマもシゲも間違いなく朝まで3Pだな。やつらにはいい礼になった。笑
宿屋に帰り、嫁部屋で一緒に夕餉を摂った。今夜は嫁会議だから早々にシングルへ退散しようとすると、嫁たちから大部屋呑みに誘われた。あれ?今夜は嫁会議じゃねぇの?
何でも妓楼での紳士的な態度と、キョウちゃんズを抑えて美妓たちの顔を立てたことが、大人嫁たちの琴線に触れたらしい。やっぱり男はああ言う風に余裕がなくてはいけないと言う。そうなんかい?
ま、嫁たちが褒めてくれるなら、それはそれでいいんだけどね。
俺たちの部屋呑みは、夜遅くまで続いたのだった。
呑み会が終わって俺はシングルに帰ったが、嫁たちはこれから嫁会議をやるのだろうか?ま、いっか。俺はもう寝る!
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設定を更新しました。R4/10/9
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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