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射手の統領121 大時化での渡海交渉
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射手の統領
Zu-Y
№121 大時化での渡海交渉
翌朝、宿屋で朝餉を済ませ、港で廻船の乗船券を、ブッペまで買った。いつもの6人和室に追加布団2組で、8人部屋にした。狭くて雑魚寝になるがこれがいい。一家団欒と言った幸せをひしひしと感じる。
出航は昼過ぎなので、午前中はザミャキの港町をぶらぶらする。ギルド前で北斗号の店開きをするには時間がね。それに午前中だけだとろくに客も来ないだろうしな。
早めの昼餉を摂って、出航の1時間前には、北斗号ごと廻船に乗り込み、早速部屋で寛ぐ。
大人嫁たちは装備を脱ぎ、最近はすっかり廻船での部屋着と化したネグリジェに着替えている。当然この格好では部屋の外には出られない。無言の、部屋でゴロゴロします宣言である。笑
俺はと言うと、出航後しばらくは、キョウちゃんズの船内探検に付き合うことになる…はずなのだが、キョウちゃんズもネグリジェに着替えている。あれ?
「なぁ、サキョウ、ウキョウ。船内探検には行かないのか?」
「行かへんよ。」「行きたかったら、アタル兄、ひとりで行ってぇな。」
「いやいや、俺は別に行きたかねぇし。いつもふたりに付き合ってただけじゃん。」
「なら部屋でゆっくりしよや。」
「うちら、姉さんたちとガールズトークしてる方がええねん。」
「おいおい、ガールズトークって、俺はどうなるんだよ。」
「別に一緒におしゃべりしても構へんよ。」
「てか、アタル兄、すぐ寝てまうやん。」
「…。」ふん、寝てやる!ゴロッと横になると、
「あ、拗ねてもうた。」拗ねてねぇよ。
「膝枕したるから、ご機嫌直して。」ん?膝枕…どうせなら大人嫁の方がいいのだが。とは口が裂けても言えない。苦笑
ウキョウに膝枕され、ふと見上げると、あれ?双丘のせいで顔が半分しか見えない。そこそこ育ってるじゃんよ。双丘♪
しかしあまり育って欲しくはない。俺は、巨乳は好まん。アンバランスなのは嫌なのだ。小振りぐらいでちょうどいいと思うのだが、叔父貴たちや家来どもは、巨乳がいいと言う。どうも俺は少数派らしい。
サキョウと交代しても同じだった。船内探検よりも、大人嫁たちとのガールズトークがいいとかもそうだけど、やっぱふたりとも、心も体も着実に成長してるのな。そう思いつつ、俺は心地よい眠りに落ちて行った。
ギー、ギギギギ。ギー、ギギギギ。
昼寝から目を覚ますと、大型廻船の軋む音と、予想外の揺れであった。嫁たちは全員、布団を敷いて転がっている。まぁ、この揺れじゃぁ仕方ねぇか。それにしても随分揺れてるのな。船窓から見た外は、いい天気だが波が高い。波頭があちこちで白くなっている。これは波が高い証拠だ。結構な風が吹いてるのだろう。
今回の部屋は廻船の左舷側で、廻船は三の島東岸を北上しているので、西に向いている船窓から三の島が見える。日没の夕日が三の島に掛かっていた。
そう言えば、西の島の東岸の海は、そのまま外洋に直結するガヒュー灘で、波が高いんだっけ。それにしてもこの波、高過ぎね?
様子を見に甲板に出ようとすると、『波が高いため、甲板へは出られません。』と言う貼紙で、甲板へのドアは閉鎖されていた。
ちょうどナイスタイミングで通り掛かった船員に聞いてみよう。
「随分波が高いのな?ガヒュー灘って波が高いって聞いてたけど、いつもこんななの?」
「うんにゃ、海が荒れちょっとよ。台風じゃないとやけん、四の島のズリの断崖岬の紫嵐龍が出張って来ちょるんじゃろねー。」
「え?紫嵐龍?」
「風の神龍様じゃね。ここんとこよく悪さしよるんよ。ガヒューに滑り込めればええんじゃけんどんよん、ザミャキに引き返すことになるかもしれんが。」
「まじか?」まさか紫嵐龍とはな。
「まぁガヒューに行くか引き返すかは五分五分じゃろかねー。
こん風と波じゃぁ、漁師も漁には出られんじゃろ。ここんとこ、こん風と波が続いちょるけん、漁師は難儀しちょっとじゃろねー。」
「貴重な情報をありがとう。」
船員は微笑むと軽く手を上げて去って行った。
それから馬房デッキに馬たちの様子を見に行くと、4頭とも元気に草を食んでいた。この揺れが気にならないらしい。何とも豪気な。4頭とも俺を見ると、ブルルンと挨拶をして来たので、鼻面をポンポンと叩いてやった。
部屋に戻るとこの揺れで嫁全員がグロッキーだった。出航前に夕餉用として買い込んだ、ザミャキ名物の椎茸めしは、俺ひとりで寂しく食うことになりそうだ。
ちなみに椎茸めしとは、鶏の出汁と椎茸の煮汁で炊込んだ鶏飯に、甘辛く煮た椎茸と、鶏そぼろと錦糸卵を乗せている。
「そろそろ夕餉にしない?」
「「「「「「「…。」」」」」」」無言でノーの返事。苦笑
ひとりで食ってるのに、椎茸めしは大層旨かった。
サジ姉が、定期的にむくりと起き上がって、皆に酔止の術を掛け、再びばたりと倒れ込む。船酔いにならない俺は、遅くまで船酔いの嫁たちの世話をしてポイントを稼いだのは言うまでもない。
ギー、ギギギギ。ギー、ギギギギ。
翌朝になっても、相変わらず廻船は軋んで、揺れは収まっていないどことか、却って激しくなっているような気がする。左舷側の船室の船窓から外を見ると、三の島が見えるので、ザミャキには引き返さずに、夜もガヒューに向けてそのまま北上を続けたようだ。
三の島の東には四の島がある。ズリの断崖岬は四の島の南西端だから、ガヒューからは東北東の海を隔てた先にある。つまり、ザミャキから洋上をガヒューに向けて北上しているこの廻船は、ズリの断崖岬に対して、一直線に向かっている訳ではないものの、斜めに近付いていることになる。
紫嵐龍が、棲家であるズリの断崖岬付近にいるならば、廻船は紫嵐龍に近付いて行っているのだから、揺れは大きくなるのは当たり前だな。
嫁たちが相変わらず船酔いでグロッキーの中、俺は朝餉に椎茸めしを食っていた。残りあと6つ。なんか、二の島からの帰りの東航路でのいかめしを思い出す。
あのときも皆が船酔いでグロッキーになって、買い込んだいかめしをひとりで食ったんだよな。あのときは、嫁たちをオナーマで降ろし、流邏石で先に帰したんだっけ。
もっとも翌日の寄港地のカッツラで廻船に乗り遅れた俺も、結局は東都に流邏石で帰ったんだがな。苦笑
廻船は昼前に、何とかガヒューに辿り着いた。紫嵐龍による大時化のせいで、マストも帆布もボロボロだ。
入港と同時に船長からアナウンスがあり、現時点ではガヒューより先に進めないのでこの先は欠航するとの連絡が入り、ガヒューからブッペへの料金が返金された。
ガヒューの港町は台風さながら、暴風が吹き荒れており、北斗号で下船するときに、ガヒューギルドから伝令が来た。すぐに来いってか?
取り敢えず、正確な情報を得るためにガヒューギルドへは、いの1番に向かうつもりだったから、呼び出しには当然応じるつもりだ。それはいいんだが、俺たちがこの廻船に乗っていたのは筒抜けなのね?
そうは言っても嫁たちは昨日から船酔いで何も食べていない。下船して食欲が戻った嫁たちは、ザミャキで買い込んでいた椎茸めしの残りでは足りず、結局港の食堂でがっつり食べていた。ガヒューも港町だから海鮮が旨い。
昼餉を摂ってから、ガヒューギルドに行き、中に入ると、濃紺のマントを羽織った俺たちのいで立ちを見て、50絡みのおっさんが飛んで来た。
「おんしらぁ、そんいで立ち、セプトじゃなかろか?」
「そうだがあんたは?」
「ギルマスのニチコウじゃ。すまんが、早速、ギルマスルームに来ちょくれ。」
すぐにギルマスルームに通された。
「セプトのアタルだ。順に、サヤ、サジ、ホサキ、サキョウ、ウキョウ、アキナ、タヅナだ。」
「すまんね。早速じゃが、本題に入らせてもらうとよ。セプトは朝廷の依頼で、紅蓮龍ば鎮めたっちゅうこっちゃが、間違いないっちゃろか?」
「ああ。間違いない。」
ニチコウは俺の返事に頷いて状況説明を始めた。
「もう3日になるんじゃが、四の島のズリの断崖岬の紫嵐龍が暴れちょっとよ。今まで1日だけ暴れるんはあったがよ、3日連続は初めてやが。漁に出られん日が続くと厄介じゃっでん、セプトに鎮めて欲しいとよ。報酬は大金貨3枚。」
「分かった。しかし、どうやって四の島に渡るんだ?廻船は欠航なんだろ?」
「そこよ。西の島航路もこん先は欠航。もちろん和南西航路も欠航。エキサからモスクへの渡し航路も、ブッペからウワジへの渡し航路も欠航よ。」
「じゃぁどうすんだ?陸路でハタカまで行って、内海航路でマチャマから四の島に入って、そこから四の島西岸を陸路で南下するのか?」
ニチコウは首を横に振った。
「それじゃぁ日数が掛かり過ぎっちゃが。ガヒューの北隣にカドガーち漁村があっとよ。実はわしの在所なんじゃが、そこに命知らずのクマっちゅー漁師がおっと。わしの幼馴染の親友じゃね。クマヘ紹介状を書くかい、訪ねてみんね?」
「そのクマとやらの漁師船で四の島へ渡してもらえってか?」嫁たちが一気に蒼褪めた。そりゃそうだ。大型廻船でもあの揺れだからな、漁師船だとどれだけ揺れるか分かったもんじゃない。
「そうよ。カドガーん漁師はよ、海賊の末裔じゃから肝が座っちょっとよ。心配いらん。」
「その漁師船に同乗する俺の心配はしないのか?」
「大丈夫じゃ。ほれ、ここに流邏石が10個あるっちゃが。万が一、船が転覆したときにゃーよ、去んで来るのに、アタルはガヒューで、クマはカドガーで登録しとかんね。そんときゃあ船もギルドで弁償すっとじゃに心配いらん。無事に四の島に着いたら、そん港町で残りの8個を登録して、こっちで待機しとる残りのメンバーを迎えに来て欲しいっちゃが。」
「クマはどうすんだよ。船を四の島に置いて帰って来たらどうやって船を取りに行くんだ?」
「海が静まれば仲間ん漁師船でいくらでも取りに行けっとやろが。でもよう、クマにはそんままチーコの色街ん妓楼でかいよ、居続けで遊んで来いち言うつもりじゃ。もちろん一切合切の費用はこっち持ちよ。クマには一番の報酬じゃが。あっはっは。」
「…。」開いた口が塞がんねぇ。嫁たちはと言うと、当然、白い眼をして、呆れている。苦笑
とは言え、そのクマと言う漁師が協力してくれるなら、それが一番いい方法だな。俺は、紫嵐龍攻略の指名クエストを受けた。
そして、ニチコウから流邏石10個とカドガーの漁師クマヘの紹介状と、手土産に焼酎の一升瓶を渡され、ギルマスルームを出た。
ガヒューギルドに登録する流邏石は、俺の分は新品のをひとつ、嫁たちの分の7個は、カゴンマギルドで登録したものを登録し直すことにした。流邏石は高価だからな。節約なのだ。
なお、手元にはニチコウに貰った10個の流邏石が残っている。これは四の島で使おう。
それから北斗号でガヒューの北隣のカドガーへと向かった。道中は風がビュンビュン吹き付けて来る。ガヒューから海岸線に沿って北上すると、小1時間でカドガーに着いので、まずは村長宅を訪ねた。クマの家は浜の真ん前の石垣の上にあると言う。
早速訪ねてみるとそれらしい家があった。
クマは50絡みの男と聞いていたが、その家から出て来たのは30くらいの男だった。いかにも漁師と言う感じの男だが、こいつはクマじゃねぇな。
「わ、わりゃぁ、だ、誰ね?」呂律が怪しいし酒臭い。昼間っから呑んでやがるな。ったく、しょうがねぇなぁ。
「クマさんっつー漁師を探しに来たんだが、あんたじゃないよな?」するとその男は奥に向かって取り次いでくれた。
「おんちゃん、客みたいじゃが。」クマは中にいるのか?
「おおう、シゲ、上がってもらえ。」中から声がした。この応対に出た男はシゲと言うのか?
取り敢えず家に上がらせてもらうと、正面に年の頃50台の、人のよさそうなおっさんがニコニコと座っている。こいつがクマだな。しかし顔が赤いし酒臭い。やっぱり昼間っから呑んでやがったね。苦笑
「こげな大時化でよく来んさったね。おお、お連れは随分別嬪さんばかりじゃね。」嫁たちを褒められて、俺のクマに対する印象が一気に良くなった。笑
「俺は冒険者のアタルだ。ガヒューのギルマスのニチコウさんからの紹介で、この村の漁師のクマさんに会いに来た。あんたがクマさんかい?」
「おうよ。」
「手土産だ。納めてくれ。」ニチコウから貰った焼酎の一升瓶を渡すと、クマはさらに相好を崩した。余程酒好きと見える。
最初に応対に出たシゲが、奥から湯呑を運んで来て、クマが一升瓶から焼酎を注いだ。シゲが、焼酎が注がれた湯呑を俺たち全員に配る。
「いや、焼酎はまだ遠慮しとくよ。」
「なんの、こりゃ水じゃが。遠慮せんと呑まんね。」ったく、何が水だよ。焼酎じゃねぇか。しかし口を付けない訳には行かないな。俺はひと口だけ呑んだ。
「ところでニチコウの奴ぁ、元気にしとったとね?」
「ああ。元気だったよ。紹介状を貰って来た。」俺はクマに紹介状を渡すと、クマは早速紹介状に眼を通した。
「ちっ、ニチコウの野郎、相変わらず無茶言いよるのう。
わりゃぁ、アタル言うたな。この時化に繰り出す度胸はあっとや?」
「いざとなっらた流邏石があるしな。船酔いはしたことないから大丈夫だ。そうそう、ニチコウさんからクマさんへ、流邏石を預かってる。これにカドガーを登録してな、万が一船が転覆したら流邏石でカドガーに飛ぶんだ。船はギルドが保証するそうだ。」
「ふん、転覆なんざぁさせるもんかよ。じゃが、これは断れんちや。」
「時化が続いちゃあ、漁師は上がったりだもんな。」
「うんにゃ、時化たら昼間っから呑めっとやかい、別にいいと。それよりも褒美がの。くくく。ニチコウの奴、よう分かっとるのぉ。」
こいつ、色街の妓楼での居続けであっさりと落ちやがった。
「じゃあ早速。」
「今日はいかん。呑んどるからの。船出は明朝じゃね。今夜は泊まって行かんね。」そう言うことになった。
そうと決まれば呑んでもいいよな。俺は湯呑の焼酎を一気に干した。
「おう、いい呑みっぷりじゃぁ。おい、シゲ、負けんじゃなかとよ。
おーい、客人に塩茹でと魚寿司を持って来んね。」
クマさんが奥に声を掛けてしばらくすると、クマさんの奥さんらしき人が、大皿に山盛りのエビの塩茹でと、サバやアジの姿寿司を持って出て来た。この姿寿司は魚寿司とも、いおん寿司と言うそうだ。いおんは魚の音読みの「うお」の訛りなんだとか。
魚寿司は、サバやアジなどの青魚を、頭を落として腹開きにし、内臓と骨を取って酢で〆て、刻み生姜をまぶした酢飯に魚1匹を乗せてそれなりにしっかり握ったものだ。カドガーやガヒューの辺りの郷土料理なのだそうだ。
嫁たちには1匹を3~4切に輪切りにして出て来たが、俺には1匹がそのまま出て来た。クマさんとシゲさんが、こうやって食うんだとばかりに、鷲掴みにしてガブリと行ったので、俺もマネしてガブリとやった。何これ、超旨ぇぇぇ!
「どげんね?」
「いや、マジ旨い。青魚の寿司はこうやって食う方が、握りよりも断然旨いな。」
嫁たちもひと切れ食べて同じことを言った。
「そりゃ、まこつね。嬉しかねー。魚寿司はカドガーの名物よ。わしゃぁ、これが大の好物でよぅ。そうねー、そげんに旨かとねー。嬉しかねー。
おーい、客人が魚寿司ば、気に入ったち言うとっとよ。ジャンジャン持って来んねー。」
結局嫁たちは奥さんから魚寿司の作り方を習うことになり、クマはキョウちゃんズの食いっぷりを大いに気に入り、俺とシゲは呑み勝負になっていた。笑
その夜は、クマ宅の前に北斗号を停めて、俺たちは北斗号で眠った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/9/25
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№121 大時化での渡海交渉
翌朝、宿屋で朝餉を済ませ、港で廻船の乗船券を、ブッペまで買った。いつもの6人和室に追加布団2組で、8人部屋にした。狭くて雑魚寝になるがこれがいい。一家団欒と言った幸せをひしひしと感じる。
出航は昼過ぎなので、午前中はザミャキの港町をぶらぶらする。ギルド前で北斗号の店開きをするには時間がね。それに午前中だけだとろくに客も来ないだろうしな。
早めの昼餉を摂って、出航の1時間前には、北斗号ごと廻船に乗り込み、早速部屋で寛ぐ。
大人嫁たちは装備を脱ぎ、最近はすっかり廻船での部屋着と化したネグリジェに着替えている。当然この格好では部屋の外には出られない。無言の、部屋でゴロゴロします宣言である。笑
俺はと言うと、出航後しばらくは、キョウちゃんズの船内探検に付き合うことになる…はずなのだが、キョウちゃんズもネグリジェに着替えている。あれ?
「なぁ、サキョウ、ウキョウ。船内探検には行かないのか?」
「行かへんよ。」「行きたかったら、アタル兄、ひとりで行ってぇな。」
「いやいや、俺は別に行きたかねぇし。いつもふたりに付き合ってただけじゃん。」
「なら部屋でゆっくりしよや。」
「うちら、姉さんたちとガールズトークしてる方がええねん。」
「おいおい、ガールズトークって、俺はどうなるんだよ。」
「別に一緒におしゃべりしても構へんよ。」
「てか、アタル兄、すぐ寝てまうやん。」
「…。」ふん、寝てやる!ゴロッと横になると、
「あ、拗ねてもうた。」拗ねてねぇよ。
「膝枕したるから、ご機嫌直して。」ん?膝枕…どうせなら大人嫁の方がいいのだが。とは口が裂けても言えない。苦笑
ウキョウに膝枕され、ふと見上げると、あれ?双丘のせいで顔が半分しか見えない。そこそこ育ってるじゃんよ。双丘♪
しかしあまり育って欲しくはない。俺は、巨乳は好まん。アンバランスなのは嫌なのだ。小振りぐらいでちょうどいいと思うのだが、叔父貴たちや家来どもは、巨乳がいいと言う。どうも俺は少数派らしい。
サキョウと交代しても同じだった。船内探検よりも、大人嫁たちとのガールズトークがいいとかもそうだけど、やっぱふたりとも、心も体も着実に成長してるのな。そう思いつつ、俺は心地よい眠りに落ちて行った。
ギー、ギギギギ。ギー、ギギギギ。
昼寝から目を覚ますと、大型廻船の軋む音と、予想外の揺れであった。嫁たちは全員、布団を敷いて転がっている。まぁ、この揺れじゃぁ仕方ねぇか。それにしても随分揺れてるのな。船窓から見た外は、いい天気だが波が高い。波頭があちこちで白くなっている。これは波が高い証拠だ。結構な風が吹いてるのだろう。
今回の部屋は廻船の左舷側で、廻船は三の島東岸を北上しているので、西に向いている船窓から三の島が見える。日没の夕日が三の島に掛かっていた。
そう言えば、西の島の東岸の海は、そのまま外洋に直結するガヒュー灘で、波が高いんだっけ。それにしてもこの波、高過ぎね?
様子を見に甲板に出ようとすると、『波が高いため、甲板へは出られません。』と言う貼紙で、甲板へのドアは閉鎖されていた。
ちょうどナイスタイミングで通り掛かった船員に聞いてみよう。
「随分波が高いのな?ガヒュー灘って波が高いって聞いてたけど、いつもこんななの?」
「うんにゃ、海が荒れちょっとよ。台風じゃないとやけん、四の島のズリの断崖岬の紫嵐龍が出張って来ちょるんじゃろねー。」
「え?紫嵐龍?」
「風の神龍様じゃね。ここんとこよく悪さしよるんよ。ガヒューに滑り込めればええんじゃけんどんよん、ザミャキに引き返すことになるかもしれんが。」
「まじか?」まさか紫嵐龍とはな。
「まぁガヒューに行くか引き返すかは五分五分じゃろかねー。
こん風と波じゃぁ、漁師も漁には出られんじゃろ。ここんとこ、こん風と波が続いちょるけん、漁師は難儀しちょっとじゃろねー。」
「貴重な情報をありがとう。」
船員は微笑むと軽く手を上げて去って行った。
それから馬房デッキに馬たちの様子を見に行くと、4頭とも元気に草を食んでいた。この揺れが気にならないらしい。何とも豪気な。4頭とも俺を見ると、ブルルンと挨拶をして来たので、鼻面をポンポンと叩いてやった。
部屋に戻るとこの揺れで嫁全員がグロッキーだった。出航前に夕餉用として買い込んだ、ザミャキ名物の椎茸めしは、俺ひとりで寂しく食うことになりそうだ。
ちなみに椎茸めしとは、鶏の出汁と椎茸の煮汁で炊込んだ鶏飯に、甘辛く煮た椎茸と、鶏そぼろと錦糸卵を乗せている。
「そろそろ夕餉にしない?」
「「「「「「「…。」」」」」」」無言でノーの返事。苦笑
ひとりで食ってるのに、椎茸めしは大層旨かった。
サジ姉が、定期的にむくりと起き上がって、皆に酔止の術を掛け、再びばたりと倒れ込む。船酔いにならない俺は、遅くまで船酔いの嫁たちの世話をしてポイントを稼いだのは言うまでもない。
ギー、ギギギギ。ギー、ギギギギ。
翌朝になっても、相変わらず廻船は軋んで、揺れは収まっていないどことか、却って激しくなっているような気がする。左舷側の船室の船窓から外を見ると、三の島が見えるので、ザミャキには引き返さずに、夜もガヒューに向けてそのまま北上を続けたようだ。
三の島の東には四の島がある。ズリの断崖岬は四の島の南西端だから、ガヒューからは東北東の海を隔てた先にある。つまり、ザミャキから洋上をガヒューに向けて北上しているこの廻船は、ズリの断崖岬に対して、一直線に向かっている訳ではないものの、斜めに近付いていることになる。
紫嵐龍が、棲家であるズリの断崖岬付近にいるならば、廻船は紫嵐龍に近付いて行っているのだから、揺れは大きくなるのは当たり前だな。
嫁たちが相変わらず船酔いでグロッキーの中、俺は朝餉に椎茸めしを食っていた。残りあと6つ。なんか、二の島からの帰りの東航路でのいかめしを思い出す。
あのときも皆が船酔いでグロッキーになって、買い込んだいかめしをひとりで食ったんだよな。あのときは、嫁たちをオナーマで降ろし、流邏石で先に帰したんだっけ。
もっとも翌日の寄港地のカッツラで廻船に乗り遅れた俺も、結局は東都に流邏石で帰ったんだがな。苦笑
廻船は昼前に、何とかガヒューに辿り着いた。紫嵐龍による大時化のせいで、マストも帆布もボロボロだ。
入港と同時に船長からアナウンスがあり、現時点ではガヒューより先に進めないのでこの先は欠航するとの連絡が入り、ガヒューからブッペへの料金が返金された。
ガヒューの港町は台風さながら、暴風が吹き荒れており、北斗号で下船するときに、ガヒューギルドから伝令が来た。すぐに来いってか?
取り敢えず、正確な情報を得るためにガヒューギルドへは、いの1番に向かうつもりだったから、呼び出しには当然応じるつもりだ。それはいいんだが、俺たちがこの廻船に乗っていたのは筒抜けなのね?
そうは言っても嫁たちは昨日から船酔いで何も食べていない。下船して食欲が戻った嫁たちは、ザミャキで買い込んでいた椎茸めしの残りでは足りず、結局港の食堂でがっつり食べていた。ガヒューも港町だから海鮮が旨い。
昼餉を摂ってから、ガヒューギルドに行き、中に入ると、濃紺のマントを羽織った俺たちのいで立ちを見て、50絡みのおっさんが飛んで来た。
「おんしらぁ、そんいで立ち、セプトじゃなかろか?」
「そうだがあんたは?」
「ギルマスのニチコウじゃ。すまんが、早速、ギルマスルームに来ちょくれ。」
すぐにギルマスルームに通された。
「セプトのアタルだ。順に、サヤ、サジ、ホサキ、サキョウ、ウキョウ、アキナ、タヅナだ。」
「すまんね。早速じゃが、本題に入らせてもらうとよ。セプトは朝廷の依頼で、紅蓮龍ば鎮めたっちゅうこっちゃが、間違いないっちゃろか?」
「ああ。間違いない。」
ニチコウは俺の返事に頷いて状況説明を始めた。
「もう3日になるんじゃが、四の島のズリの断崖岬の紫嵐龍が暴れちょっとよ。今まで1日だけ暴れるんはあったがよ、3日連続は初めてやが。漁に出られん日が続くと厄介じゃっでん、セプトに鎮めて欲しいとよ。報酬は大金貨3枚。」
「分かった。しかし、どうやって四の島に渡るんだ?廻船は欠航なんだろ?」
「そこよ。西の島航路もこん先は欠航。もちろん和南西航路も欠航。エキサからモスクへの渡し航路も、ブッペからウワジへの渡し航路も欠航よ。」
「じゃぁどうすんだ?陸路でハタカまで行って、内海航路でマチャマから四の島に入って、そこから四の島西岸を陸路で南下するのか?」
ニチコウは首を横に振った。
「それじゃぁ日数が掛かり過ぎっちゃが。ガヒューの北隣にカドガーち漁村があっとよ。実はわしの在所なんじゃが、そこに命知らずのクマっちゅー漁師がおっと。わしの幼馴染の親友じゃね。クマヘ紹介状を書くかい、訪ねてみんね?」
「そのクマとやらの漁師船で四の島へ渡してもらえってか?」嫁たちが一気に蒼褪めた。そりゃそうだ。大型廻船でもあの揺れだからな、漁師船だとどれだけ揺れるか分かったもんじゃない。
「そうよ。カドガーん漁師はよ、海賊の末裔じゃから肝が座っちょっとよ。心配いらん。」
「その漁師船に同乗する俺の心配はしないのか?」
「大丈夫じゃ。ほれ、ここに流邏石が10個あるっちゃが。万が一、船が転覆したときにゃーよ、去んで来るのに、アタルはガヒューで、クマはカドガーで登録しとかんね。そんときゃあ船もギルドで弁償すっとじゃに心配いらん。無事に四の島に着いたら、そん港町で残りの8個を登録して、こっちで待機しとる残りのメンバーを迎えに来て欲しいっちゃが。」
「クマはどうすんだよ。船を四の島に置いて帰って来たらどうやって船を取りに行くんだ?」
「海が静まれば仲間ん漁師船でいくらでも取りに行けっとやろが。でもよう、クマにはそんままチーコの色街ん妓楼でかいよ、居続けで遊んで来いち言うつもりじゃ。もちろん一切合切の費用はこっち持ちよ。クマには一番の報酬じゃが。あっはっは。」
「…。」開いた口が塞がんねぇ。嫁たちはと言うと、当然、白い眼をして、呆れている。苦笑
とは言え、そのクマと言う漁師が協力してくれるなら、それが一番いい方法だな。俺は、紫嵐龍攻略の指名クエストを受けた。
そして、ニチコウから流邏石10個とカドガーの漁師クマヘの紹介状と、手土産に焼酎の一升瓶を渡され、ギルマスルームを出た。
ガヒューギルドに登録する流邏石は、俺の分は新品のをひとつ、嫁たちの分の7個は、カゴンマギルドで登録したものを登録し直すことにした。流邏石は高価だからな。節約なのだ。
なお、手元にはニチコウに貰った10個の流邏石が残っている。これは四の島で使おう。
それから北斗号でガヒューの北隣のカドガーへと向かった。道中は風がビュンビュン吹き付けて来る。ガヒューから海岸線に沿って北上すると、小1時間でカドガーに着いので、まずは村長宅を訪ねた。クマの家は浜の真ん前の石垣の上にあると言う。
早速訪ねてみるとそれらしい家があった。
クマは50絡みの男と聞いていたが、その家から出て来たのは30くらいの男だった。いかにも漁師と言う感じの男だが、こいつはクマじゃねぇな。
「わ、わりゃぁ、だ、誰ね?」呂律が怪しいし酒臭い。昼間っから呑んでやがるな。ったく、しょうがねぇなぁ。
「クマさんっつー漁師を探しに来たんだが、あんたじゃないよな?」するとその男は奥に向かって取り次いでくれた。
「おんちゃん、客みたいじゃが。」クマは中にいるのか?
「おおう、シゲ、上がってもらえ。」中から声がした。この応対に出た男はシゲと言うのか?
取り敢えず家に上がらせてもらうと、正面に年の頃50台の、人のよさそうなおっさんがニコニコと座っている。こいつがクマだな。しかし顔が赤いし酒臭い。やっぱり昼間っから呑んでやがったね。苦笑
「こげな大時化でよく来んさったね。おお、お連れは随分別嬪さんばかりじゃね。」嫁たちを褒められて、俺のクマに対する印象が一気に良くなった。笑
「俺は冒険者のアタルだ。ガヒューのギルマスのニチコウさんからの紹介で、この村の漁師のクマさんに会いに来た。あんたがクマさんかい?」
「おうよ。」
「手土産だ。納めてくれ。」ニチコウから貰った焼酎の一升瓶を渡すと、クマはさらに相好を崩した。余程酒好きと見える。
最初に応対に出たシゲが、奥から湯呑を運んで来て、クマが一升瓶から焼酎を注いだ。シゲが、焼酎が注がれた湯呑を俺たち全員に配る。
「いや、焼酎はまだ遠慮しとくよ。」
「なんの、こりゃ水じゃが。遠慮せんと呑まんね。」ったく、何が水だよ。焼酎じゃねぇか。しかし口を付けない訳には行かないな。俺はひと口だけ呑んだ。
「ところでニチコウの奴ぁ、元気にしとったとね?」
「ああ。元気だったよ。紹介状を貰って来た。」俺はクマに紹介状を渡すと、クマは早速紹介状に眼を通した。
「ちっ、ニチコウの野郎、相変わらず無茶言いよるのう。
わりゃぁ、アタル言うたな。この時化に繰り出す度胸はあっとや?」
「いざとなっらた流邏石があるしな。船酔いはしたことないから大丈夫だ。そうそう、ニチコウさんからクマさんへ、流邏石を預かってる。これにカドガーを登録してな、万が一船が転覆したら流邏石でカドガーに飛ぶんだ。船はギルドが保証するそうだ。」
「ふん、転覆なんざぁさせるもんかよ。じゃが、これは断れんちや。」
「時化が続いちゃあ、漁師は上がったりだもんな。」
「うんにゃ、時化たら昼間っから呑めっとやかい、別にいいと。それよりも褒美がの。くくく。ニチコウの奴、よう分かっとるのぉ。」
こいつ、色街の妓楼での居続けであっさりと落ちやがった。
「じゃあ早速。」
「今日はいかん。呑んどるからの。船出は明朝じゃね。今夜は泊まって行かんね。」そう言うことになった。
そうと決まれば呑んでもいいよな。俺は湯呑の焼酎を一気に干した。
「おう、いい呑みっぷりじゃぁ。おい、シゲ、負けんじゃなかとよ。
おーい、客人に塩茹でと魚寿司を持って来んね。」
クマさんが奥に声を掛けてしばらくすると、クマさんの奥さんらしき人が、大皿に山盛りのエビの塩茹でと、サバやアジの姿寿司を持って出て来た。この姿寿司は魚寿司とも、いおん寿司と言うそうだ。いおんは魚の音読みの「うお」の訛りなんだとか。
魚寿司は、サバやアジなどの青魚を、頭を落として腹開きにし、内臓と骨を取って酢で〆て、刻み生姜をまぶした酢飯に魚1匹を乗せてそれなりにしっかり握ったものだ。カドガーやガヒューの辺りの郷土料理なのだそうだ。
嫁たちには1匹を3~4切に輪切りにして出て来たが、俺には1匹がそのまま出て来た。クマさんとシゲさんが、こうやって食うんだとばかりに、鷲掴みにしてガブリと行ったので、俺もマネしてガブリとやった。何これ、超旨ぇぇぇ!
「どげんね?」
「いや、マジ旨い。青魚の寿司はこうやって食う方が、握りよりも断然旨いな。」
嫁たちもひと切れ食べて同じことを言った。
「そりゃ、まこつね。嬉しかねー。魚寿司はカドガーの名物よ。わしゃぁ、これが大の好物でよぅ。そうねー、そげんに旨かとねー。嬉しかねー。
おーい、客人が魚寿司ば、気に入ったち言うとっとよ。ジャンジャン持って来んねー。」
結局嫁たちは奥さんから魚寿司の作り方を習うことになり、クマはキョウちゃんズの食いっぷりを大いに気に入り、俺とシゲは呑み勝負になっていた。笑
その夜は、クマ宅の前に北斗号を停めて、俺たちは北斗号で眠った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/9/25
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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