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射手の統領041 キョウちゃんズの兄、シエン
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射手の統領
Zu-Y
№41 キョウちゃんズの兄、シエン
西都ギルドのロビーで、昼餉の注文をしたところで、術士風の少年が敵意むき出しで絡んで来た。
「おい、そこの男、妹たちから離れい!」
「え?」
「「兄上!」」
「おー、君がサキョウとウキョウの兄上か。会いたかったぞ。俺はアタルだ。よろしくな。」
俺はガキんちょの敵意など歯牙にも掛けぬ。まぁ、ガキんちょといっても1コ下だがな。笑
「なんやと?」
「まぁ、隣からイスを持って来て座れ。昼餉は食ったか?まだなら一緒にどうだ?」軽くいなして食事に誘った。
「うむ、まぁ、ええやろ。」
「ランチでいいか?
すいませーん、ランチをひとつ追加で!」
「アタルと言うたな。俺はふたりの兄でシエンや。」
シエンが隣のテーブルからイスを持って来て座った。いわゆる誕生日席だ。
「おのれは、随分危ないクエストに妹たちを連れ出してるようやな。」
「それならもうクリアしたぞ。」
「なんやと?」
「サキョウとウキョウのおかげだ。ふたりの陰の術の効果が抜群に素晴らしい。」
「おー、おのれはそれが分かるんか?妹たちはバフかデバフしか使えんのやが、効果が5割もあるんや。俺は両方使えるが効果は2割5分や。つまり少なくとも妹たちは俺と同等や。いや、効果が高いくなる程、陰士は少のうなるよって、俺以上なんや。」
妹たちを褒められて、俺へ向けた敵意をさらりと引っ込めるシエン。
そこへランチが来た。まず食おう。
「「「「「「「いただきます。」」」」」」」
「食べながら続けよう。
シエン、俺はオミョシの方針にとやかく言うつもりはないが、単一能力に特化して素晴らしい効果を持っているのに、1系統だけだからって半人前扱いして勘当するのは違うと思うぞ。」
「まったくその通りや。俺も父上に言うたのやが、それが習わしや言うて取り合うて下さらんのや。下らぬ習わしなど捨て置けばええんや。
そもそも、あの習わしは、妹たちのような抜群の効果を発揮する陰士を想定しておらんに決もうとる。」
「勘当は解けないのか?」
「妹たちの名が売れれば、あるいは解けるかもしれん。せやけど、今まで妹たちが組んでいた奴らは、妹たちの能力を正当に評価して来なんだ。これでは妹たちの名が売れぬわ。高い能力があるゆうに、妹たちが不憫でならん。」
「「兄上…。」」シエンの温かい言葉にふたりは涙ぐんでいる。
「ふむ、では今回の俺たちとのクエストで、サキョウとウキョウの名は売れような。冒険者ランクも上がるはずだ。」
「さよか。それはごっつええな。アタルと言うたか。礼を言うで。」
「いや、礼には及ばん。こちらがサキョウとウキョウに礼を言いたいくらいだ。」
「アタルは陰士を正当に評価する真っ当な眼を持っとる。気に入ったで。」
シエンはすっかり打ち解けた。
「そや、危ないクエストっちゅーのは、どんなものだったんや?」
「聖湖の蒼碧龍を攻略して俺の眷属としたのだ。」
「なんやと!そないな無茶なことができる訳ないやろ!」
「無茶も何も、もう達成したのだ。サキョウとウキョウのおかげだ。」
「ホンマか?なんちゅーこっちゃ。」
「俺たちは、和の国の各地にいる、七神龍を攻略する旅に出る。」
「七神龍て、なんや?」
「聖湖の蒼碧龍のような奴だな。あと5体いる。」
「それを皆狩る。言うんか?」
「そうだ。その旅にサキョウとウキョウも連れて行く。抜群に優秀な陰士のふたりは、どうしても必要だ。」
「ダメや。そんな危ないこと許さへんで。」
「シエン、聞いてくれ。ふたりのことは全力で守るし、ふたりにも大きなメリットがあるのだ。」
「どんなメリットや?」
「陰陽士になれるのだ。」
「なんやて!そりゃホンマか?」
「ふたりには、陽の術の素質があるのだ。七神龍を俺の眷属とすると、その中で適性の合う神龍の属性の陽の術を、ふたりは使えるようになる。一緒に攻略に参加せねば陽の術は得られない。」
「そないな話、おいそれとは、信じられへん。」
「まぁ、それもそうだな。証拠を見せてやろう。サキョウ、手を出せ。」
俺はサキョウの手にウズ鏑を乗せた。サキョウは青く輝く。シエンは驚き、俺はウズ鏑を受け取った。
「サキョウには水の適性があるから、蒼碧龍を封じた鏑に呼応したのだ。」
「むー。確かに光りよった…。」
「「兄上!お願いや。」」
両腕を組んで無言のまま考え込むシエン。
しばらく経って、
「しゃーない。アタル、妹たちをよろしく頼むで。その代わり、必ず無事に返せよ!」
「おう。まかせろ。」俺はシエンと握手した。
俺はランチ7人分、銀貨5枚と大銅貨6枚を払った。シエンは帰って行き、俺たちは東都への帰還の仕方を話し合うことにした。
「サキョウとウキョウがテンバの流邏石を持ってないから、流邏石で一気に帰るなら、先に一旦テンバに飛んで、ふたりの流邏石を登録して戻って来なきゃならないな。」
「テンバまでは距離があるから、流邏石の気力の消費が激しいわね。往復するのは無駄が多いわ。」
「商都から…山髙屋の…廻船は…どう…?」
「そうだな。ふたりは商都の流邏石もないが、距離が近いからちょこっと行ってふたり分登録して来れば全然OKだな。」
「廻船は…東都に…着くから…東都でも…ふたりの…流邏石を…登録…できる…。」
「それに今後、七神龍を求めて、二の島、三の島、四の島へ海を渡ることになるのだろう?であるならば、海路には慣れておいた方がよいと思うぞ。」
「そうね。いい機会よね。」
「そうだな、その線で行くか?」
山髙屋は商品調達のために、廻船による海運業も手広くやっており、積荷に加えて旅客も運ぶ。その中でも東都と商都を結ぶ航路は、南航路と言って、最重要航路のひとつだ。
南航路の他にも、長距離の主要航路としては、東都と二の島の函府を結ぶ東航路、商都と三の島の宰府最寄りのハタカを結ぶ内海航路、ハタカと西都の北のガルツを結ぶ西航路、函府とガルツを結ぶ北航路、商都から外海に出て四の島を経由し、三の島のガヒューを結ぶ和南西航路がある。
主要航路の他には、地方航路、外海航路、渡し航路があって、地方航路は、二の島を周回する北の島航路、三の島を周回する西の島航路、四の島を周回する南の島航路である。
外海航路は長距離の離島航路で、大四島から遠く離れた外海にある離島を繋いでいる。
渡し航路は各地に無数にある短距離航路で、大四島同士を繋いだり、短距離の離島を繋いだりしている。
ギルドを出て装備屋に行き、通常矢の補給や武器のメンテを行った。その後、サキョウとウキョウが間借りしている部屋を引き払い、不要な荷物を処分した。
俺たちは、ギルド近くの宿屋を取った。デラックスダブルと4人部屋をひと部屋ずつ取った。素泊まりひとり銀貨2枚、ただし、キョウちゃんズは子供料金で半額、デラックスダブルが銀貨5枚、4人部屋が大銀貨1枚。合計大銀貨2枚と銀貨5枚だ。部屋割りは俺とキョウちゃんズでデラックスダブル、嫁3人が4人部屋。キョウちゃんズは俺と一緒で大喜びだ。かわいいなぁ。
嫁3人とキョウちゃんズは先にチェックインして、俺は商都ギルドに飛んだ。商都ギルドで新品の流邏石2個を登録し、山髙屋商都西本店へ行く。
そこで東都行きの廻船を聞くと、明日の昼に出る便が大型の廻船だと言う。翌日にシグ、翌々日にヌーマ、3日後に東都だ。
金額は1泊ひとり銀貨5枚、子供は3枚、大部屋で雑魚寝なら運賃のみ、仕切ベッド1泊銀貨2枚、ベッドのある4人部屋は1泊大銀貨1枚、ツインは銀貨5枚、布団の6人部屋は1泊大銀貨1枚と銀貨2枚だ。
俺は、東都まで布団の6人部屋、大人4人、子供2人を予約して、アキナからもらった割引券を使った。なんと5割引だ。凄ぇ。本来なら、金貨1枚、大銀貨1枚、銀貨4枚のところが、大銀貨5枚、銀貨7枚で済んだ。
なお、食費は別途掛かる。寄港地では荷の積み下ろしで数時間寄港するが、その際には街に出てもよい。
流邏石で西都に戻り、宿屋に入って皆と合流して、夕餉を摂りに街に出る。
夕餉は、ギルドの受付チフユさんお勧めのすき焼き店にした。かなりの有名店らしく並んでいたのでしばらく待たされた。ようやく順番が来て、座敷に通された。
すき焼きは旨かった。俺も嫁3人もガッツリ食べたが、キョウちゃんズは、頑張ってたくさん食べていた。成長を始めたら速いとライは言っていた。ふたりのこの努力が、早く実を結ぶといいなと思う。
宿屋に戻ると、部屋に別れた。今夜はキョウちゃんズと同室だ。デラックスダブルだが、さすがに子供には欲情しない。部屋の風呂は小さいので、今夜は一緒に入れない。先に子供サイズのキョウちゃんズがふたりで入り、入れ替わりで俺が入った。
風呂から上がると、キョウちゃんズがベッドに座って待っていた。
恒例の頂マッサージを始めると、キャッキャとくすぐったがったが、頂の反応はいい。反応後も刺激を与え続けると、おとなしくなってマッサージを受けている。くすぐったくなくなって来たのかもしれない。
マッサージ終了後も、ふたりは俺にまとわりついて来る。
ここ2~3日で随分慕われたものだ。まだ13歳なのに能力不足を理由に勘当されたのだものな。気を張ってはいたが、やはり心細かったのだろう。ふたり一緒だったのがせめてもの救いか。まとわりついて来るときは、目一杯構ってやることにしている。にこやかに見上げて来る顔がとてもかわいい。
俺を真ん中に3人で川の字になって寝る。左腕でサキョウ、右腕でウキョウを抱いてふたりの頭を撫でた。
「アタル兄、両手に花やろ。」
「ほころびかけた蕾だな。」
「もうすぐ咲くんやからね。」
「美しかろうな。楽しみだ。」
美しい。と言う言葉に反応したふたりが抱き付いて来る。かわいかったのでふたりに軽くおやすみのキスをした。そう言えばふたりにキスしたのは初めてか?まあいい。
じきに俺たちは眠りに落ちた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/3/27
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№41 キョウちゃんズの兄、シエン
西都ギルドのロビーで、昼餉の注文をしたところで、術士風の少年が敵意むき出しで絡んで来た。
「おい、そこの男、妹たちから離れい!」
「え?」
「「兄上!」」
「おー、君がサキョウとウキョウの兄上か。会いたかったぞ。俺はアタルだ。よろしくな。」
俺はガキんちょの敵意など歯牙にも掛けぬ。まぁ、ガキんちょといっても1コ下だがな。笑
「なんやと?」
「まぁ、隣からイスを持って来て座れ。昼餉は食ったか?まだなら一緒にどうだ?」軽くいなして食事に誘った。
「うむ、まぁ、ええやろ。」
「ランチでいいか?
すいませーん、ランチをひとつ追加で!」
「アタルと言うたな。俺はふたりの兄でシエンや。」
シエンが隣のテーブルからイスを持って来て座った。いわゆる誕生日席だ。
「おのれは、随分危ないクエストに妹たちを連れ出してるようやな。」
「それならもうクリアしたぞ。」
「なんやと?」
「サキョウとウキョウのおかげだ。ふたりの陰の術の効果が抜群に素晴らしい。」
「おー、おのれはそれが分かるんか?妹たちはバフかデバフしか使えんのやが、効果が5割もあるんや。俺は両方使えるが効果は2割5分や。つまり少なくとも妹たちは俺と同等や。いや、効果が高いくなる程、陰士は少のうなるよって、俺以上なんや。」
妹たちを褒められて、俺へ向けた敵意をさらりと引っ込めるシエン。
そこへランチが来た。まず食おう。
「「「「「「「いただきます。」」」」」」」
「食べながら続けよう。
シエン、俺はオミョシの方針にとやかく言うつもりはないが、単一能力に特化して素晴らしい効果を持っているのに、1系統だけだからって半人前扱いして勘当するのは違うと思うぞ。」
「まったくその通りや。俺も父上に言うたのやが、それが習わしや言うて取り合うて下さらんのや。下らぬ習わしなど捨て置けばええんや。
そもそも、あの習わしは、妹たちのような抜群の効果を発揮する陰士を想定しておらんに決もうとる。」
「勘当は解けないのか?」
「妹たちの名が売れれば、あるいは解けるかもしれん。せやけど、今まで妹たちが組んでいた奴らは、妹たちの能力を正当に評価して来なんだ。これでは妹たちの名が売れぬわ。高い能力があるゆうに、妹たちが不憫でならん。」
「「兄上…。」」シエンの温かい言葉にふたりは涙ぐんでいる。
「ふむ、では今回の俺たちとのクエストで、サキョウとウキョウの名は売れような。冒険者ランクも上がるはずだ。」
「さよか。それはごっつええな。アタルと言うたか。礼を言うで。」
「いや、礼には及ばん。こちらがサキョウとウキョウに礼を言いたいくらいだ。」
「アタルは陰士を正当に評価する真っ当な眼を持っとる。気に入ったで。」
シエンはすっかり打ち解けた。
「そや、危ないクエストっちゅーのは、どんなものだったんや?」
「聖湖の蒼碧龍を攻略して俺の眷属としたのだ。」
「なんやと!そないな無茶なことができる訳ないやろ!」
「無茶も何も、もう達成したのだ。サキョウとウキョウのおかげだ。」
「ホンマか?なんちゅーこっちゃ。」
「俺たちは、和の国の各地にいる、七神龍を攻略する旅に出る。」
「七神龍て、なんや?」
「聖湖の蒼碧龍のような奴だな。あと5体いる。」
「それを皆狩る。言うんか?」
「そうだ。その旅にサキョウとウキョウも連れて行く。抜群に優秀な陰士のふたりは、どうしても必要だ。」
「ダメや。そんな危ないこと許さへんで。」
「シエン、聞いてくれ。ふたりのことは全力で守るし、ふたりにも大きなメリットがあるのだ。」
「どんなメリットや?」
「陰陽士になれるのだ。」
「なんやて!そりゃホンマか?」
「ふたりには、陽の術の素質があるのだ。七神龍を俺の眷属とすると、その中で適性の合う神龍の属性の陽の術を、ふたりは使えるようになる。一緒に攻略に参加せねば陽の術は得られない。」
「そないな話、おいそれとは、信じられへん。」
「まぁ、それもそうだな。証拠を見せてやろう。サキョウ、手を出せ。」
俺はサキョウの手にウズ鏑を乗せた。サキョウは青く輝く。シエンは驚き、俺はウズ鏑を受け取った。
「サキョウには水の適性があるから、蒼碧龍を封じた鏑に呼応したのだ。」
「むー。確かに光りよった…。」
「「兄上!お願いや。」」
両腕を組んで無言のまま考え込むシエン。
しばらく経って、
「しゃーない。アタル、妹たちをよろしく頼むで。その代わり、必ず無事に返せよ!」
「おう。まかせろ。」俺はシエンと握手した。
俺はランチ7人分、銀貨5枚と大銅貨6枚を払った。シエンは帰って行き、俺たちは東都への帰還の仕方を話し合うことにした。
「サキョウとウキョウがテンバの流邏石を持ってないから、流邏石で一気に帰るなら、先に一旦テンバに飛んで、ふたりの流邏石を登録して戻って来なきゃならないな。」
「テンバまでは距離があるから、流邏石の気力の消費が激しいわね。往復するのは無駄が多いわ。」
「商都から…山髙屋の…廻船は…どう…?」
「そうだな。ふたりは商都の流邏石もないが、距離が近いからちょこっと行ってふたり分登録して来れば全然OKだな。」
「廻船は…東都に…着くから…東都でも…ふたりの…流邏石を…登録…できる…。」
「それに今後、七神龍を求めて、二の島、三の島、四の島へ海を渡ることになるのだろう?であるならば、海路には慣れておいた方がよいと思うぞ。」
「そうね。いい機会よね。」
「そうだな、その線で行くか?」
山髙屋は商品調達のために、廻船による海運業も手広くやっており、積荷に加えて旅客も運ぶ。その中でも東都と商都を結ぶ航路は、南航路と言って、最重要航路のひとつだ。
南航路の他にも、長距離の主要航路としては、東都と二の島の函府を結ぶ東航路、商都と三の島の宰府最寄りのハタカを結ぶ内海航路、ハタカと西都の北のガルツを結ぶ西航路、函府とガルツを結ぶ北航路、商都から外海に出て四の島を経由し、三の島のガヒューを結ぶ和南西航路がある。
主要航路の他には、地方航路、外海航路、渡し航路があって、地方航路は、二の島を周回する北の島航路、三の島を周回する西の島航路、四の島を周回する南の島航路である。
外海航路は長距離の離島航路で、大四島から遠く離れた外海にある離島を繋いでいる。
渡し航路は各地に無数にある短距離航路で、大四島同士を繋いだり、短距離の離島を繋いだりしている。
ギルドを出て装備屋に行き、通常矢の補給や武器のメンテを行った。その後、サキョウとウキョウが間借りしている部屋を引き払い、不要な荷物を処分した。
俺たちは、ギルド近くの宿屋を取った。デラックスダブルと4人部屋をひと部屋ずつ取った。素泊まりひとり銀貨2枚、ただし、キョウちゃんズは子供料金で半額、デラックスダブルが銀貨5枚、4人部屋が大銀貨1枚。合計大銀貨2枚と銀貨5枚だ。部屋割りは俺とキョウちゃんズでデラックスダブル、嫁3人が4人部屋。キョウちゃんズは俺と一緒で大喜びだ。かわいいなぁ。
嫁3人とキョウちゃんズは先にチェックインして、俺は商都ギルドに飛んだ。商都ギルドで新品の流邏石2個を登録し、山髙屋商都西本店へ行く。
そこで東都行きの廻船を聞くと、明日の昼に出る便が大型の廻船だと言う。翌日にシグ、翌々日にヌーマ、3日後に東都だ。
金額は1泊ひとり銀貨5枚、子供は3枚、大部屋で雑魚寝なら運賃のみ、仕切ベッド1泊銀貨2枚、ベッドのある4人部屋は1泊大銀貨1枚、ツインは銀貨5枚、布団の6人部屋は1泊大銀貨1枚と銀貨2枚だ。
俺は、東都まで布団の6人部屋、大人4人、子供2人を予約して、アキナからもらった割引券を使った。なんと5割引だ。凄ぇ。本来なら、金貨1枚、大銀貨1枚、銀貨4枚のところが、大銀貨5枚、銀貨7枚で済んだ。
なお、食費は別途掛かる。寄港地では荷の積み下ろしで数時間寄港するが、その際には街に出てもよい。
流邏石で西都に戻り、宿屋に入って皆と合流して、夕餉を摂りに街に出る。
夕餉は、ギルドの受付チフユさんお勧めのすき焼き店にした。かなりの有名店らしく並んでいたのでしばらく待たされた。ようやく順番が来て、座敷に通された。
すき焼きは旨かった。俺も嫁3人もガッツリ食べたが、キョウちゃんズは、頑張ってたくさん食べていた。成長を始めたら速いとライは言っていた。ふたりのこの努力が、早く実を結ぶといいなと思う。
宿屋に戻ると、部屋に別れた。今夜はキョウちゃんズと同室だ。デラックスダブルだが、さすがに子供には欲情しない。部屋の風呂は小さいので、今夜は一緒に入れない。先に子供サイズのキョウちゃんズがふたりで入り、入れ替わりで俺が入った。
風呂から上がると、キョウちゃんズがベッドに座って待っていた。
恒例の頂マッサージを始めると、キャッキャとくすぐったがったが、頂の反応はいい。反応後も刺激を与え続けると、おとなしくなってマッサージを受けている。くすぐったくなくなって来たのかもしれない。
マッサージ終了後も、ふたりは俺にまとわりついて来る。
ここ2~3日で随分慕われたものだ。まだ13歳なのに能力不足を理由に勘当されたのだものな。気を張ってはいたが、やはり心細かったのだろう。ふたり一緒だったのがせめてもの救いか。まとわりついて来るときは、目一杯構ってやることにしている。にこやかに見上げて来る顔がとてもかわいい。
俺を真ん中に3人で川の字になって寝る。左腕でサキョウ、右腕でウキョウを抱いてふたりの頭を撫でた。
「アタル兄、両手に花やろ。」
「ほころびかけた蕾だな。」
「もうすぐ咲くんやからね。」
「美しかろうな。楽しみだ。」
美しい。と言う言葉に反応したふたりが抱き付いて来る。かわいかったのでふたりに軽くおやすみのキスをした。そう言えばふたりにキスしたのは初めてか?まあいい。
じきに俺たちは眠りに落ちた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/3/27
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
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