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射手の統領023 野盗の襲撃
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射手の統領
Zu-Y
№23 野盗の襲撃
朝餉の後、早々に宿屋を発った。
チェックアウトの際、宿屋の主人に俺は、ここの自家源泉を激賞し、必ずまた来ると約束して別れた。宿屋の主人も嬉しそうだった。
コネハの温泉街は、山道の登りの途中にあったので、出発後は当分の間、登りが続く。
しばらく進むと先頭車両がいきなり止まった。襲撃か?商隊のまわりを右回りに巡回していたアオゲとアシゲのうち,このタイミングで先頭車両の右前にいたアオゲが先頭車両に寄り、おそらくジュピと情報交換している。ネプとアステは先頭車両から降り、盾を構えて警戒している。
ジュピとの情報交換を手短に済ませたアオゲが、中央車両にやって来た。
中央車両を先頭車両のすぐ後ろに停車させる。
「式神が怪しい集団を捉えました。街道の右の森の中を5人の集団が並走しています。こちらが止まったら集団も止まったので、こちらの様子を伺っているようです。」
「小さい野盗集団か、あるいは大きな野盗集団の斥候部隊でしょうか?」アオゲの報告を受けて、アキナが心配そうに聞いて来た。
「まだ分からんが、斥候に5人を出すとしたら、結構な規模の野盗だろうな。」
俺は中央車両を降りた。
中央車両の後ろに、後尾車両も停車し、サヤ姉、サジ姉、ホサキも後尾車両を降りて、あたりを警戒している。
ジュピが中央車両にやって来た。
「ジュピ、5人の不審者はどのあたりだ?」
「4時の方向におよそ50mだな。」
「ちょいと脅かしてやるか。」
俺は雷撃矢を放つ。閃光と轟音。
「お、散り散りに逃げてくな。あ、ひとりコケた。パニクってるようだ。」
ジュピが式神からの偵察情報を知らせてくれる。
「敵だ。11時の方向、およそ300m。数がだんだん増えて来る。隠れてやがったな。こちらの進行方向に展開している。道を塞ぐ気だな。」左前方を式神で警戒していたマズからだ。
ジュピが、全員に防御上昇の術を掛け、その後、プルに属性攻撃上昇の術を掛けた。マズには属性攻撃上昇の術を掛けない。マズは火属性だから、まわりの樹々が燃えたらまずいことになる。冷静で賢明な判断だ。
前方から真上に火球が上がって爆ぜた。斥候隊への合図だろうか。火属性の陽士がいるな。
5人の集団は、斥候兼勢子だろう。火球の合図で、商隊の後方にまわり込んで追い立て、商隊の前方の本隊に追い込む。本隊は峠の上側に展開してるから、優位な位置取りだ。
しかし斥候隊は先程の雷撃矢による威嚇ですでに散り散りだ。当然反応できないし、俺たちは動かない。
「敵の射手が出て来た。遠矢が来るぞ。」マズが叫ぶ。
距離はあるが、上からの攻撃なので、ダメージを受けてしまう恐れがある。
「プル、風壁を頼む。」ジュピが指示を飛ばす。
「まかせろ。」
プルの風壁の術で、商隊前方に上昇気流が起きて、飛んで来た矢の軌道を逸らした。
そのうち、敵は上からの地の利を生かして、嵩み掛かって来るだろう。何とかその勢いを減じたい。
「下からだと、遠矢でもきついな。」俺がつぶやくと、
「これでどうだ?」ジュピが、物理攻撃上昇の術を掛けて来た。
おー、力が漲る!
「ライ、3倍で頼む。」普段の属性付加の3倍である。
『承知。』
俺は敵の足元を目標に、雷撃矢を遠矢で放った。放たれた矢が、黄色い光を放ちながら放物線を描く。いつもより遠くへ、そして矢勢もいい。
地の利を生かして上からの突撃に移った直後の敵の前方に着弾した雷撃矢は、いつもの3倍の効果で敵を襲う。およそ20名いた敵の、約半数が硬直して転げた。感電したのだ。突然転倒した仲間に、後続がつまずいて転ぶ。
そこへ、プルの風属性と氷属性を絡めた吹雪の術が広域で敵を襲った。射程距離も、威力も素晴らしい。ジュピによる属性攻撃上昇のおかげだ。敵はほぼ戦闘不能だ。なんか、瞬殺じゃね?
一見、俺の雷撃矢とプルの吹雪の術が活躍したように見えるが、ジュピの強化術が一番効果的だった。
陰の術は、直接的には目立たないが、その効果は絶大だな。
「ジュピ、支援ありがとう。見事だ。陰の術がこれほどとは。」
「いや、アタルの雷撃矢とプルの吹雪の術で勝ったのだ。俺はちょこっとサポートしただけだぜ。」
「ジュピ、何を言っている?ジュピの支援がなければ、もっと引き付けないと雷撃矢が届かなかったぞ。プルの吹雪の術の射程と威力もそうだ。
敵を引き付ければ、突撃されて乱戦になる危険は格段に上がる。そしたらこちらにも少なからず被害が出た。
それに敵の初撃の矢を躱した風壁も、気力上昇の支援なしではあそこまで広範囲にはできないはずだ。初撃が入ってれば、こちらも少なからず混乱しただろうから、敵本隊をここまで完全に迎撃できなかった。
この戦闘のMVPはジュピだ。」
「アタルよ。ここまで陰の術を評価するとは珍しい奴だな。」
「珍しいものか。この活躍が分からないなら、そいつの見る目がないんだろうよ。」
「俺たちのサンファミメンバーの評価もアタルと同じなんだけどな、ジュピはいつもこうだ。ジュピはこう言う奴なんだよ」プルが笑った。
敵はこの一帯を荒らす野党だった。野盗本隊19名は一網打尽、斥候隊5名は一旦逃げたが、様子を見に戻って来た3名をあっさり捕獲した。
負傷した敵をサジ姉の回復術で治療し、全員の武器と装備を取り上げ、下帯だけの半裸にして、後ろ手にさせて、手枷足枷数珠繋ぎにした。
本隊が隠れていた場所は野盗のアジトで、そこに戻って来た残るふたりも確保した。これで野盗24名をすべて捕らえた。このふたりも同様に数珠繋ぎにして、念のため、逃走防止にジュピが走力低下の術を掛けた。このせいでダッシュはできなくなり、せいぜいジョグぐらいまでである。
野盗のアジトには盗品や貨幣がそこそこあり、アジトの荷車にすべて積んで、野盗どもに曳かせた。先頭車両と中央車両の間に、野盗が引く荷車を配置して、今夜宿泊するヌーマの港町まで行き、ヌーマの衛兵詰所に、野盗と盗品と貨幣をまとめて届けるのだ。
まだ峠の登り坂と言うこともあり、最初のうちは、野盗はぐずぐずとしてゆっくり歩き、サボタージュのような抵抗を示した。
騎馬のアオゲとアシゲが挟んで急かすが、舐め切った態度をとって言うことをまったく聞かない。アオゲとアシゲは鞭も振るったが、逆に座りこんでテコでも動かないとゴネ出した。
野盗の荷車が止まったので、中央車両、後尾車両が続いて止まる。先頭車両は進んでたので、騎馬のアオゲが伝令に走って先頭車両も停止させた。
「ケッ、どうせ死刑か、よくても一生犯罪奴隷なんだからよ、やってられっかよ。なぁ、みんな。」と頭目らしき男が仲間を煽る。
そうだそうだと、手下たちが一斉に同調した。
こりゃ、ひとりかふたり、血祭りに上げなきゃいかんかな?と、俺は憂鬱になる。そこへ後尾車両からサヤ姉とサジ姉が駆け付けて来た。ホサキは後方警戒に、後尾車両に残っている。先頭車両からも、ジュピとプルとマズが来た。ネプとアステは前方警戒に、先頭車両に残っている。
アキナが、サヤ姉、サジ姉、ジュピ、プル、マズにかいつまんで事情を話すと、サヤ姉とサジ姉のふたりは、こそこそと会話した後、アキナに向かって、私たちに任せて。と自信ありげに言った。
ふたりの表情が、ドSの微笑みに変わる。俺の背中に冷たいものが流れた。
「やばい、お前ら、すぐに言うとこを聞け。」俺はとっさに口走ったが、そんなことを聞く野盗どもではない。
「あんたたち、いい加減にしないと、本意じゃないけど痛い目を見せるわよ。」
「おー、威勢がいい嬢ちゃんだな。嬢ちゃんが相手してくれるのか?奮い立っちゃうよ、俺。」頭目の挑発にギャハハとまわりが笑う。
「頭ぁ、俺と代わってくれよう。」手下その1の合いの手に、一同が、またギャハハ。
「いい…のね…?ほんとに…やるよ…。」
「犯るのは俺、嬢ちゃんたちは犯られるの。気持ちいいぜぇ。」あくまでも挑発し続ける頭目。ギャハハと笑うまわり。
「頭ぁ、ひとり占めはずるいぜ。」調子に乗る手下その1、一同、ギャハハ。
「あぁ、もう知らないぞっと。なむー。」俺は天を仰いだ。
ドゴッ。
「ぐへぇ。」前屈みにうずくまる頭目。後ろ手に縛られているので、両手で押さえるともできない。
だから言ったのに。やっぱり、今、まともに入ったよね。痛いなんてもんじゃないよねぇ。サヤ姉は、あの痛みが分からないから容赦ないよねー。俺は男だから、頭目に同情しちゃうなー。なむー。
激痛に声が出ない頭目を蹴転がして仰向けにし、さらに二撃目、三撃目の蹴りを容赦なく股間に叩き込むサジ姉。サジ姉も蹴撃に加わったのだ。ふたりで頭目の股間だけを集中攻撃している。
頭目、泡噴いた。こりゃ気絶したな。潰れてるかもなー。なむー。
そこへサジ姉が回復の術を掛け、股間の傷を癒された頭目が意識を取り戻す。
再びサヤ姉とサジ姉の容赦ない蹴撃。あ、サヤ姉がグリグリやってる。今度は踏み潰したな。頭目の絶叫がコネハの山々に木魂する。
再び頭目が気絶すると、再びサジ姉が回復の術。2度目の目覚めで、泣いて詫びる頭目。絶句して声が出ない手下一同。
頭目の詫びに聞く耳を持たず、無言で3度目の蹴撃に移るサヤ姉とサジ姉。泡を吹いて気絶する頭目、回復の術で起こすサジ姉。赦しを請う頭目。懇願と言ってもいい。
蹴撃、気絶、回復、懇願のサイクルがさらに続く。頭目の眼はもはや、怯えと絶望に死んだも同然だ。生気が失われた眼を見て、ようやくサヤ姉とサジ姉は頭目を解放した。
サヤ姉は野盗一同を見まわし、手下のひとりに目を付けた。手下その1だ。
「あんた、代わってくれって言ってたわよね?」
そのひと言で股間を濡らす手下その1。
まったく容赦のない蹴撃&回復の反復攻撃が、ふたり目の犠牲者をもみるみる廃人に変えて行く。サヤ姉とサジ姉はドSの微笑みをうっすらと浮かべている。怖い怖い怖い。
「次は誰にしようかしら。」サヤ姉、ドSの微笑み全開。
「どのみち…全員…血祭…。」サジ姉、ドSの微笑み全開。
「「「「「ちゃんと荷車を曳くので勘弁して下さい。」」」」」号泣しながら土下座する手下一同。
「最初から…素直に…すれば…いい…ものを…。」ゴミ屑を見る目で呟くサジ姉。怖い怖い怖い。
野盗の大半はチビってました。下帯だけだからモロ分かりだ。
ジュピも、プルも、マズも、アオゲも、アシゲも、一部始終を目撃していた男どもは、凄惨な現場に静まり返っていた。
「アタル…。浮気だけはするなよ。」心底同情しているジュピの眼が、俺の心に強く印象に残った。
そのあとの行程は、峠を越えて下りになったこともあり、至って順調だった。予定よりは遅れたが、日が暮れる頃には、ヌーマの港町に到着した。
ヌーマの港町で俺たちセプトは、商隊と一旦分かれた。商隊は山髙屋ヌーマ支店に直行し、俺たちセプトは野盗を衛兵詰所に連行するのだ。
俺とホサキが先頭、手枷足枷数珠繋ぎで荷車を曳く野盗24名を挟み、後尾がサヤ姉とサジ姉。町中を半裸の野盗が大勢で荷車を曳いてるのだから、当然注目を集めた。
サヤ姉とサジ姉を後尾に配置した目論見通り、野盗の足取りは速い。ふたりが野盗どもに叩き込んだトラウマの効果は絶大だ。思ったより早く衛兵詰所に到着した。
衛兵詰所で事情を話し、野盗24名を引き渡した。このとき頭目と手下その1が、衛兵に取りすがって安堵の号泣をし、衛兵を呆れさせたのは、後日、サヤ姉とサジ姉の武勇伝となった。
この野盗集団は、ここ数年、コネハの峠を根城にして暗躍していた連中で、かなりの被害が出ており、ギルドと衛兵詰所からは、野盗の一網打尽に対して、大金貨1枚の賞金が掛けられていた。
あらかじめ、商隊長のアキナと打ち合わせていた通り、野盗のアジトから回収して来た盗品や貨幣の、戦利品としての所有権はすべて放棄し、被害者に返却する。その代わりに、山髙屋が野盗を撃退して取り返したことを喧伝してもらうことにした。目先の金より、山髙屋の信用を高める方を躊躇なく選んだアキナは、やはり非常に優秀だ。
野盗の武器や防具はすぐに換金し、アジトにあった貨幣と、ギルドと衛兵詰所からの討伐賞金と合わせて大金貨8枚相当になるとのことだった。これらは被害者の救済資金にする。
盗品はすべて、衛兵詰所に提出されている被害届と照会し、持ち主が特定できた場合は返却、持ち主を特定できなかった盗品は換金して、被害者救済資金に加える。救済期間は1年間。被害者救済資金に残金が出たら、山髙屋で受け取る。
衛兵詰所の担当官と、だいたいの打ち合わせが終わったところで、商隊長のアキナと山髙屋ヌーマ支店の副支店長が、ヌーマ支店からやって来た。
衛兵詰所との取り決めを書面にして交わすために来たと言う。抜かりない。副支店長が来るあたり、山髙屋の本気度がうかがえる
交渉の詰めはアキナと副支店長に任せ、俺たちは質問があった場合に備えて後ろで待機した。アキナはほとんど口を出さず、副支店長が中心になっている。このあと直接かかわるのはヌーマ支店だから当然だな。
しばらくして、副支店長があとはこちらでやります。と言うことで、アキナと俺たちセプトのメンバーは5人で宿屋に向かった。
「アキナ、今回の決断には感心したよ。」
「何のことですか?」
「戦利品としての所有権を放棄して被害者に返却することだな。盗品を除いても、アジトの貨幣と、武器装備の換金と、奴らに掛けられてた討伐賞金で大金貨8枚相当だそうだ。」
「被害者の方に返すのが一番ですよ。山髙屋の収入は、誠実な商いだけでいいんです。
それに、取り戻したのは山髙屋だと宣伝してもらえますからね、信用を高めて頂く方が、山髙屋としてはずっと効果的なのです。」
「俺が感心してるのはそこなんだ。目先の金より店の信用を取る。言うのは簡単だが、実際に行うのはなかなかできることじゃないと思うぞ。それを瞬間的に躊躇なく決断したアキナは、やはり非常に優秀だな。」
「え?そんなことはありませんよ。でもアタルに褒めて頂いて嬉しいです。」赤くなってモジモジしだすアキナ。
サヤ姉とサジ姉は互いに見合って、またか。と軽い溜息をつく。ホサキはキョトンとしている。いつもの光景だ。
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設定を更新しました。R4/2/13
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№23 野盗の襲撃
朝餉の後、早々に宿屋を発った。
チェックアウトの際、宿屋の主人に俺は、ここの自家源泉を激賞し、必ずまた来ると約束して別れた。宿屋の主人も嬉しそうだった。
コネハの温泉街は、山道の登りの途中にあったので、出発後は当分の間、登りが続く。
しばらく進むと先頭車両がいきなり止まった。襲撃か?商隊のまわりを右回りに巡回していたアオゲとアシゲのうち,このタイミングで先頭車両の右前にいたアオゲが先頭車両に寄り、おそらくジュピと情報交換している。ネプとアステは先頭車両から降り、盾を構えて警戒している。
ジュピとの情報交換を手短に済ませたアオゲが、中央車両にやって来た。
中央車両を先頭車両のすぐ後ろに停車させる。
「式神が怪しい集団を捉えました。街道の右の森の中を5人の集団が並走しています。こちらが止まったら集団も止まったので、こちらの様子を伺っているようです。」
「小さい野盗集団か、あるいは大きな野盗集団の斥候部隊でしょうか?」アオゲの報告を受けて、アキナが心配そうに聞いて来た。
「まだ分からんが、斥候に5人を出すとしたら、結構な規模の野盗だろうな。」
俺は中央車両を降りた。
中央車両の後ろに、後尾車両も停車し、サヤ姉、サジ姉、ホサキも後尾車両を降りて、あたりを警戒している。
ジュピが中央車両にやって来た。
「ジュピ、5人の不審者はどのあたりだ?」
「4時の方向におよそ50mだな。」
「ちょいと脅かしてやるか。」
俺は雷撃矢を放つ。閃光と轟音。
「お、散り散りに逃げてくな。あ、ひとりコケた。パニクってるようだ。」
ジュピが式神からの偵察情報を知らせてくれる。
「敵だ。11時の方向、およそ300m。数がだんだん増えて来る。隠れてやがったな。こちらの進行方向に展開している。道を塞ぐ気だな。」左前方を式神で警戒していたマズからだ。
ジュピが、全員に防御上昇の術を掛け、その後、プルに属性攻撃上昇の術を掛けた。マズには属性攻撃上昇の術を掛けない。マズは火属性だから、まわりの樹々が燃えたらまずいことになる。冷静で賢明な判断だ。
前方から真上に火球が上がって爆ぜた。斥候隊への合図だろうか。火属性の陽士がいるな。
5人の集団は、斥候兼勢子だろう。火球の合図で、商隊の後方にまわり込んで追い立て、商隊の前方の本隊に追い込む。本隊は峠の上側に展開してるから、優位な位置取りだ。
しかし斥候隊は先程の雷撃矢による威嚇ですでに散り散りだ。当然反応できないし、俺たちは動かない。
「敵の射手が出て来た。遠矢が来るぞ。」マズが叫ぶ。
距離はあるが、上からの攻撃なので、ダメージを受けてしまう恐れがある。
「プル、風壁を頼む。」ジュピが指示を飛ばす。
「まかせろ。」
プルの風壁の術で、商隊前方に上昇気流が起きて、飛んで来た矢の軌道を逸らした。
そのうち、敵は上からの地の利を生かして、嵩み掛かって来るだろう。何とかその勢いを減じたい。
「下からだと、遠矢でもきついな。」俺がつぶやくと、
「これでどうだ?」ジュピが、物理攻撃上昇の術を掛けて来た。
おー、力が漲る!
「ライ、3倍で頼む。」普段の属性付加の3倍である。
『承知。』
俺は敵の足元を目標に、雷撃矢を遠矢で放った。放たれた矢が、黄色い光を放ちながら放物線を描く。いつもより遠くへ、そして矢勢もいい。
地の利を生かして上からの突撃に移った直後の敵の前方に着弾した雷撃矢は、いつもの3倍の効果で敵を襲う。およそ20名いた敵の、約半数が硬直して転げた。感電したのだ。突然転倒した仲間に、後続がつまずいて転ぶ。
そこへ、プルの風属性と氷属性を絡めた吹雪の術が広域で敵を襲った。射程距離も、威力も素晴らしい。ジュピによる属性攻撃上昇のおかげだ。敵はほぼ戦闘不能だ。なんか、瞬殺じゃね?
一見、俺の雷撃矢とプルの吹雪の術が活躍したように見えるが、ジュピの強化術が一番効果的だった。
陰の術は、直接的には目立たないが、その効果は絶大だな。
「ジュピ、支援ありがとう。見事だ。陰の術がこれほどとは。」
「いや、アタルの雷撃矢とプルの吹雪の術で勝ったのだ。俺はちょこっとサポートしただけだぜ。」
「ジュピ、何を言っている?ジュピの支援がなければ、もっと引き付けないと雷撃矢が届かなかったぞ。プルの吹雪の術の射程と威力もそうだ。
敵を引き付ければ、突撃されて乱戦になる危険は格段に上がる。そしたらこちらにも少なからず被害が出た。
それに敵の初撃の矢を躱した風壁も、気力上昇の支援なしではあそこまで広範囲にはできないはずだ。初撃が入ってれば、こちらも少なからず混乱しただろうから、敵本隊をここまで完全に迎撃できなかった。
この戦闘のMVPはジュピだ。」
「アタルよ。ここまで陰の術を評価するとは珍しい奴だな。」
「珍しいものか。この活躍が分からないなら、そいつの見る目がないんだろうよ。」
「俺たちのサンファミメンバーの評価もアタルと同じなんだけどな、ジュピはいつもこうだ。ジュピはこう言う奴なんだよ」プルが笑った。
敵はこの一帯を荒らす野党だった。野盗本隊19名は一網打尽、斥候隊5名は一旦逃げたが、様子を見に戻って来た3名をあっさり捕獲した。
負傷した敵をサジ姉の回復術で治療し、全員の武器と装備を取り上げ、下帯だけの半裸にして、後ろ手にさせて、手枷足枷数珠繋ぎにした。
本隊が隠れていた場所は野盗のアジトで、そこに戻って来た残るふたりも確保した。これで野盗24名をすべて捕らえた。このふたりも同様に数珠繋ぎにして、念のため、逃走防止にジュピが走力低下の術を掛けた。このせいでダッシュはできなくなり、せいぜいジョグぐらいまでである。
野盗のアジトには盗品や貨幣がそこそこあり、アジトの荷車にすべて積んで、野盗どもに曳かせた。先頭車両と中央車両の間に、野盗が引く荷車を配置して、今夜宿泊するヌーマの港町まで行き、ヌーマの衛兵詰所に、野盗と盗品と貨幣をまとめて届けるのだ。
まだ峠の登り坂と言うこともあり、最初のうちは、野盗はぐずぐずとしてゆっくり歩き、サボタージュのような抵抗を示した。
騎馬のアオゲとアシゲが挟んで急かすが、舐め切った態度をとって言うことをまったく聞かない。アオゲとアシゲは鞭も振るったが、逆に座りこんでテコでも動かないとゴネ出した。
野盗の荷車が止まったので、中央車両、後尾車両が続いて止まる。先頭車両は進んでたので、騎馬のアオゲが伝令に走って先頭車両も停止させた。
「ケッ、どうせ死刑か、よくても一生犯罪奴隷なんだからよ、やってられっかよ。なぁ、みんな。」と頭目らしき男が仲間を煽る。
そうだそうだと、手下たちが一斉に同調した。
こりゃ、ひとりかふたり、血祭りに上げなきゃいかんかな?と、俺は憂鬱になる。そこへ後尾車両からサヤ姉とサジ姉が駆け付けて来た。ホサキは後方警戒に、後尾車両に残っている。先頭車両からも、ジュピとプルとマズが来た。ネプとアステは前方警戒に、先頭車両に残っている。
アキナが、サヤ姉、サジ姉、ジュピ、プル、マズにかいつまんで事情を話すと、サヤ姉とサジ姉のふたりは、こそこそと会話した後、アキナに向かって、私たちに任せて。と自信ありげに言った。
ふたりの表情が、ドSの微笑みに変わる。俺の背中に冷たいものが流れた。
「やばい、お前ら、すぐに言うとこを聞け。」俺はとっさに口走ったが、そんなことを聞く野盗どもではない。
「あんたたち、いい加減にしないと、本意じゃないけど痛い目を見せるわよ。」
「おー、威勢がいい嬢ちゃんだな。嬢ちゃんが相手してくれるのか?奮い立っちゃうよ、俺。」頭目の挑発にギャハハとまわりが笑う。
「頭ぁ、俺と代わってくれよう。」手下その1の合いの手に、一同が、またギャハハ。
「いい…のね…?ほんとに…やるよ…。」
「犯るのは俺、嬢ちゃんたちは犯られるの。気持ちいいぜぇ。」あくまでも挑発し続ける頭目。ギャハハと笑うまわり。
「頭ぁ、ひとり占めはずるいぜ。」調子に乗る手下その1、一同、ギャハハ。
「あぁ、もう知らないぞっと。なむー。」俺は天を仰いだ。
ドゴッ。
「ぐへぇ。」前屈みにうずくまる頭目。後ろ手に縛られているので、両手で押さえるともできない。
だから言ったのに。やっぱり、今、まともに入ったよね。痛いなんてもんじゃないよねぇ。サヤ姉は、あの痛みが分からないから容赦ないよねー。俺は男だから、頭目に同情しちゃうなー。なむー。
激痛に声が出ない頭目を蹴転がして仰向けにし、さらに二撃目、三撃目の蹴りを容赦なく股間に叩き込むサジ姉。サジ姉も蹴撃に加わったのだ。ふたりで頭目の股間だけを集中攻撃している。
頭目、泡噴いた。こりゃ気絶したな。潰れてるかもなー。なむー。
そこへサジ姉が回復の術を掛け、股間の傷を癒された頭目が意識を取り戻す。
再びサヤ姉とサジ姉の容赦ない蹴撃。あ、サヤ姉がグリグリやってる。今度は踏み潰したな。頭目の絶叫がコネハの山々に木魂する。
再び頭目が気絶すると、再びサジ姉が回復の術。2度目の目覚めで、泣いて詫びる頭目。絶句して声が出ない手下一同。
頭目の詫びに聞く耳を持たず、無言で3度目の蹴撃に移るサヤ姉とサジ姉。泡を吹いて気絶する頭目、回復の術で起こすサジ姉。赦しを請う頭目。懇願と言ってもいい。
蹴撃、気絶、回復、懇願のサイクルがさらに続く。頭目の眼はもはや、怯えと絶望に死んだも同然だ。生気が失われた眼を見て、ようやくサヤ姉とサジ姉は頭目を解放した。
サヤ姉は野盗一同を見まわし、手下のひとりに目を付けた。手下その1だ。
「あんた、代わってくれって言ってたわよね?」
そのひと言で股間を濡らす手下その1。
まったく容赦のない蹴撃&回復の反復攻撃が、ふたり目の犠牲者をもみるみる廃人に変えて行く。サヤ姉とサジ姉はドSの微笑みをうっすらと浮かべている。怖い怖い怖い。
「次は誰にしようかしら。」サヤ姉、ドSの微笑み全開。
「どのみち…全員…血祭…。」サジ姉、ドSの微笑み全開。
「「「「「ちゃんと荷車を曳くので勘弁して下さい。」」」」」号泣しながら土下座する手下一同。
「最初から…素直に…すれば…いい…ものを…。」ゴミ屑を見る目で呟くサジ姉。怖い怖い怖い。
野盗の大半はチビってました。下帯だけだからモロ分かりだ。
ジュピも、プルも、マズも、アオゲも、アシゲも、一部始終を目撃していた男どもは、凄惨な現場に静まり返っていた。
「アタル…。浮気だけはするなよ。」心底同情しているジュピの眼が、俺の心に強く印象に残った。
そのあとの行程は、峠を越えて下りになったこともあり、至って順調だった。予定よりは遅れたが、日が暮れる頃には、ヌーマの港町に到着した。
ヌーマの港町で俺たちセプトは、商隊と一旦分かれた。商隊は山髙屋ヌーマ支店に直行し、俺たちセプトは野盗を衛兵詰所に連行するのだ。
俺とホサキが先頭、手枷足枷数珠繋ぎで荷車を曳く野盗24名を挟み、後尾がサヤ姉とサジ姉。町中を半裸の野盗が大勢で荷車を曳いてるのだから、当然注目を集めた。
サヤ姉とサジ姉を後尾に配置した目論見通り、野盗の足取りは速い。ふたりが野盗どもに叩き込んだトラウマの効果は絶大だ。思ったより早く衛兵詰所に到着した。
衛兵詰所で事情を話し、野盗24名を引き渡した。このとき頭目と手下その1が、衛兵に取りすがって安堵の号泣をし、衛兵を呆れさせたのは、後日、サヤ姉とサジ姉の武勇伝となった。
この野盗集団は、ここ数年、コネハの峠を根城にして暗躍していた連中で、かなりの被害が出ており、ギルドと衛兵詰所からは、野盗の一網打尽に対して、大金貨1枚の賞金が掛けられていた。
あらかじめ、商隊長のアキナと打ち合わせていた通り、野盗のアジトから回収して来た盗品や貨幣の、戦利品としての所有権はすべて放棄し、被害者に返却する。その代わりに、山髙屋が野盗を撃退して取り返したことを喧伝してもらうことにした。目先の金より、山髙屋の信用を高める方を躊躇なく選んだアキナは、やはり非常に優秀だ。
野盗の武器や防具はすぐに換金し、アジトにあった貨幣と、ギルドと衛兵詰所からの討伐賞金と合わせて大金貨8枚相当になるとのことだった。これらは被害者の救済資金にする。
盗品はすべて、衛兵詰所に提出されている被害届と照会し、持ち主が特定できた場合は返却、持ち主を特定できなかった盗品は換金して、被害者救済資金に加える。救済期間は1年間。被害者救済資金に残金が出たら、山髙屋で受け取る。
衛兵詰所の担当官と、だいたいの打ち合わせが終わったところで、商隊長のアキナと山髙屋ヌーマ支店の副支店長が、ヌーマ支店からやって来た。
衛兵詰所との取り決めを書面にして交わすために来たと言う。抜かりない。副支店長が来るあたり、山髙屋の本気度がうかがえる
交渉の詰めはアキナと副支店長に任せ、俺たちは質問があった場合に備えて後ろで待機した。アキナはほとんど口を出さず、副支店長が中心になっている。このあと直接かかわるのはヌーマ支店だから当然だな。
しばらくして、副支店長があとはこちらでやります。と言うことで、アキナと俺たちセプトのメンバーは5人で宿屋に向かった。
「アキナ、今回の決断には感心したよ。」
「何のことですか?」
「戦利品としての所有権を放棄して被害者に返却することだな。盗品を除いても、アジトの貨幣と、武器装備の換金と、奴らに掛けられてた討伐賞金で大金貨8枚相当だそうだ。」
「被害者の方に返すのが一番ですよ。山髙屋の収入は、誠実な商いだけでいいんです。
それに、取り戻したのは山髙屋だと宣伝してもらえますからね、信用を高めて頂く方が、山髙屋としてはずっと効果的なのです。」
「俺が感心してるのはそこなんだ。目先の金より店の信用を取る。言うのは簡単だが、実際に行うのはなかなかできることじゃないと思うぞ。それを瞬間的に躊躇なく決断したアキナは、やはり非常に優秀だな。」
「え?そんなことはありませんよ。でもアタルに褒めて頂いて嬉しいです。」赤くなってモジモジしだすアキナ。
サヤ姉とサジ姉は互いに見合って、またか。と軽い溜息をつく。ホサキはキョトンとしている。いつもの光景だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/2/13
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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