射手の統領

Zu-Y

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射手の統領014 初クエストと嫁の実家巡り

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射手の統領
Zu-Y

№14 初クエストと嫁の実家巡り

 ひとりでぐっすり寝たら、きちんと早朝に目覚めた。寂しいが、これはこれでいいかも。

 サヤ姉とサジ姉と合流し、3人で朝餉を済ませ、東都ギルドへ。東都ギルドでは、先に来ていたホサキと合流した。時間に正確で、相変わらず生真面目だな。

 今日はフィールドに出て、獣狩りをしようと思う。そんなクエストはいくらでもありそうだ。
 東都の北西の原野で大猪5頭退治か?いいんじゃね?
 東都の北東の森でスズメバチの巣を3つすべて撤去。これもありじゃね?

 俺たち4人は、2つのクエストを受け、東都ギルドを出た。
そこで昨日購入した流邏石20個のうち3つに東都ギルドを登録。俺、サヤ姉、サジ姉で分ける。ホサキは東都ギルドの流邏石をすでに持っている。

 今日の行程は、まず、東都の北西の原野で大猪5頭を狩りつつ、西北西へ向かい、トノベ本拠があるトコザへ。
 そこで、トノベ統領の義伯父上と、統領の正妻である動の伯母御へ、サヤ姉との婚約を報告したらすぐに、流邏石で東都に帰還し、ギルドへクエスト達成報告。

 次に、東都の北東の森でスズメバチの巣を3つ撤去。北東へ向かい、ヤクシ本拠があるトマツへ。
 そこで、ヤクシ座主の義伯父上と、座主の正妻である静の伯母御へ、サジ姉との婚約を報告したらすぐに、流邏石で東都に帰還し、ギルドへクエスト達成報告。

 東都を出て北西に向かい、1時間で大猪に遭遇。雷撃矢1発で仕留めたら、
「ちょっとアタル、これじゃあ、連携の確認にならないわよ。」
と、サヤ姉からお叱りを受けた。

 次に遭遇したときは、俺は傍観する。俺たちに気付いた大猪が突進して来ると、ホサキが自在の盾を大盾にして身構え、苦も無く華麗に突進を受け止めた。すかさず如意の槍を伸ばして正鵠突きで眉間を一突き。
「ちょっとホサキ、これじゃあ、連携の確認にならないわよ。」
 サヤ姉ったら、同じ文句を言ってら。笑

 その次に遭遇したときは、サヤ姉がとっとと突っ込んで華麗な二刀流剣舞で、大猪を屠った。おい、連携にならねぇじゃねえか!と思って見つめると、
「何よ。相手が弱すぎるのよ。仕方ないでしょ。」うん、もう逆らうだけ無駄。
 回復担当のサジ姉の出番はまったくないな。

 俺たちはとっとと大猪5頭を退治して収納腕輪にしまい、トコザに急いだ。トコザのトノベ本拠に着いたのは、昼下がりである。
 急な訪問でトノベの家来どもはあたふたとしていた。すまん。

 しばらくして、表座敷に通された。主の座にはトノベ統領の義伯父上しかいない。
「父上、ただいま戻りました。」
「うむ。お帰り。サヤ。
 アタルどの、久しいな。」
「義伯父上どの、この度はサヤ姫を頂戴することとなり、誠にありがとうございます。」俺は深々と頭を下げた。
「よいよい。」義伯父上は笑っている。

「して、伯母御どのはどちらへ?」
「ユノベに向かいおったわ。入れ違いのようじゃの?」
「ご一緒に?」
「そうよの。」例によって静の伯母御も一緒か。
「ご機嫌は?」
「機嫌は、…まぁ最悪じゃな。ふたりとも、かなりボルテージが上がっておるぞ。」
「やはり武者修行のことで?」
「それ以外にあるまい。」ですよねー。

「父上、あたしとサジが同行を願ったのよ。」
「だろうと思ったわ。わしは止めるつもりはないので安心せよ。
 サジも久しいの。息災か?」
「はい…。お久しゅう…ござい…ます…。」

「伯母御どのたちは、武者修行の何がお気に召さないので?」
「婚約期間が延びることだ。すぐに婚儀をさせて、1年後には孫を抱く気でおるからの。」
「何ともお気の早い。」
「ああなると、わしでも手が付けられん。ヤクシどのもそうであろうの。アタルどの、鉢合わせにならんように注意せよ。」
「ご忠告ありがたく。」

「で、そちらは?」
「タテベの姫です。」
「お初にお目に掛かります。タテベ・ホサキと申します。」
「おお、そうか。わしがトノベじゃ。タテベどのによろしくな。」
「はい。承りました。」

「アタルどの、タテベもわれらが同盟に加えるのか?」
「そのつもりですが、どう思われますか?」
「オミョシ対策かの?」
「ゆくゆくはオミョシとも手を携えたいですね。」
「属性攻撃が彼らの専売特許でなくなるのだ。いい顔するかの?」
「まだ、俺しか使えませんし、気にする程ではないかと。」
「そのうちには、ユノベ皆で使えるようにするのであろ?」
「そうしたいのは山々ですが、今のところその手立てがまったく分からんのです。」

「まぁ、よい。ところで今宵は泊って行くか?」
「いえ。流邏石で東都に帰ります。トノベ館を登録させて頂いても?」
「アタルどのとサジは身内ゆえ構わぬ。タテベの姫は、正式に同盟が締結されてからにしてくれ。」
「もちろんでございます。」

 新品の流邏石3つをトコザのトノベ館で登録し、俺とサヤ姉とサジ姉で分けた。サジ姉は許可されるか微妙だと思っていたが、あっさり許可されて驚いた。まあ、それだけユノベ・トノベ・ヤクシ同盟が固いと言うことだな。

 俺たちは流邏石で東都に戻り、ギルドへの大猪退治クエストの達成報告は後にして、すぐに北東の森に向かった。

 巣の位置は、ギルドからの情報があったのですぐ見付かり、雷撃矢で瞬殺。
 今回は、サヤ姉は文句を言って来なかった。まぁ、スズメバチの巣に切り掛かったらどうなるかは、想像に難くないがな。笑

 依頼の3つの巣の他にもうひとつ巣があったので、それも退治して、巣はすべて収納腕輪にしまい、トマツへ急いだ。
 夕暮れを過ぎて、辺りがだんだん暗くなって来た頃、トマツのヤクシ本拠に着いた。
 例によって、ここでも急な訪問にヤクシの家来どもが慌てていた。申し訳ない。

 ほどなく表座敷に通された。主の座にはヤクシ座主の義伯父上だけで、静の伯母御はいない。トノベで聞いた通りだ。
「父上…ただいま…戻り…ました…。」
「おお、サジ、お帰り。
 アタルどの、よく参られた。
 サヤも、久しいの。」
「義伯父様もお変わりなく何よりですわ。」
「義伯父上どの、この度はサジ姫を頂戴することとなり、誠にありがとうございます。」俺はここでも深々と頭を下げた。
「うむ。まぁ予定通りだがの。」

「伯母御どのが戻られましたらくれぐれもよろしくお伝え下さい。」
「何だ、出掛けていることを知っておるのか?」
「ユノベにお出でだそうで。」
「ああ、武者修行なんぞに出たら、孫はいつになるのだと息巻いておったわ。」
「お気の早いことで。」
「わしも楽しみにはしてるがの、こればかりは天からの授かりものゆえ、焦らずともよい。で、そちらは?」

「タテベの姫です。」
「お初にお目に掛かります。タテベ・ホサキと申します。」
「おお、そうか。わしがヤクシじゃ。タテベどのはお変わりなくご壮健か?」
「はい。元気にしております。」
「何よりだ。では、皆で夕餉でも摂りながらゆるりと話そうぞ。」
「父上…せっかく…ですが…東都に…戻ります…。」

「御伯父上どの、タテベも同盟に加わってもらいたいのですが、いかがです?」
「ふーむ、よい話だと思うぞ。オミョシやキノベとも同盟できるとよいがの。」
「いずれはそうしたいですね。」

 それから軽く世間話をして、
「東都にまだ用があるので、そろそろ流邏石で帰ります。ヤクシ館を登録させて頂いても?」
「アタルどのとサヤは身内ゆえ構わぬ。タテベの姫は、すまんが、正式に同盟してからだな。」
「もちろんでございます。」

 新品の流邏石3つをトマツのヤクシ館で登録し、俺とサヤ姉とサジ姉で分けた。やはり、ヤクシでもサヤ姉の登録が許可された。ユノベ・トノベ・ヤクシの3武家は、もはや身内同然だな。

 流邏石で東都に帰り、ギルドで2つのクエストの達成報告をした。特にスズメバチの巣を余分に退治したことが高く評価された。
 依頼主の都合を考えれば当然のことだろうに。

 倒した大猪5頭と、撤去したスズメバチの巣4個は、収納腕輪に入れて持ち帰ったので、成功報酬に加えて、素材買取もしてもらった。
 今日の収入は金貨1枚と大銀貨5枚。4人で分けようとしたら、流邏石の分があるし、身内なのだから要らないと言うことになった。サヤ姉、サジ姉に加え、ホサキも身内になるつもりのようだ。ホサキがその気なら受け入れると、言っておいたからな。

 今夜は4人で洋風居酒屋に行った。ここはビールがいろいろ揃ってる。流石、東都の店だ。

 適当につまみを頼み、酔う前に明日の打ち合わせをした。明日はタテベに行って、タテベの統領と会うことにしたい。
 ついては、ホサキには、今夜のうちにタテベどのに話を通してもらう。そして、今日見たトノベとヤクシの感想も伝えてもらおう。強固な3武家同盟にタテベが加わって、4武家同盟への期待が膨らむ。
 難しい話はここまで。さぁ、あとは楽しく呑もう!

 ビールは初めてだったので、いろんなビールをひと通り試した結果、俺はヴァイツェンと言うビールがいたく気に入った。黄色く濁ったビールで、柑橘系の果実香があって甘く、ビール独特の苦みは弱い。この濁りは酵母だそうだ。

 和の国ではピルスナーと言うタイプが人気で、ヴァイツェン好きは少数派と言うことだが、実はマスターもヴァイツェン好きなのだそうで、マスターと俺はすっかり意気投合してしまった。

 マスターに勧められるまま、いろいろなヴァイツェンの杯を重ね、俺は完全に酔っぱらった。でもいいのだ、どうせ婚儀までお預けなのだから、もうしばらくそう言うチャンスは来ない。
 ひょっとするとホサキとそうなる方が、婚儀より早いかもしれないが、先の話だ。今夜と言うことはない。

 今宵はしこたま呑んだ。店を出るとホサキは流邏石でタテベ本拠に帰って行った。
 千鳥足になった俺は、弓手側をサヤ姉に、馬手側をサジ姉に支えられ、ご機嫌で宿屋に帰った。そう言えば、今夜で3泊目だな。明日はチェックアウトか。

 ふたりに両脇を支えられながら、俺のシングル部屋まで向かう。と言うか、ほとんどふたりに、部屋まで運ばれた感じだ。俺はそのままベッドに倒れ込んだ。

~~サヤ・サジ目線~~

「アタル…装備…くらい…脱ぎなよ…。」
「後でー。」
「アタル、汗だくなんだから、シャワーくらい浴びなさいよ。」
「後でー。」
 その後、すぐに寝息を立て始めたアタル。

 ふたりはため息をシンクロさせ、しょうがないなー。といった感満載で、サジがアタルの装備を外しに掛かる。サヤはお湯とタオルを用意して来た。

 服を脱がせ、甲斐甲斐しく、ふたりでアタルの体を拭いて行く。首、両腕、両手、胸、腹、一旦引き起こして背中、脇腹。ズボンも脱がせ、両脚、両足。
 パンツを下すと、アタルズサンはくたっとしていた。横を向けて尻、股座と拭いて行くと、刺激に反応したアタルズサンが、ドラゴンへの変身を開始した。アタルはと言うと、気持ちよさそうに寝息を立てている。

 最後にアタルズドラゴンもふたりでしっかり拭いた。ここで元来、超肉食のふたりにスイッチが入る。眼がキラーンと輝き、互いにアイコンタクトを取ると、ドラゴンの頭を撫でたり、喉を指でくすぐったり、耳の裏を掻いたり…。その都度イキり立つアタルズドラゴン。
 超肉食のふたりは面白そうに微笑み、さらにエスカレートして行く。ドラゴンの口へ交互に軽くチュッ、その後ふたりの舌先は…。

 ふたりそろってコケティッシュな微笑みを浮かべつつ、デラックスダブル部屋に帰って行ったのは、真夜中を過ぎた頃だった。
 ふたりにいい様に弄ばれたアタルズドラゴンは、ホワイトブレスを吐き尽くしてアタルズサンに戻り、部屋の中で朽ち果てていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

設定を更新しました。R4/1/23

更新は月水金の週3日ペースを予定しています。

2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739

カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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