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射手の統領009 旅立ちと冒険者登録
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射手の統領
Zu-Y
№9 旅立ちと冒険者登録
さて、気を取り直して、朝餉の後に出発だ。
目指すは東都。そこで冒険者ギルドに登録する。
取り敢えず、今日のうちに行けるとこまで行って、そこが町なら宿屋に泊まるが、フィールドなら流邏矢にその場所を登録する。夜はユノベ館に登録した流邏矢で帰館して寝る。翌日はフィールドに戻る。
流邏矢って本当に便利だ。
次に攻略する七神龍は、ビワの聖湖の蒼碧龍の予定なので、本来ならユノベ本拠の東にある東都ではなく、ユノベ本拠からずっと西の西都か、西都の東にあるユノベ副拠を目指すのが本筋だ。
しかし、東都はユノベ本拠からは比較的近いのと、この国で最大の都市なので、この武者修行の必需品を手に入れるために、最初に東都に行くことにした。
必需品とは、流邏矢か流邏石と、金剛鏑だ。
流邏石は町しか登録できないのと、ひとりしか飛ばせないので、流邏矢には劣るが、やはり便利なアイテムである。
金剛鏑は、一手(2本)の封龍矢にひとつずつついていたが、そのひとつにライを封印したので、空きの金剛鏑はひとつしか残ってない。一手の封龍矢を臨戦体制にするために、金剛鏑を最低でもひとつは、東都で手に入れておきたい。
値は張るだろうが、ユノベ次期統領の俺なればこそ、金の心配はない。もちろん無駄遣いはしないし、冒険者として稼げるようになったら、必ず返済するつもりだ。
そうそう、西への道中、クエストをこなしながら行くためにも、冒険者登録は早めにしておくのも重要だ。東都は大都市のため、冒険者ギルドも大きいだろう。
初日はマキタの原野、2日目はセイバラの原野まで進み、それぞれで流邏矢を登録した。初日と2日目の晩は、流邏矢でユノベ本拠に戻ったのだが、3日目以降は流邏矢が作動しなかった。どうも流邏矢には有効距離があるようだ。これは知らなかった。
3日目は山道から平地に出て東北東に進み、北から南に向かって流れる大きなガミサの河を渡るとエッビーナの町だった。町の大きさはテンバとさほど変わりはない。
エッビーナを素通りし、北東にまっすぐ進んで日が暮れて来た頃、その場で流邏矢を登録してテンバに戻ろうとしたら、流邏矢が作動しない。流石にこのときばかりは、いきなりの野宿を覚悟したが、暮れ行く中、いくつかの明かりを見付けた。
その明かりに向かって行くと、そこは、結構大きなターマの河沿いにあるナギの農村だったので、村の農家の納屋に泊めてもらった。
そして4日目には、俺たち3人は東都に着いた。東都は広い!とにかく広い。さすがにこの御代の帝都だ。東都は帝のお住いである帝居から渦を巻くように都市造りがされている。
俺たちはまず冒険者ギルドに行き、最初に冒険者登録をすることにした。
対応してくれたのは受付のお姉さん。なかなかの美人だが、サヤ姉やサジ姉ほどではない。
って言うか、東都に来て改めて気付いたのだが、サヤ姉とサジ姉のふたりは美形、それも超がつく飛び切りの美形な気がする。あ、もちろん俺の美意識が正常なら、と言う条件付きだが。
もしかしたら、俺がふたりに惚れているせいなのかもしれん。昔から、惚れてしまえば痘痕も笑窪と言うからな。
でも胸は完全に負けている。勝負にすらならない。しかし俺は、巨乳より手頃な大きさが好みだ。小振りなぐらいがちょうどよいと思う。
叔父貴たちや家来どものほとんどは、巨乳がいいようだが、巨乳は体に対してアンバランスで、正直言うと俺は好まぬ。何事も調和が一番だと思う。
なお、誤解のないように申し添えておくが、ペタンコ好きのロリでは決してない。
「こんにちは。皆さん初めてですよね?」
「そうだな。俺たち3人の冒険者登録をお願いしたいのだが。」
冒険者ギルドのシステムや冒険者の心得など、ひと通りレクチャーされた。
さっきから気になるが、端の方では女性冒険者が、ガラの悪いの4人組に絡まれているようだ。あいつらも冒険者だろうか?
「ちょっと、あなた、聞いてますか?」
「あ、すまん。あっちで揉めてるようなので、つい…。」
「ちっ、またあいつらか?」
「え?」舌打ち?お姉さん、そこそこ美人なのに勿体ないですよー。
「ちょっとぉ。チカラワザの皆さん。また揉めごとですか?次やったら出禁になっちゃうんですよ。」
「ひでーな。なっちゃん。俺たちがこの嬢ちゃんに絡まれてるんだぜ。」
受付のお姉さんは、なっちゃんって言うのか。
「もう、その人はさっき登録したばかりなんですから、優しくいろいろ教えて上げて下さいよ。」
「おー、いいのか?いろいろ教えちゃってよぅ。」
「もう!そう言う意味じゃありませんよ。いい加減にしないとギルマスを呼びますからね。」
「俺はなっちゃんといろいろやりてぇなぁ。今晩どうだい?」
「あら残念。一昨日なら空いてたんですけどね。」
「ギャハハ、一昨日来やがれだってよ。お前、ざまぁねえな。」
「うるせぇ。」
絡まれてた女性冒険者はその場を離れ、ガラの悪い4人組はまたわいわい呑み出した。なんだかんだ、うまく収めたな。このお姉さん、結構やり手だ。
さて、登録の続きだ。
ユノベ、トノベ、ヤクシの家名は有名なので伏せて、アタル、サヤ、サジで登録した。俺は射手、サヤ姉は剣士、サジ姉は医薬士である。
冒険者ランクは最下層のG。クエストをこなして行くとランクが上がって行き、Aの上にはSランクがある。身分証にもなる冒険者カードは、Dまでがスチール、Cがブロンズ、Bがシルバー、Aがゴールド、Sがプラチナである。
同時に3人でパーティ申請もした。パーティ名は七神龍にちなんで、7を意味ずるセプトにした。
さっきのガラの悪い4人組が今度は俺たちに絡んで来た。
「おうおう、今日は新入りが多いねぇ。」
「そっちの嬢ちゃんたち、別嬪じゃねぇか。そのひょろっちぃのなんかほっといて、俺たちと組まねぇか?」
「夜も面倒見てやるぜ。グヘヘ。」
「「…」」
「おいおいシカトかよ。」
「さっきのといい、こいつらといい、新入りのくせに生意気だな。いっちょう教育してやるか?」
はぁぁ、しょうがねぇなぁ。
「どこにでもいる手合いだな。こう言うのに限って口先だけなんだ。」
「おい、いまテメェ、なんつった?」
「耳も遠いのか?冒険者としちゃあ、役に立たんな。」
「何だと、コラ!」
「ちょっと、あなた。あの人たち、Dランクよ。やめなさい。」
「あ、それで昼間っから酒呑んでるのか?こなせるクエストすらない訳だ。可哀想になー。」
「「「「殺すっ!」」」」
最初に殴り掛かって来た男を躱して、足を掛けてやると、勢い余ってものの見事に転がった。次に残り3人が一気に飛び掛かって来たので疾風の靴の瞬発力で横に飛び退くと、3人はそのままの勢いで壁に激突して転がった。
最初の男が立ち上がって、剣を抜いた。
「受付のお姉さん、こいつが先に抜いたからな。俺は正当防衛ってことで、証言よろしくな。」
俺はバックステップで距離を取ると、通常矢に雷属性を纏わせた雷撃矢を放つ。もちろん、男の横のテーブルの脚を狙ってである。発光とともにバリバリと音を立ててテーブルが粉砕され、破片はすべて黒焦げになった。
4人ともへたり込んで動けない。少し感電したか?4人とも眼だけを大層見開いている。
「おい。大丈夫か?」
「「「「すみませんでしたぁ。」」」」4人とも這いながらギルドの外へ逃げて行った。
あれ?あいつら、食い逃げじゃね?いや、呑み逃げか。
「あなた、今の?」受付のなっちゃんが食い付く。
「あぁ、俺のオリジナルだな。矢に雷属性を付けてたんで、その追加効果だ。」
「そんなの、見たことも聞いたことないです。」
「だからオリジナルなんだよ。」
「どんな仕組みですか?どうやるんですか?」
「それは企業秘密って奴で…。」その場は、笑ってごまかす。
「ちょっとそこで待ってて下さいね!まだ帰っちゃだめですよ。」なっちゃんはドドドっと、裏へ引っ込んでしまった。
先程、絡まれてた女性冒険者も部屋の端で固まっていたが、急に俺の方にズンズンと向かって来る。いったい何ごとだ?
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更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
Zu-Y
№9 旅立ちと冒険者登録
さて、気を取り直して、朝餉の後に出発だ。
目指すは東都。そこで冒険者ギルドに登録する。
取り敢えず、今日のうちに行けるとこまで行って、そこが町なら宿屋に泊まるが、フィールドなら流邏矢にその場所を登録する。夜はユノベ館に登録した流邏矢で帰館して寝る。翌日はフィールドに戻る。
流邏矢って本当に便利だ。
次に攻略する七神龍は、ビワの聖湖の蒼碧龍の予定なので、本来ならユノベ本拠の東にある東都ではなく、ユノベ本拠からずっと西の西都か、西都の東にあるユノベ副拠を目指すのが本筋だ。
しかし、東都はユノベ本拠からは比較的近いのと、この国で最大の都市なので、この武者修行の必需品を手に入れるために、最初に東都に行くことにした。
必需品とは、流邏矢か流邏石と、金剛鏑だ。
流邏石は町しか登録できないのと、ひとりしか飛ばせないので、流邏矢には劣るが、やはり便利なアイテムである。
金剛鏑は、一手(2本)の封龍矢にひとつずつついていたが、そのひとつにライを封印したので、空きの金剛鏑はひとつしか残ってない。一手の封龍矢を臨戦体制にするために、金剛鏑を最低でもひとつは、東都で手に入れておきたい。
値は張るだろうが、ユノベ次期統領の俺なればこそ、金の心配はない。もちろん無駄遣いはしないし、冒険者として稼げるようになったら、必ず返済するつもりだ。
そうそう、西への道中、クエストをこなしながら行くためにも、冒険者登録は早めにしておくのも重要だ。東都は大都市のため、冒険者ギルドも大きいだろう。
初日はマキタの原野、2日目はセイバラの原野まで進み、それぞれで流邏矢を登録した。初日と2日目の晩は、流邏矢でユノベ本拠に戻ったのだが、3日目以降は流邏矢が作動しなかった。どうも流邏矢には有効距離があるようだ。これは知らなかった。
3日目は山道から平地に出て東北東に進み、北から南に向かって流れる大きなガミサの河を渡るとエッビーナの町だった。町の大きさはテンバとさほど変わりはない。
エッビーナを素通りし、北東にまっすぐ進んで日が暮れて来た頃、その場で流邏矢を登録してテンバに戻ろうとしたら、流邏矢が作動しない。流石にこのときばかりは、いきなりの野宿を覚悟したが、暮れ行く中、いくつかの明かりを見付けた。
その明かりに向かって行くと、そこは、結構大きなターマの河沿いにあるナギの農村だったので、村の農家の納屋に泊めてもらった。
そして4日目には、俺たち3人は東都に着いた。東都は広い!とにかく広い。さすがにこの御代の帝都だ。東都は帝のお住いである帝居から渦を巻くように都市造りがされている。
俺たちはまず冒険者ギルドに行き、最初に冒険者登録をすることにした。
対応してくれたのは受付のお姉さん。なかなかの美人だが、サヤ姉やサジ姉ほどではない。
って言うか、東都に来て改めて気付いたのだが、サヤ姉とサジ姉のふたりは美形、それも超がつく飛び切りの美形な気がする。あ、もちろん俺の美意識が正常なら、と言う条件付きだが。
もしかしたら、俺がふたりに惚れているせいなのかもしれん。昔から、惚れてしまえば痘痕も笑窪と言うからな。
でも胸は完全に負けている。勝負にすらならない。しかし俺は、巨乳より手頃な大きさが好みだ。小振りなぐらいがちょうどよいと思う。
叔父貴たちや家来どものほとんどは、巨乳がいいようだが、巨乳は体に対してアンバランスで、正直言うと俺は好まぬ。何事も調和が一番だと思う。
なお、誤解のないように申し添えておくが、ペタンコ好きのロリでは決してない。
「こんにちは。皆さん初めてですよね?」
「そうだな。俺たち3人の冒険者登録をお願いしたいのだが。」
冒険者ギルドのシステムや冒険者の心得など、ひと通りレクチャーされた。
さっきから気になるが、端の方では女性冒険者が、ガラの悪いの4人組に絡まれているようだ。あいつらも冒険者だろうか?
「ちょっと、あなた、聞いてますか?」
「あ、すまん。あっちで揉めてるようなので、つい…。」
「ちっ、またあいつらか?」
「え?」舌打ち?お姉さん、そこそこ美人なのに勿体ないですよー。
「ちょっとぉ。チカラワザの皆さん。また揉めごとですか?次やったら出禁になっちゃうんですよ。」
「ひでーな。なっちゃん。俺たちがこの嬢ちゃんに絡まれてるんだぜ。」
受付のお姉さんは、なっちゃんって言うのか。
「もう、その人はさっき登録したばかりなんですから、優しくいろいろ教えて上げて下さいよ。」
「おー、いいのか?いろいろ教えちゃってよぅ。」
「もう!そう言う意味じゃありませんよ。いい加減にしないとギルマスを呼びますからね。」
「俺はなっちゃんといろいろやりてぇなぁ。今晩どうだい?」
「あら残念。一昨日なら空いてたんですけどね。」
「ギャハハ、一昨日来やがれだってよ。お前、ざまぁねえな。」
「うるせぇ。」
絡まれてた女性冒険者はその場を離れ、ガラの悪い4人組はまたわいわい呑み出した。なんだかんだ、うまく収めたな。このお姉さん、結構やり手だ。
さて、登録の続きだ。
ユノベ、トノベ、ヤクシの家名は有名なので伏せて、アタル、サヤ、サジで登録した。俺は射手、サヤ姉は剣士、サジ姉は医薬士である。
冒険者ランクは最下層のG。クエストをこなして行くとランクが上がって行き、Aの上にはSランクがある。身分証にもなる冒険者カードは、Dまでがスチール、Cがブロンズ、Bがシルバー、Aがゴールド、Sがプラチナである。
同時に3人でパーティ申請もした。パーティ名は七神龍にちなんで、7を意味ずるセプトにした。
さっきのガラの悪い4人組が今度は俺たちに絡んで来た。
「おうおう、今日は新入りが多いねぇ。」
「そっちの嬢ちゃんたち、別嬪じゃねぇか。そのひょろっちぃのなんかほっといて、俺たちと組まねぇか?」
「夜も面倒見てやるぜ。グヘヘ。」
「「…」」
「おいおいシカトかよ。」
「さっきのといい、こいつらといい、新入りのくせに生意気だな。いっちょう教育してやるか?」
はぁぁ、しょうがねぇなぁ。
「どこにでもいる手合いだな。こう言うのに限って口先だけなんだ。」
「おい、いまテメェ、なんつった?」
「耳も遠いのか?冒険者としちゃあ、役に立たんな。」
「何だと、コラ!」
「ちょっと、あなた。あの人たち、Dランクよ。やめなさい。」
「あ、それで昼間っから酒呑んでるのか?こなせるクエストすらない訳だ。可哀想になー。」
「「「「殺すっ!」」」」
最初に殴り掛かって来た男を躱して、足を掛けてやると、勢い余ってものの見事に転がった。次に残り3人が一気に飛び掛かって来たので疾風の靴の瞬発力で横に飛び退くと、3人はそのままの勢いで壁に激突して転がった。
最初の男が立ち上がって、剣を抜いた。
「受付のお姉さん、こいつが先に抜いたからな。俺は正当防衛ってことで、証言よろしくな。」
俺はバックステップで距離を取ると、通常矢に雷属性を纏わせた雷撃矢を放つ。もちろん、男の横のテーブルの脚を狙ってである。発光とともにバリバリと音を立ててテーブルが粉砕され、破片はすべて黒焦げになった。
4人ともへたり込んで動けない。少し感電したか?4人とも眼だけを大層見開いている。
「おい。大丈夫か?」
「「「「すみませんでしたぁ。」」」」4人とも這いながらギルドの外へ逃げて行った。
あれ?あいつら、食い逃げじゃね?いや、呑み逃げか。
「あなた、今の?」受付のなっちゃんが食い付く。
「あぁ、俺のオリジナルだな。矢に雷属性を付けてたんで、その追加効果だ。」
「そんなの、見たことも聞いたことないです。」
「だからオリジナルなんだよ。」
「どんな仕組みですか?どうやるんですか?」
「それは企業秘密って奴で…。」その場は、笑ってごまかす。
「ちょっとそこで待ってて下さいね!まだ帰っちゃだめですよ。」なっちゃんはドドドっと、裏へ引っ込んでしまった。
先程、絡まれてた女性冒険者も部屋の端で固まっていたが、急に俺の方にズンズンと向かって来る。いったい何ごとだ?
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更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
応援ありがとうございます!
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