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捕らわれた理由 ④
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囚われの客室でショーティは遅めの昼食をとった。そしてまたも書庫にこもるから、と言い残し、もう一度書斎に潜りこむ。次は自分のデバイスを探すためだったが、さすがにそれは見つからなかった。
積み上げられた書類の束も、引き出しの中の書類もサリレヴァントの事業なので気になるところではあったが、今はアーネスト関連のもの以外手につかなかった。
そして、意外にもゴールドマンはアーネストに興味がないらしく、それらしいものは置いていなかった。自分に触れるぐらいだからそういう趣味なのかとも思うが、確かに、エメラーダと同じ顔には手は出さないのか。
「もったいない」
いや、良かった、と安堵するところか。
数台のパソコンを見ながら、開くか、と思うがやはり一番手っ取り早いのはゴールドマンを落とすことだと思い至る。
会場に入れなければ、アーネストと会わなければ何も進みはしない。
「できればね…僕だって手段は選びたいんだけど……」
窓の外は薄闇に変わろうとしていた。
部屋に戻るなりさっさとシャワーを浴びて、茶封筒はテーブルに置いたまま、夕食を楽しんだ。
少し強めのアルコールを頼むと、
「………こちらは?」
言いにくそうにスタッフが口を開いた。持ってきたアルコールをテーブルに置き、同時にずっと気になっていたのだろう。ようやく、という感じで問いかける。
「うん。書斎でみつけた。デバイスもあるかな、と思ったけど見つからなくて、どこにあるか聞いてないよね?」
「え…。いえ、あ、あの」
「あるなら、やっぱり書斎だよね?それとも一階のどこか、かな?」
コーヒーを口にして、それからふむと考え込むと、
「一階だと探し出せないか」
ぽそりとつぶやく。
「で、今日ゴールドマンさんは?」
「……本日は帰宅致しません。お戻りは明日と伺っております」
「明日、ね。随分と信頼されているんだね」
「あの、書斎は」
「うん、2階は自由にしていいって言ってたから自由にさせてもらったんだ。けど、やめろと言うならもうやめるよ。ここにいろと言うならいるけどさ。……明日はゴールドマンさんと話がしたいな」
瞳は少し細く、笑みはにっこりと口元に乗せて首を傾げた。
積み上げられた書類の束も、引き出しの中の書類もサリレヴァントの事業なので気になるところではあったが、今はアーネスト関連のもの以外手につかなかった。
そして、意外にもゴールドマンはアーネストに興味がないらしく、それらしいものは置いていなかった。自分に触れるぐらいだからそういう趣味なのかとも思うが、確かに、エメラーダと同じ顔には手は出さないのか。
「もったいない」
いや、良かった、と安堵するところか。
数台のパソコンを見ながら、開くか、と思うがやはり一番手っ取り早いのはゴールドマンを落とすことだと思い至る。
会場に入れなければ、アーネストと会わなければ何も進みはしない。
「できればね…僕だって手段は選びたいんだけど……」
窓の外は薄闇に変わろうとしていた。
部屋に戻るなりさっさとシャワーを浴びて、茶封筒はテーブルに置いたまま、夕食を楽しんだ。
少し強めのアルコールを頼むと、
「………こちらは?」
言いにくそうにスタッフが口を開いた。持ってきたアルコールをテーブルに置き、同時にずっと気になっていたのだろう。ようやく、という感じで問いかける。
「うん。書斎でみつけた。デバイスもあるかな、と思ったけど見つからなくて、どこにあるか聞いてないよね?」
「え…。いえ、あ、あの」
「あるなら、やっぱり書斎だよね?それとも一階のどこか、かな?」
コーヒーを口にして、それからふむと考え込むと、
「一階だと探し出せないか」
ぽそりとつぶやく。
「で、今日ゴールドマンさんは?」
「……本日は帰宅致しません。お戻りは明日と伺っております」
「明日、ね。随分と信頼されているんだね」
「あの、書斎は」
「うん、2階は自由にしていいって言ってたから自由にさせてもらったんだ。けど、やめろと言うならもうやめるよ。ここにいろと言うならいるけどさ。……明日はゴールドマンさんと話がしたいな」
瞳は少し細く、笑みはにっこりと口元に乗せて首を傾げた。
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