17 / 136
turning point
ケンカの理由 ④
しおりを挟む
「エメラーダ会長と話したかった?」
「……話したく…ない、わけではないけれど……。でも本当のところ…話すことは…ないのだと思う…」
「じゃあ、お母さんと話したかった?」
「………ショーティ、母のことでこんなに動揺するなんて…」
「当たり前だよ。ね、アーネスト。聞いて。……親を思わない子どもなんていない。特にアーネストはお母さん大好きだよね?だから偶然再会して動揺した。ぜんぜん、謝るところ一個もないよ。倒れて、僕に迷惑かけた?そんなの一緒に住んでるんだから迷惑でもなんでもないし、むしろここはありがとうじゃないかな。それで、アーネストは何に対して謝罪をしているの?」
「母の…」
「うん」
「…ことで……動揺していたのに、話さずに体調を崩してしまった」
「うん」
「すまない」
「許そう!」
にっこりとショーティにしては珍しいまでの満面の笑顔だった。
大切なのは話さなかったこと、だ。
愛を信じられないと言ったアーネスト。それを忘れているわけでないが、この数ヶ月いい感じに過ごしてきたと思っていたショーティにも落ち度はあるだろう。とそこまで考えた時、ショーティは不意に思った。
「アーネスト!僕のことは信じてくれてるよね?」
この前提が揺らいでいては大変だ、と言わんばかりに食いつかんばかりに大きな瞳で問いかける。
誰を信じなくても、自分だけは信じてくれていないとショーティは困るのだ。
「え?何を、突然」
「僕は本当にアーネストが大事だし、大切だし、大好きだよ」
「シ…ショーティ」
「信じてないとか、半分くらいとか…そんなこと言うなら僕にだって考えがあるからね!」
「考え?………」
「奥の手を使う!」
「奥の手…え…ここを出ていく」
「出ていくわけないよ!」
「……じゃ…わかれ…」
「別れないよ!? ってなんでそんな選択肢しかないのさ」
ショーティの言葉は真剣だが、心底呆れも入っている。そんな彼を見ていると不思議と心が落ち着くのがわかった。
「じゃあ、どうするんだい?」
アーネストが優しく聞いてきた。少し笑っている。
ショーティも、そんなアーネストを嬉しそうに見る。
「うん、じゃあ、寝室から部屋出するから!」
「………かなんが必要になるな」
うん、じゃあと言っている時点で奥の手でもなんでもないことくらいアーネストにはバレバレだ。
「かなんも一緒だよ。僕の部屋に繋ぐから!」
そんなことを本当に怒っている形相で真面目に言ってくるから、アーネストはくすくす笑う。
「…アーネスト。今日も早めに休もう。本当はまだ本調子じゃないでしょ」
「……そう見える?」
「アーネストの体調ってさ、隠してるつもりでもわかりやすいよ?」
それはショーティだけだよと、アーネストは思った。
「今日は…傍にいてくれる?」
「今日はって…ずっとそばにいるよ。けど、次は倒れる前に話してよね」
そうしてアーネストの額に優しいキスを落としたのだった。
「……話したく…ない、わけではないけれど……。でも本当のところ…話すことは…ないのだと思う…」
「じゃあ、お母さんと話したかった?」
「………ショーティ、母のことでこんなに動揺するなんて…」
「当たり前だよ。ね、アーネスト。聞いて。……親を思わない子どもなんていない。特にアーネストはお母さん大好きだよね?だから偶然再会して動揺した。ぜんぜん、謝るところ一個もないよ。倒れて、僕に迷惑かけた?そんなの一緒に住んでるんだから迷惑でもなんでもないし、むしろここはありがとうじゃないかな。それで、アーネストは何に対して謝罪をしているの?」
「母の…」
「うん」
「…ことで……動揺していたのに、話さずに体調を崩してしまった」
「うん」
「すまない」
「許そう!」
にっこりとショーティにしては珍しいまでの満面の笑顔だった。
大切なのは話さなかったこと、だ。
愛を信じられないと言ったアーネスト。それを忘れているわけでないが、この数ヶ月いい感じに過ごしてきたと思っていたショーティにも落ち度はあるだろう。とそこまで考えた時、ショーティは不意に思った。
「アーネスト!僕のことは信じてくれてるよね?」
この前提が揺らいでいては大変だ、と言わんばかりに食いつかんばかりに大きな瞳で問いかける。
誰を信じなくても、自分だけは信じてくれていないとショーティは困るのだ。
「え?何を、突然」
「僕は本当にアーネストが大事だし、大切だし、大好きだよ」
「シ…ショーティ」
「信じてないとか、半分くらいとか…そんなこと言うなら僕にだって考えがあるからね!」
「考え?………」
「奥の手を使う!」
「奥の手…え…ここを出ていく」
「出ていくわけないよ!」
「……じゃ…わかれ…」
「別れないよ!? ってなんでそんな選択肢しかないのさ」
ショーティの言葉は真剣だが、心底呆れも入っている。そんな彼を見ていると不思議と心が落ち着くのがわかった。
「じゃあ、どうするんだい?」
アーネストが優しく聞いてきた。少し笑っている。
ショーティも、そんなアーネストを嬉しそうに見る。
「うん、じゃあ、寝室から部屋出するから!」
「………かなんが必要になるな」
うん、じゃあと言っている時点で奥の手でもなんでもないことくらいアーネストにはバレバレだ。
「かなんも一緒だよ。僕の部屋に繋ぐから!」
そんなことを本当に怒っている形相で真面目に言ってくるから、アーネストはくすくす笑う。
「…アーネスト。今日も早めに休もう。本当はまだ本調子じゃないでしょ」
「……そう見える?」
「アーネストの体調ってさ、隠してるつもりでもわかりやすいよ?」
それはショーティだけだよと、アーネストは思った。
「今日は…傍にいてくれる?」
「今日はって…ずっとそばにいるよ。けど、次は倒れる前に話してよね」
そうしてアーネストの額に優しいキスを落としたのだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
出産は一番の快楽
及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。
とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。
【注意事項】
*受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。
*寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め
*倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意
*軽く出産シーン有り
*ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り
続編)
*近親相姦・母子相姦要素有り
*奇形発言注意
*カニバリズム発言有り
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる