15 / 34
答え…?
しおりを挟む
「……ん……」
零れる声が自分のものであると、充分に理解していた。
それでも、はだけたシャツの胸元に触れるなめらかな指先に翻弄され、止めることはままならない。
「ショーティ…」
呼ぶ声が遠く近くで響き渡る。
手に触れるシーツ、部屋を満たす適度なエアコン、掠める青年の肌、そして包む香り…。
どれも全て覚えがあった。
まるでパズルを組み立てるように、覚えているそれらを必死に追う。
けれど、必死になればなるほど、感覚が揺蕩う。
「……っ!」
鋭い痛みは肩口からで、確認するように手を忍ばせると、その指先に青年がキスを落とす。
キスは指先から手首、ひじ、二の腕を経由し、自然、ベッドに押さえつけられるような形になり、そのまま青年はもう片方の腕も同じく押さえつけた。
両腕をつかまれたショーティは、腕に視線を走らせ、その瞳でリングを認める。
似ていると思ったそれは、同じモノであった。
“お似合いですよ”そう告げられた言葉に、軽く微笑んだだろう青年が想像できて、思わず笑みをこぼしてしまう。
「…な、に…?」
そして、そんな自分を見下ろす青年に気づき、掠れる声で問いかけると、青年はゆっくりと更に深い口づけを落とした。
「ん…」
向きを変えられ、探られ、逃げることもできず、しかし逃げ出すつもりは毛頭なく、絡み合う舌が熱を生み出す。
浮遊感さえ伴い、解放された途端、濡れそぼるそこで荒い息をつく。
既に、これ以上ないほどに熱は体内を巡り、一ヶ所に集中していた。
乱れた着衣のまま青年が気づかぬはずもなく、ややもどかしさを覚える。
しかし両腕は左右に押し付けられ、思うようには動けない。
「ねぇ…」
先程よりも切羽詰った状況で促す言葉は甘さを含み、青年はその美麗な表情にふわりと、とろけんばかりの笑みを乗せた。
見つめる金色を帯びた視線にさえ、熱が、溢れ始める。
責められる箇所が的確なことも否めない。
ほとんど完璧に自分と言うものを知られていることが、記憶のない今、羞恥を生む。
そして、青年の指先は…核心へとすべり落ちる。
「っ、…………」
あの、繊細で悩ましい指先が、翻弄する。
すでに集中していた熱が開放を求めて身体の中を駆け巡る。
あまりにも直接的な感覚が頭痛を呼び覚ますが、それでも、
「…っあ…」
声は止まるところを知らない。
言葉が掠れていく。限界にきていた。
「も、………あぁっ!」
一際甲高い声と同時に青年の手中に果て、荒い息を何度も繰り返す。
頭がズキズキと痛むのは事故の後遺症か、それとも酸素不足なのか。
しかし、インターバルを置かずに青年は再びその身体に触れ…。
「…まって……」
一方的なのは……いやだ……。
思いが声になったかは定かではなかったが、
「…一方的…ではないよ」
答えさえも的確に告げられた。
瞬間、脳裏で何かが弾けた。そのまま、激昂が口をつく。
「なら!僕をあなたのものだと言って!!」
苦しげに、けれどそれさえも悩ましく青年の腕を掴んで叫ぶ。
そしてショーティは自らの口唇を青年のそれに重ねた。そして離れた瞬間、
「君は僕のものだよ…………君の記憶も僕が持っているから、だからショーティ」
落とされる青年の言葉に、ゆっくりと微笑む。
「あいして……る」
口をついて出た言葉は、青年の口づけに消されていた。
いや……。
口づけとともに重なっていたのかも、しれない。
零れる声が自分のものであると、充分に理解していた。
それでも、はだけたシャツの胸元に触れるなめらかな指先に翻弄され、止めることはままならない。
「ショーティ…」
呼ぶ声が遠く近くで響き渡る。
手に触れるシーツ、部屋を満たす適度なエアコン、掠める青年の肌、そして包む香り…。
どれも全て覚えがあった。
まるでパズルを組み立てるように、覚えているそれらを必死に追う。
けれど、必死になればなるほど、感覚が揺蕩う。
「……っ!」
鋭い痛みは肩口からで、確認するように手を忍ばせると、その指先に青年がキスを落とす。
キスは指先から手首、ひじ、二の腕を経由し、自然、ベッドに押さえつけられるような形になり、そのまま青年はもう片方の腕も同じく押さえつけた。
両腕をつかまれたショーティは、腕に視線を走らせ、その瞳でリングを認める。
似ていると思ったそれは、同じモノであった。
“お似合いですよ”そう告げられた言葉に、軽く微笑んだだろう青年が想像できて、思わず笑みをこぼしてしまう。
「…な、に…?」
そして、そんな自分を見下ろす青年に気づき、掠れる声で問いかけると、青年はゆっくりと更に深い口づけを落とした。
「ん…」
向きを変えられ、探られ、逃げることもできず、しかし逃げ出すつもりは毛頭なく、絡み合う舌が熱を生み出す。
浮遊感さえ伴い、解放された途端、濡れそぼるそこで荒い息をつく。
既に、これ以上ないほどに熱は体内を巡り、一ヶ所に集中していた。
乱れた着衣のまま青年が気づかぬはずもなく、ややもどかしさを覚える。
しかし両腕は左右に押し付けられ、思うようには動けない。
「ねぇ…」
先程よりも切羽詰った状況で促す言葉は甘さを含み、青年はその美麗な表情にふわりと、とろけんばかりの笑みを乗せた。
見つめる金色を帯びた視線にさえ、熱が、溢れ始める。
責められる箇所が的確なことも否めない。
ほとんど完璧に自分と言うものを知られていることが、記憶のない今、羞恥を生む。
そして、青年の指先は…核心へとすべり落ちる。
「っ、…………」
あの、繊細で悩ましい指先が、翻弄する。
すでに集中していた熱が開放を求めて身体の中を駆け巡る。
あまりにも直接的な感覚が頭痛を呼び覚ますが、それでも、
「…っあ…」
声は止まるところを知らない。
言葉が掠れていく。限界にきていた。
「も、………あぁっ!」
一際甲高い声と同時に青年の手中に果て、荒い息を何度も繰り返す。
頭がズキズキと痛むのは事故の後遺症か、それとも酸素不足なのか。
しかし、インターバルを置かずに青年は再びその身体に触れ…。
「…まって……」
一方的なのは……いやだ……。
思いが声になったかは定かではなかったが、
「…一方的…ではないよ」
答えさえも的確に告げられた。
瞬間、脳裏で何かが弾けた。そのまま、激昂が口をつく。
「なら!僕をあなたのものだと言って!!」
苦しげに、けれどそれさえも悩ましく青年の腕を掴んで叫ぶ。
そしてショーティは自らの口唇を青年のそれに重ねた。そして離れた瞬間、
「君は僕のものだよ…………君の記憶も僕が持っているから、だからショーティ」
落とされる青年の言葉に、ゆっくりと微笑む。
「あいして……る」
口をついて出た言葉は、青年の口づけに消されていた。
いや……。
口づけとともに重なっていたのかも、しれない。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
貴方の事を心から愛していました。ありがとう。
天海みつき
BL
穏やかな晴天のある日の事。僕は最愛の番の後宮で、ぼんやりと紅茶を手に己の生きざまを振り返っていた。ゆったり流れるその時を楽しんだ僕は、そのままカップを傾け、紅茶を喉へと流し込んだ。
――混じり込んだ××と共に。
オメガバースの世界観です。運命の番でありながら、仮想敵国の王子同士に生まれた二人が辿る数奇な運命。勢いで書いたら真っ暗に。ピリリと主張する苦さをアクセントにどうぞ。
追記。本編完結済み。後程「彼」視点を追加投稿する……かも?
【完結】キミの記憶が戻るまで
ゆあ
BL
付き合って2年、新店オープンの準備が終われば一緒に住もうって約束していた彼が、階段から転落したと連絡を受けた
慌てて戻って来て、病院に駆け付けたものの、彼から言われたのは「あの、どなた様ですか?」という他人行儀な言葉で…
しかも、彼の恋人は自分ではない知らない可愛い人だと言われてしまい…
※side-朝陽とside-琥太郎はどちらから読んで頂いても大丈夫です。
朝陽-1→琥太郎-1→朝陽-2
朝陽-1→2→3
など、お好きに読んでください。
おすすめは相互に読む方です
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる