桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜

花室 芽苳

文字の大きさ
上 下
117 / 132
契約結婚で隠された愛情に

契約結婚で隠された愛情に5

しおりを挟む


杏凛あんり、そんな事を言って俺を困らせないでくれ。もう俺が君に出来る事なんて……」

 困ればいい、私の事で思い切り悩んで迷って。でも私と離れるなんて答えを選ぶのは許さない、私は素直になるから、匡介きょうすけさんも本当に気持ちを教えてよ。

「イヤです、匡介さんを困らせるのは私の特権です。本当に出来る事、もう無いんですか? 少なくとも私は匡介さんにしてあげたいこと、もっとたくさん見つけました」

「……杏凛?」

 戸惑って困ってる顔なんて珍しくて、せっかくなら写真に撮って保存しておきたいくらい。でも我慢します、これからもっといろんな匡介さんの表情を見せてもらうつもりですから。
 私は椅子から立ち上がり匡介さんの前に立つ、背筋を伸ばして今までで一番緊張してるんじゃないかってくらい心臓がドキドキしてた。

「私たちが契約結婚をした本当の訳、郁人君の事はもう解決しました。祖父の会社が本当は黒字だということも確認できました。もうこの契約結婚を続ける理由はない、だから終わりにしましょう?」

「……ああ、そうだな」

 そんな辛そうな顔をするなら、素直になってくれればいいのに。そう思うけれど、きっとまだ匡介さんは私の想いに気付いてないから。

「この契約結婚を終わらせて、本当の夫婦になりませんか?」

「……?」

 そんな呆気に取られたような顔しないで、一番伝えたい言葉はこれからなんです。ちゃんと聞いて知って欲しいの、今の私の想いを。

「……好きです、匡介さんが。私はあなたと本当の夫婦になりたい、これから匡介さんと大人の恋がしたいんです」




「嘘、だろう? 君は俺の事を嫌って……」

 信じられない、そう言わんばかりの顔を今日はたくさん見せてもらってる。人間らしい匡介さんのそんな表情が私は意外と好きみたい。
 確かに私はずっと匡介きょうすけさんが苦手だった、鋭い視線は私を嫌ってるからなのだと思い込んでたから。でも今は違う、そんなあなたの視線は私を心配する気持ちから来ていたものなんだって。

「嘘なんかつきません、私は匡介さんが好き。あなたに恋してます、この気持ちを隠せないくらい」

「俺に、恋してる? 杏凛あんりが?」

 何度も確かめる匡介さんに何だかおかしくなってしまう、でも今はまだ笑っちゃダメ。この気持ちを真剣に伝えるのが一番大事だから。
 
「はい、恋してます。だから匡介さんの気持ちも教えてください。私のためになんていらないんです、あなたの本心が知りたい」

「……俺の、本心? それを君は受け入れてくれるのか?」

 まだ迷いがあるのか、匡介さんは未だにハッキリとした答えをくれない。焦れる気持ちもあるけれど、それでもちゃんと彼の言葉が欲しいから。

「全部受け止めます、私に受け止めさせてください」

「……君が、好きだ。俺は杏凛だけをずっと愛している」

 ……その匡介さんのたった一言で、涙が溢れて止まらなくなった。嬉しくて胸がいっぱいでこんなにも堪らない気持ちになる。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

不埒な社長と熱い一夜を過ごしたら、溺愛沼に堕とされました

加地アヤメ
恋愛
カフェの新規開発を担当する三十歳の真白。仕事は充実しているし、今更恋愛をするのもいろいろと面倒くさい。気付けばすっかり、おひとり様生活を満喫していた。そんなある日、仕事相手のイケメン社長・八子と脳が溶けるような濃密な一夜を経験してしまう。色恋に長けていそうな極上のモテ男とのあり得ない事態に、きっとワンナイトの遊びだろうとサクッと脳内消去するはずが……真摯な告白と容赦ないアプローチで大人の恋に強制参加!? 「俺が本気だってこと、まだ分からない?」不埒で一途なイケメン社長と、恋愛脳退化中の残念OLの蕩けるまじラブ!

知らずに双子パパになっていた御曹司社長は、愛する妻子を溺愛したい

及川 桜
恋愛
児童養護施設の学習ボランティアにとんでもない男が入ってきた!? 眉目秀麗、高学歴、おまけに財閥御曹司。 不愛想でいけすかない奴だと思っていたのに、どんどん惹かれていって・・・ 子どもができたことは彼には内緒。 誰よりも大切なあなたの将来のために。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

カタブツ上司の溺愛本能

加地アヤメ
恋愛
社内一の美人と噂されながらも、性格は至って地味な二十八歳のOL・珠海。これまで、外国人の父に似た目立つ容姿のせいで、散々な目に遭ってきた彼女にとって、トラブルに直結しやすい恋愛は一番の面倒事。極力関わらず避けまくってきた結果、お付き合いはおろか結婚のけの字も見えないおひとり様生活を送っていた。ところがある日、難攻不落な上司・斎賀に恋をしてしまう。一筋縄ではいかない恋に頭を抱える珠海だけれど、破壊力たっぷりな無自覚アプローチが、クールな堅物イケメンの溺愛本能を刺激して……!? 愛さずにはいられない――甘きゅんオフィス・ラブ!

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

処理中です...