桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜

花室 芽苳

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契約結婚に希望を見つけて

契約結婚に希望を見つけて4

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「ちょっと~、私が話している途中だったのに二人でいい雰囲気作るのやめてくれません? そりゃあ新婚だし、イチャつきたいのは分かるけどここには私もいるんですけど」

 馬場ばばさんの揶揄からかうような声で匡介きょうすけさんも私も慌てて距離を取る、彼女の言う通り今の私たちはイチャついているように見えてしまってたかも。
 もちろん私も匡介さんもそんなつもりは無かったのだけれど……

「変な事を言うな、俺は妻の様子がおかしかったから少し顔色を見ていただけだ」

「はいはーい、アンタが過保護なのはよく分かったけどそろそろ本題に入らせてもらってもいいかしら?」

「ああ……」

 本題っていったい何のこと? 匡介さんと馬場さんだけで分かりあっているような雰囲気がなぜか私を不快にさせる。嬉しくなったりイライラしたり、もしかしていま私は情緒不安定だったりするのだろうか?
 仲良さげな二人から目を逸らそうとすると、馬場さんが私の傍に来て鳥籠の一点を指差して見せた。

「ねえ、鳥籠の端の方にある小箱。その中に見えるでしょ、セキセイインコの赤ちゃん」

「え? 赤ちゃんがいるんですか」

 慌てて馬場さんの指差した箱の中を覗き込むようにしてみると、ルク君とマナちゃんよりも小さなインコが二匹並んでこちらを見ている。
 ……とても可愛くて目が離せなくなりそう。

「ルク君とマナちゃんの赤ちゃんなんですよね?」

「ええ、この子たちの子供なの。それでね、今日は杏凛あんりさんに相談があって……」




 相談? 初対面の私に馬場ばばさんが相談したいことって何だろうか。彼女が匡介きょうすけさんから話を聞いていたとしても、実際に会うのはこれが初めてなのに。
 それでも私にそう話してきた馬場さんの様子に嫌な感じは無かったので、すぐに頷いた。

「それはこのインコの赤ちゃんの事ですよね? もしかして馬場さんが私をここに呼んだのって……」

 インコたちと私を交互に見ていた馬場さんを、その様子に何となく彼女が私に話したいことが分かってきた。でもいったい何故?
 いつの間にか私の後ろに移動していた匡介さんも、この事を分かっていて私をこの場所に連れてきたんだろうか。

「そう、この二匹のインコの子供を育ててくれないかしら? もちろん匡介の了解は取っているわ、後は杏凛あんりさん次第なの」

「匡介さんも……? そうなんですか、でも私だけでインコの赤ちゃんを育てられるか……」

 動物は好きだし、一緒に暮らしている匡介さんの許可があるのならこの子たちを飼いたい気持ちはある。使用人の寧々ねねが毎日通ってくれてるとはいえ、私が一人で過ごす時間は決して少なくは無い。

「杏凛、飼い主は君だけじゃない。俺も君と一緒にこの子たちの面倒を見るから。それに俺や寧々がいない時間にこの子たちが居てくれれば寂しくないだろう?」

「……そう、ですね」

 匡介さんが私のことを考えてそう言ってくれるのは嬉しい。忙しい彼がいつも深夜に帰ってきて朝早くに家を出るのはいつもの事だから。
 でも……一人寂しい時、本当に傍にいて欲しいのは貴方なんだと気付いてほしかった。これはきっと契約妻でしかない私の我儘になるんでしょうけれど。


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