上 下
33 / 88
契約の終了と甘い夜

契約の終了と甘い夜3

しおりを挟む


「……香津美かつみが怖いのなら止めるか?」

 涙を流してしまった私をみて、聖壱せいいちさんが確認したのはそれだけだった。
 違う、聖壱さんが怖いわけじゃない。私は自分が知らなかった体の反応と変化に戸惑っているだけなの。

「そうじゃない、怖くないから止めないで……」

 私は腕を伸ばし自ら聖壱さんを求めた。私にはこれから先もこの人しかいない、結ばれるのならこうして私だけを見てくれている今が良い。

「分かった、お前が泣いてももう止めてやらない。」

 そう言うと聖壱さんは私から最後の一枚を剥ぎ取り、長い指で直接その場所に触れた。クチュ……という水音とともに、ぬるぬると動かされる指先。今までよりもっと強いその快感に身体が跳ねる。

「あっ……やあっ…ぁんんっ……やめっ……!」

 聖壱さんの指は私も知らなかった感じる部分を探し出し執拗に攻めていく。奥に指が入れらて中を掻き回せれると身体がビクビクと震え出した。

「ダメっ……へんなのっ!お願い、聖壱さん……止めてぇ……!」

身体の奥から湧き上がる不思議な感覚に、私は必死で聖壱さんを止めようとしたのだけれど……

「いいぜ、香津美。先に一回イっておけ。」

 イく?そう尋ねたかったけれどそんな時間も聖壱さんは与えてくれず、私の敏感な場所に触れる指の動きを早めてしまった。

「ぁ、あ、あっ……やああっ!」

私は聖壱さんの腕の中、身体を小刻みに震わせて啼いた。




それは私が初めて経験する絶頂だったのだけど……

「何で不満そうな顔をしている?」

そうね、聖壱せいいちさんはそう思うかもしれないけれど……私は一人だけ翻弄され乱されたのよ?貴方はまだシャツも脱いでいないのに。

「私は聖壱さんを満足させれてないわ。私だけが先に気持ち良くなってしまって……」

 そう言ってジッと聖壱さんを睨めば、彼は困ったように笑って乱れた髪をクシャリとかきあげてみせる。その少年のような笑顔にこれ以上の文句も言えなくて。

 ……本当は分かってる、さっきの行為すべてが私の為だって事は。聖壱さんは抱き合う事に慣れていない私の緊張をほぐしてくれたんだって。
 だから私も何か出来る事を頑張らなきゃいけないと思った。
 聖壱さんのシャツに手を伸ばすと、慣れない手つきで彼のシャツのボタンを外していく。緊張で手が震えてしまうから時間がかかってしまったけれど、私は彼から白いシャツを奪い取ることに成功したの。

 私がシャツを脱がすと、今度は聖壱さんがタンクトップを自分で脱いだ。健康的な肌色、鍛えられたその肉体に思わず見惚れてしまう。

香津美かつみ。もう覚悟、出来てるか?」

 彼だって早く私を抱きたいはずなのに、まだ私の事を考えてくれる。契約結婚の話を持ち掛けて来た時は「なんて男だ」と思ったけれど、今は一番愛しい人になった。

「とっくに出来てるに決まっているでしょ。まだ私を待たせるつもりなの?」




 本当は心臓がバクバク言って今にも飛び出しそうだけど、そんなの素直に教えたくない。この強気な性格は絶対に変えられないと思うわ。

香津美かつみのそういう強気な性格、本当に堪らない。」

 そう言うと聖壱せいいちさんは獲物を借る肉食獣のように鋭い眼つきで、私の身体を動けなくしてしまうの。強気な私の発言は逆効果だったみたいね。

 私の上に覆いかぶさった聖壱さんが、そっと私の脚を開かせる……想像以上に恥ずかしい体勢に、私はギュッと目を瞑ってしまったの。
 聖壱さんの指が内股をなぞり、私の身体が彼の事を受け入れる準備が出来ているかどうかを確かめている。

「香津美、目を開けろ。初めてはお互いの顔を見て抱き合いたい……」

 その言葉にそっと瞼を開けると、聖壱さんは満足そうに微笑むと私の奥へ自分の欲望を宛てがった。

「いっ……!」

 我慢出来ると思っていたのに、彼の熱を受け入れるのは想像以上の痛みがあった。私、今きっととても酷い顔をしていると思う。それでも聖壱さんが私の奥へとゆっくり入って来ることに喜びも感じていて……

「香津美、身体は辛くないか?」

「少し辛いけど、とても嬉しいわ。」

 今の自分の本当の気持ち、いつもみたいに強がらす素直に言ったの。今だけ彼に甘えたかったのかもしれない、なのに聖壱さんは……




「悪い、これ以上優しく出来ない……!」

 そう言うと彼は、私の返事も待たずに抽送を始めたの。初めて彼を受け入れたばかりの私には、彼の熱はまだ苦しくてすぐに気持ちいいと感じることは出来なかった。
 それでも聖壱せいいちさんの私を見る熱い眼差し、肌に触れる指先を全身で受け止めれば身体の奥からだんだん熱くなっていくようで……

 彼を受け入れた奥がジンジンと熱い。彼の動きに少しでも違う反応を見せれば、聖壱さんはその場所をしつこく刺激してくる。

 少しずつ緊張が解れ始めると、彼を受け入れている場所もゾクンとした快感がこみあげてくるようになっていく。
 ゆっくり腰を動かしたかと思えば、今度は早く。浅い場所を突いたと思えば次はずっと奥深くまで……激しく揺らされて思わず聖壱さんの背中に爪を立てる。彼の背中に傷を付けながら私は彼から与えられる快感に耐えた。

香津美かつみ、香津美……愛してる。」

 切羽詰まったような聖壱さんの声、だけどその声がたまらなく色っぽいと感じた。
 彼が私の中でこれほどの快感を得ている事が、私は堪らなく嬉しかった。これは私達が愛し合っているからこそ得られる快感なのだと。

「私もっ……!私も聖壱さんだけだから……あ、ああっ!」

 聖壱さんと私の熱が何度もぶつかって……今度は私の知らない世界へと連れて行かれるような気がしていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています

朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。 颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。 結婚してみると超一方的な溺愛が始まり…… 「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」 冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。 別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)

甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜

泉南佳那
恋愛
植田奈月27歳 総務部のマドンナ × 島内亮介28歳 営業部のエース ******************  繊維メーカーに勤める奈月は、7年間付き合った彼氏に振られたばかり。  亮介は元プロサッカー選手で会社でNo.1のイケメン。  会社の帰り道、自転車にぶつかりそうになり転んでしまった奈月を助けたのは亮介。  彼女を食事に誘い、東京タワーの目の前のラグジュアリーホテルのラウンジへ向かう。  ずっと眠れないと打ち明けた奈月に  「なあ、俺を睡眠薬代わりにしないか?」と誘いかける亮介。  「ぐっすり寝かせてあけるよ、俺が。つらいことなんかなかったと思えるぐらい、頭が真っ白になるまで甘やかして」  そうして、一夜の過ちを犯したふたりは、その後…… ******************  クールな遊び人と思いきや、実は超熱血でとっても一途な亮介と、失恋拗らせ女子奈月のじれじれハッピーエンド・ラブストーリー(^▽^) 他サイトで、中短編1位、トレンド1位を獲得した作品です❣️

とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~

けいこ
恋愛
「絶対に後悔させない。今夜だけは俺に全てを委ねて」 燃えるような一夜に、私は、身も心も蕩けてしまった。 だけど、大学を卒業した記念に『最後の思い出』を作ろうなんて、あなたにとって、相手は誰でも良かったんだよね? 私には、大好きな人との最初で最後の一夜だったのに… そして、あなたは海の向こうへと旅立った。 それから3年の時が過ぎ、私は再びあなたに出会う。 忘れたくても忘れられなかった人と。 持ちかけられた契約結婚に戸惑いながらも、私はあなたにどんどん甘やかされてゆく… 姉や友人とぶつかりながらも、本当の愛がどこにあるのかを見つけたいと願う。 自分に全く自信の無いこんな私にも、幸せは待っていてくれますか? ホテル リベルテ 鳳条グループ 御曹司 鳳条 龍聖 25歳 × 外車販売「AYAI」受付 桜木 琴音 25歳

【R18】訳あり御曹司と秘密の契約【本編完結・番外編不定期更新中】

羽村美海
恋愛
✿2024/2/22要の弟・隼のお話『副社長、この執愛は契約違反です!(原作:鬼畜御曹司〜)』がKADOKAWAタテスクコミック様にてタテスクコミック化していただきました!各電子書店様にて配信中です✿ ✿2023/8/18要の弟・隼と侑李の愛息がヒーローとなった作品が『極上御曹司と甘い一夜を過ごしたら、可愛い王子ごと溺愛されています』と改題され、エタニティブックス様より発売中です✿ 野獣に捕らわれた檻の中で私は甘く淫らに溶かされる……。この恋はいつか叶いますか? ♪゜・*:.。. .。.:*・♪ 老舗高級チョコレートブランド『YAMATO』に入社間もない美菜は、ある事がきっかけで副社長とすかしたインテリ銀縁メガネ秘書(♂️)の策略に嵌まってしまう。 そして、副社長のアレのせいで…とんでもない契約を交わすことになるのだが……。 美菜は自分が出した条件に苦しむことになる。 一方、副社長と秘書には、他にもなにやら事情があるらしく……。 そんなことを知る由もない美菜には、更なる試練が待ち構えているのだった。 ♪゜・*:.。. .。.:*・♪ <綾瀬 美菜・アヤセ ミナ>♀23歳  お子ちゃまな恋愛しかしたことのない新入社員  <神宮寺 要・ジングウジ カナメ>♂33歳 老舗高級チョコレートブランド『YAMATO』の御曹司である副社長、超絶ハイスペックなイケメンだけど傍若無人で少々訳あり ♪゜・*:.。. .。.:*・♪ ※大人表現満載で切なさありのドタバタ・ラブコメディです。 ※ゲイ、バイ等出てきますが、BL的な過激表現はありません。 ※傍若無人な野獣なので、多少は無理矢理な場面もありますが、激甘の溺愛になる予定です。 ※モデルにした会社が存在しますが全てフィクションです。 ⚠「Reproduction is prohibited.(転載禁止)」 ♪゜・*:.。. .。.:*・♪ 拠点であるエブリスタでは加筆修正しましたが、こちらは修正前のままとなっております。 感想、ありがとうございますm(_ _)m 様とさんの統一ができていなかったようです。すみませんm(_ _)m 20.6.18 エブリスタにて完結 19.3.4 急上昇ランキング1位獲得 19.2.3 エブリスタにて公開

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
身長172センチ。 高身長であること以外はいたって平凡なアラサーOLの佐伯花音。 婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。 名前からしてもっと可愛らしい人かと…ってどういうこと? そんな人こっちから願い下げ。 −−−でもだからってこんなハイスペ男子も求めてないっ!! イケメン副社長に振り回される毎日…気が付いたときには既に副社長の手の内にいた。

あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。 ただ… トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。 誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。 いや…もう女子と言える年齢ではない。 キラキラドキドキした恋愛はしたい… 結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。 最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。 彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して… そんな人が、 『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』 だなんて、私を指名してくれて… そして… スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、 『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』 って、誘われた… いったい私に何が起こっているの? パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子… たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。 誰かを思いっきり好きになって… 甘えてみても…いいですか? ※after story別作品で公開中(同じタイトル)

処理中です...