私達 結婚しました。

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プロポーズ。

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「幸子さん、僕と結婚して下さい」
「はい」





清さんと付き合って一年。大きな喧嘩も無く、週末はお互いの家へお泊まりする事も増えた頃。

「今度の週末は、レンタカーで海を見に行きませんか?」

スマホが振動して、画面を指でタップすると清さんからのメッセージだった。

「いいですね。楽しみにしています。」

返信すると、直ぐに既読になり。家まで迎えに来てくれると書いてあった。

明後日か、晴れると良いな…




当日は晴天。もちろんデートなので少しオシャレして、日焼け対策もバッチリ。

「幸子さん!」

車から降りて、助手席のドアを開けた清さん。これがエスコートなのね! と妙にテンションが上がった私は、今日行く場所の話しで清さんと会話も弾む。

「地元グルメも多いみたいで、特に有名なのが海鮮丼。しかも自分で選んだ魚を丼にしてくれるらしくて」
「それは知りませんでした。最近僕の家が多かったので、幸子さんとお出かけがしたくてワガママ言いました」
「お部屋でまったりも私は好きですよ。でも、遠出も好きです」 
「幸子さんと一緒なら、どこでも僕は嬉しいんですけどね」

清さんは度々、サラッとこんな事を言う。
本人は否定したけど、やはり恋愛マスターじゃないかと思う。だけど単に私に耐性が無いのかは悩む所だ。

二人でまち歩きをしたり、浜辺を散歩したり。もちろん海鮮丼は美味しく頂きました。

「幸子さん、あそこから見る夕日がキレイだそうです。行ってみませんか?」

小高い丘の上へ手を繋いで階段を登る。すこしゴツゴツした清さんの手が私の小さな手をしっかり握った。

歩調を合わせて、いつも隣に居てくれる清さん。なんとなく、なんとなく。

あぁ私、本当に清さんの事が大好きなんだ。

「清さん、愛してます」

思わず声に出してしまった私へ、清さんが蕩けるように笑って。

「僕も幸子さんを愛してます」

繋いだ手が熱いけど離したくなくて、ギュッと握ると清さんも握り返してくれた。

「陽が沈む前に行きましょう」

あぁぁー!! 言っちゃった!

このポンコツな口め! 
少しだけ前を歩く清さんの顔を見たいけど、見られなくて。
あの笑みを向けられたら、嬉しいけど恥ずかしい。

「ほら幸子さん、顔を上げて」

清さんの声で顔を上げると、目に飛び込んできたのは水平線に沈む夕日。

言葉も忘れて魅入っている時。

「こっちを向いて」

隣に立つ清さんを見上げれば、夕日に照らされ赤く染まった顔が近付き唇が重なった。

唇に感じた温かさが離れ、真剣な表情の清さんが何かを決心したのか。
私の正面に立つ。

「幸子さん、僕と結婚して下さい」
「はい」

ふっと表情が緩み、清さんの手が頬を撫で。再び唇が重なり私は瞳を閉じた。抱きしめた腕が私を包み込み。

幸せって、こんなにふわふわとした…






ん?

「あぁ、幸子さん。どうしよう嬉しすぎて制御出来ない」
「え? えぇ? な、何? 清さん! 何で私達空を飛んでいるんですかーーー!!」







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