私達 結婚しました。

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女友達

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「さっちゃんもさ、そろそろ結婚したら? ほら、急げば私とさっちゃんの子ども同級生じゃない」

専業主婦になって暇なのか。典ちゃんと相変わらずランチ中。

「いいな。私ももう一人欲しい」
「は? 信ちゃんまだ産む気?」
「いいじゃない。我が子可愛いし、でも今度こそ女の子が欲しい!」

そう、今日はもう一人居る。
吉田 信子よしだ のぶこ、信ちゃんも学生時代からの友人。

「まぁ、男の子三人だもんね。一番上の子幾つになった?」
「7歳だよ。次が5歳で一番下は4歳」
「ちょっと計算合わないんだけど、信ちゃんあんたまさか!」
「卒業式の時には妊婦でしたー。まぁつわりも弱くってさ、全く気付いて無かったんだけど」

私が手を繋ぐのも躊躇っていた頃、信ちゃんは…

「なに顔赤くしてんの? 相変わらずさっちゃんはお子様だね」
「いや、だって」
「そう言いながら、鈴木とやったんでしょ」
「典ちゃん! 言い方」
「そうそう、お子様なさっちゃんの相手って興味あるわー」
「普通の人だよ、優しくて料理も上手くて」
「さっちゃん更に顔真っ赤! でも安心したよ。その人の事がちゃんと好きなんだねー」
「鈴木を紹介したのは私だけどね」
「典ちゃんにしては、でかした!」
「でしょ!」

清さんと付き合って八ヵ月。典ちゃんの結婚式で、新郎である旦那さまの友人として清さんも居た。私は恋人として清さんの友人と挨拶したり、別に秘密にしてはいなかったけど。式場の雰囲気なのか一気に結婚の文字が頭にチラついた。

「二人は何てプロポーズされたの?」
「私はね、まー君に夜景を見に行こうって言われて。ストレートに結婚しようって言われたの」
「キザだねー。うちは子どもが先に出来ちゃったからさ、でも。俺が一生守ります! ってうちの両親へ頭を下げたんだよね。しかも私へ相談も無くいきなり来た」

ケラケラ笑っている信ちゃんが幸せそうで良かった。早い結婚で色々あった当時の信ちゃんを思い出して。つい、目元がウルウルしてしまう。

「鈴木のプロポーズ。悪い全然想像出来ない」
「典ちゃんから見て、どんな人なの? 紹介した位だから知っているんでしょ」
「うーん… 特徴が無いんだよね。何て言うの? 記憶に残らないって言うか」
「まぁ典ちゃんから見れば、ほとんどの人は特徴が無いね」
「それ、褒めてないよね?」
「バレたか!」



二人と別れて、職場へ戻る道で典ちゃんの言葉を思い出していた。

『うーん… 特徴が無いんだよね。何て言うの? 記憶に残らないって言うか』

清さんは結婚式で会った友人とも普通に話していたけど。
式が終わって私がトイレから出た時。清さんの友人を見かけたので、声を掛けようと近付いたら、

『なぁ、鈴木って下の名前なんだっけ?』
『おいおい、久しぶりに会ったからって酷いな』
『じゃあ、お前言ってみろよ』
『は? あれ、あれだよ。高校一緒で…』
『それ、名前じゃないし』
『鈴木は、鈴木で良いんだ!』
『昔っから本当、適当だよな』


清って呼んで、さっき一緒に笑ってたのに。いきなり名前を忘れる?

典ちゃんも思えば、最初から鈴木って呼んでたし…

小さな違和感があったけど、この時の私は深く考えて無かった。
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