3 / 6
マリナ
しおりを挟む
優しく 笑顔で 天使のように…
城下町で産まれたのが私マリナ。
両親は知らず孤児院で暮らしてきた。
しかし物心がつく頃から私は何をやれば良いか知っていたわ。
人には優しく、嫌なことがあっても笑顔を忘れず、愚痴も悪口も言わない。
14歳の時、教会のお手伝いをしていたらこの国の皇太子様がお出でになった。
何かに引き寄せられるように見たら、皇太子様と目があった。
私の王子様だ。
私達が惹かれ合い、お互いの手に触れた時。誰も居ないのに教会の鐘が鳴り響いた。
それからは夢のような日々だった。
皇太子様の婚約者様には虐められたけど、王宮の人も皇太子様も皆が私の味方だった。
彼と会ったのはいつだったか。
婚約者様に頬を叩かれ、赤く腫れた顔を皆に見られたくなくて生け垣に隠れてた時だったかな?
お前、本当に皇太子を愛してんの?
びっくりしたわ。だって私達は神の祝福の鐘が鳴ったんだよ。皇太子様と私は神に愛されたんだよ。
もちろん! 私の王子様だもん!
立ち上がって大きな声で言ったわ。
それなのに彼は冷たい視線を向けて、
それで? いつまでも幸せに?
それだけ言って何処かへ消えたの。
「アマーリエ様が崖から身投げなさりました。未だ、ご遺体は見つけられませんが生存は絶望的かと」
ウィリアム様の執務室で聞いた。
報告を受けて呆然とするウィリアム様の顔が苛立つ。だって、私はいつも虐められたんだよ? それでも愚痴も悪口も言わなかったんだよ?
『それで? いつまでも幸せに?』
彼の言葉が脳裏に浮かぶ。だから言うの。
「まだ見つからないなら、生きているかも知れません。希望はまだあるわ」
優しく 笑顔で 天使のように…
城下町で産まれたのが私マリナ。
両親は知らず孤児院で暮らしてきた。
しかし物心がつく頃から私は何をやれば良いか知っていたわ。
人には優しく、嫌なことがあっても笑顔を忘れず、愚痴も悪口も言わない。
14歳の時、教会のお手伝いをしていたらこの国の皇太子様がお出でになった。
何かに引き寄せられるように見たら、皇太子様と目があった。
私の王子様だ。
私達が惹かれ合い、お互いの手に触れた時。誰も居ないのに教会の鐘が鳴り響いた。
それからは夢のような日々だった。
皇太子様の婚約者様には虐められたけど、王宮の人も皇太子様も皆が私の味方だった。
彼と会ったのはいつだったか。
婚約者様に頬を叩かれ、赤く腫れた顔を皆に見られたくなくて生け垣に隠れてた時だったかな?
お前、本当に皇太子を愛してんの?
びっくりしたわ。だって私達は神の祝福の鐘が鳴ったんだよ。皇太子様と私は神に愛されたんだよ。
もちろん! 私の王子様だもん!
立ち上がって大きな声で言ったわ。
それなのに彼は冷たい視線を向けて、
それで? いつまでも幸せに?
それだけ言って何処かへ消えたの。
「アマーリエ様が崖から身投げなさりました。未だ、ご遺体は見つけられませんが生存は絶望的かと」
ウィリアム様の執務室で聞いた。
報告を受けて呆然とするウィリアム様の顔が苛立つ。だって、私はいつも虐められたんだよ? それでも愚痴も悪口も言わなかったんだよ?
『それで? いつまでも幸せに?』
彼の言葉が脳裏に浮かぶ。だから言うの。
「まだ見つからないなら、生きているかも知れません。希望はまだあるわ」
優しく 笑顔で 天使のように…
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?
荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。
突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。
「あと、三ヶ月だったのに…」
*「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる