66 / 74
第四章
15 もうひとりの世界の守護者リフシャティーヌⅡ
しおりを挟む
「リフシャティーヌ様!?」
『そうよサリアーシャ。昔あなたに加護を与えたのを覚えていない?』
『リフシャティーヌ様、その時サリア様はまだ赤ん坊でした。覚えてなどいません』
『あら、そうだったかしら? でも、役に立ったでしょう? どちらか一方を城の外に出すなんてわたし、本当に、本当に嫌だったのよ。でも決まりだって言うから、元気そうなあなたのほうを選んでしまったの。だって、体の弱い子を外に放り出すなんて、そんなことできるわけないじゃない?』
「あ、はい。わかります」
『ですがリフシャティーヌ様、少々効果がありすぎたようですよ』
『まあ! じゃあ、わたしが思った以上に元気な子だったのね。もしかして加護なんて必要なかったのか
しら』
「そんなことありません。ここに来るまでに、すごく助けられました」
サリアがこぶしを握って伝える。
『そう、よかったわ』
そう言ってリフシャティーヌは白い喉を鳴らした。
『そこにいるのがヴァヴァロナ王家唯一の生き残り、クルストラだ。サリアーシャとクルスが、力を合わせてここまで来た。アスィとツァルが付き添ってな』
『素敵なことだわ。クルス、サリアーシャのこと、どうもありがとう。これからもお願いね』
リフシャティーヌの赤い瞳が優しく細められる。
まるでサリアのお母さんみたいだ。
「はい」
胸を張ってそう応えると、リフシャティーヌの目が更に細くなった。
『さあ、じゃあ始めましょうか。あなたたちに世界を救う覚悟はあって?』
「もちろんです」
「はい。その覚悟でここまで来ました」
サリアと俺は即答した。
『そう、いい返事ね。じゃあ、まずは可能な限り、世界の浄化をするわ。でもね、期待はしないで頂戴。わたしたちはそりゃあ休む前と比べたら多少力が回復したかもしれないけれど、それでもここまで崩壊に近づいた世界を救うほどの力はないのよ。だから、それが終わったらシュテフォーラを召喚するわ。できることは全てやるけれど、最後は世界の創造主の手に委ねるしかないの。わかるかしら?』
「はい」
俺のサリアの声が重なる。
俺たちの返事を聞いて、リフシャティーヌはひとつ、頷いた。
『ツァルが精霊の寄る辺に細工をしてきた。私たちがここで力を解放すれば協力してくれる精霊たちの力がここに集まるようになっている』
『ますます素敵ね。それに、ここにもたくさんの精霊たちが集まってくれているようね。嬉しいわ』
ヴァルヴェリアスの説明を聞き、リフシャティーヌが極上の笑みを浮かべた。
『そうよサリアーシャ。昔あなたに加護を与えたのを覚えていない?』
『リフシャティーヌ様、その時サリア様はまだ赤ん坊でした。覚えてなどいません』
『あら、そうだったかしら? でも、役に立ったでしょう? どちらか一方を城の外に出すなんてわたし、本当に、本当に嫌だったのよ。でも決まりだって言うから、元気そうなあなたのほうを選んでしまったの。だって、体の弱い子を外に放り出すなんて、そんなことできるわけないじゃない?』
「あ、はい。わかります」
『ですがリフシャティーヌ様、少々効果がありすぎたようですよ』
『まあ! じゃあ、わたしが思った以上に元気な子だったのね。もしかして加護なんて必要なかったのか
しら』
「そんなことありません。ここに来るまでに、すごく助けられました」
サリアがこぶしを握って伝える。
『そう、よかったわ』
そう言ってリフシャティーヌは白い喉を鳴らした。
『そこにいるのがヴァヴァロナ王家唯一の生き残り、クルストラだ。サリアーシャとクルスが、力を合わせてここまで来た。アスィとツァルが付き添ってな』
『素敵なことだわ。クルス、サリアーシャのこと、どうもありがとう。これからもお願いね』
リフシャティーヌの赤い瞳が優しく細められる。
まるでサリアのお母さんみたいだ。
「はい」
胸を張ってそう応えると、リフシャティーヌの目が更に細くなった。
『さあ、じゃあ始めましょうか。あなたたちに世界を救う覚悟はあって?』
「もちろんです」
「はい。その覚悟でここまで来ました」
サリアと俺は即答した。
『そう、いい返事ね。じゃあ、まずは可能な限り、世界の浄化をするわ。でもね、期待はしないで頂戴。わたしたちはそりゃあ休む前と比べたら多少力が回復したかもしれないけれど、それでもここまで崩壊に近づいた世界を救うほどの力はないのよ。だから、それが終わったらシュテフォーラを召喚するわ。できることは全てやるけれど、最後は世界の創造主の手に委ねるしかないの。わかるかしら?』
「はい」
俺のサリアの声が重なる。
俺たちの返事を聞いて、リフシャティーヌはひとつ、頷いた。
『ツァルが精霊の寄る辺に細工をしてきた。私たちがここで力を解放すれば協力してくれる精霊たちの力がここに集まるようになっている』
『ますます素敵ね。それに、ここにもたくさんの精霊たちが集まってくれているようね。嬉しいわ』
ヴァルヴェリアスの説明を聞き、リフシャティーヌが極上の笑みを浮かべた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】神の巫女 王の御子
黄永るり
ファンタジー
大神に仕えるため神殿で巫女として永遠に暮らしていくと思っていたアーシャに転機が訪れる。
神と王との間で交わされる拒めない契約により、突然神殿を去ることになってしまった。
王の側室として生きることとなったアーシャに、先代巫女の真実が知らされる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
前世の幸福ポイントを使用してチート冒険者やってます。
サツキ コウ
ファンタジー
俗に言う異世界転生物。
人生の幸福ポイントを人一倍残した状態で不慮の死を遂げた主人公が、
前世のポイントを使ってチート化!
新たな人生では柵に囚われない為に一流の冒険者を目指す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる