こんな俺を変えてくれた少女を変える物語

エイル栄斗

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この旅の始まり

この歳で初めて!?

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カゲルは少女を連れて宿へ向かった。とりあえず、宿の部屋に風呂場はあるから異臭はなんとかなりそうと考えたわけだ。服は新しいのを買うしかなかったが、この状態でショップに入ったら店内が異臭騒ぎになるのは読めていた。なんだかんだでカゲル自身は彼女の異臭には慣れたようだか…

宿に着いた。この宿はカゲルがこの街にいる間は必ず利用する場所だったから、建物や部屋の構造は大体頭に入っていた。
「おっちゃん、今回は2人部屋で頼む」
この宿の主人ともすっかり仲良く話せる仲だった。
「おう、なんだおめぇがツレを…ってなんだこの匂い!?」
「ちょっと訳ありでね…上質な石鹸とシャンプーがついた部屋だと嬉しいな」
「それだと部屋自体がワンランク上がっちまうが…金は大丈夫なのか?」
「今回は多めに持ってるから大丈夫さ」

少女を連れて部屋へ入ると、とにかく速攻で彼女を風呂場へ案内した。
確かにワンランク上の少し高めな部屋の風呂場なだけはある。置いてある石鹸とシャンプーは以前まで泊まっていた部屋よりも高いものだった。この石鹸から漂う良い香りが、風呂場中を漂っていた。
「さて、身体を洗ってこい!」
「……」
流石に一緒に入ったらまずいだろうと思い、カゲルは風呂を出ようとした。ところが、少女はカゲルの腕を握って引き止めた。どこか戸惑っている様子だった。
「どうした?」
「……(ふるふる)」
カゲルが聞くと、少女はシャワーを指差して首を横に振った。
「嫌なのか?だが入ってもらわないと困るなぁ…」
「……(ふるふる)」
今度はカゲルの言葉に対して首を振っているようだ。
「えっ、じゃあどういうことだ?」
「……」
少女は周りを見渡した。と思ったら、すぐ横にあった壁を指でこすり始めた。
「つ か い か た し ら な い」
どうやら結露を使って字を書いていたようだ。
「へ?知らないの?」
「…(こくり)」
さすがに風呂を入り方を知らない人なんて初めてである。教えてもらう前に親を亡くしている!?物心ついた時から身体を洗っていない!?これにはカゲルも驚きを隠せなかった。
「じゃあ教えるから服脱いで。」
「…(こくり)」
「…っておいおい!!」
「…?」
完全に冗談のつもりだった。少女は何のためらいもなく服を脱ごうとした。
「は、恥ずかしくねーのか?」
「…?」
少女はカゲルの質問の意味が分からずにポカンとしているようだ。
(思春期までは行ってないだろうが…さすがに裸を知らない男に見せて平気な歳ではないだろ!?)
「……」
結局服を脱いでしまった。とはいえ浴室器具の使い方がわからないとなると、直接教えないことには前に進まない。
(し、仕方ないな…)
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