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魔族襲来①
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―――磁石に引っ張られるように優秀な召喚士が如月葵のもとに集まってくる。本人たちに自覚はないのだろうが才能はトップクラスといえる者たちが導かれるように集められ輝きを増していく。
権藤那由多先生が第7体育館の3階の半分を部室としてぶんどってきたようだ。これは5人の小さなチームとしては破格の待遇だ。
放課後・・・初めての部活動だ。
教官の権藤先生をはじめ、如月葵、緑川尊、秋元未来、三守沙羅、御堂路三男・・・全員揃っている。
「1年の最初の内は基礎力を付けるべきです。ランク戦は最小限でもいいのです。ただし如月さんは該当しません。存分に戦ってください。秋元さんはコントロール力をつける必要があるため別メニューとなります。秋元さんのメニューはすでに考えてありますのでこの万華鏡の模様が変化しないように魔力を送ってください。1回12分、一日5セット行ってください。しばらくこれだけでいいです」そう言って権藤先生は黄色い万華鏡を秋元未来に渡した。
「はいなの」
続けて権藤先生は話している。
「さてのこりの4名は竜を召喚してください。基本的に竜を召喚したままで修行を行っていきます。ランク戦も同様です。差し当たっては少し戦闘とそれに付随することについて講義があります」
そう言って講義が始まった。
「かったりぃな」終始、葵は眠そうだ。
「権藤先生、他のチームは戦闘慣れのためにまず1日5戦のランク戦を、それも戦いに集中するために召喚獣は召喚せずにトレーニングするみたいっすけど?」
疑問があればそれをぶつける・・・学生のあるべき姿・・・真面目だな。
「完全に間違っていますので真似しないように・・・まあとりあえず今日結果が欲しいのであれば刹那的な訓練でもよいですが先を見据えましょう」しかしよく権藤先生がコーチになったな、自分で希望したんだろうが。
―――秋元未来は万華鏡でトレーニングしつつ―――如月葵は眠そうに―――他の3人は真面目に権藤那由多の講義を3時間聞いて―――途中でロミオは魔力が尽きて竜は影に戻ったが―――初日の部活動を終わった。
結構疲れた様子だ、葵以外は。
「ランク戦した方がいいような気がするんすけどね」
「あたしはよくわからないのなの」
「わしゃあようわからんわ、疲れたわ」
これでいいのか・・・よく分からないようだが・・・。
次の日も次の日も講義は続いた。
そして誰ともなく部活が終わると5人は喫茶店へ寄ることが日課になった。
お茶しに来たというよりは息抜きプラス食事をしに来ているようだ。
相変わらず緑川は喋りっぱなしだ。
「たしかに講義はすごいっすね。授業じゃやらないっす。途中まで魔術を詠唱して相手を見て術を使い分けるなんて。威力が下がっても無意味な術を使うより効率いいっすディレイ術法ってやつっすね」
「うちの反鏡も全部オートではなくて一つは最低命令待ちにする必要ありなんて論理的・・・」
「わしは疲れた・・・竜を召喚しておくだけでこんなに疲れるとは」
思ったより講義は面白いらしい。葵は講義は飽きたようでランク戦に行っては戻ってきている。
次の日―――ようやく魔術の実地訓練が開始された。各人竜を召喚したままで。
「使える魔術は一つか二つに絞って精度をあげて練習します。体術はその都度指示します。如月さんは今日もランク戦に行ってもいいですが少しここで抗術を覚えませんか?」
「ああいいぜ」耐える抗術は葵の性格上・・・向いてないが。
実は切れ者でクラスAサマナーの権藤先生はどうして教師なんてしているのだろう・・・これは謎だ・・・サマナーズハイで活躍したほうが給料だって比べられないくらい高くなるだろう・・・誰かを監視している?・・・なにか理由があるのだろうか?
「緑川君は相手との距離で風魔法の撃ち方を変えてもらいます。三守さんは反鏡群現で呼び出せる鏡を増やしコンビネーションを増やします。御堂君の術は攻撃力はありますが密着しないと意味がありません。高速で動く相手に密着するのは困難です・・・何か手を考えましょう・・・ああ。秋元さんはそのまま万華鏡を続けてください」「はいなの」
「ロミオの術ってよお。全然痛くなかったぜ?」
「御堂君の術はやや特殊です。魔装鎧や魔装武器を壊すのに適した特殊複合属性です」そうそう。それは気になっていた、珍しい能力だ。
「ええ?そんな大層なもんやったんか?わしの術って?」
「ロミオ?空破拳って誰に習ったんすか?」
「わしんちのじいちゃんや」
「そ、そうなんすか?門下生は何人いたんすか?」
「あ?わしだけやけど・・・なんや」「ま、まじすか」緑川は一人ですっころんだ。
一子相伝みたいなもんか、調べても記録がないわけだ。
「三守さんは非常にその年にしては完成された術を使いますが古風でパターンが少ないですから対処されないような現代風の工夫が必要になるでしょう」よく見てるな・・・その通りだ・・・権藤先生なら当たり前か。
「それには権藤先生、うち疑心暗鬼」でもこの子、強情そうだもんな。
「半信半疑といったところですか?三守さん」「あら」熟語好きなのだけは分かったが。
抗術の練習はそこそこに如月葵は途中で校内ランク戦へ行って5戦全勝していた。
権藤那由多先生が第7体育館の3階の半分を部室としてぶんどってきたようだ。これは5人の小さなチームとしては破格の待遇だ。
放課後・・・初めての部活動だ。
教官の権藤先生をはじめ、如月葵、緑川尊、秋元未来、三守沙羅、御堂路三男・・・全員揃っている。
「1年の最初の内は基礎力を付けるべきです。ランク戦は最小限でもいいのです。ただし如月さんは該当しません。存分に戦ってください。秋元さんはコントロール力をつける必要があるため別メニューとなります。秋元さんのメニューはすでに考えてありますのでこの万華鏡の模様が変化しないように魔力を送ってください。1回12分、一日5セット行ってください。しばらくこれだけでいいです」そう言って権藤先生は黄色い万華鏡を秋元未来に渡した。
「はいなの」
続けて権藤先生は話している。
「さてのこりの4名は竜を召喚してください。基本的に竜を召喚したままで修行を行っていきます。ランク戦も同様です。差し当たっては少し戦闘とそれに付随することについて講義があります」
そう言って講義が始まった。
「かったりぃな」終始、葵は眠そうだ。
「権藤先生、他のチームは戦闘慣れのためにまず1日5戦のランク戦を、それも戦いに集中するために召喚獣は召喚せずにトレーニングするみたいっすけど?」
疑問があればそれをぶつける・・・学生のあるべき姿・・・真面目だな。
「完全に間違っていますので真似しないように・・・まあとりあえず今日結果が欲しいのであれば刹那的な訓練でもよいですが先を見据えましょう」しかしよく権藤先生がコーチになったな、自分で希望したんだろうが。
―――秋元未来は万華鏡でトレーニングしつつ―――如月葵は眠そうに―――他の3人は真面目に権藤那由多の講義を3時間聞いて―――途中でロミオは魔力が尽きて竜は影に戻ったが―――初日の部活動を終わった。
結構疲れた様子だ、葵以外は。
「ランク戦した方がいいような気がするんすけどね」
「あたしはよくわからないのなの」
「わしゃあようわからんわ、疲れたわ」
これでいいのか・・・よく分からないようだが・・・。
次の日も次の日も講義は続いた。
そして誰ともなく部活が終わると5人は喫茶店へ寄ることが日課になった。
お茶しに来たというよりは息抜きプラス食事をしに来ているようだ。
相変わらず緑川は喋りっぱなしだ。
「たしかに講義はすごいっすね。授業じゃやらないっす。途中まで魔術を詠唱して相手を見て術を使い分けるなんて。威力が下がっても無意味な術を使うより効率いいっすディレイ術法ってやつっすね」
「うちの反鏡も全部オートではなくて一つは最低命令待ちにする必要ありなんて論理的・・・」
「わしは疲れた・・・竜を召喚しておくだけでこんなに疲れるとは」
思ったより講義は面白いらしい。葵は講義は飽きたようでランク戦に行っては戻ってきている。
次の日―――ようやく魔術の実地訓練が開始された。各人竜を召喚したままで。
「使える魔術は一つか二つに絞って精度をあげて練習します。体術はその都度指示します。如月さんは今日もランク戦に行ってもいいですが少しここで抗術を覚えませんか?」
「ああいいぜ」耐える抗術は葵の性格上・・・向いてないが。
実は切れ者でクラスAサマナーの権藤先生はどうして教師なんてしているのだろう・・・これは謎だ・・・サマナーズハイで活躍したほうが給料だって比べられないくらい高くなるだろう・・・誰かを監視している?・・・なにか理由があるのだろうか?
「緑川君は相手との距離で風魔法の撃ち方を変えてもらいます。三守さんは反鏡群現で呼び出せる鏡を増やしコンビネーションを増やします。御堂君の術は攻撃力はありますが密着しないと意味がありません。高速で動く相手に密着するのは困難です・・・何か手を考えましょう・・・ああ。秋元さんはそのまま万華鏡を続けてください」「はいなの」
「ロミオの術ってよお。全然痛くなかったぜ?」
「御堂君の術はやや特殊です。魔装鎧や魔装武器を壊すのに適した特殊複合属性です」そうそう。それは気になっていた、珍しい能力だ。
「ええ?そんな大層なもんやったんか?わしの術って?」
「ロミオ?空破拳って誰に習ったんすか?」
「わしんちのじいちゃんや」
「そ、そうなんすか?門下生は何人いたんすか?」
「あ?わしだけやけど・・・なんや」「ま、まじすか」緑川は一人ですっころんだ。
一子相伝みたいなもんか、調べても記録がないわけだ。
「三守さんは非常にその年にしては完成された術を使いますが古風でパターンが少ないですから対処されないような現代風の工夫が必要になるでしょう」よく見てるな・・・その通りだ・・・権藤先生なら当たり前か。
「それには権藤先生、うち疑心暗鬼」でもこの子、強情そうだもんな。
「半信半疑といったところですか?三守さん」「あら」熟語好きなのだけは分かったが。
抗術の練習はそこそこに如月葵は途中で校内ランク戦へ行って5戦全勝していた。
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