焔星高校の密室鏡影の殺人～天才少年・神藤葉羽と幼馴染の事件簿～【本格推理×ホラー×どんでん返し】

葉羽

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16章

葉羽の推理(2)

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佐伯景子の死。それは、葉羽にとって、大きな衝撃だった。そして、彼女の手に握られていたメッセージ、「真実は、鏡の中に」。それは、まるで嘲笑うかのように、葉羽の推理を翻弄する。

景子は、犯人だったのか、それとも被害者だったのか。

葉羽は、混乱していた。

しかし、彼は諦めるわけにはいかない。彩由美を守り、事件の真相を解き明かすまでは。

葉羽は、深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。そして、もう一度、これまでの出来事を整理し始めた。

佐伯蔵人の死。密室トリック。プレイヤーたちの証言。図書室の黒い人影。ひび割れた鏡。鏡の部屋。佐伯久美子。遺言書。K.S.の刻印が入った金属片。そして、佐伯景子の死。

一つ一つの出来事が、まるで複雑に絡み合った糸のように、葉羽の頭の中を駆け巡る。

彼は、これらの糸を解きほぐし、事件の真相へと繋がる糸口を見つけ出さなければならない。

葉羽は、まず佐伯景子の死について考え始めた。

彼女は、何者かに殺害された。凶器はナイフ。そして、彼女の右手には、「真実は、鏡の中に」と書かれた紙が握られていた。

このメッセージは、一体何を意味しているのだろうか。

葉羽は、メッセージの「鏡」という言葉に注目した. 鏡。それは、この事件において、何度も登場するキーワードだ。書斎の鏡、ひび割れた鏡、鏡の部屋、そして鏡の中の佐伯久美子。

もしかして、このメッセージは、鏡に何らかの秘密が隠されていることを示唆しているのだろうか。

葉羽は、再び鏡の部屋のことを思い出した。鏡の部屋には、一枚の大きな鏡が掛けられていた。そして、その鏡は、まるで生きているかのように、波打ったり、声を発したりしていた。

もしかして、あの鏡が、事件の鍵を握っているのだろうか.

葉羽は、鏡の部屋に隠された秘密を解き明かす必要があると感じた.

彼は、彩由美と共に、再び鏡の部屋へと向かった.

鏡の部屋に到着すると、久美子が待っていた. 彼女は、相変わらず黒いドレスを身に纏い、まるで闇の女王のようだった.

「ようこそ、再び鏡の部屋へ」

久美子は、静かに言った。

「佐伯景子が殺害されました」

葉羽は、単刀直入に言った.

「そうでしたか…」

久美子は、表情を変えずに答えた. まるで、既に知っていたかのようだった.

「あなたは、何か知っているのですか？」

葉羽は、久美子に鋭い視線を向けた.

「私は、何も知りません. 私は、ただ真実を映し出す鏡に過ぎない」

久美子は、曖昧な答えを返した.

葉羽は、苛立ちを感じた. しかし、彼は冷静さを保たなければならない。

彼は、鏡に近づき、自分の姿を映してみた。

彼の姿は、歪むことなく、はっきりと鏡に映っていた.

その時、鏡の表面が波打ち始めた。そして、鏡の中から、声が聞こえてきた.

「真実は、二つある」

声の主は、誰なのか分からなかった. しかし、その声は、葉羽の心に深く響いた.

真実は、二つある。

それは、一体どういう意味なのだろうか.

葉羽は、考え込んだ.

もしかして、この事件には、二つの真相があるのだろうか。

一つは、表向きの真相。そして、もう一つは、隠された真相.

葉羽は、隠された真相を解き明かす必要があると感じた。

彼は、彩由美と共に、再び洋館の捜索を開始した.

彼らは、書斎、寝室、客間、食堂、そして地下室。あらゆる場所をくまなく調べた.

壁の装飾、家具の配置、床板の音。彼らは、五感を研ぎ澄ませ、どんな小さな手がかりも見逃さないように注意深く観察した。

その時、葉羽は、地下室の壁に隠された小さなボタンを発見した。

彼は、ボタンを押してみた.

すると、壁の一部がスライドして開き、隠し通路が現れた.

隠し通路は、狭く、暗かった。

葉羽は、懐中電灯で通路を照らし、中へと入っていった.

彩由美も、葉羽の後について行った.

通路は、曲がりくねっており、どこまでも続いているように思われた。

しばらく歩くと、通路は行き止まりになった.

行き止まりの壁には、一枚の絵が掛けられていた.

絵は、古い洋館を描いたもので、一見すると何の変哲もない風景画だった.

しかし、葉羽は、絵の左下に描かれた小さな鏡に気づいた.

鏡は、絵の中で小さく描かれているだけで、特に意味があるようには見えなかった.

しかし、葉羽は、その鏡に何かを感じた。

彼は、絵に近づき、鏡の部分を指で触れてみた。

すると、絵の表面が少しへこんだ.

葉羽は、絵の裏側を調べてみた。

絵の裏側には、小さなボタンが隠されていた.

彼は、ボタンを押してみた.

すると、壁の一部がスライドして開き、別の隠し部屋が現れた。

隠し部屋の中には、一台の古い映写機と、一枚のフィルムが置かれていた.

葉羽は、フィルムを映写機にセットし、スイッチを入れた.

壁に映し出されたのは、古い白黒映像だった.

映像には、佐伯蔵人と若い女性が映っていた. 女性は、美しい黒髪と吸い込まれるような黒い瞳を持っていた。二人は、楽しそうに会話をし、笑い合っていた。

しかし、映像は突然中断し、画面は真っ暗になった。

その時、葉羽は、ある真実に気づいた。

彼は、息を呑んだ.

そして、彼は、全てを理解した.

　　　　　　　　　　　　　　　　

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