焔星高校の密室鏡影の殺人～天才少年・神藤葉羽と幼馴染の事件簿～【本格推理×ホラー×どんでん返し】

葉羽

文字の大きさ

大中小

13 / 26

12章

読者への挑戦

しおりを挟む

鏡の部屋。ひんやりとした空気、かすかに漂う黴臭さ、そして静寂。葉羽と彩由美は、佐伯久美子の言葉に言葉を失い、ただ立ち尽くしていた。祖父が一家惨殺事件の犯人？にわかには信じ難い言葉が、葉羽の脳裏を駆け巡る。

久美子は、闇に溶け込むような黒いドレスを纏い、まるでこの部屋の支配者のように威厳を放っていた。彼女の漆黒の瞳は、底知れぬ闇を湛え、葉羽の心を見透かすようだった。

「信じられないのも無理はないでしょう。あなたの祖父は、表向きは温厚な紳士を演じていたから」

久美子の声は、静かで、それでいて確信に満ちていた。

「しかし、私は知っている。彼が、どれほど残忍な男だったかを。彼が、どれほど冷酷な方法で、私の家族を殺害したかを」

久美子の言葉は、まるで呪詛のように、葉羽の心に突き刺さった。

「証拠はあるのですか？」

葉羽は、震える声で尋ねた。

久美子は、かすかに微笑んだ。

「証拠？この洋館全体が、証拠だ。この鏡の部屋も、証拠だ。そして、あなたの血も、証拠だ」

久美子の言葉は、謎めいたものだった。葉羽の血が、証拠？一体、どういう意味なのだろうか。

「私は、あなたにゲームを提案する」

久美子は、話を続けた。

「この洋館に隠された真実を、あなた自身の手で解き明かしてみなさい。もし、あなたが真実に辿り着くことができれば、私はあなたを解放する。そして、あなたの祖父の罪も、許す」

「しかし、もし、あなたが真実に辿り着くことができなければ…」

久美子は、言葉を濁らせた。しかし、その意味は明白だった。

葉羽は、彩由美を見つめた。彩由美の瞳には、恐怖と不安が入り混じっていた。

彼は、必ず真実に辿り着き、彩由美を救い出さなければならない。

「いいでしょう。私は、あなたのゲームを受けます」

葉羽は、決意を固めた。

「よろしい」

久美子は、満足そうに頷いた.

「それでは、始めましょう。闇のゲームを」

久美子は、両手を広げ、宣言した。

部屋の空気が、一変した。まるで、異次元へと迷い込んだかのような、奇妙な感覚に襲われた。

「さあ、読者諸君。君たちにも、このゲームに参加してもらおう」

久美子は、突然、読者に語りかけた.

「神藤葉羽は、この闇のゲームをクリアし、真実に辿り着くことができるだろうか。それとも、闇に呑み込まれてしまうのだろうか。さあ、君たちの推理力で、彼の運命を占ってみなさい」

まるで、物語の世界から、読者に語りかけているかのような、不思議な感覚だった。

葉羽は、深呼吸をして、気を落ち着かせた.

彼は、冷静に状況を分析しなければならない.

まず、佐伯久美子の言葉の真偽を確認する必要がある.

彼女は、本当に一家惨殺事件の生き残りなのだろうか。

そして、彼の祖父が、本当に犯人なのだろうか。

葉羽は、久美子に質問を始めた.

「あなたは、一家惨殺事件の夜、何をしていたのですか？」

「私は、自分の部屋に隠れていた. 犯人が、家族を殺害する様子を、鏡を通して見ていた」

久美子の言葉は、生々しく、恐ろしかった.

「犯人の顔は、見えましたか？」

「いいえ、犯人は仮面を付けていた」

仮面の男. 彼は、一体誰なのだろうか。そして、なぜ、葉羽の前に現れたのだろうか.

「私の祖父は、なぜ一家を惨殺したのですか？」

「財産のためよ. 彼は、佐伯家の莫大な財産を手に入れたかった」

久美子の言葉は、冷たかった。

「しかし、証拠はありますか？」

「証拠？この洋館全体が、証拠だと言ったでしょう. そして、あなたの血も、証拠だ」

久美子は、再び謎めいた言葉を繰り返した。葉羽の血が、証拠？それは、一体どういう意味なのだろうか。

葉羽は、考え込んだ。

久美子の言葉は、真実なのだろうか、それとも嘘なのだろうか。

彼は、判断がつかなかった.

しかし、一つだけ確かなことがあった.

それは、この洋館には、何かが隠されているということだ.

そして、その何かが、事件の真相を解き明かす鍵となっている.

葉羽は、彩由美と共に、洋館の捜索を再開した。

彼らは、書斎、寝室、客間、食堂、地下室。あらゆる場所をくまなく調べた。

そして、ついに、彼らはある発見をした.

それは、隠し部屋だった。

隠し部屋は、書斎の本棚の裏に隠されており、非常に巧妙に作られていたため、これまで誰もその存在に気づかなかったのだ。

隠し部屋の中には、古い書類や写真が保管されていた。

葉羽は、書類を一枚一枚丁寧に調べていった.

そして、ついに、彼はある重要な文書を発見した。

それは、佐伯家の財産に関する遺言書だった。

遺言書には、驚くべき内容が記されていた.

佐伯蔵人は、全財産を、佐伯久美子に相続させることを決めていたのだ。

葉羽は、息を呑んだ.

もし、この遺言書が本物だとしたら、久美子には、佐伯蔵人を殺害する動機がなかったことになる。

では、真犯人は誰なのか。

そして、仮面の男の正体は？

謎は、さらに深まるばかりだった.

読者への挑戦

さあ、読者諸君。ここまでに提示された情報を元に、事件の真相を推理してみたまえ。

真犯人は誰なのか。

そして、仮面の男の正体は？

制限時間は、あとわずかだ。

君たちの推理力が、試されている。

　　　　　　　　　　　　　　　　

しおりを挟む