声の響く洋館

葉羽

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4章

洋館の訪問

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神藤葉羽と望月彩由美は、洋館の廊下を進むにつれて、緊張感が高まっていくのを感じていた。周囲に漂う薄暗い空気と、不気味な静けさが二人の心に重くのしかかる。葉羽は、失踪した友人の名前が書かれた日記を持って、何か真実を見つけるための決意を固めていた。

「葉羽くん、何か見つかるのかな…」彩由美の声に不安が滲んでいる。

「分からないけど、何か手がかりがあるはずだ。俺たちが調べることで、みんなのためにもなるんだ」と葉羽は力強く答えたが、自分自身を奮い立たせるために言った言葉でもあった。

二人は、日記の内容を思い出しながら、洋館の奥へと進む。廊下の壁には、古い絵画が掛けられていて、どれも目を背けたくなるような不気味な表情をしている。葉羽はその一つ一つを見ながら、どの絵にも何か意味があるのではないかと考えた。まるで、彼らの目を追っているかのように感じられる。

「ここの住人たち、何を思ってこの家に住んでいたんだろう…」彩由美がつぶやく。

「それが、真相を知る鍵になるかもしれない。もっと調べよう。」葉羽は意を決して、さらに進む。

やがて、彼らは広いリビングルームにたどり着いた。そこには大きな暖炉があり、かつての栄華を感じさせる家具が置かれているが、今は埃まみれでほこりが積もっていた。葉羽は部屋を見渡し、何か異変を感じ取ろうとした。

「この部屋、なんだか不気味だね…」彩由美は、部屋の隅にある古いソファの影に目をやり、身をすくめた。

「でも、ここが何かの手がかりになるかもしれない。」葉羽は、暖炉の上に何かが置かれているのに気づいた。近づいてみると、そこには一冊の古びたアルバムがあった。彼はそれを手に取り、ページをめくり始める。

アルバムには、昔の家族の写真や洋館の中でのイベントの様子が収められていた。笑顔の家族の写真が続く中、突然、ページの一つに異様な写真が挟まっているのを見つけた。それは、目を見開いている女性の顔が写ったもので、何か恐ろしい出来事の瞬間を捉えたように思えた。

「これ、何だろう…」葉羽はその写真をじっと見つめた。

「怖い…」彩由美は顔をしかめ、背後から葉羽の肩を掴む。「やっぱりここ、何かおかしいよ。」

葉羽はその写真をアルバムに戻し、周囲を見渡した。「何か、もっと見つけないと。あの声の正体も知りたいし、失踪した友人のことも…」

その時、急に部屋の空気が変わったように感じた。まるで、どこかから冷たい風が吹き抜けたかのように、二人の心に不安が広がる。葉羽はその感覚を無視できず、ふと周囲を見回した。

「葉羽くん、何か気になることでもあるの?」彩由美が心配そうに尋ねる。

「いや、なんでもない。ただ、ここにいると何かが起こりそうな気がするだけだ。」葉羽は不安を感じつつも、冷静さを保つよう努めた。

彼は次に、部屋の奥にある扉に目を向けた。「あの扉、開けてみよう。」

彩由美は少し躊躇したが、葉羽の決意に促されてついて行くことにした。彼らはその扉に近づき、葉羽がドアノブを回すと、きしむ音を立ててドアが開いた。暗い階段が見え、その先には何かが待っているような気配を感じた。

「これ、地下室かもしれない…」葉羽は言った。

「行くの…?」彩由美は一瞬戸惑ったが、葉羽の目に宿る決意を見て、彼に続くことにした。「私はついて行くよ。」

二人はゆっくりと階段を下り始めた。暗い空間に足を踏み入れると、湿った空気が彼らを包み込む。薄暗い中で、葉羽は懐中電灯を取り出し、前方を照らした。その光が照らす先には、古い木箱や壊れた家具が散乱している。

「ここには、何があるんだろう…」葉羽はつぶやいた。

その時、ふと耳にした声が、再び彼らの心を引き裂いた。「助けて…」

二人は驚いて顔を見合わせた。声は確かに聞こえた。まるで、誰かが彼らに助けを求めているかのようだった。

「誰かいるの?」葉羽は声をかけたが、返事はなかった。空気が重苦しく、彼の心臓が早鐘のように鳴り響く。

「葉羽くん、もう帰ろうよ…」彩由美は恐れを隠せない様子で言う。

「まだ何も見つけていない。もう少しだけ、調べさせてくれ。」葉羽は決意を固めた。

二人はさらに奥へ進む。暗闇の中、彼らの心には恐怖が根付いていたが、同時に真実を求める探求心が燃えていた。果たして、彼らはこの洋館で何を見つけるのか。そして、失踪した友人の声の正体は一体何なのか。葉羽はその先に待つ運命に、心を躍らせていた。 

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