運命のパズル

13章

彩由美の告白

第13章: 彩由美の告白

真実を追求する決意を固めてから数日が経った。葉羽は放課後、いつものように図書室で資料を調べていた。「影の学園史」を何度も読み返し、組織の構造や影響力について理解を深めようとしていた。
そんな彼の元に、彩由美が訪れた。
「葉羽くん、また一人で調べものしてるの？」
彩由美の声に、葉羽は顔を上げた。彼女の表情には、いつもの明るさとは違う、何か深刻なものが感じられた。
「ああ、少し気になることがあってね」葉羽は答えた。「どうかしたのか？」
彩由美は少し躊躇した後、葉羽の隣に座った。
「ねえ、葉羽くん。私、ずっと言いたいことがあったの」
葉羽は眉をひそめた。「何だ？」
彩由美は深呼吸をし、決意を固めたように葉羽をまっすぐ見つめた。
「私...葉羽くんのことが好きなの」
葉羽の目が大きく見開かれた。彼は言葉を失い、ただ彩由美を見つめ返すことしかできなかった。
「ごめんね、こんなタイミングで」彩由美は続けた。「でも、あの事件があって、私たちの命が危険にさらされて...もし何かあったら、言わないまま終わってしまうかもしれないって思って...」
彩由美の目に涙が光る。葉羽は動揺を隠せずにいた。
「彩由美...俺は...」
彼は言葉を探していたが、適切な返事が見つからない。彩由美は小さく首を振った。
「今すぐ答えなくていいの。ただ、知っておいてほしかっただけ」
彩由美は立ち上がろうとしたが、葉羽が彼女の手を掴んだ。
「待ってくれ」葉羽は真剣な表情で言った。「俺も...君のことを大切に思っている。でも、今はこの事件のことで頭がいっぱいで...」
彩由美は優しく微笑んだ。「分かってる。葉羽くんはそういう人だもの。だからこそ、私は葉羽くんが好きなの」
二人の間に沈黙が流れた。その時、図書室のドアが開き、山田が入ってきた。
「お二人とも、重要な情報が...」
山田は二人の様子を見て、言葉を途中で止めた。
「あ、邪魔しましたか？」
葉羽と彩由美は慌てて距離を取った。
「い、いや」葉羽は咳払いをした。「どんな情報だ？」
山田は二人の様子を怪訝そうに見ながらも、説明を始めた。
「組織の幹部会議が近々開かれるという情報を入手しました。そこで、学園の今後について重要な決定がなされるようです」
葉羽の表情が引き締まった。「いつだ？」
「3日後です」山田は答えた。「ですが、場所はまだ特定できていません」
葉羽は立ち上がり、窓の外を見つめた。「3日か...準備は急がないとな」
彩由美も決意を新たにしたように言った。「私にも何かできることはない？」
山田は二人を見て、小さく頷いた。「はい、お二人の協力が必要です。この作戦、三人で進めていきましょう」
葉羽は彩由美と山田を見つめ、強く頷いた。「よし、やろう」
しかし、彼の心の中では、彩由美の告白が重く響いていた。真実を追求する使命と、芽生えつつある感情の間で、葉羽は揺れ動いていた。