運命のパズル

葉羽

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11章

Unexpected Ally

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第11章: Unexpected Ally

「まさか、あなたが...」
葉羽の声が震える。目の前に立っていたのは、他でもない高橋先生だった。
「よく来たな、葉羽君」高橋先生は穏やかな笑みを浮かべていた。その表情は、いつもの優しい担任のものとは全く異なっていた。
「なぜです...」葉羽は言葉を絞り出した。「なぜこんなことを...」
高橋先生はゆっくりと歩み寄ってきた。「全ては、お前を試すためだ」
彩由美が小さく悲鳴を上げる。佐々木は彼女の元へ駆け寄り、縄をほどこうとしていた。
「動くな」高橋先生の声が鋭く響いた。佐々木の手が止まる。
「説明してください」葉羽は冷静さを取り戻そうと努めた。「なぜ僕を試す必要があったんですか？」
高橋先生は深いため息をついた。「お前には、知る権利がある。この学校には、長年隠されてきた秘密がある。そして、その秘密を守り、時に利用するための組織が存在するんだ」
葉羽の目が見開かれた。「組織...？」
「そう」高橋先生は続けた。「我々は、特別な才能を持つ生徒を見出し、育成する。そして、時が来れば組織に迎え入れる。お前は、その最有力候補だったんだ」
葉羽は言葉を失った。全ての出来事が、彼を試すための舞台装置だったという事実に、頭が混乱する。
その時、突然部屋の扉が勢いよく開いた。
「そこまでだ！」
鋭い声と共に、一人の女性が部屋に飛び込んできた。葉羽は驚いて振り返る。
「山田さん...？」
そう、そこに立っていたのは、行方不明になっていたはずの山田だった。しかし、彼女の姿は、いつもの地味な会計係とは全く異なっていた。身に着けた黒いスーツは、まるで特殊部隊のようだ。
「もういい加減にしなさい、高橋先生」山田は冷たく言い放った。「これ以上の違法行為は許しません」
高橋先生の表情が曇る。「君も...裏切ったのか」
山田は葉羽たちの前に立ちはだかった。「私は最初から、この組織の監視役でした。そして今、あなたの行為は許容範囲を超えています」
部屋の空気が一瞬で凍りついたかのようだった。
「葉羽君」山田が振り返る。「あなたの才能は本物です。でも、それを悪用しようとする者たちもいる。これからは自分の判断で、その才能をどう使うか決めていかなければなりません」
葉羽は困惑しながらも、少しずつ状況を理解し始めていた。
高橋先生は諦めたように肩を落とした。「結局、私も組織の駒に過ぎなかったということか...」
山田は高橋先生に近づき、手錠をかけた。「あなたは、しばらく当局の取り調べを受けることになります」
その後の数時間は、まるで夢の中にいるようだった。警察が到着し、高橋先生が連行される。山田は当局の特別捜査官として、状況を説明した。
彩由美は無事に救出され、佐々木と共に病院で検査を受けることになった。
夜明け前、葉羽は学校の屋上に立っていた。山田が近づいてきて、隣に立つ。
「これから、どうするつもりですか？」山田が尋ねた。
葉羽は遠くを見つめながら答えた。「まだ分からない。でも、自分の力で真実を追い求めていくつもりです」
山田はうなずいた。「あなたなら、きっと正しい道を選べるでしょう」
朝日が昇り始め、新しい一日の始まりを告げていた。葉羽は深く息を吐いた。

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