おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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90.唯一の方法

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雅楽代は診察室に戻ると、モニターに映された楓の寝室を確認した。
楓は不満げな顔で、電子書籍用のタブレットを眺めていた。

「楓様のお身体には特段の変化は見受けられませんでした。」
「とは言え、大事は取った方がいいです。三日は安静に。魔法は禁止です。」
「では、授業は楓さん宅で行います。」
「そうしてください。」
「詠川先生、今回の件は、魔力が強いだけでは説明が付きませんよね?」
「ええ。神に与えられた理の巫女の力を無意識に使ったとしか考えられません。無意識に使えるものでは無いはずですが・・・」
「楓さんは来た時から過去の巫女様とは比較できない人でした。自然に使えたとしても不思議はありません。」

また調べんと、そう呟いて溜息を吐いた紫々井を横目で見た雅楽代は口を開いた。

「先生、相当お疲れなのではないですか?急を要する事では無いようですし、少し休みを取られては如何ですか? 」

紫々井の体は取り切れない疲労で全体が重く、目の下には隈ができていた。

「楓さんの命に関わることや。急を要する事です。悠長にしててもし楓さんに何かあったら・・・」

立ち上がった紫々井は雅楽代の予想通りふらつき、雅楽代が素早く腕を掴んだお陰で辛うじてバランスを保った。

「楓様にもし何かあった時、先生が万全の状態でなければそれこそ楓様の命に関わります。」
「早く方法を見つけなあかんのや。休んでる暇なんて無い。」

雅楽代の手を振り払って、紫々井は診察室を出た。

「近い内に倒れそうですが、それまでに見付かるでしょうか。」
「紫々井先生がこれ程探して見付からない方法が急に見付かるとは思えない。」
「一つだけ方法はあります。ですが・・・」

詠川はその先を言わず、診察室を出た。

「たった一つの方法、ですか。」
「詠川先生も同じ事を考えているようだ。だがまあ・・・」

雅楽代は、無理だろうな、という言葉を飲み込んだ。
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