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75.ティータイムの作戦会議
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「へぇ、高辻くんやるじゃん。デリカシーが無いのはいただけないけど。」
紅茶を飲みながら私の話を聞いていた瑠璃川先生は、ティーカップを置いて言った。祐子さんも頷いた。
合同授業という名目で、私達三人はお茶会を開いている。
「デリカシーが無いこと私言ってないよね?」
「それが出るのが楓ちゃんと話す時だけだと思う?」
「あっ、なるほど。」
「高辻くんの言う事は最もだと思うよ。この一年半見てきて思ったけど、紫々井先生達って、精鋭だけあって責任感強すぎるんだよねぇ。呼び方を変えようが結局巫女様だもん。」
「楓ちゃん、それで悩んでたのね。」
「虚しくなることはあったけど、悩んでた訳じゃないよ。湊くんに言われて、確かにって思ったの。」
私は二杯目の紅茶をティーカップに注いだ。
「線を引くことが悪いとは思ってないの。巫女としか見てもらえないのも当然だと思う。」
「論理的な思考と心は度々乖離するのよね。」
「ただちょっと寂しいかなってだけだもん。無理に合わせてもらうこともないでしょ?」
「それはそうだけど、変えようって思えたんでしょ。」
「うん。でもどうしたらいいんだろ。自分をさらけ出すって難しいよ。」
先生と祐子さんは目を光らせた。
あ、なんか嫌な予感がする。
「それならまず、買い物に行きましょう。」
「なんでそうなるんですか!?」
「楓ちゃん、今の自分に自信ある?」
「うっ・・・」
先生の言葉は心に深く突き刺さった。
外には出れないから何もかも通販で買っている。
試せないから化粧品も無難な物しか買ってないし、服や靴のサイズ違いもちょくちょくある。
流行りもわからないから流行りの関係ない物ばかりだ。
「落ち込まないで。楓ちゃんの場合、お洒落する必要が無いから仕方ないわよ。」
「女の子はお洒落で変わるから、気分も前向きになって良いと思うよ。どう?」
「それで変わる・・・?」
「絶対変わる。前向きになれるから。まずは毎日が楽しくなきゃ。」
「そうだね・・・」
「そうと決まれば善は急げ。紫々井先生に許可取るね。」
「尾長谷さんにも許可を取らないと。尾長谷さんには私が連絡するね。」
尾長谷さんは快諾。明さんはかなり渋ったらしいけど、最終的には折れてくれて、私はこの世界に来て初めて外出することになった。
紅茶を飲みながら私の話を聞いていた瑠璃川先生は、ティーカップを置いて言った。祐子さんも頷いた。
合同授業という名目で、私達三人はお茶会を開いている。
「デリカシーが無いこと私言ってないよね?」
「それが出るのが楓ちゃんと話す時だけだと思う?」
「あっ、なるほど。」
「高辻くんの言う事は最もだと思うよ。この一年半見てきて思ったけど、紫々井先生達って、精鋭だけあって責任感強すぎるんだよねぇ。呼び方を変えようが結局巫女様だもん。」
「楓ちゃん、それで悩んでたのね。」
「虚しくなることはあったけど、悩んでた訳じゃないよ。湊くんに言われて、確かにって思ったの。」
私は二杯目の紅茶をティーカップに注いだ。
「線を引くことが悪いとは思ってないの。巫女としか見てもらえないのも当然だと思う。」
「論理的な思考と心は度々乖離するのよね。」
「ただちょっと寂しいかなってだけだもん。無理に合わせてもらうこともないでしょ?」
「それはそうだけど、変えようって思えたんでしょ。」
「うん。でもどうしたらいいんだろ。自分をさらけ出すって難しいよ。」
先生と祐子さんは目を光らせた。
あ、なんか嫌な予感がする。
「それならまず、買い物に行きましょう。」
「なんでそうなるんですか!?」
「楓ちゃん、今の自分に自信ある?」
「うっ・・・」
先生の言葉は心に深く突き刺さった。
外には出れないから何もかも通販で買っている。
試せないから化粧品も無難な物しか買ってないし、服や靴のサイズ違いもちょくちょくある。
流行りもわからないから流行りの関係ない物ばかりだ。
「落ち込まないで。楓ちゃんの場合、お洒落する必要が無いから仕方ないわよ。」
「女の子はお洒落で変わるから、気分も前向きになって良いと思うよ。どう?」
「それで変わる・・・?」
「絶対変わる。前向きになれるから。まずは毎日が楽しくなきゃ。」
「そうだね・・・」
「そうと決まれば善は急げ。紫々井先生に許可取るね。」
「尾長谷さんにも許可を取らないと。尾長谷さんには私が連絡するね。」
尾長谷さんは快諾。明さんはかなり渋ったらしいけど、最終的には折れてくれて、私はこの世界に来て初めて外出することになった。
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