おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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71.知らない事ばかり

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楓との顔合わせを終えた尾長谷は、警備棟の会議室に雅楽代、雪野、高辻、息子で秘書の典之を集めた。

決闘の話を伝えると、典之は深いため息を吐いた。

「またとんでもない事を提案して・・・」

尾長谷の無茶な思い付きに振り回されるのは今回だけではなく、幾度とあった事だった。

「そういう事だから、各自挑戦者の選定と準備をしておくこと。典之、最短の開催日は?」

「三ヶ月ください。」

「わかった。」

「相手の権能を封じるんですか?」

「そうだよ。」

「・・・要りません。」

雪野の発言を雅楽代は鼻で笑った。

「面白い冗談だ。一度も権能無しですら勝った事がないというのに。」

「俺が勝てば権能にあぐらをかいている事が分かるでしょう。」

「そんなに羨ましく思うなら家のプライドなんて捨てたらどうだ?」

「力を得る為に巫女に仕える事と比べればプライドの方が大事ですよ。」

「何百年前も前の話で止まっている化石のような考え方だから、未だ力を伸ばせてないんじゃないか?」

高辻は今にも殺し合いが始まりそうな雰囲気に、一刻も早く逃げ出したかった。

「そこまで。そんなんだから楓ちゃんが心配するんだよ。二人が思ってるよりずっとはっきり楓ちゃんはそれを感じ取ってるよ。」

二人は互いに目を向けた。高辻にはその間に火花が散って見えた。

「楓ちゃんは、二人を上司と部下の関係から解放した方がいいって真っ先に言ったからね。同調したら安堵してたよ。」

最後に棘があったことで、四人は尾長谷おばせがそれを強く問題視し、雅楽代と雪野を諌める為に言い合いを止めなかったのだと気付いた。

「智久と高辻は、早めに楓ちゃんと一対一で話す事。」

「何をですか?」

「自分の事をだよ。楓ちゃんが権能を決められないのは、二人の事を良く知らないからだ。智久、楓ちゃんに影帝の事は話したか?」

「いえ。」

「じゃあ、家や自分の事は?」

「一度、何故警察官になったのか聞かれたので、雪野家は代々そうだからと話しました。」

「それだけだろ?」

「はい。」

「高辻は?」

「何も。」

「薫は?」

「・・・何も。」

「三人とも何やってんの。」

「お言葉ですが、そこまで親密になる必要があるのですか?」

「薫は楓ちゃんの何を知ってる?」

「プロフィールやこれまでの経歴等は既に調査が終了しています。」

「それ以外は?」

「それ以外と言われましても・・・」

「子供の頃の思い出、恋愛、ホワイトハッカーになった理由、趣味、どれか一つでも答えられるか?」

「・・・いえ。」

それは雪野と高辻も同じだった。

「俺には話してくれたよ。嬉しそうにね。これから何十年護衛をしてたら、お互いのそういう話をし合った事は必ず活きてくる。無理にとは言わないが、俺は重要だと思うよ。」

「・・・承知しました。」

「薫、楓ちゃんは雅楽代家の生業なりわいに薄々勘づいてる。話しても抵抗は薄い筈だ。」

「・・・はい。」

雅楽代は、楓がそれを受け入れる事が怖かった。何故恐怖心を抱くのか、理由は分からなかったが避けて来た。

「薫は素直になっても許されるよ。」

「・・・わかりました。」

雅楽代は抵抗感があったものの、嫌だと思わなかった理由は本人にもわからなかった。



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お読みいただきありがとうございます。
コメディパートに入りましたが、止まっているしおりが多く悩んでおります。
このままでは一人一人おじ様が死にゆくかもしれないので是非とも感想をお願いいたします。
また、感想もしくはコメントで推しを教えていただけると出演シーンが増えるかもしれません。
よろしくお願いいたします。
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感想 6

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