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激動
74.二人の狙い
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美青年探しに半日を費やしたものの、めぼしい情報は掴めなかった私達は、次の日からこの街の人身売買について調べ始めた。
人身売買はこの街に限らず、貧困層の子供や迫害を受けている亜人がターゲットになっている。
一週間後、集めた情報を羊皮紙に纏めた資料をテーブルに並べて、私は首を捻った。
「アドバイザーがいるんじゃない?」
今までの街でも人身売買の商人は見てきたけど、こんなにボロが出ない商人は初めてだった。しかも一人だけじゃない。調べた限りだと街で商売をする全員だ。
「元締めではなくか?」
「うん。元締めが居るにしては値段が安いし、連絡を取ってる様子も無いでしょ?だからアドバイザー。ボロが出ない方法を教えてるんじゃないかな。」
「金を貰ってか?リスクに似合う利益が出るとは思えないし、それができるなら自分でやればいいだろう。」
「そうなんだけど・・・もし、お金が目的じゃなかったら?」
「金じゃない?奴隷か物ということか?」
「うん。その人物にとってお金より価値があるか、お金では買えない物。」
「商人がそんな貴重な物を売らないはずはない。」
「そうだよねー・・・」
予想の道筋が通らなくてもやもやする。
「ツバキ、金でも物でもない、というのはどうだ?」
「お金でも物でもない・・・?」
「ツバキが前の世界で作っていた物は、無料で人に使って貰って、感想を聞いて改良していたんだろ?」
「経験や情報か・・・」
その方が道筋が通る。面白い考え方だ。
「その推察面白いね。お金では買えないし、物でも得られない。」
「ああ。この線で調べてみる価値はあると思う。」
「うん。賛成。じゃあ、明日から探ろうか。」
「そうだな。」
私は一息ついて紅茶を飲んだ。
「クロード、魔管困ってるかな。」
私達のこれは、勿論人助けがしたいのもあるけど、最大の理由は魔管への嫌がらせだ。
私達は嫌がらせに各地で暴れ回っている。
「困るどころの話じゃないだろう。俺達が寄った街では魔管への不満が募ってる。かなり焦っているはずだ。ツバキ、困らせた後はどうするんだ?どうやって潰す?」
「まだ考えてない。攻撃されたら応戦するけど。」
「支部から潰して行くというのはどうかな?」
「でもそれをすると、ただの破壊者にならない?魔管と同じ事が丸々できるならいいけど、できなくて人が困るならただのテロリストだよ。このまま困らせ続けたらどうなるかな。終いには国自体変わるくらい。」
「面白いな。そうなれば向こうから攻撃を仕掛けて来て正当防衛になる。時間は掛かるが、結果を焦ってもろくな事にならないからな。」
クロードは笑って紅茶に口をつけた。
人身売買はこの街に限らず、貧困層の子供や迫害を受けている亜人がターゲットになっている。
一週間後、集めた情報を羊皮紙に纏めた資料をテーブルに並べて、私は首を捻った。
「アドバイザーがいるんじゃない?」
今までの街でも人身売買の商人は見てきたけど、こんなにボロが出ない商人は初めてだった。しかも一人だけじゃない。調べた限りだと街で商売をする全員だ。
「元締めではなくか?」
「うん。元締めが居るにしては値段が安いし、連絡を取ってる様子も無いでしょ?だからアドバイザー。ボロが出ない方法を教えてるんじゃないかな。」
「金を貰ってか?リスクに似合う利益が出るとは思えないし、それができるなら自分でやればいいだろう。」
「そうなんだけど・・・もし、お金が目的じゃなかったら?」
「金じゃない?奴隷か物ということか?」
「うん。その人物にとってお金より価値があるか、お金では買えない物。」
「商人がそんな貴重な物を売らないはずはない。」
「そうだよねー・・・」
予想の道筋が通らなくてもやもやする。
「ツバキ、金でも物でもない、というのはどうだ?」
「お金でも物でもない・・・?」
「ツバキが前の世界で作っていた物は、無料で人に使って貰って、感想を聞いて改良していたんだろ?」
「経験や情報か・・・」
その方が道筋が通る。面白い考え方だ。
「その推察面白いね。お金では買えないし、物でも得られない。」
「ああ。この線で調べてみる価値はあると思う。」
「うん。賛成。じゃあ、明日から探ろうか。」
「そうだな。」
私は一息ついて紅茶を飲んだ。
「クロード、魔管困ってるかな。」
私達のこれは、勿論人助けがしたいのもあるけど、最大の理由は魔管への嫌がらせだ。
私達は嫌がらせに各地で暴れ回っている。
「困るどころの話じゃないだろう。俺達が寄った街では魔管への不満が募ってる。かなり焦っているはずだ。ツバキ、困らせた後はどうするんだ?どうやって潰す?」
「まだ考えてない。攻撃されたら応戦するけど。」
「支部から潰して行くというのはどうかな?」
「でもそれをすると、ただの破壊者にならない?魔管と同じ事が丸々できるならいいけど、できなくて人が困るならただのテロリストだよ。このまま困らせ続けたらどうなるかな。終いには国自体変わるくらい。」
「面白いな。そうなれば向こうから攻撃を仕掛けて来て正当防衛になる。時間は掛かるが、結果を焦ってもろくな事にならないからな。」
クロードは笑って紅茶に口をつけた。
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