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仲間
51.奇跡を起こす魔法使い
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ギルドに駆け付けたクロード・バナッシュは呆気に取られた。
負傷者多数、死者も出て、ギルドは野戦病院のようになっていると聞いて駆け付けた筈が、怪我人も死者も合わせて片手で足りる程しかいなかった。
「マスター!」
クロードに駆け寄った職員は、ツバキが全員を治療したことを説明した。
クロードと共に駆け付けたテオは、有り得ない、と呟いた。クロードはその言葉に同感だった。
強力な魔法をこの人数相手に掛け、全員を完治させ、見たことのない魔術で切断された足を繋いで神経を復活、見たことのない治療法で死人を蘇生した。
とても現実の話だとは思えなかったが、目の前の光景が、クロードとテオに現実であることを無理矢理飲み込ませた。
「戻りました!」
魔物研究部の主任の腕を強く掴んで引き摺って、職員がギルドに入って来た。
「マスター!」
主任は服だけがボロボロだった。
「あ!主任捕まえたの!?」
後ろから研究部の職員が駆け寄った。
「コノエ様が馬から引きずり下ろして動けなくしてくれたんだ。主任!みんなを手伝ってください!」
「わかった...」
魔物研究部の主任は問題行動が目立っていたため、現場に向かおうとしたことは想像に容易かった。
クロードは、主任が体の内側に多大なダメージを受けていることに気付いた。
にも関わらず、皮膚は綺麗だ。
皮膚だけを完璧に治療するなんて考えられないが、目の前の奇跡を起こした人物がやったのなら不思議では無かった。
「これをやった者の名は?」
「ツバキ・コノエ様です。ラクタナでAランクだったそうで、治癒魔法も使えると仰っていたので来ていただきました。」
「治癒魔法、も?」
「職業は魔法使いです。一人でサウルタイガー二体を同時に討伐したそうです。」
「マジかよ...」
テオの混乱は当然だと、クロードは思った。
「特徴は。」
「胸元辺りまでのロングヘアの黒髪をポニーテールで纏めた、黒い瞳の異邦人の女性です。黒いローブを纏っています。」
「現場に向かったんだな。行ってくる。」
転移魔法で現場に駆け付けたクロードは、またも信じ難い光景を目にした。
冒険者も魔物も状態異常で気絶し、倒れていた。
その中で、括った長い黒髪を揺らす、女性に目が行く。
最初は、ツバキが何をしているかわからなかった。
ツバキが触る大型の魔物を刺激しないよう、距離を取って見ていると、魔物は全快して立ち上がり、ツバキに2回も頬擦りをして森に帰って行った。
信じられない事ばかりだ。
だから、クロードは聞いたのだった。
「君は、何者?」
負傷者多数、死者も出て、ギルドは野戦病院のようになっていると聞いて駆け付けた筈が、怪我人も死者も合わせて片手で足りる程しかいなかった。
「マスター!」
クロードに駆け寄った職員は、ツバキが全員を治療したことを説明した。
クロードと共に駆け付けたテオは、有り得ない、と呟いた。クロードはその言葉に同感だった。
強力な魔法をこの人数相手に掛け、全員を完治させ、見たことのない魔術で切断された足を繋いで神経を復活、見たことのない治療法で死人を蘇生した。
とても現実の話だとは思えなかったが、目の前の光景が、クロードとテオに現実であることを無理矢理飲み込ませた。
「戻りました!」
魔物研究部の主任の腕を強く掴んで引き摺って、職員がギルドに入って来た。
「マスター!」
主任は服だけがボロボロだった。
「あ!主任捕まえたの!?」
後ろから研究部の職員が駆け寄った。
「コノエ様が馬から引きずり下ろして動けなくしてくれたんだ。主任!みんなを手伝ってください!」
「わかった...」
魔物研究部の主任は問題行動が目立っていたため、現場に向かおうとしたことは想像に容易かった。
クロードは、主任が体の内側に多大なダメージを受けていることに気付いた。
にも関わらず、皮膚は綺麗だ。
皮膚だけを完璧に治療するなんて考えられないが、目の前の奇跡を起こした人物がやったのなら不思議では無かった。
「これをやった者の名は?」
「ツバキ・コノエ様です。ラクタナでAランクだったそうで、治癒魔法も使えると仰っていたので来ていただきました。」
「治癒魔法、も?」
「職業は魔法使いです。一人でサウルタイガー二体を同時に討伐したそうです。」
「マジかよ...」
テオの混乱は当然だと、クロードは思った。
「特徴は。」
「胸元辺りまでのロングヘアの黒髪をポニーテールで纏めた、黒い瞳の異邦人の女性です。黒いローブを纏っています。」
「現場に向かったんだな。行ってくる。」
転移魔法で現場に駆け付けたクロードは、またも信じ難い光景を目にした。
冒険者も魔物も状態異常で気絶し、倒れていた。
その中で、括った長い黒髪を揺らす、女性に目が行く。
最初は、ツバキが何をしているかわからなかった。
ツバキが触る大型の魔物を刺激しないよう、距離を取って見ていると、魔物は全快して立ち上がり、ツバキに2回も頬擦りをして森に帰って行った。
信じられない事ばかりだ。
だから、クロードは聞いたのだった。
「君は、何者?」
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