36 / 72
茨の道の第1歩
37.成果と収穫
しおりを挟む
「ツバキさーん!おはようございますー!」
私が依頼掲示板確認していたら、受付嬢のカノンさんが後ろから抱き着いてきた。
「おはようございます。」
カノンさんはいつもカウンターで依頼紹介の仕事をしている。
「この時間帯にカノンさんがここに居るということは、上手く行ってるんですね。」
「はい!みんな、ごっそり仕事が減ったので、他の事に手が回ってるんです!」
「そうですか。良かった。じゃあもう私が旅立っても問題ありませんね。」
「行かないでくださいー!」
子供の様に駄々をこねるから困ったら、先輩のレーナさんが来て、カノンさんを引き剥がした。
「すみません。」
「いえいえ。それより、依頼内容の音声記録は進んでいますか?」
「はい。この際なので、掲示板をもっと横長にして、今まで貼れなかった依頼も貼ることにしました。」
私が第1に取り組んだのが、この音声ガイド付き掲示板のシステムだ。
識字率が低いから、みんな依頼内容が読めなくて紹介カウンターに行くしか無かった。だから、依頼書の読みたい部分の文字を押せば、音声が耳に流れる魔術を作った。
依頼内容を職員が魔術で羊皮紙に声に吹き込んで登録する。録音は1回。それ以降は読むことしかできない。
同じ内容を一人一人に話していたことを考えれば負担は減るし、冒険者も並ばなくて済む。
魔術式は若干複雑になったけど、職員はみんな読み書きができるからそれほど問題にはならなかった。
冒険者も使ってくれていて嬉しい。
掲示板もごちゃごちゃしていたから、依頼内容によって依頼書の位置を分けて、見やすくした。
頻繁に追加される低ランク依頼は下、高ランクほど上に貼る。これで最初の日のように、受付嬢が背伸びして取る機会は減る。
縦軸は依頼のランク、横軸は地域で分けた。
識字率は低いけど、冒険者はみんな地図が読める。だから、地域の名前の下に、地域を赤線で囲った地図を貼って、わかるようにした。
我ながら良い出来で満足だ。
「ツバキさんのおかげで、ギルド全体の仕事の効率が劇的に上がりました。もう、他のギルドから問い合わせが来ていますよ。どんどん広めますからね!」
「ありがとうございます。」
「それと、ツバキさんが来たら書庫に入る許可と色々融通してもらえるように言っておきます!」
「助かります。」
依頼では一切お金はもらっていないけど、お金を積んでも得られないモノをいくつも得ることができた。
その中でも、本来冒険者が入れない書庫の本を片っ端から読み漁れたことは、かなりの収穫だった。
「今日は依頼を受けられるんですか?」
「はい。旅立つ前にクリミア村に行くんですけど、村の近くに物騒な依頼があったら片付けようと思って。」
「それでしたら心配ありません。」
「そうですか。ありがとうございます。明日の夜、最後に来ますので、何か問題や改善点があればまとめておいてください。翌日の出発までにはできるだけなんとかします。」
「ありがとうございます。お気をつけて。」
私が依頼掲示板確認していたら、受付嬢のカノンさんが後ろから抱き着いてきた。
「おはようございます。」
カノンさんはいつもカウンターで依頼紹介の仕事をしている。
「この時間帯にカノンさんがここに居るということは、上手く行ってるんですね。」
「はい!みんな、ごっそり仕事が減ったので、他の事に手が回ってるんです!」
「そうですか。良かった。じゃあもう私が旅立っても問題ありませんね。」
「行かないでくださいー!」
子供の様に駄々をこねるから困ったら、先輩のレーナさんが来て、カノンさんを引き剥がした。
「すみません。」
「いえいえ。それより、依頼内容の音声記録は進んでいますか?」
「はい。この際なので、掲示板をもっと横長にして、今まで貼れなかった依頼も貼ることにしました。」
私が第1に取り組んだのが、この音声ガイド付き掲示板のシステムだ。
識字率が低いから、みんな依頼内容が読めなくて紹介カウンターに行くしか無かった。だから、依頼書の読みたい部分の文字を押せば、音声が耳に流れる魔術を作った。
依頼内容を職員が魔術で羊皮紙に声に吹き込んで登録する。録音は1回。それ以降は読むことしかできない。
同じ内容を一人一人に話していたことを考えれば負担は減るし、冒険者も並ばなくて済む。
魔術式は若干複雑になったけど、職員はみんな読み書きができるからそれほど問題にはならなかった。
冒険者も使ってくれていて嬉しい。
掲示板もごちゃごちゃしていたから、依頼内容によって依頼書の位置を分けて、見やすくした。
頻繁に追加される低ランク依頼は下、高ランクほど上に貼る。これで最初の日のように、受付嬢が背伸びして取る機会は減る。
縦軸は依頼のランク、横軸は地域で分けた。
識字率は低いけど、冒険者はみんな地図が読める。だから、地域の名前の下に、地域を赤線で囲った地図を貼って、わかるようにした。
我ながら良い出来で満足だ。
「ツバキさんのおかげで、ギルド全体の仕事の効率が劇的に上がりました。もう、他のギルドから問い合わせが来ていますよ。どんどん広めますからね!」
「ありがとうございます。」
「それと、ツバキさんが来たら書庫に入る許可と色々融通してもらえるように言っておきます!」
「助かります。」
依頼では一切お金はもらっていないけど、お金を積んでも得られないモノをいくつも得ることができた。
その中でも、本来冒険者が入れない書庫の本を片っ端から読み漁れたことは、かなりの収穫だった。
「今日は依頼を受けられるんですか?」
「はい。旅立つ前にクリミア村に行くんですけど、村の近くに物騒な依頼があったら片付けようと思って。」
「それでしたら心配ありません。」
「そうですか。ありがとうございます。明日の夜、最後に来ますので、何か問題や改善点があればまとめておいてください。翌日の出発までにはできるだけなんとかします。」
「ありがとうございます。お気をつけて。」
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【草】の錬金術師は辺境の地で【薬屋】をしながらスローライフを楽しみたい!
雪奈 水無月
ファンタジー
山と愛犬を愛する三十二歳サラリーマン・山神慎太郎。
愛犬を庇って命を落とした彼は、女神の手によって異世界へ転生する。
――ただし、十五歳の少女・ネムとして。
授けられた能力は【草限定の錬金術】。
使える素材は草のみ。
しかしその草は、回復薬にも、武器にも、時には常識外れの奇跡を生み出す。
新しい身体に戸惑いながらも、
「生きていること」そのものを大切にするネムは、静かに世界を歩き始める。
弱そう? 地味?
いいえ――草は世界に最も溢れる“最強素材”。
草を極めた少女が、やがて世界の常識を塗り替える。
最弱素材から始まる、成り上がり異世界ファンタジー!
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる