上 下
2 / 8

王の間

しおりを挟む
「おい無能! 起きろ!」

突然の呼びかけと同時に腹にきた強烈な痛みで俺は目を覚ました。 どうやら名瀬が俺の腹に蹴りを放ったらしい。
ただし、今回に限り名瀬は俺が起きたことを確認すると俺には目もくれず近くにある椅子に座った。
いつもならこのまま暴力の限りを尽くす名瀬の大人しい行動を不思議にも思った俺は、とりあえず何か情報を得るためにあたりを見回すことにする。

まず目に入ったのが赤い絨毯。 なんだよこれ・・・ ハリウッドでしか見たことないぞ。
そして目線を上に上げるとたくさんの椅子に座るクラスメートが目に入った。一つ一つの椅子には、高級そうな気品があり、クラスメイトたちはどこか落ち着かない様子で座っている。
そしてそこから視線を左にずらしていくと、甲冑を着た騎士が10人ぐらいが通路の脇を固めているのが見え、そのさきに豪華な椅子に座る40歳ぐらいのおじさんがいた。

時間にして10秒ぐらいだろうか・・・ 俺がおじさんと目が合うと おじさんは話しはじめた。

「全員起きたか・・・ そこの少年はさっさと空いてる椅子に座ってくれ。」

絨毯の上であっけに取られていた俺は急いで空いていた席に着くと、このおじさんが再び話し始めた。

「我はグレイシア王国の国王である。魔王と戦ってもらうために勇者召喚を行ったところ君たちが現れたというわけだ。なので君たちには魔王と戦ってもらう!」

そして、その発言を聞いた森田が質問をすかさずしたのだった。

「私たちはそもそも争いのない世界から来たので、戦うことなんてできないと思いますが・・・」

「そのことなら心配はいらぬ! この世界に来た時にユニークスキルが付与されることになっている。 おい宰相! ステータスボードを持って参れ!」

「王様、ステータスボードを持ってまいりました。」

王様の隣に控えていた男が僕たちのもとへ来て、ステータスボードなる物をクラスメート全員に配り始めた。
最後に俺にステータスボードを渡し終えると、王様が再び話し始めた。

「これがステータスボートと呼ばれるものじゃ! このように触ると能力が表示されるのだ。」

そういうと王様は、俺たちにステータスを見せたのだった。

名前:グレイシア=ウォッカ
身分:グレイシア国王
ノーマルスキル:内政lv3 威圧lv4 光魔法lv2
ユニークスキル:帝国の英雄カエサル

どうやらステータスボードでは、名前、身分、ノーマルスキル、ユニークスキルが分かるらしい。
そしてもっとも気になるスキルについてだが、ノーマルスキルは適正と努力によって多くの人が入手できるものであり、使用していくとレベルが上がってくらしい。 王様の話によるとlv1ー3が玄人、lv4-6が天才、lv7ー10が神話のみに登場するということだ。

そしてユニークスキルだが、これはごく稀に生まれつき持ってる人がいるらしい。とても強力なスキルでユニークスキルを持っているだけで各国から手厚く迎えられるらしい。また、同じユニークスキルを持つ人は存在しないようだ。

ちなみに帝国の英雄カエサルというスキルは、自分の支配下にいる人間の能力を上昇させる効果と部下から裏切られることがなくなるようだ。

「さて君たちも自分のステータスが気になってるだろう。誰からステータスを見るか?」

そう王様がいうとすぐに名瀬が立ち上がり、王様の元へと向かった。 どうやらあいつは自分のステータスが気になって仕方がないようだ。 まぁあたりを見回すとクラスメートの何人かは、居ても立っても居られない顔をしてるあたり異世界チート確定盤面に興奮しているようだ。

そんなことを思っていると名瀬がステータスカードを持った瞬間に名瀬の周りが光り輝き始めた。

名前:名瀬 人羅
身分:勇者
ノーマルスキル:威圧lv2 
ユニークスキル:恐怖支配ポルポト 欲望成就ドリームズカムトゥルー

どうやらユニークスキルを2つ持つ人間は、数百年に一人の確率らしく その力の波動ゆえに発光したらしい。
名瀬という男は、この世界でも恵まれているようだ。

その後は、クラスメートたちが王様の元へ向かいステータスを確認していった。 俺は最後に行けばいいと思っていたのでステータス確認待ちの列には並ばず、全員が終わるまで椅子に座っていた。

そして、最後尾にいた森田がステータスを測る番になっていたので俺は立ち上がり王様の元へと向かった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に射出された俺、『大地の力』で快適森暮らし始めます!

らもえ
ファンタジー
旧題:異世界に射出された俺、見知らぬ森の真中へ放り出される。周りには木しか生えていないけどお地蔵さんに貰ったレアスキルを使って何とか生き延びます。  俺こと杉浦耕平は、学校帰りのコンビニから家に帰る途中で自称神なるものに拉致される。いきなり攫って異世界へ行けとおっしゃる。しかも語り口が軽くどうにも怪しい。  向こうに行っても特に使命は無く、自由にしていいと言う。しかし、もらえたスキルは【異言語理解】と【簡易鑑定】のみ。いや、これだけでどうせいっちゅーに。そんな俺を見かねた地元の地蔵尊がレアスキルをくれると言うらしい。やっぱり持つべきものは地元の繋がりだよね!  それで早速異世界転移!と思いきや、異世界の高高度の上空に自称神の手違いで射出されちまう。紐なしバンジーもしくはパラシュート無しのスカイダイビングか?これ。  自称神様が何かしてくれたお陰で何とか着地に成功するも、辺りは一面木ばっかりの森のど真ん中。いやこれ遭難ですやん。  そこでお地蔵さんから貰ったスキルを思い出した。これが意外とチートスキルで何とか生活していくことに成功するのだった。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

【オンボロ剣】も全て【神剣】に変える最強術者

月風レイ
ファンタジー
 神の手違いにより死んでしまった佐藤聡太は神の計らいで異世界転移を果たすことになった。  そして、その際に神には特別に特典を与えられることになった。  そして聡太が望んだ力は『どんなものでも俺が装備すると最強になってしまう能力』というものであった。  聡太はその能力は服であれば最高の服へと変わり、防具であれば伝説級の防具の能力を持つようになり、剣に至っては神剣のような力を持つ。  そんな能力を持って、聡太は剣と魔法のファンタジー世界を謳歌していく。  ストレスフリーファンタジー。

異世界エステ〜チートスキル『エステ』で美少女たちをマッサージしていたら、いつの間にか裏社会をも支配する異世界の帝王になっていた件〜

福寿草真
ファンタジー
【Sランク冒険者を、お姫様を、オイルマッサージでトロトロにして成り上がり!?】 何の取り柄もないごく普通のアラサー、安間想介はある日唐突に異世界転移をしてしまう。 魔物や魔法が存在するありふれたファンタジー世界で想介が神様からもらったチートスキルは最強の戦闘系スキル……ではなく、『エステ』スキルという前代未聞の力で!? これはごく普通の男がエステ店を開き、オイルマッサージで沢山の異世界女性をトロトロにしながら、瞬く間に成り上がっていく物語。 スキル『エステ』は成長すると、マッサージを行うだけで体力回復、病気の治療、バフが発生するなど様々な効果が出てくるチートスキルです。

現代兵器で異世界無双

wyvern
ファンタジー
サバゲ好き以外どこにでもいるようなサラリーマンの主人公は、 ある日気づけば見知らぬ森の中にいた。 その手にはLiSMと呼ばれるip〇d似の端末を持たされていた。 これはアサルトライフルや戦闘機に戦車や空母、果ては缶コーヒーまで召喚できてしまうチート端末だった。 森を出た主人公は見る風景、人、町をみて中近世のような異世界に転移させられと悟った。 そしてこちらの世界に来てから幾日か経った時、 主人公を転移させた張本人のコンダート王国女王に会い、 この国がデスニア帝国という強大な隣国に陸・海・空から同時に攻められ敗戦色濃厚ということを知る。 主人公は、自分が召喚されたのはLiSMで召喚した現代兵器を使ってこの国を救って欲しいからだと知り、 圧倒的不利なこの状況を現代兵器を駆使して立ち向かっていく! そして軍事のみならず、社会インフラなどを現代と引けを取らない状態まで成長させ、 超大国となったコンダート王国はデスニア帝国に逆襲を始める そしてせっかく異世界来たのでついでにハーレム(軍団)も作っちゃいます笑! Twitterやってます→https://twitter.com/wyvern34765592

ハズレ職の<召喚士>がS級万能職に化けました~世界で唯一【召喚スポット】をサーチ可能になった俺、次々と召喚契約して一瞬で成り上がる~

ヒツキノドカ
ファンタジー
 全ての冒険者は職業を持ち、その職業によって強さが決まる。  その中でも<召喚士>はハズレ職と蔑まれていた。  召喚の契約を行うには『召喚スポット』を探し当てる必要があるが、召喚スポットはあまりに発見が困難。  そのためほとんどの召喚士は召喚獣の一匹すら持っていない。  そんな召喚士のロイは依頼さえ受けさせてもらえず、冒険者ギルドの雑用としてこき使われる毎日を過ごしていた。  しかし、ある日を境にロイの人生は一変する。  ギルドに命じられたどぶさらいの途中で、ロイは偶然一つの召喚スポットを見つけたのだ。  そこで手に入ったのは――規格外のサーチ能力を持つ最強クラスの召喚武装、『導ノ剣』。  この『導ノ剣』はあらゆるものを見つけ出せる。  たとえそれまでどんな手段でも探知できないとされていた召喚スポットさえも。    ロイは『導ノ剣』の規格外なサーチ能力によって発見困難な召喚スポットをサクサク見つけ、強力な召喚獣や召喚武装と契約し、急激に成長していく。  これは底辺と蔑まれた『召喚士』が、圧倒的な成長速度で成り上がっていく痛快な物語。 ▽ いつも閲覧、感想等ありがとうございます! 執筆のモチベーションになっています! ※2021.4.24追記 更新は毎日12時過ぎにする予定です。調子が良ければ増えるかも? ※2021.4.25追記 お陰様でHOTランキング3位にランクインできました! ご愛読感謝! ※2021.4.25追記 冒頭三話が少し冗長だったので、二話にまとめました。ブクマがずれてしまった方すみません……!

何者でもない僕は異世界で冒険者をはじめる

月風レイ
ファンタジー
 あらゆることを人より器用にこなす事ができても、何の長所にもなくただ日々を過ごす自分。  周りの友人は世界を羽ばたくスターになるのにも関わらず、自分はただのサラリーマン。  そんな平凡で退屈な日々に、革命が起こる。  それは突如現れた一枚の手紙だった。  その手紙の内容には、『異世界に行きますか?』と書かれていた。  どうせ、誰かの悪ふざけだろうと思い、適当に異世界にでもいけたら良いもんだよと、考えたところ。  突如、異世界の大草原に召喚される。  元の世界にも戻れ、無限の魔力と絶対不死身な体を手に入れた冒険が今始まる。

処理中です...