次期社長と訳アリ偽装恋愛

松本ユミ

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次期社長と紡ぐ未来のために

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「今後は何かあったら一人で抱え込まずに俺に伝えて欲しい。些細なことでもいい、二人でちゃんと話し合おう」
「はい」

立花さんは私がわだかまりを抱えていたことに気づいたから、順序立てて絡まった糸をほどく様に話してくれたんだろう。
いきなり本題だけ言われても、私は素直に頷けなかったと思う。

「うん、いい返事だ。あと、これだけは覚えておいて欲しいんだけど、俺はこの先も梨音ちゃんと別れるという選択肢はないから」

真っ直ぐに見つめながら言われ、胸がキュンとなる。
私だって出来ることならずっと立花さんの側にいたい。

「それに親父から俺のことをよろしくお願いされて、梨音ちゃんは受け入れてくれたんだから責任持ってくれないと困るよ」

いたずらっ子のように笑う。

「責任?」
「そう。俺と結婚してくれるよね」

確かに社長から言われて、こちらこそお願いしますと言ったけど……って今のは空耳だろうか。
サラリとすごいことを言われた気がするんだけど。
突然のことに、目の前の立花さんをマジマジと見つめる。

「えっと、それは本気ですか?」

躊躇いながら口を開いた。

「本気じゃないと結婚してなんて言わないよ。別に今すぐにという訳じゃない。まずは同棲してからとか、お互いにいいタイミングがきたら結婚したいと思っている。だから、今は予約させて」

思いがけない申し出に胸がいっぱいになり、涙が溢れた。

「私なんかでいいんですか?」
「"私なんか"なんて言うもんじゃないよ。俺は梨音ちゃんがいいんだ。梨音ちゃんしかいない」

頬に流れる涙を優しく拭ってくれる。

「嬉しいです」

立花さんの想いに心が温かくなり、はにかみながら言うと彼は俯きながら頭を抱えた。
どうしたんだろう。
私、何かおかしいことを言ったのかな。
不安な気持ちになっていると、立花さんは真っ赤に染まった顔を上げた。

「可愛い顔してそんなこと言わないで。ここで押し倒しそうになるから」

そんなことを言われ、私もつられて顔が赤くなった。

「あと、勢いでこんな場所で結婚してと言ったけど、プロポーズはちゃんとした場所で仕切り直すから。じゃあ、そろそろ出ようか」」
「あ、はい」

ソファから立ち上がり、立花さんのあとに続く。
社長室を出ると、ドア付近にしげさんと社長が立っていた。
何かニヤニヤしているように見えるんだけど、気のせいかな。

「翔真、話はできたのか?」
「お陰様で。ところでじいちゃんたち、そんなところで集まって何か面白いことでもあった?まさか、盗み聞きなんてしてないよね」

立花さんはジロリとしげさんたちを見る。

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