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愛を伝える
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テーマパーク定番のカチューシャをお互いにつけたりアトラクションに乗ったりと思う存分、デートを満喫した。
本当は私だけにカチューシャをつけさせようとしていた立花さん。
さすがに私ひとりじゃ恥ずかしいと伝えると、渋々自分もつけてくれた。
周りの人たちも同じようなカチューシャを付けていたし、しばらくしたらお互いに馴染んでいた。
「何か軽く食べる?」
「チュロス食べてもいいですか?」
「いいよ」
さっきからすれ違う人が美味しそうに食べていたのが気になっていた。
チュロスを販売しているワゴンに行き、私はシナモン味のチュロス、立花さんはプレーンのチュロスを買った。
たっぷりのシナモンシュガーがふりかかっていて、一口かじるとほのかな甘みと共に独特の香りがした。
シナモンの匂いが苦手な人はいるけど、私は好きな方だ。
外側はカリカリで中はもっちりしていてすごく美味しい。
「それ、美味しい?」
「美味しいですよ。食べてみますか?」
そう言って食べかけのチュロスを差し出しながらハッとした。
人の食べかけなんて駄目だよねと思い直し、慌てて首を振った。
「いえ、何でもないです」
「お言葉に甘えて食べさせてもらおうかな」
「えっ」
立花さんは顔をなぜか私の方に近づけてきて、チュッと唇にキスをした。
「んー、シナモンはあまり得意な味じゃないんだよな。でも、梨音ちゃんの唇についているシナモンなら舐めれるよ」
……っ!
とんでもないことを言われ、顔が真っ赤に染まる。
というか、さらっとキスされたんですけど!
「ふふ、真っ赤。可愛いね」
「だって、いきなりキスなんて……」
「ごめんごめん。つい」
クスクス笑いながら謝っている立花さんにジト目を向けた。
ふと、こんなやり取りも楽しいなと思った。
立花さんと一緒にいるだけで幸せな気持ちになり、この時間がずっと続けばいいのにな……。
写真もたくさん撮った。
人気の撮影スポットは行列で、係の人にお願いして立花さんとのツーショット写真が撮れた。
「今撮った写真、俺にも送ってくれる?」
「はい」
私のスマホで撮った写真を立花さんに送った。
届いた写真を見て立花さんは嬉しそうに笑っている。
その顔を見ただけで胸がキュンとする。
「そうだ、これを待ち受けにしてもいい?」
自分のスマホの画面を見せてきた。
そこに写っていたのは、カチューシャをつけて驚いた表情をしている私がいた。
これってさっき不意打ちでスマホを向けられて撮られたやつだ。
「それはちょっと……変な顔をしているので」
「そんなことないよ。すごく可愛い」
満面の笑みで言われるとダメだと言えなくなる。
でも、さすがにあの驚いている顔は無理だ。
「あの、どうせならちゃんとしているのがいいです」
「じゃあ撮り直そうか」
改めてスマホを向けられ、どうにか私なりに及第点の写真が撮れた。
ジェットコースターに乗ったり絶叫系のアトラクションをいくつか乗った。
私も立花さんも得意な方だったので二人で声を出して楽しみ、気が付けば夕方になっていた。
「そろそろ晩ご飯、食べに行く?」
「はい」
年甲斐もなく調子に乗ってはしゃいでしまい、お腹がペコペコだ。
「店はもう予約してあるから」
「そうなんですか?」
「うん。じゃあ行こうか」
立花さんは当たり前のように手を差し出してきて、私もそれに指を絡めた。
本当は私だけにカチューシャをつけさせようとしていた立花さん。
さすがに私ひとりじゃ恥ずかしいと伝えると、渋々自分もつけてくれた。
周りの人たちも同じようなカチューシャを付けていたし、しばらくしたらお互いに馴染んでいた。
「何か軽く食べる?」
「チュロス食べてもいいですか?」
「いいよ」
さっきからすれ違う人が美味しそうに食べていたのが気になっていた。
チュロスを販売しているワゴンに行き、私はシナモン味のチュロス、立花さんはプレーンのチュロスを買った。
たっぷりのシナモンシュガーがふりかかっていて、一口かじるとほのかな甘みと共に独特の香りがした。
シナモンの匂いが苦手な人はいるけど、私は好きな方だ。
外側はカリカリで中はもっちりしていてすごく美味しい。
「それ、美味しい?」
「美味しいですよ。食べてみますか?」
そう言って食べかけのチュロスを差し出しながらハッとした。
人の食べかけなんて駄目だよねと思い直し、慌てて首を振った。
「いえ、何でもないです」
「お言葉に甘えて食べさせてもらおうかな」
「えっ」
立花さんは顔をなぜか私の方に近づけてきて、チュッと唇にキスをした。
「んー、シナモンはあまり得意な味じゃないんだよな。でも、梨音ちゃんの唇についているシナモンなら舐めれるよ」
……っ!
とんでもないことを言われ、顔が真っ赤に染まる。
というか、さらっとキスされたんですけど!
「ふふ、真っ赤。可愛いね」
「だって、いきなりキスなんて……」
「ごめんごめん。つい」
クスクス笑いながら謝っている立花さんにジト目を向けた。
ふと、こんなやり取りも楽しいなと思った。
立花さんと一緒にいるだけで幸せな気持ちになり、この時間がずっと続けばいいのにな……。
写真もたくさん撮った。
人気の撮影スポットは行列で、係の人にお願いして立花さんとのツーショット写真が撮れた。
「今撮った写真、俺にも送ってくれる?」
「はい」
私のスマホで撮った写真を立花さんに送った。
届いた写真を見て立花さんは嬉しそうに笑っている。
その顔を見ただけで胸がキュンとする。
「そうだ、これを待ち受けにしてもいい?」
自分のスマホの画面を見せてきた。
そこに写っていたのは、カチューシャをつけて驚いた表情をしている私がいた。
これってさっき不意打ちでスマホを向けられて撮られたやつだ。
「それはちょっと……変な顔をしているので」
「そんなことないよ。すごく可愛い」
満面の笑みで言われるとダメだと言えなくなる。
でも、さすがにあの驚いている顔は無理だ。
「あの、どうせならちゃんとしているのがいいです」
「じゃあ撮り直そうか」
改めてスマホを向けられ、どうにか私なりに及第点の写真が撮れた。
ジェットコースターに乗ったり絶叫系のアトラクションをいくつか乗った。
私も立花さんも得意な方だったので二人で声を出して楽しみ、気が付けば夕方になっていた。
「そろそろ晩ご飯、食べに行く?」
「はい」
年甲斐もなく調子に乗ってはしゃいでしまい、お腹がペコペコだ。
「店はもう予約してあるから」
「そうなんですか?」
「うん。じゃあ行こうか」
立花さんは当たり前のように手を差し出してきて、私もそれに指を絡めた。
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