76 / 107
愛を伝える
8
しおりを挟む
連れてきてくれたのは『ミレナル』というイタリアンレストラン。
ここはいつも予約でいっぱいの超人気レストランで料理も美味しくテレビや雑誌にも取り上げられたこともある有名店だ。
立花さんがここのオーナーと知り合いらしく、交遊関係の広さに驚くばかりだ。
店内はアンティーク調の内装で、照明や小物にもこだわっている。
テーブル席や半個室などあり、私たちが通されたのは完全個室。
向かい合って席に座り、コース料理が運ばれてくるのを待つ。
料理を待っている間、立花さんは思い出したように口を開いた。
「そうそう、あのあと響也に連絡したんだ」
「えっ、お兄ちゃんに?」
いったい何を言ったんだろう……。
「梨音ちゃんと付き合うことになったって報告したんだ。以前、響也に君が好きだと伝えた時、本気なのかと詰め寄られたからね。アイツもなんだかんだ言いながら梨音ちゃんのことが心配だったんだろうな」
あのお兄ちゃんが……ね。
口を開けば嫌味なことばかり言われてよくムカついていた。
そんなお兄ちゃんが私のことを気にかけてくれていたと知り、驚いたけど嬉しかった。
バーでの出来事以来、お兄ちゃんとは五年ぐらいまともに会っていない。
お母さんたちも気にしていたから、そろそろ実家に帰ったときに会ってもいいかも。
でも、お兄ちゃんに立花さんと付き合ってるのを知られているので恥ずかしいけど。
「俺は本気だし、誰よりも君のことを大切にするし甘やかしたいんだ」
立花さんの口から飛び出してくる言葉にドキドキしっぱなしだ。
というか、十分すぎるぐらい大切にしてくれている。
好きという気持ちが立花さんと一緒に過ごすたびに更新されている気がする。
「響也に『梨音のことを頼む』って言われたよ。まぁ、響也に言われなくてもそのつもりだけど」
思わず見惚れてしまうような笑顔を私に向けてきて、胸がキュンと高鳴った。
「ついでにマキにも報告しといたよ。マキから連絡があったお陰で梨音ちゃんと話が出来て付き合うことになったからね」
昴くんに言ったということは、きっと舞にも伝わるだろう。
そういえば昴くんと舞は同じ化粧品会社だ。
もしかして、と化粧ポーチの中に入っている口紅の存在を思い出して口を開いた。
「ちょっと聞くんですけど、あの口紅を立花さんにくれたのは昴くんですか?」
「そうだよ。マキからシンデレラ何とかっていうシリーズで人気があるから、俺の気になっている子にプレゼントしてあげたらと言ってくれたんだ」
マキには何か奢らないと、って笑いながら言っていた。
そんな話をしていたら料理が運ばれてきた。
本日の前菜盛り合わせ、エビやタコ、トマトのアヒージョ。
スープ、カルボナーラに国産牛の赤ワイン煮込みに舌鼓をうつ。
立花さんには私がよく食べるということを知られているので、今さら取り繕うこともない。
そんな私の食べっぷりを立花さんはニコニコと笑いながら眺めている。
デザートのティラミスまで美味しくいただき、すべて残さず食べたのでお腹いっぱいになっていた。
ここはいつも予約でいっぱいの超人気レストランで料理も美味しくテレビや雑誌にも取り上げられたこともある有名店だ。
立花さんがここのオーナーと知り合いらしく、交遊関係の広さに驚くばかりだ。
店内はアンティーク調の内装で、照明や小物にもこだわっている。
テーブル席や半個室などあり、私たちが通されたのは完全個室。
向かい合って席に座り、コース料理が運ばれてくるのを待つ。
料理を待っている間、立花さんは思い出したように口を開いた。
「そうそう、あのあと響也に連絡したんだ」
「えっ、お兄ちゃんに?」
いったい何を言ったんだろう……。
「梨音ちゃんと付き合うことになったって報告したんだ。以前、響也に君が好きだと伝えた時、本気なのかと詰め寄られたからね。アイツもなんだかんだ言いながら梨音ちゃんのことが心配だったんだろうな」
あのお兄ちゃんが……ね。
口を開けば嫌味なことばかり言われてよくムカついていた。
そんなお兄ちゃんが私のことを気にかけてくれていたと知り、驚いたけど嬉しかった。
バーでの出来事以来、お兄ちゃんとは五年ぐらいまともに会っていない。
お母さんたちも気にしていたから、そろそろ実家に帰ったときに会ってもいいかも。
でも、お兄ちゃんに立花さんと付き合ってるのを知られているので恥ずかしいけど。
「俺は本気だし、誰よりも君のことを大切にするし甘やかしたいんだ」
立花さんの口から飛び出してくる言葉にドキドキしっぱなしだ。
というか、十分すぎるぐらい大切にしてくれている。
好きという気持ちが立花さんと一緒に過ごすたびに更新されている気がする。
「響也に『梨音のことを頼む』って言われたよ。まぁ、響也に言われなくてもそのつもりだけど」
思わず見惚れてしまうような笑顔を私に向けてきて、胸がキュンと高鳴った。
「ついでにマキにも報告しといたよ。マキから連絡があったお陰で梨音ちゃんと話が出来て付き合うことになったからね」
昴くんに言ったということは、きっと舞にも伝わるだろう。
そういえば昴くんと舞は同じ化粧品会社だ。
もしかして、と化粧ポーチの中に入っている口紅の存在を思い出して口を開いた。
「ちょっと聞くんですけど、あの口紅を立花さんにくれたのは昴くんですか?」
「そうだよ。マキからシンデレラ何とかっていうシリーズで人気があるから、俺の気になっている子にプレゼントしてあげたらと言ってくれたんだ」
マキには何か奢らないと、って笑いながら言っていた。
そんな話をしていたら料理が運ばれてきた。
本日の前菜盛り合わせ、エビやタコ、トマトのアヒージョ。
スープ、カルボナーラに国産牛の赤ワイン煮込みに舌鼓をうつ。
立花さんには私がよく食べるということを知られているので、今さら取り繕うこともない。
そんな私の食べっぷりを立花さんはニコニコと笑いながら眺めている。
デザートのティラミスまで美味しくいただき、すべて残さず食べたのでお腹いっぱいになっていた。
28
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
じれったい夜の残像
ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、
ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。
そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。
再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。
再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、
美咲は「じれったい」感情に翻弄される。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる