81 / 107
社内恋愛の醍醐味?
5
しおりを挟む
「仕方ないなぁ。じゃあ、今度は人には見られない場所でイチャイチャしようか」
「えっ」
立花さんの口からそんな言葉が出るなんて思わず凝視してしまった。
「なに?」
目を真ん丸にしてアホ面になっているであろう私の様子に立花さんが首を傾げる。
「いえ、立花さんがそんなことを言うとは思わなかったので……」
「俺も普通の男ってことだよ。好きな子とは触れ合いたいし、イチャイチャだってしたいよ」
真顔で言われ、私は赤面してしまう。
「梨音ちゃんはホントに可愛いね。これ以上、困らせたら嫌われそうだから仕事に戻るよ」
クスッと笑って私から離れた。
どこまでも甘い立花さんにクラクラしっぱなしだ。
「そうだ、今日も遅くなるから残念だけど晩飯を一緒に食べれないんだ」
立花さんは落胆したように小さくため息を吐く。
ホントに最近、忙しそうなんだよな。
「あの、無理しないでくださいね」
「ありがとう。こうして梨音ちゃんと話をしているだけで癒されるよ。俺としてはイチャイチャした方がもっと癒されるけどね」
いたずらっ子のような顔をして言う。
言葉ではそんなことを言っているけど、本当に疲れているように見えた。
私は無意識のうちに目の前の立花さんの身体にギュッと抱きついた。
「どうしたの?」
私の突然の行動に驚きの声を出す。
「少しでも癒されるかなと思って」
「あー、もう!可愛い事ばかりしないでよ。押し倒したくなるから」
立花さんは私の身体を強く抱きしめた。
「社内恋愛の醍醐味とは言ったけど、さすがにここでキスは出来ないよな」
我慢するか、なんて呟く声が耳に届いた。
冷静に考えると、私から抱きつくとかとんでもないことをしている気がする。
ハッとして立花さんの胸を押し、距離を取ろうとした。
「もう離れるの?俺的にはあと少しこのままでもよかったけど」
「いえ、そういう訳には……」
誰も見ていないかキョロキョロと周りを見回した。
私の様子を見て、立花さんはクスッと笑う。
「心配しなくても誰も見てないから大丈夫だよ。今度こそ、仕事に戻るよ」
じゃあ、と私の頭を優しく撫でて休憩スペースを後にした。
私は安堵のため息をつき、自動販売機で購入した紅茶を手に椅子に座る。
よくあんな大胆なことが出来たよな、とさっきの自分の行動を思い出してひとり赤面する。
立花さんが目の前にいると、いろいろと流されてしまいそうになるので、会社では気を引き締めなきゃ。
ペットボトルの蓋を開け、紅茶を一口飲んでいたら休憩スペースに人が入ってきた。
あれは、秘書課の亀井祐介さんだ。
黒髪のオールバックに黒縁眼鏡、いつも冷静沈着で怖いイメージがある。
不意に目が合い、慌てて会釈した。
亀井さんは小さく頭を下げ、すぐに目を逸らすと自動販売機に視線を向けた。
休憩スペースに亀井さんと二人。
特に会話する訳ではないけど、居心地が悪くなったのでさっさと仕事に戻ろう。
私は椅子から立ち上がると飲みかけの紅茶のペットボトルを持ち、その場を離れた。
「えっ」
立花さんの口からそんな言葉が出るなんて思わず凝視してしまった。
「なに?」
目を真ん丸にしてアホ面になっているであろう私の様子に立花さんが首を傾げる。
「いえ、立花さんがそんなことを言うとは思わなかったので……」
「俺も普通の男ってことだよ。好きな子とは触れ合いたいし、イチャイチャだってしたいよ」
真顔で言われ、私は赤面してしまう。
「梨音ちゃんはホントに可愛いね。これ以上、困らせたら嫌われそうだから仕事に戻るよ」
クスッと笑って私から離れた。
どこまでも甘い立花さんにクラクラしっぱなしだ。
「そうだ、今日も遅くなるから残念だけど晩飯を一緒に食べれないんだ」
立花さんは落胆したように小さくため息を吐く。
ホントに最近、忙しそうなんだよな。
「あの、無理しないでくださいね」
「ありがとう。こうして梨音ちゃんと話をしているだけで癒されるよ。俺としてはイチャイチャした方がもっと癒されるけどね」
いたずらっ子のような顔をして言う。
言葉ではそんなことを言っているけど、本当に疲れているように見えた。
私は無意識のうちに目の前の立花さんの身体にギュッと抱きついた。
「どうしたの?」
私の突然の行動に驚きの声を出す。
「少しでも癒されるかなと思って」
「あー、もう!可愛い事ばかりしないでよ。押し倒したくなるから」
立花さんは私の身体を強く抱きしめた。
「社内恋愛の醍醐味とは言ったけど、さすがにここでキスは出来ないよな」
我慢するか、なんて呟く声が耳に届いた。
冷静に考えると、私から抱きつくとかとんでもないことをしている気がする。
ハッとして立花さんの胸を押し、距離を取ろうとした。
「もう離れるの?俺的にはあと少しこのままでもよかったけど」
「いえ、そういう訳には……」
誰も見ていないかキョロキョロと周りを見回した。
私の様子を見て、立花さんはクスッと笑う。
「心配しなくても誰も見てないから大丈夫だよ。今度こそ、仕事に戻るよ」
じゃあ、と私の頭を優しく撫でて休憩スペースを後にした。
私は安堵のため息をつき、自動販売機で購入した紅茶を手に椅子に座る。
よくあんな大胆なことが出来たよな、とさっきの自分の行動を思い出してひとり赤面する。
立花さんが目の前にいると、いろいろと流されてしまいそうになるので、会社では気を引き締めなきゃ。
ペットボトルの蓋を開け、紅茶を一口飲んでいたら休憩スペースに人が入ってきた。
あれは、秘書課の亀井祐介さんだ。
黒髪のオールバックに黒縁眼鏡、いつも冷静沈着で怖いイメージがある。
不意に目が合い、慌てて会釈した。
亀井さんは小さく頭を下げ、すぐに目を逸らすと自動販売機に視線を向けた。
休憩スペースに亀井さんと二人。
特に会話する訳ではないけど、居心地が悪くなったのでさっさと仕事に戻ろう。
私は椅子から立ち上がると飲みかけの紅茶のペットボトルを持ち、その場を離れた。
16
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
じれったい夜の残像
ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、
ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。
そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。
再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。
再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、
美咲は「じれったい」感情に翻弄される。

ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる