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過去を乗り越えて
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提案というのは偽装恋愛、恋のリハビリのことだよね。
さすがに言われた時は戸惑った。
でも、自分で考えてそれを受け入れたんだ。
「そんなことないです。私は立花さんの優しさに触れて心が満たされていました。偽装じゃなくて本当の彼氏だったらよかったのに……と何度も思うようになっていました」
私の言葉に立花さんは驚いて目を見開いた。
昴くんにフラれてから、恋をすることに臆病になっていた。
でも、私は立花さんのお陰で前を向くことができて、好きな人だってできた。
久しぶりに芽生えた恋心だったのに自分で無理やり蓋をしてしまったんだ。
もう二度と気持ちを伝えずに後悔したくない。
「あの日、立花さんの口から"マキ"という名前を聞いて私は勘違いしました。きっと立花さんの気になっている人なんだと。それで、私は邪魔したらいけないと思って偽装恋愛の解消を言い出しました。でも本心はすごく後悔しました」
「河野さん、それって……」
好きな人の幸せを考えて身を引いた、なんていうのは建前だ。
「私から解消を言い出したくせに、何をしていても立花さんのことを考えてしまう自分に嫌気がさしました。こんなことなら、"マキ"という存在に怯えず、気持ちを伝えればよかったと」
私は小さく息をはくと、真っ直ぐに立花さんを見つめ言葉を紡いだ。
「私は、立花さんのことが好きです」
気持ちを告げた途端、立花さんは微動だにせずに私をじっと見つめている。
えっと、私は今、告白をしたよね。
何の反応もしない立花さんに不安を覚える。
「あの……」
私が声をかけると、立花さんがハッとすると顔がみるみるうちに赤く染まっていった。
「いや、ごめん。あ、ごめんじゃなくて。ちょっと待って。これはヤバイな」
ごめん?
ヤバい?
これは私の告白に対する返事なんだろうか。
グルグルとマイナス思考が私を支配していき、不安な気持ちで立花さんを見た。
「ホント、可愛すぎて参るよ」
私の身体は立花さんの腕の中にいた。
一気に鼓動が跳ね上がる。
これって……。
「夢じゃないよな」
私が考えていたことを立花さんが口にする。
抱きしめている腕を緩めると、顔を近づけてきて額と額がぶつかる。
絡まり合う視線に心臓は高鳴り、顔が熱を帯びる。
全く逸らされない立花さんの瞳に視線の行き場をどうしようかと思っていたら、私の唇に柔らかな感触があった。
一瞬、頭の中が真っ白になって自分の身に何が起きたのか分からなかった。
でも、すぐにキスされているんだと気づく。
「おーい、大丈夫?」
目を見開いたまま固まっていたら、立花さんがクスクスと笑いながら私の頬を人差し指でつついた。
さすがに言われた時は戸惑った。
でも、自分で考えてそれを受け入れたんだ。
「そんなことないです。私は立花さんの優しさに触れて心が満たされていました。偽装じゃなくて本当の彼氏だったらよかったのに……と何度も思うようになっていました」
私の言葉に立花さんは驚いて目を見開いた。
昴くんにフラれてから、恋をすることに臆病になっていた。
でも、私は立花さんのお陰で前を向くことができて、好きな人だってできた。
久しぶりに芽生えた恋心だったのに自分で無理やり蓋をしてしまったんだ。
もう二度と気持ちを伝えずに後悔したくない。
「あの日、立花さんの口から"マキ"という名前を聞いて私は勘違いしました。きっと立花さんの気になっている人なんだと。それで、私は邪魔したらいけないと思って偽装恋愛の解消を言い出しました。でも本心はすごく後悔しました」
「河野さん、それって……」
好きな人の幸せを考えて身を引いた、なんていうのは建前だ。
「私から解消を言い出したくせに、何をしていても立花さんのことを考えてしまう自分に嫌気がさしました。こんなことなら、"マキ"という存在に怯えず、気持ちを伝えればよかったと」
私は小さく息をはくと、真っ直ぐに立花さんを見つめ言葉を紡いだ。
「私は、立花さんのことが好きです」
気持ちを告げた途端、立花さんは微動だにせずに私をじっと見つめている。
えっと、私は今、告白をしたよね。
何の反応もしない立花さんに不安を覚える。
「あの……」
私が声をかけると、立花さんがハッとすると顔がみるみるうちに赤く染まっていった。
「いや、ごめん。あ、ごめんじゃなくて。ちょっと待って。これはヤバイな」
ごめん?
ヤバい?
これは私の告白に対する返事なんだろうか。
グルグルとマイナス思考が私を支配していき、不安な気持ちで立花さんを見た。
「ホント、可愛すぎて参るよ」
私の身体は立花さんの腕の中にいた。
一気に鼓動が跳ね上がる。
これって……。
「夢じゃないよな」
私が考えていたことを立花さんが口にする。
抱きしめている腕を緩めると、顔を近づけてきて額と額がぶつかる。
絡まり合う視線に心臓は高鳴り、顔が熱を帯びる。
全く逸らされない立花さんの瞳に視線の行き場をどうしようかと思っていたら、私の唇に柔らかな感触があった。
一瞬、頭の中が真っ白になって自分の身に何が起きたのか分からなかった。
でも、すぐにキスされているんだと気づく。
「おーい、大丈夫?」
目を見開いたまま固まっていたら、立花さんがクスクスと笑いながら私の頬を人差し指でつついた。
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