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過去を乗り越えて
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「河野さんはマキを俺が気になっている子だと勘違いし、俺の恋の邪魔はしてはいけないとか考えて偽装恋愛をやめることにした。どう?」
言い当てられ、私は目を泳がすことしか出来なかった。
「ホント、河野さんは分かりやすいね」
ふっと小さく笑う。
マキは立花さんの気になっている人じゃなかったんだ。
ということは、他にいるということだ。
「じゃあ、俺のことも話そうか。聞いてくれる?」
確認するように聞いてきて、私は静かに頷いた。
「俺とマキ、河野さんの兄の響也は高校時代からの友人なんだ」
「えっ?あっ、すみません」
まさかのお兄ちゃんの名前も出てきて大きな声を出してしまった。
それで、あれ?と思う。
そういえば、初めて立花さんと食事をした時に少しの違和感を覚えていた。
立花さんは私とお兄ちゃんが兄妹ということを知っていたからあんな返答だったのかな。
もしかして私のことはお兄ちゃんから聞いていたから食事に誘ってきたんだろうか。
それだったら、その時に教えてくれてもよかったのに。
「ちなみに、河野さんがマキにフラれたことも知っている」
「えっ、どうして……」
「俺もその場にいたから」
サラッと言われた言葉に、頭が真っ白になった。
ちょっと待って。
その場にいたということは、『ダークムーン』に立花さんも?
確かあの時、バーには朔ちゃんとお兄ちゃん、昴くんの他にもう一人男の人がいた。
もしかしてその人が?
信じられない気持ちで立花さんを見て口を開く。
「どういう、ことか教えてもらってもいいですか?」
「最初から説明するね。響也から二人の妹がいることは聞いていた。高校の時、響也の家に行ったことがあって、そこで河野さんと初めて会ったんだ。まぁ、響也の家には数回しか行ったことがないので君は覚えていないだろうけど」
お兄ちゃんが友達を家に連れてきていたことは記憶にはある。
昴くんを始め何度か友達が来ていたことがあり、その中に立花さんもいたということなのか。
「次に河野さんに会ったのはあのバーだった。俺たち三人は定期的に会っていて、あの時は俺の海外勤務が正式に決まった頃で送別会がてら会おうという話になっていたんだ。そこへ、勢いよく河野さんが入ってきたんだ」
二十歳の誕生日、テンション高くバーのドアを開けて入っていったことを思い出すと苦い気持ちになる。
「幼かった君が綺麗な女性へと変化していたのに驚いた。二十歳になったと嬉しそうに笑っていたのに、マキに付き合っている人がいると知った瞬間、必死に涙をこらえてマキに別れを告げる姿が今も忘れられない。純粋にマキだけを想い続けていたんだというのが手に取るように分かった。その時から、俺は君のことが気になって仕方がなかった」
真っ直ぐに私を見つめてきて、心臓がドクンと跳ねる。
言い当てられ、私は目を泳がすことしか出来なかった。
「ホント、河野さんは分かりやすいね」
ふっと小さく笑う。
マキは立花さんの気になっている人じゃなかったんだ。
ということは、他にいるということだ。
「じゃあ、俺のことも話そうか。聞いてくれる?」
確認するように聞いてきて、私は静かに頷いた。
「俺とマキ、河野さんの兄の響也は高校時代からの友人なんだ」
「えっ?あっ、すみません」
まさかのお兄ちゃんの名前も出てきて大きな声を出してしまった。
それで、あれ?と思う。
そういえば、初めて立花さんと食事をした時に少しの違和感を覚えていた。
立花さんは私とお兄ちゃんが兄妹ということを知っていたからあんな返答だったのかな。
もしかして私のことはお兄ちゃんから聞いていたから食事に誘ってきたんだろうか。
それだったら、その時に教えてくれてもよかったのに。
「ちなみに、河野さんがマキにフラれたことも知っている」
「えっ、どうして……」
「俺もその場にいたから」
サラッと言われた言葉に、頭が真っ白になった。
ちょっと待って。
その場にいたということは、『ダークムーン』に立花さんも?
確かあの時、バーには朔ちゃんとお兄ちゃん、昴くんの他にもう一人男の人がいた。
もしかしてその人が?
信じられない気持ちで立花さんを見て口を開く。
「どういう、ことか教えてもらってもいいですか?」
「最初から説明するね。響也から二人の妹がいることは聞いていた。高校の時、響也の家に行ったことがあって、そこで河野さんと初めて会ったんだ。まぁ、響也の家には数回しか行ったことがないので君は覚えていないだろうけど」
お兄ちゃんが友達を家に連れてきていたことは記憶にはある。
昴くんを始め何度か友達が来ていたことがあり、その中に立花さんもいたということなのか。
「次に河野さんに会ったのはあのバーだった。俺たち三人は定期的に会っていて、あの時は俺の海外勤務が正式に決まった頃で送別会がてら会おうという話になっていたんだ。そこへ、勢いよく河野さんが入ってきたんだ」
二十歳の誕生日、テンション高くバーのドアを開けて入っていったことを思い出すと苦い気持ちになる。
「幼かった君が綺麗な女性へと変化していたのに驚いた。二十歳になったと嬉しそうに笑っていたのに、マキに付き合っている人がいると知った瞬間、必死に涙をこらえてマキに別れを告げる姿が今も忘れられない。純粋にマキだけを想い続けていたんだというのが手に取るように分かった。その時から、俺は君のことが気になって仕方がなかった」
真っ直ぐに私を見つめてきて、心臓がドクンと跳ねる。
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